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データ可視化が導く社内DXと業務効率化の方法

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飯塚マーケター(ビジネス・アーキテクツ)

システム開発会社で金融プロジェクトに配属し、6年勤務したのち、社内システムエンジニアとしてデータ見える化、社内DX、業務効率化を担当。2024年にビジネス・アーキテクツへ入社し、セールス&マーケティンググループでマーケターとして業務稼働の見える化や、GA4のデータ分析に携わっている。

多くの企業が現在、データの可視化に悩んでおり、どのようにしてデータを効果的に活用すべきかを模索しています。データの整理や分析結果をどのように社内で理解しやすく伝えるか、またその情報をどのように業務に活かすかが課題となっています。
こうした悩みは、データを可視化することによりリアルタイムでデータを可視化し、業務の進捗や問題点を一目で把握できるようになります。

本記事では、GoogleのLooker Studioを活用したデータ可視化の実現方法や、定期的なモニタリングと社内共有の場で効果的に活用する方法について、事例を交えて役立つ情報をご紹介します。Looker Studioを利用することで、企業はさまざまなデータをダッシュボードとして可視化し、日常業務で効果的に活用することができます。

データ可視化が導く社内DXと業務効率化の方法

企業のデータを可視化する重要性、可視化のメリットとは?

企業におけるデータ可視化は、迅速な意思決定を支援する重要なツールであり、社内DX推進や業務効率化にも貢献します。
視覚的にデータを把握することで、数値を直感的に理解しやすくなり、迅速な判断が行えます。
本章では、データ可視化のメリットと活用事例を紹介します。

メリット1:迅速な意思決定

データ可視化の最大のメリットは、複雑なデータを視覚的に理解できる点です。

活用事例
売上データやGA4のデータをダッシュボードでリアルタイムに可視化することで、売上の変動や施策の効果をすぐに把握し、迅速に対策を講じることができます。この視覚的情報は、意思決定を迅速化し、PDCAサイクルをスムーズに回す助けとなります。

メリット2:業務効率化

データを可視化することで、膨大な情報を視覚的に把握でき、異常にも即座に気づけます。それによって、迅速な意思決定が可能になり、分析や判断にかかる時間が大幅に改善され、時間の削減ができます。
また、データを可視化するためにデータを一元管理した場合、分散した情報を効率的に活用することができ、業務の無駄を省くことで、生産性が向上します。

メリット3:顧客理解と戦略の最適化

GA4とダッシュボードを連携することで、顧客の行動や購入傾向を可視化し、予測できるようになります。

活用事例
ECサイトのデータを可視化することで、注目されている製品や離脱ページが明確になり、その情報をもとに戦略を練り、データに基づいた最適化ができます。

Looker Studioでデータを可視化しよう

データの可視化においてBI(ビジネスインテリジェンス)ツールは、ダッシュボードを作成するのに必要不可欠な存在です。
その中でも、今回は最もポピュラーであるLooker Studio(旧Google Data Studio)についてご紹介します。

Looker Studioとは?

Looker Studio(旧Google Data Studio)は、Googleが提供する無料のデータ可視化ツールで、複雑なデータを視覚的にわかりやすく表現できます。
簡単にデータソースを接続し、ダッシュボードやレポートをカスタマイズして、リアルタイムで可視化が可能です。

主にマーケティングデータの分析やレポート作成に使用され、直感的なインターフェースとGoogle製品(GA4、BigQuery、Googleスプレッドシートなど)との簡単な連携が特徴です。当社でも稼働状況の管理や収支情報の管理などを目的に活用しています。

ダッシュボードでデータを一元管理する利点

データを一元管理し、ダッシュボードと連携することで、データの整合性が保たれ、誤った情報や重複データを排除できます。リアルタイムでのデータ更新により、迅速かつ正確な意思決定が可能になり、状況共有がスムーズになり、共通認識に基づいた一貫性のある施策や戦略が検討できます。

Looker Studioでダッシュボードを作成する6つのステップ

ダッシュボード作成時には、データを単に表示するのではなく、業務で効果的に利用できることが重要です。
目的を整理し、業務に密接に関連した情報を提供できるダッシュボードを作成する必要があります。そのためには、以下で説明する6つのステップを踏むことで、目的に合った使いやすく効果的かつ業務に役立つダッシュボードを作ることができます。

図:ダッシュボードを作成する6ステップ

ステップ1・2:目的の明確化とダッシュボードの設計方法

ダッシュボードを作成する前に、最も重要なのは目的を明確にすることです。
誰が使うのか、どのような意思決定をサポートするのかを考えることで、どんなデータを表示すべきかが決まります。

目的の明確化
ダッシュボードで確認したいデータは業務によって異なるため、目的を明確にすることが重要です。
たとえば、経営者向けには「売上の推移」や「グループごとの業績」、マーケティング担当者向けには「訪問者の動向」や「訪問者数」が重視されます。誰が利用し、どのデータを見たいのかを明確にすることで、ダッシュボードの目的が決まります。

データ収集および指標の設定
目的に沿ったデータを収集・整理し、GA4や外部ツール、SaaSデータとの連携時にはデータ品質や整合性の確認が重要です。
必要に応じて、Googleスプレッドシートでデータを加工し、柔軟に利用することができます。

データソースを設計する際、ダッシュボードの指標を意識して設計することで、スムーズに作成できます。指標設定には、SMARTの条件(具体的、測定可能、達成可能、関連性、時間基準)を満たすことが重要で、これにより役立つダッシュボードが構築できます。

ステップ3:データソースの接続と整備

ここではLooker Studioを例に、データソースの接続方法と整備について解説いたします。

データソースの接続手順

  1. 新しいレポートの作成
    • Looker Studioにログイン後、左側の「作成」ボタンをクリックし、「レポート」を選択します。
  2. データソースの選択
    • レポートが作成されると、データソースの選択画面が表示されます。ここでGoogle Analytics、Googleスプレッドシート、BigQuery、SQLデータベース、その他のサードパーティ製アプリケーション(たとえば、FacebookやXなど)と接続できます。
  3. 認証と接続
    • たとえばGoogleスプレッドシートの場合は、Googleアカウントで認証を行い、接続したいシートを選択します。BigQueryやSQLの場合も、アクセス権限や認証情報を設定する必要があります。
  4. データソースのインポート
    • 接続が完了したら、必要なデータテーブルを選択し、データソースとしてインポートします。

図:lookerstudioデータソース選択画面

図:Looker Studioデータソース選択画面

データソースの整備

  • フィールドの確認と修正
    • データソースのフィールドを確認し、不要なフィールドや誤ったデータ型を修正します。たとえば、数値データが文字列として読み込まれている場合は、適切なデータ型に変換します。
  • 計算フィールドの追加
    • 既存のデータをもとに新たな指標を作成します。取り込んだデータソース上に存在しないフィールドが必要な場合に便利です。
  • データのフィルタリング
    • 特定の条件に基づいてデータを絞り込みます。ダッシュボード上で日付の期間を指定する場合などに使用します。
  • データの変換
    • 日付データのフォーマット変更やテキストデータの一部置換など、データを視覚化しやすい形式に変換します。
  • データソースの統合
    • 複数のデータソースを統合できます。たとえば、売上データと広告データのデータソースを結びつけ、広告費用対効果の分析が可能です。

ステップ4:ダッシュボードのレイアウト・グラフの決定

ダッシュボードのレイアウトやグラフが整っていると、ユーザーはデータを素早く理解できます。適切な配置や視覚化の選択により、複雑な情報を直感的に把握できるようになります。
そこで、効果的なレイアウトやグラフの決定方法について解説いたします。

情報の優先順位付けと配置
ダッシュボードでは、最も重要な情報を上部や左側に配置し、目立つ位置にKPIや数値を置くことで、ユーザーが一目で確認できるようにします。
また、補足的な情報は下部や右側に配置し、視覚的にわかりやすく整理することが重要です。

ダッシュボードのレイアウトは、情報を詰め込みすぎず、適度な空白を残すことで把握しやすくなります。過剰な情報が混乱を招くため、必要な情報だけを配置し、UXを最適化したレイアウトにすることが重要です。

データの性質に基づいたグラフの選定
データの性質によって適切な視覚化方法が異なります。
以下は、グラフの選定基準です。

  • 棒グラフ
    • 異なるカテゴリの比較が簡単で直感的でわかりやすいグラフです。情報が多すぎると煩雑になるため、表示項目は絞った方が効果的です。
  • 円グラフ
    • 構成比を視覚的に示すのに適しており、小規模なデータソースの利用に有効です。しかし、データが多すぎると読みづらくなるため、少ない項目に使うと効果的です。
  • 折れ線グラフ
    • 時系列データの傾向を視覚的に把握できます。異なるデータの関係も一目でわかり、時間に沿ったデータ可視化に最適です。
  • 散布図
    • 2つのデータ間の関係性を視覚化し、異常値の発見がしやすいグラフです。相関関係を把握するのに効果的です。
  • バブルチャート
    • 3つのデータを同時に視覚化でき、バブルの大きさや色で視覚的に分析が行えます。しかし、視覚的に複雑になるため、工夫して使う必要があります。
  • ウォーターフォールチャート
    • 売上や利益の増減を段階的に示し、最終結果に至るまでのプロセスがわかりやすくなります。

図:バブルチャート(サンプル)

図:バブルチャート(サンプル)

図:ウォーターフォールチャート(サンプル)

図:ウォーターフォールチャート(サンプル)

視覚化の6つのポイント
ダッシュボードでデータを可視化する際は、単に必要な情報を表示するだけでは十分な効果を発揮できません。効果的なデータ可視化のために意識すべき6つのポイントがあるため、ここではそれらのポイントについて解説いたします。

【ポイント1:目的と利用者を明確にする】
データ可視化を行う目的(分析のため、施策・戦略、意思決定)を最初に明確にしましょう。
経営層やマーケティング担当者向けにシンプルで直感的なものが必要な場合もあれば、データアナリスト向けに詳細なインタラクションが必要な場合もあります。

【ポイント2:適切なビジュアル形式を選ぶ】
目的に応じて、グラフの種類を選び、複数の指標を直感的に理解できるようにすることが重要です。

【ポイント3:視覚的なシンプルさと明確さ】
視覚化の中で使う色は基本的に3〜4色に絞り、強調する部分を目立たせます。色覚障害を配慮した配色や、色が伝える意味を明確にします。
また、グラフの余分な装飾を排除し、データが伝えたいメッセージに集中できるようにします。

【ポイント4:一貫性と標準化】
色やフォント、スタイルを一貫して使用し、視覚的な混乱を避けます。複数のダッシュボードを連携させる場合でもデザインを統一させることで、ダッシュボードとしての視覚的効果が向上します。

【ポイント5:ダッシュボードのレイアウトと情報の階層化】
利用者が最も注目するべき情報をダッシュボードの上部や目立つ場所に配置し、補足的な情報を下部や隅に配置し、情報の重要性によって配置を決定します。

【ポイント6:継続的な最適化】
可視化されたデータが最新のものになっているかを確認し、データが古くなる前に更新日を設定し、ルール化を行うことにより、常に最新の情報がダッシュボードに掲載されるようにします。

ステップ5:ダッシュボードの確認

ダッシュボードの構築完了後は、データの正確性を確認する工程に入ります。
一見問題がないように見えても、フィルタ条件の変更などにより、異常値が表示されるなどの不備が発生することがあります。そのため、この確認作業は非常に重要な工程となります。

  • データの正確性
    • ダッシュボード構築後や、データ更新後は、取り込んだデータが正しく反映されているかを確認します。
      数値や指標に異常がないか、実際に取り込んでいるデータと比較し、かつフィルタや条件が適用された場合、その条件に見合った結果が出力されているかを確認する必要があります。
  • グラフの適切性
    • フィルタや条件が適用された場合、グラフや表が正しく反映されているか確認することが重要です。数値の抜けや表示エラー、Null表示で問題ないのかなど、正確なデータが表示されていることを確認します。
      また、グラフのレイアウトや色など、視認性を加味したうえで確認する必要があります。
  • パフォーマンスと動作チェック
    • データ量が多い場合、グラフや表を表示するのに時間がかかってしまうことが多くあります。そのため、構築後はパフォーマンスの確認として、ロード時間が適切か、データ更新後に遅延やフリーズがされていないか、フィルタを適用した際、正常に動作するかといった点を確認する必要があります。

ステップ5:運用・保守

ダッシュボードの構築・確認が完了した後は、利用者に対して定期的にヒアリングを行い、使い勝手や改善点を把握します。

収集したフィードバックをもとに、定期的なメンテナンスを実施し、必要に応じてデータの更新やレポートの追加を行います。これにより、PDCAサイクルを回し、利用者がより活用しやすく、効率的に運用できるダッシュボードを目指します。

ダッシュボードの運用方法と活用事例

ダッシュボードの運用は、定期的なデータ更新、利用者のフィードバックを反映した改善、正確な情報提供の維持が重要です。具体的な運用方法や活用事例、効果について当社の事例を交えて紹介します。

運用における定期的なモニタリング

ダッシュボードはリアルタイムでデータを表示し、運用をしていくうえで問題発生時や異常値に素早く気づくことができます。運用の定期的なモニタリングにより、予期しない問題に迅速に対応でき、業務への影響を最小限に抑えられます。
また、データの変化を把握し、売上や顧客行動の傾向を早期に捉えて、次の施策や戦略を予測・計画できます。

当社で作成したダッシュボードの活用事例を2点ご紹介します。

ダッシュボード活用事例1(案件ごとの社員の稼働状況ダッシュボード)

【ダッシュボード概要】

  • 外部サービスから取得した案件ごとの社員の稼働状況をGoogleスプレッドシートで加工し、そのデータをLooker Studioに連携してダッシュボードを作成しました。
  • BAの社員の稼働状況や案件の負荷を縦棒グラフで視覚的に表現しています。

【ダッシュボード利用目的】

  • 余剰・過剰な稼働が見えるようになり、適正に稼働を管理することが可能になりました。
  • 社員の個別の稼働状況を管理することにより、案件の急な稼働増減があった場合、迅速に対応することが可能になりました。
  • 稼働の種別を設け「有償稼働」「顧客稼働」「社内稼働」のアサインと稼働を可視化することにより、区分ごとの稼働の変化を早期に発見し、迅速に対策を行うことが可能になりました。

図:稼働状況確認ダッシュボード

ダッシュボード活用事例2(クライアント企業サイトのアクセス状況ダッシュボード)

【ダッシュボード概要】

  • GA4とLooker Studioを連携させ、Web制作をしたお客さまのサイトのアクセス状況を可視化するダッシュボードを作成し、定期的にモニタリングと分析を行っています。

【ダッシュボード利用目的】

  • このデータを活用し、PDCAサイクルを回してアクセス状況の改善に役立てています。

図:BAsixsサイトダッシュボード

ダッシュボードが業務に与える効果

ダッシュボードが業務にもたらす効果は、データを可視化すること以外にも、利用するシーンごとに効果が異なり、多岐にわたります。
そこで、具体的にどのような効果が得られるのかをご紹介いたします。

  • 迅速な意思決定
    • リアルタイムでデータを可視化できるため、迅速かつ正確な意思決定が可能になります。可視化したことにより、必要な情報を瞬時に把握でき、迅速に対応できるため、業務のスピードが向上します。
  • 業務の透明化
    • 社内が共通のデータをもとに業務を進めることで、業務の透明化が進み、グループでのコミュニケーションが円滑になります。また、プロジェクト全体の状況を把握できるようになります。
  • 問題の早期発見と対応
    • データの異常やトレンドの変化を早期に発見できるため、問題が大きくなる前に対処できます。たとえば、売上の急激な減少やパフォーマンスの低下などをリアルタイムで把握し、早期に対応ができます。
  • 業務の効率化
    • 定期的なレポート作成やデータ分析を自動化できるため、業務が効率化されます。手動で行っていたデータ集計やレポート作成の時間を削減し、より重要な業務に時間を割けるようになります。
  • コスト削減
    • 業務の効率化や問題の早期発見によって、コストを削減できます。また、目標達成に向けて的確なアクションを取ることで、無駄なリソースの浪費を防ぐことができます。

データの可視化による業務改善とメリットについて

データの可視化は、単に情報を整理するだけでなく、業務の効率化や意思決定の迅速化、問題の早期発見に大きな効果をもたらします。とくに、視覚的なデータ表現により、複雑な情報が直感的に把握でき、業務の改善が促進されます。
また、可視化されたデータを活用することで、チームの情報共有が円滑になり、社内DXを加速させます。

データ可視化によって、定期的なモニタリングや進捗管理が簡単になり、迅速な対応が可能となります。その結果、効率的な業務運営が実現します。このように、データ可視化を日常業務に組み込むことで、業務改善が進み、さらに社内全体のパフォーマンス向上と、業務の意思決定が支えられます。

Business Architectsは、社内DX推進、データ可視化、マーケティング支援サービスも提供しています。業務効率化や迅速な意思決定をサポートし、データをもとにしたマーケティング戦略の最適化も行います。
データ可視化やマーケティング施策に関するご相談など、お気軽にお問い合わせください。