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テレワーク社員教育…部下との付き合い方を見直すコーチングの大原則

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岡島(ビジネス・アーキテクツ)

大手精密機械メーカーで、採用及び社員教育や新規事業開発を担当。その後、スタートアップ企業での起業家支援と大企業の新規事業立上げ支援に携わり、新人からマネジメント層、起業家から大企業の中間管理職まで、幅広い層を支援してきた。2020年にBAへ入社、人事と新規事業の両方の経験を活かし、人材開発事業に従事している。

2020年の春頃から各企業でテレワークが導入されましたが、ちょうど新入社員が入社したタイミングということで、その社員教育に苦労している方も多いようです。テレワークに慣れない中で新入社員ときちんと意思疎通するためにも、今回はヒントになりそうなコーチングのスキルをご紹介したいと思います。

コーチングとは自ら「答えを創り出す」をサポートすること

coaching coaching

まずは、コーチングとは何かについて、簡単に説明したいと思います。

日本コーチ連盟によると、コーチングでは「答えはその人の中にあるもの」として 捉えています。つまり、「答えを与える」のではなく、相手が自身の力を最大限に発揮して、「答えを自ら創り出す」 ことをサポートすること。そのコミュニケーション技術こそが、コーチングと定義されているのです。

そして、ここでいう"「答えを創り出す」ことをサポートする"こととは、主に"相手が自問自答する機会を作る"ことを指しています。会話の中で気づきのきっかけになる問い、客観的な情報を提供することが、コーチングにおける一つの機会となるわけです。

よく、「最近の若者は納得しないと動かない」と言いますが、まさにコーチングとは、この状況にマッチしたメソッドといえるでしょう。さらに、相手の考える力を鍛えるため、コーチングは企業が今まさに求めている、"自発的に行動するタイプの人材"を育てることにもつながります。

ただし、人材が安心して自ら考えて行動を起こすには、会社や上司への信頼が必要です。その信頼を得るためのコミュニケーション術も、コーチングでは重要な技術となっています。

新入社員とのコミュニケーションに使えるコーチング技術6選

coaching communication

ここまで、コーチングの理念を紹介してきましたが、それを実現するには具体的に何をすれば良いのでしょうか。これには、いくつかのテクニックがあります。

ペーシング

相手の表情や態度に、自分もペースを合わせるテクニックです。話すスピードや声のトーン、ボリューム、感情、(物理的な)目線の高さなどをそろえることで、相手に安心感を与えます。

ミラーリング

相手が飲み物を飲んだら、こちらも合わせて飲み物を飲む……というように、身振りや手ぶり、座り方などを相手とそろえるテクニックです。これにより、相手に親近感を与えることができます。

バックトラッキング

いわゆるオウム返し。例えば、「不安なんです」という言葉に、「そうだよね、不安だよね」と返すことで、話をきちんと聞いていることを伝え、「自分の気持ちを分かってもらえた」という安心感を与えます。

オープンクエスチョン

YESかNOのどちらかしか答えがない質問ではなく、相手に考えて自由回答させる質問をするテクニックです。例えば、「好き」か「嫌いか」を聞くのではなく、「どこが好きか?」を聞けば、その回答を考える中で、相手に新たな気付きを与えることができます。

未来志向の問いかけ

問題が起きたときに、事実を確認して言い訳を聞くのではなく、未来に通じるような解決策を聞くというテクニックです。例えば、「何で失敗したの?」ではなく、「どうすれば成功したと思う?」と聞けば、相手に考える機会を与えられるでしょう。このとき、「一緒に解決策を考える」という共通体験をすることで、親近感を得たり、モチベーションを向上させることも可能です。

リフレーミング

上げられた意見について、別の視点に気付かせるテクニックです。例えば、「大ざっぱ」は「小さいことを気にしない」、「感情的」は「嘘が付けない」というように、新たな視点を与えることで、相手を認めやすくなったり、自分の強みを再発見できます。

このように、会話の仕方に気を配れば、相手に安心感を与えたり、新たな視点を与えることができます。これこそが、先に紹介した「コミュニケーションのフォーマット」の一つと言えるでしょう。

若者の承認欲求を満たす"適切なほめ方"とは?

coaching high five

最近では人材育成の現場で、よく承認欲求という言葉を聞くようになりました。部下の心を開き、モチベーションを高めるには、ほめる技術が大事と言えるでしょう。

適切にほめるためには、相手を観察することが大切です。この時、「時間」や「人間関係」、「知識」などに注目すると、相手の強みが理解でき、それをほめることで彼らの強みに自信をもたせることができます。

そして、1対1ではなく、多くの人の前で相手をほめることも、承認欲求を満たすには効果的です。同僚や取引先などとの会話中に、陰でほめるのも良いでしょう。直接ほめると警戒感を与えてしまうような相手でも、それが人づてに本人に伝わることで、素直に受け止めてくれる可能性が高くなります。

また、ほめる時の言葉遣いにもポイントが。客観的に良さを伝えるのではなく、「すごく〇〇になったよ」などと自分の感想を混ぜることで、より相手が素直にほめ言葉を受け取れるようになるようです。これは、コミュニケーションに「気持ちのやり取り」を求める女性には、特に有効なテクニックだと言われています。

まとめ

このように会話やほめる技術を磨くことは、新入社員に安心感を与えるとともに、承認欲求を満たすことにつながります。慣れないテレワークでコミュニケーションに苦労している方は、社員教育にコーチングの技術を取り入れてみてはいかがでしょうか。 チャットなどのテキストのコミュニケーションでも活用できますよ。

参考

  • コーチングとは. 一般社団法人日本コーチ連盟Webサイト. (参照 2020-10-14)
  • 谷口祥子. 図解入門ビジネス 最新コーチングの手法と実践がよ〜くわかる本. 第3版. 秀和システム, 2016, 279p
  • 石川和夫. Q&Aで納得!人の問題を解決する実践コーチング. 初版. 商業界, 2019, 208p