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デザインする、とは?今だからこそ「人」が作る手触り感の大切さを主張する

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プロフィールアイコン(写真):シニアデザイナー 菅原 潤
菅原 潤シニアデザイナー(ビジネス・アーキテクツ)

多摩美術大学グラフィック科卒業後、企画制作会社勤務後にフリーとして20年近くデザイナーとして稼働。数年前にグラフィック部門立ち上げのため会社組織に入り、2020年より転籍してBA所属になる。企画からのトータルなクリエイティブ創りを行うグラフィック事業を展開。

BAsixs参画企業、ビジネス・アーキテクツ(以下、BAと称する)でグラフィックデザイナーをやっております菅原です。

「デザイン」という言葉で浮かぶものとして、ポスター・チラシ・販促ツール・パッケージ・プロダクト・インテリア・空間・Web・システムなどがあります。

サッカーのパスや連携のことや、システムのプログラムなどの設計も「デザインする」と表現をしますよね。見た目のデザイン(UI)はもちろん、触り心地、使い勝手、そしてその結果の先にある満足感(UX)も「デザイン」という言葉が包含した概念として使われます。

この記事では、「デザインする」ということの自分なりの定義、大切に思っていることをお伝えしていきたいと思います。

デザインする、とは?今だからこそ「人」が作る手触り感の大切さを主張する

デザインは単純に「意匠」のみのことを指す訳ではない

Weblio辞書では「デザイン」を調べると、下記のように記載されています。

基本的に「意匠」の要素を含むものであり、外観、機能、性能などをより良いものにするための工夫そのものの表れであるといえる。「美しさ」「斬新さ」「使いやすさ」「使い勝手の良さ」などのような目的が意識され、それが具体的な形に落とし込まれたものであれば、装飾であれ実用品であれ抽象的な構想であれ「デザイン」という表現が当てはまる。もっとも、そうした目的意識の有無を度外視して(単に「柄」や「構造」程度の意味で)「デザイン」の語が用いられる場合もないわけではない。

出典 : デザインとは何?. Weblio辞書. (参照 2021-08-23)

だいぶ産業寄りな記載内容ですね。

「デザイン」とは?という命題に対して、私はこの引用内の定義に加えて、幅を広げて考えていきたいと思います。

見た目のデザイン(UI=ユーザーインターフェイス:ユーザーと製品やサービスの接点)はもちろん、触り心地、使い勝手、その結果の先にある満足感(UX=ユーザーエクスペリエンス:ユーザーが製品やサービスを通じて得られる体験)。その満足感にたどり着くまでの総てを考え、そして導く領域の事をデザインと定義します。

今、デザイナーにはテクノロジーやビジネスの理解が必須

いま産業ビジネスでは、クリエイティブ(デザイン)・テクノロジー・ビジネスの三大要素を単体ではなく、複数理解出来るデザイナーが求められています。

複数の視点を跨ぐデザインの職業の呼称例

  • デザイン+テクノロジー=デザインエンジニア
  • デザイン+ビジネス=ビジネスクリエイティブ
  • テクノロジー+ビジネス=ビジネステクノロジスト

その3点の理解の下、ブランド力とイノベーション力を持ってデザインすることで、企業価値が向上するとされています。

企業に必要な「ヒト、モノ、コト」の企業資源に加え、近年では「カネ、時間、資産価値」を足した6つの経営資源を活用することが必要だと言われています。

ビジネスとデザインの総合力が企業にも求められているのです。

それらの背景からデザイナーも一つのジャンルや偏った考え方のデザインをするだけでなく、広いデザイン思考を持たないといけなくなってきています。

デザインにKPIは立てるべきなのか?

デザインする時には「KPIを立ててはいけない」という考え方があります。

ビジネス観点では大切なことかもしれませんが、KPIが先行してしまい、創造性が狭くなってしまうことがあるので、「KPIを立てるよりも創造することの方を優先するべきだ」と言われています。

あれはダメ、これはダメ、などと決めつける前にまずは100%自分を開放して創造することが大切なのです。その試行錯誤をたくさん繰り返すことで自分の「デザインのスタイル」が確立していくはずです。その自分のデザインを目指して多くのチャレンジをしていきましょう。

デザインの「違い」はどこから生まれるのか?個性について考察

「デザインとは、見た目の良さを追求することではない。絵が上手いこと、センスがいいこと、配置することでもないのです。」と書かれた考察を読んだことがあります。

果たしてそうなのでしょうか。本当に見た目は二の次にしてよいのでしょうか?

例えば、仕事でデザインの依頼が来たとします。クライアントの意向、そのデザインの先の消費者やユーザーなどのことなどを様々な観点から考察しながらデザイン案を制作し、提出するでしょう。

そこで出したデザインと他の人が出したデザインとの差は何でしょうか。

原案やひらめきを何度も突き詰めていき、見た目の良さへのこだわり、センス、構成力などを足す事で、デザイナーとしての個性が表現でき、他のデザイナーとの違いが生まれるのです。

つまり、違いを生み出すのは個人の「力量」の部分です。その力量を担保するために見た目の良さを追求する事は凄く大切です。絵が上手い方が良いし(デッサンが上手ということではない)、配置することに長けている方が良いのです。

自己中心的な「個性」にならないように注意

依頼された内容や人のため、相手の事だけを考えたデザインをしていたら、どこか似たようなデザインしか出せなくなってしまいます。そんなデザインは不要だと思っています。

なので、依頼されたその要件の答えを十分に考えながらも、そこに自分なりの個性や主張を織り込め、見る人・使う人・触る人それぞれが「よい!」と思えるものを作り出す、それがデザインする事の本質なのではないでしょうか。

「こういうデザインが好きなんですよね」「こういうデザインの方がよいと思うんですよね」この2フレーズの違いを押さえておくことは重要です。

自己中心的な「好み」の話にならないように、日頃からいろいろなプロダクトを見て触って感じて、センスとデザインの引き出しを増やし、アップデートしていきましょう。

まとめ:デザインという仕事がAIに代替されないために考えたいこと

現在は、ビッグデータを元に商品のパッケージデザインを評価するAIサービスなど、デザインをAIで代替しようという動きがあります。

しかし、人でしか創造できない・人だからこそ創造できるモノを作ることが「デザインする」ということである、と日々デザインをしながら強く思います。AIがリーチできない「人間でしかできないこと」を強く意識し実行することが今まで以上に必要です。

デザインを仕事として研鑽を続けている皆様、日々の制作物を作る中で要件を満たすのと両立しながら、自分の想いを主張したデザインをぜひ表現してみましょう!それが「デザインする」ということなのだと思っています。

BAsixsでは、多くの企業様のデザイン案件を手がけています。デザインやブランド、デザインのセールスへの活かし方のことでお困りの企業の皆様、どんなことでも御相談ください。