残暑が続くこの時期は、寝苦しい夜が続いています。寝不足がたたって、「なかなか朝に気持ちよく目覚められない」という人も多いのではないでしょうか。
そんな人にオススメなのが朝シャワーの習慣です。今回はそのメリットを紹介したいと思います。
朝にシャワーを浴びるとなぜ目が覚める?
人間の身体は自律神経によって、血行や体温調節などが自動的にコントロールされています。このうち、眠っているときに働いているのが副交感神経で、心肺機能を抑えるなどして身体をリラックスさせるとともに、免疫力を上昇させるなどして治癒力を向上させます。
一方、朝に目が覚めると交感神経が徐々に優勢に働くようになります。交感神経は心身を活発化させるための神経で、血圧を上昇させるなどして身体能力を高めるとともに、集中力を向上させます。
朝起きても頭がうまく働かないのは、副交感神経が優勢にあることが原因の一つ。そこで、シャワーを浴びれば、その刺激によって交感神経を活性化させることができます。
朝早くの仕事がある日でも、事前にシャワーを浴びておけば最高のパフォーマンスを発揮できるでしょう。仕事へのモチベーションもアップするはずです。
なぜ"朝"に"シャワー"がオススメなのか?
朝にシャワーを浴びることには、もう一つ理由があります。それは、深部体温と交感神経の関係です。
人の深部体温は起床してから11時間後に最も高くなり、22時間後に最も低くなると言われています。この深部体温が下がることで、夜に眠気を感じるようになるというのは、最近ではテレビなどでもよく聞く話ですね。
ここでポイントとなるのは、深部体温が上昇する朝の時間帯に「冷水」や「高温」といった強い刺激を受けると、交感神経が活性化しやすいといわれていることです。"朝"に"シャワーを浴びる"ことは、時間的にも手法的にも効果的というわけですね。
さらに、朝に太陽を浴びると体内時計がリセットされるとともに、睡眠と覚醒のリズムが整うと言われています。低血圧などで「寝覚めが悪い」という人は、少し早起きをしてシャワーを浴びてみてはいかがでしょうか?
他にもまだある朝シャワーのメリット
朝シャワーのメリットは、脳や身体を活性化させるだけではありません。
寝汗をかいたままでは、それを皮膚上の常在菌が分解することで、体臭の原因になってしまいます。また、朝に1分程度のシャワーを浴びることによって、胸部や背中部などの皮脂の分泌量を夕方まで抑えられたという実験結果もあるので、シャワーを浴びることは体臭予防の上で効果的といえるでしょう。
まとめ
最近ではテレワークの機会が増えていますが、「身だしなみの乱れは、心の乱れ」とも言われています。仕事上で失敗しないためにも、自宅にいる時にも清潔感を求めることは大切です。
その他、朝の目覚めを良くする方法としては、「甘いものを一口食べる」「水を一杯飲む」「目覚まし時計のスヌーズ機能を使わない」といった方法が知られています。朝シャワーと組み合わせることで、さらに眠気をはらうことができそうです。
低血圧などで寝覚めが悪いと自覚している人は、朝シャワーをぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。その後の仕事のパフォーマンスも変わってくるかもしれませんよ?
参考
- 阿岸祐幸. 入浴の辞典. 初版. 東京堂出版, 2013, 240p
- 早坂信哉. 最高の入浴法. 初版. 大和書房, 2018, 208p
- 坪田聡. パワーナップ仮眠法. 初版. フォレスト出版, 2015, 177p
- 小林考徳. ハイパフォーマーの睡眠技術 人生100年時代、人と組織の成長を支える眠りの戦略. 初版. 実業之日本社, 2020, 224p
- 東京ガス : 都市生活研究所 : 都市研コラム : 朝シャワーのすすめ(4) 朝シャワーの体臭予防効果. 東京ガス株式会社公式サイト. (参照 2020-09-03)
- かしこいくらしのヒント図鑑 - バスルームの省エネ. 大阪ガス株式会社公式サイト. (参照 2020-09-03)
- 根岸紗弓, 坂上恭助, 飯尾昭彦, 清水康利, 豊貞佳奈子, 岩﨑彩雅. シャワー使用行為の実態に関する研究 ―その1 使用時調査からみた流量・温度について―, 平成26年度大会(秋田)学術講演論文集, 第1巻 給排水・衛生 編, 2014-09-03/05.