多くのウェブサイトは、運用を続けるうちにどんどんコンテンツが増え、肥大化していきます。最初こそ整理されていたとしても、コンテンツが増えていくうちに「どこにどのような情報があるのか、管理者ですらよくわからない」という状態に陥ってしまうことも珍しくありません。
そのような状態のまま放置していては、情報をしっかりとユーザーに届けることができず、ウェブサイト本来の目的を果たすこともできません。
コンテンツが増えてきたときこそ、しっかりと情報を整理して、管理者にもユーザーにも見やすく使いやすい状態にリフレッシュする必要があるのです。
ここでは、コンテンツ整理の重要性と、具体的な整理方法について説明します。
コンテンツ整理は本棚に例えて考える
そもそも、「コンテンツが整理されていない」とは、どのような状態のことでしょうか。これは、本棚を思い浮かべていただくとわかりやすいでしょう。
本棚に本を追加するとき、多くの人はわかりやすいように整理して入れていきます。「小説」や「漫画」といったジャンルで分けたり、作者名やシリーズでまとめて入れたりすることもあるでしょう。本が整理された状態を保っていれば、仮に図書館のように膨大な数の本棚であっても、どこにどのような本が入っているのかはすぐにわかります。初めて本棚を見た人でも、目的の本を簡単に見つけることができるでしょう。
反対に、まったく整理されていない本棚はどうでしょうか。ジャンルもシリーズも作者名もばらばらで、どこにどのような本が入っているのかわからなければ、読みたい本があっても見つけることは困難です。初めて本棚を見たユーザーはもちろん、下手をすれば本を入れたはずの管理者自身もどこに何があるかわからなくなってしまうでしょう。
同じことがウェブサイトにもいえるのです。増え続けるコンテンツを整理せずに放置すると、ユーザーは求めている情報にたどり着くことができません。その結果、コミュニケーションロスが発生してしまうのです。
コンテンツが適切に整理されると、ウェブサイトを訪問したユーザーにきちんと正しい情報を届けられるようになります。ユーザーの満足度も上がりますし、コンテンツを提供する側としても「誰にどのコンテンツを提供すればいいのか」がはっきりするので、今後のウェブサイト運営の戦略にも役立てることができます。
また、SEOの観点から、間接的な効果が期待できるかもしれません。コンテンツを整理すること自体が直接検索順位に関係するわけではありませんが、コンテンツの整理によってユーザーニーズを把握し、適切なコンテンツを増やすことで検索エンジンの評価が上がる可能性があるからです。
コンテンツの整理方法
コンテンツの整理は、具体的にどのように行えばいいのでしょうか。整理方法はいくつかありますが、BAsixsにおけるコンテンツの整理方法をご紹介しましょう。
ターゲットユーザーを見直す
まず、ターゲットユーザーの見直しからスタートしましょう。「ウェブサイトのターゲットは誰なのか」「ターゲットは何を必要としているのか」「ターゲットが必要としている情報をどのように届けるべきなのか」といった、ウェブサイトの根本的なコンセプトの認識を関係者全員ですり合わせます。
この認識がずれていると、コンテンツ整理の途中で意見の食い違いが生じるおそれがあります。
既存コンテンツを棚卸する
続いて、既存コンテンツの棚卸を行います。現在、どのようなコンテンツがどれくらいあるのかを洗い出し、ウェブサイトの全体像や、コンテンツの偏り具合を把握します。その上で、「必要ない」と判断できるコンテンツがあれば、思い切って削除してしまいましょう。反対に、足りないコンテンツが見えたら、追加することを検討します。
業界やユーザーに合わせて標準化する
コンテンツの整理は、使いやすさを向上させるためのアプローチのひとつとして「標準化」することも重要なポイントになります。例えば、コーポレートサイトの場合、一般的なサイト構成はある程度決まっています。「会社概要」「代表メッセージ」「IR情報」「事業概要」「採用情報」「お問い合わせフォーム」などは、多くのコーポレートサイトに共通して存在するコンテンツです。このような一般的なコンテンツがあることによって、訪れたユーザーにとってWebサイトが見慣れた、操作しやすいものになります。
細かい部分では、コンテンツの名称も標準化したほうがいいでしょう。例えば、会社についての情報が書かれたコンテンツは「会社概要」など、一般的なコーポレートサイトで使われている名称に合わせることをお勧めします。広くユーザーへ伝えたいのにもかかわらず、独自性を出そうとして変わった名称にすると、かえってユーザーを戸惑わせてしまいます。業界や、伝えたいユーザーに合わせた平易な表現を意識した名称にしましょう。
表記やウェブサイトの構造を見直す
コンテンツを整理するタイミングで、ウェブサイト全体の表記も見直しましょう。英語にするのか、カタカナにするのかといった表記の統一も、ウェブサイトの使いやすさに関わってきます。
また、ウェブサイトの構造そのものを見直してもいいでしょう。コンテンツを分類し直したことで、不要なカテゴリーが出てきたら削除し、カテゴリーが使いやすい数になっているかもチェックします。
BAsixsでは、整理した結果が本当に良かったのかどうか、ユーザーに正しく使ってもらえるのか、プロトタイプを制作し、ユーザビリティテストを実施するケースもあります。
コンテンツの整理や標準化は定期的に行う
コンテンツの整理や標準化は、一度行えば永久にそれで良いというわけではありません。定期的に訪れたユーザーが想定通りの行動をとってくれているか、満足感を得られているか、Webサイトのトレンドが変わっていないかなどを確認しましょう。改善するときは、まず解析データなどから課題を探り、仮説を立て、検証しましょう。ウェブサイトの主要テーマとなるキーワードで検索して、上位に表示されるような評価の高いウェブサイトをベンチマークとして設定するのもおすすめです。もちろん、上位のウェブサイトだけではなく、競合サイトもしっかりチェックして、良い部分は参考にして改善を進めましょう。
コンテンツの整理に便利なツール
コンテンツを整理するには、「コンテンツマップ」を作成するのがおすすめです。コンテンツマップは、自社ウェブサイトのコンテンツを俯瞰して確認するためのマップです。コンテンツマップは作成するだけでは意味がありません。コンテンツマップをもとにして、ウェブサイトの方向性や戦略を考えていきましょう。
コンテンツマップを作成する際には、各種ツールを活用して効率良く進めましょう。コンテンツの棚卸や洗い出しを行う場合は、ExcelやGoogle スプレッドシートなどの表計算ソフトが便利です。
また、ウェブサイトの構造やコンテンツ同士の関係性を整理する際には、共同編集が可能なツールを活用するといいでしょう。このようなツールにはさまざまな種類がありますが、ポイントはほかのメンバーと共有しやすいものを選ぶことです。
例えばGoogle Jamboardは、ビジネス向けのインタラクティブなホワイトボードツールで、複数人で共同編集が可能です。ほかにも、MIROやMURALなど、共同編集が可能なツールは数多く存在します。デザインツールのAdobe XDやFigmaでそのまま編集を行ったり、便利なプラグイン(Whiteboardなど)を入れて使ったりするのも良いでしょう。
付箋など、アナログツールを使って話し合うのもいいかもしれません。自社に適したツールを用いて、効率良くコンテンツを整理しましょう。
まとめ
ウェブサイトを長く運用していると、どうしても当初の整理された状態からは離れていってしまうものです。それ自体は仕方ありませんが、大事なのは定期的にウェブサイト内を棚卸して、コンテンツを整理していくこと。ウェブサイトの種類によっては標準化を行い、最新のトレンドを取り入れていくことです。
そのためには、継続して運用していけるように事前に計画・設計を行うことが大事です。運用のPDCAを回していく中で、必要に応じてリニューアルを検討してもいいかもしれません。
コンテンツが整理されたウェブサイトはユーザーにとっても使いすく、コンテンツを本来のターゲットにしっかりと届けることができます。制作してから何年も経過したウェブサイトがある場合は、一度コンテンツの見直しと整理を行ってみてはいかがでしょうか。