2025年1月、ビジネス・アーキテクツは企業統合を行い、新たな一歩を踏み出した。デジタルコミュニケーションを提供してきた、統合前の「ビジネス・アーキテクツ（以下、旧BA）」、ECソリューションに強みをもつ「BAXS」、クラウドサービスに強みをもつ「クラウドテクノロジーズ」の3社が統合したことで、どのようなシナジーが生まれたのか。

本記事では、企業統合によってもたらされる新たなソリューションの可能性、顧客体験の価値向上について、事業部長・副事業部長の4名に話を聞きました。

不確実性の高い時代に対応するためのサービス融合

3社が統合したことで、ビジネス・アーキテクツはどのようなソリューションを展開できるようになったのでしょうか？

小山：まず前提として、現代では大量のデータが生まれて消費されています。そんな情報化社会のなかで、私たちは「情報を価値ある資産に」というビジョンを掲げました。

このビジョンは、お客さまがもっているコンテンツや画像、ログといったさまざまな情報を最適に分析・管理し、安全な環境で活用いただくという思いを込めています。

森下：旧BAでは、もともとデジタルコミュニケーションにおけるUI/UX設計やWeb構築に強みをもっていましたが、企業の課題解決にはより広範な視点が必要でした。

そこで、クラウドサービスの強みをもつクラウドテクノロジーズ、EC関連の領域に強みをもつBAXSとの統合により、サービスの一貫性をより強化することができました。

知見の融合により、これまでのビジネスからどのような変化や可能性が生まれてくるのでしょうか？

森下：すでにさまざまな恩恵を感じています。例えば、クラウドテクノロジーズの知見を活用することで、Webサイトのパフォーマンス最適化が可能になり、ユーザーが求める情報を迅速に提供できるようになりました。

ECサイトのようなサービスサイトにおいても、BAXSのノウハウが活きますね。商品の検索性向上やUX改善を実現し、ユーザーがより快適に利用できる環境を設計することができています。

村田：EC関連でいうと、「商品をスマートフォンで撮影したい」というお客さまも少なくありません。その場合、統合前のBAXS単体であれば対応ができないので、お受けできないもどかしさがあったんです。

しかし、統合した今のビジネス・アーキテクツのメンバーであれば、PANAMA（注1）のスマートフォン撮影対応や、アプリのUIデザインを刷新したい、となった場合もプロフェッショナルなメンバーと一緒にUI/UXの再設計ができます。これは、とても楽しみですね。

大澤：まだ形にはなっていないですが、BAXSがもっていた「snaprec（注2）」というサイト画像最適化ソリューションとクラウドテクノロジーズのサービスのシナジーも感じています。実際に統合前から連携を進めていて、BAXSのパッケージ製品をクラウドサービスとして展開できるのではないかと検討しています。

また、これまで行ってきたサイト運用やCMS構築に関しても、クラウドテクノロジーズの運用ノウハウを活用して管理できる組織体制を立てていくことで、シナジーを出せるはずです。

（注1）PANAMA：ささげ業務（撮影・採寸・原稿）の自動化と効率化を実現するささげ支援システム
（注2）snaprec：サイト画像を高速表示し、WebP自動変換でコード変更なしにSEOにも対応したサイト画像最適化ソリューション

「情報」を価値ある「資産」に変える顧客体験

時代の流れとともに、お客さまが求めるものも変化していくと思いますが、直近で感じている変化はありますか？

村田：EC業界の変化でいうと、BAXSがサポートしている領域である「ささげ業務（撮影・採寸・原稿）」も世の中的にスポットライトがあたりはじめました。ただ、まだその重要性が伝わりきっていないとも感じています。

例えば、広告で幅広い層に商品をリーチをするとします。広告は経営視点で見ても、目の前に数字的な結果（広告後の売り上げ）が出ますし、今後のデジタルマーケティングの予測計算も可能です。そのうえで、さらにWeb接客のためのチャットツールで受け答えができるようにしていく、という流れがあるとします。

この流れは決して間違っていないとは思いますが、Web接客のカギとなるのは「商品情報」です。なぜなら、ECで購入した商品は、実際にユーザーの手元に届き、箱を開ける（ネットとリアルがつながる）瞬間が必ず存在するからです。もしそこに差分があれば、返品や離脱につながってしまいます。

特有の写真技術ももちろんですが、「ささげ業務（撮影・採寸・原稿）」にどのくらいフォーカスし、サイトやサービスがつくられているのかという前提部分が、ビジネスを成立させる上で肝になってくると感じています。

森下：ここ数年のWebやアプリでのお客さまの傾向としては、「プラットフォームを導入する」というフェーズが一巡し、「より情報の品質が高くなるものにアップデートする」という変化が起きていると感じます。

また、ITがより事業のコアな部分になってきたということもありますが、透明性が求められるコーポレートガバナンスの観点からも、人で管理していたものをシステムで管理していくという流れがあるのではないかと思います。

お客さまに「新しい価値」を提供するために意識していることを教えてください。

小山：今回の統合により、お客さま自体の幅も広がり、提供できるサービスも増えました。そのなかで、すでに課題感をもって相談いただいているお客さまだけでなく、潜在的な課題を抱えているお客さまにどう寄り添っていくのかという部分を考えています。

そこで活用しているのが、この記事が掲載されている「BAsixs（ベーシックス）」というオウンドメディアです。

メディアを通して、自分たちで積極的に業界課題や潮流、有益なコンテンツを発信していく。企業の規模感を問わず、必要な情報を届けていく。そういった活動をすることで、3社が統合した意義がさらに発揮され、よりパートナーとして信頼いただけると考えています。

大澤：デジタルマーケティングのノウハウやツールも、オウンドメディアを活用することで、より多くのお客さまに認知していただけるようになったと感じます。こうした場をフルに活用して、Web制作事業者としての顔だけではなく、サービス事業者としての顔も積極的に伝えていきたいですね。

デジタルコミュニケーションの羅針盤をめざして

今後ますます、デジタル上のコミュニケーションが加速していくと思います。これから向き合っていくべき未来の課題をどう考えていますか？

小山：もはや新しいとは言えないかもしれませんが、「生成AI」といった新しい技術は常に生まれてきます。もちろん便利な側面もありますが、情報漏洩といったセキュリティ事故の危険性も考慮しなくてはなりません。

近年、個人情報の流出事故のニュースもかなり増えたのではないでしょうか。しかも、規模として大きいものがいくつかありました。だからこそ、正確に検証して、ガバナンスやセキュリティを考慮していく。これは、統合した3社が昔から大事にしていることでもありますね。

森下：セキュリティももちろん、「そのテクノロジーが本当にそのお客さまに最適なのか？」という部分を自分たちで選んで提案していかないと、単なる押し付けになってしまいます。

そのために、お客さまのビジネスモデル、組織や体制を深く理解して、その課題に適したものを提供していくことが重要だと思いますね。

大澤：ITは日々進化していて、これからも新たな技術が出てきます。ただ、ITはあくまで何か目的を達成するための「ツール」なので、「ITを使うこと」が目的になってしまうというのは本末転倒です。

我々はITをツールとして活用することでお客さまへ価値を届けるプロ集団として、必要なスキルやノウハウをアップデートし続けなくてはならない。これはメンバー一人ひとりがそれぞれの環境で成長し続けることでしか実現できないことだと思っています。だからこそ、その成長の環境を用意し続けることが、私たちマネジメントの立場としての責任だと思っています。

村田：大澤の話ともつながりますが、お客さまはAIの使い方を教えてほしいわけではなく、課題解決をしたいはずなんです。

課題に向き合うという点はブラさずに、しっかりと検証された新しい技術を用いていく。そのうえで新しい価値を提供できる集団になっていく必要があると考えています。

最後に、新たなビジネス・アーキテクツとしての意気込みをお聞かせください。

小山：ビジネス・アーキテクツでは「情報を価値ある資産に」というビジョンを掲げています。これは、お客さまの持っている情報のポテンシャルを最大限に引き出すこと。

実は価値があるのにユーザーに伝わっていないだけかもしれない。その情報を組み合わせれば新たな一面が見えるかもしない。正しく管理できていないかもしれない。こういったあらゆる側面から「情報」と向き合うことで、お客さまの課題解決に向けた価値あるサービスを提供していきます。

ビジネス・アーキテクツのメンバーは、上段のロジックだけではなく、オペレーションや細かい懸念点まで、総合的なサポートができるパートナーです。ぜひお気軽にお問い合わせください。

編集後記

今回の統合によって、ビジネス・アーキテクツの提供できる価値が一気に広がりました。ECやクラウド関連の専門領域をもつメンバーが集まったことで、クライアントの課題を「点」ではなく「面」で解決できる環境になりました。私たち自身の可能性を信じながら、デジタルの力でより良い未来をつくっていきたいと思います。

この3社が企業統合した背景や意義、意思決定の裏側については、前回の記事「「情報を価値ある資産に」というビジョンに込めた思い——なぜBAは企業統合をしたのか？（前編）」で詳しく紹介しています。