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はじめてのグローバルサイト構築【実践・設計編】設計・運用で失敗しないためのロードマップ

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プロフィールアイコン(イラスト):マーケター 飯塚
飯塚セールス&マーケティンググループ/マーケター(ビジネス・アーキテクツ)

システム開発会社で金融プロジェクトに配属し、6年勤務したのち、社内システムエンジニアとしてデータ見える化、社内DX、業務効率化を担当。2024年にビジネス・アーキテクツへ入社し、セールス&マーケティンググループでマーケターとして業務稼働の見える化や、GA4のデータ分析に携わっている。

前編(概念理解編)では、グローバルサイトが英語サイトの延長ではなく、目的・役割・ローカライゼーションを前提に設計すべきものであることを整理しました。
後編となる本記事では、その考え方を踏まえたうえで、実際の設計・判断フェーズで押さえるべきポイントを具体的に解説します。

グローバルサイト構築では、法規制やプライバシー対応、アクセシビリティ、CMSやアーキテクチャの選定、さらには公開後の運用ガバナンスまで、専門性の高い意思決定が連続して求められます。これらを場当たり的に判断してしまうと、後から大きな手戻りや運用負荷を生む原因になります。

本記事では、グローバルサイト構築を「実践ロードマップ」として整理し、

  • どの段階で
  • 何を判断し
  • どこに注意すべきか

を、経験の浅い担当者でも理解できる形でまとめています。
要件定義や制作フェーズに入る前の整理資料としても、ぜひ活用してください。

はじめてのグローバルサイト構築【実践・設計編】設計・運用で失敗しないためのロードマップ

グローバルサイト構築を成功に導く実践ロードマップ

グローバルサイトは、目的整理やローカライゼーションへの理解だけでは成功しません。
実際には、各国の法規制への対応、テクノロジー選定、運用ガバナンスなど専門性の高い要素を段階的に検討する必要があります。

公開する国や地域ごとに求められる基準やユーザー層は大きく異なるため、文化・言語・法律・技術要件を総合的に踏まえた、グローバル標準の設計が不可欠です。

そこで、グローバルサイト構築を成功に導くために、

  1. ステップ1:法規制・プライバシー・アクセシビリティを押さえる「基本設計」
  2. ステップ2:CMSとアーキテクチャの選定:Multi-site/Multi-language/Headlessの比較軸
  3. ステップ3:グローバルガバナンスと運用体制:承認フローと現地拠点の役割設計

という3つのステップから具体的なポイントを解説します。

グローバルサイト構築を成功に導く実践ロードマップ

ステップ1:法規制・プライバシー・アクセシビリティを押さえる「基本設計」

グローバルサイトの構築は、デザインやコンテンツ制作よりも前に、各国の法規制とユニバーサルデザイン(アクセシビリティ)への対応を前提として設計を始める必要があります。
これは後から修正がきかないサイトの土台となる部分であり、最初に押さえるほどプロジェクト全体がスムーズになります。

1.法規制とプライバシーへの対応を前提に設計する

グローバルサイトは複数の国・地域からアクセスされるため、それぞれのデータプライバシー規制に対応しなければなりません。
代表的なものとして、EUのGDPR、米国カリフォルニア州のCCPAなどが挙げられます。
これらに準拠するためには、以下のような点を早い段階で検討する必要があります。

  • Cookie利用の同意取得方法(CMP:同意管理プラットフォーム)をどう実装するか
  • 収集するデータの範囲や扱いをどう定義するか

2.アクセシビリティ(WCAG準拠)を必須要件として設計する

グローバルサイトは、身体的条件や利用環境にかかわらず、誰もが情報へアクセスできる状態を確保する必要があります。
そのための基準となるのがWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)です。

アクセシビリティは、後から調整・修正するほど負荷が増すため、以下のような基本要件を最初から設計に組み込むことが重要です。

  • テキストと背景色のコントラスト
  • スクリーンリーダー対応
  • 代替テキストの設定
  • 文字サイズ・行間調整
  • キーボード操作への対応

3.文化に配慮したUI/UXを取り入れる

国や地域によって、色の意味合いや人物写真の選び方など、文化的背景は大きく異なります。
たとえば、色一つとっても文化圏によって赤がもつ印象は変わります。
そのため、以下のような工夫が必要です。

  • どの国でも違和感なく受け入れられるUI設計
  • 文化的背景を理解した写真・色の選定
  • 過度に日本的な表現の排除

ステップ1で最低限決めておくべきこと(判断整理)

  • ここで決めること(例)
    • 対象国・地域ごとに、どの法規制(GDPR/CCPAなど)を適用範囲とするか
    • WCAGのどのレベル(AAなど)を必須要件とするか
    • Cookie同意・プライバシー表記をグローバル共通にするか、地域別に分けるか
  • 決めないまま進むと起きやすいトラブル
    • 公開直前に法務レビューで差し戻され、設計や実装を大きく作り直すことになる

ステップ2:CMSとアーキテクチャの選定:Multi-site/Multi-language/Headlessの比較軸

グローバルサイト構築では、初期段階でCMSとアーキテクチャを選定することが重要です。これはサイトの性能や運用コスト、更新フローに直結し、後から変更することが難しい領域です。

とくに多言語管理や国別サイト構成、API配信など検討すべき要件が増えるため、Multi-site・Multi-language・Headlessの3つの代表的な構成を比較し、自社に最適な形を見極める必要があります。

1.Multi-site(国・地域ごとに独立したサイトを管理)

  • メリット
    • 国ごとの事情に合わせて柔軟にサイトを構築・運用できる
    • 各国で異なるデザインや構造を採用しやすい
  • デメリット
    • サイトが増えるほど管理コストが上昇
    • ガバナンス(統一基準)を保ちにくい

多様な国ごとに異なる戦略をもつ企業や、現地法人が強い権限をもつ場合に向いています。

2.Multi-language(1つのサイト内で多言語を管理)

  • メリット
    • 情報構造の統一がしやすく、ガバナンスを保ちやすい
    • コンテンツ管理や更新が効率的
  • デメリット
    • 国・地域別に大きく異なる構成をもたせたい場合には制約が出る

全体を本社主導で統制したい企業や、ブランドの統一を重視するケースに適しています。

3.Headless CMS(APIでコンテンツを配信する構造)

  • メリット
    • Webに限らずアプリなど、複数チャネルにコンテンツを配信できる
    • 表示部分(フロントエンド)の自由度が高い
  • デメリット
    • 導入・運用に技術的な専門知識が必要
    • 初期の構築コストが比較的高くなる傾向

グローバルブランドで統一したコンテンツ配信モデルを作りたい企業や、先進的な技術基盤を求める企業に適しています。

4.多言語SEO(hreflang)の実装方針を技術要件として統合する

グローバルサイトでは、Googleなどの検索エンジンに対して「どのページがどの言語・地域向けなのか」を正しく伝える必要があります。そのために必須になるのがhreflang属性です。

正しく実装することで、このようなメリットがあります。

  • 誤った地域のページが検索結果に表示される問題を防ぐ
  • 多言語サイトのSEO効果を向上させる

このhreflangは、アーキテクチャ選定の段階で実装方法を決めておくべき技術要件です。

5.技術的要件(文字コード・日付形式・RTL言語など)も初期設計で確定する

アラビア語・ヘブライ語などのRTL(Right-to-Left)言語への対応、文字コード、日付・通貨形式などの技術要件も、初期段階で決める必要があります。

これらを後から追加すると、構造全体を大幅に見直す必要が出るため、最初から検討しておくことが重要です。

ステップ3:グローバルガバナンスと運用体制:承認フローと現地拠点の役割設計

グローバルサイト構築において、最も軽視されがちな領域が「運用ガバナンス」です。
しかし実際には、構築後の運用こそがグローバルサイトの成否を大きく左右する要素です。

グローバルサイトは、公開して終わりではありません。更新、翻訳、承認、現地対応など、継続的な運用プロセスが長期的に必要となり、これを支える明確なガバナンスが不可欠です。

1.ガバナンスモデルを定義する

ガバナンスには大きく3つのモデルがあります。

  • 中央集権型(本社が一元管理)
    • 本社がコンテンツ制作・承認を担い、ブランド統一性を強く保てる。
  • 分散型(現地法人に権限委譲)
    • 現地の事情に合わせた迅速な情報発信が可能だが、統一性が弱くなりやすい。
  • 複合型(本社と現地が役割を分担)
    • グローバル基準を本社が定めつつ、ローカル情報は現地が作成するなど、最も現実的な形。

どれが最適かは、企業の事業規模や海外展開の成熟度によって異なるため、最初に自社に合ったモデルを定義することが重要です。

2.運用ワークフローを可視化する

グローバルサイトの構築では運用フローの整備が不可欠です。
とくに重要なのは、以下のステップをどのように設計するかです。

  1. 現地からのコンテンツリクエスト
  2. 本社でのレビュー
  3. 翻訳(ローカライゼーション)
  4. 承認プロセス
  5. 公開(CMS運用)

これらを体系化することで、以下のようなメリットが生まれます。

  • 更新スピードが安定する
  • 品質が均一化される
  • 手戻りや混乱が防げる

3.継続運用に必要な予算・リソースをあらかじめ確保する

グローバルサイトは構築よりも運用のほうが長期的なコストが発生します。
とくに次の3点が重要とされています。

  • 継続的なローカライゼーション費用
  • 法規制変更への対応リソース
  • 多言語サポートに必要な人材確保

サイトを作った後に「予算が不足して更新できない」「法改正に追従できない」といった事態を避けるためにも、中長期的な運用計画と予算確保は必須です。

まとめ:グローバルサイト構築を成功させるための要点整理

グローバルサイト構築を実践フェーズで成功させるためには、以下の項目を初期段階でどこまで整理できるかが重要になります。

  • 法規制・アクセシビリティへの対応
  • CMSやアーキテクチャの選定
  • 継続運用を見据えたガバナンス設計

これらはデザインや翻訳とは異なり、後から修正することが難しく、初期判断の質がそのまま運用負荷やリスクにつながる領域です。
そのため、構築前に「どこで何を判断するのか」「どこまでを共通ルールとして定めるのか」を明確にしておくことが欠かせません。

ただ、グローバルサイトは関係部署や専門領域が多く、自社だけで最適解を導き出すのは容易ではありません。
Business Architects(ビジネス・アーキテクツ)は、数多くの支援で培ったグローバルサイト構築の知見、AEMの多言語運用、アクセシビリティ設計、AIによる効率化、DX推進の経験を活かし、プロジェクトを包括的にサポートできます。

自社に最適な進め方を知りたい方は、ぜひお問い合わせください。最適なグローバルサイト戦略をご提案いたします。