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セールスプロモーションを行うために意識すべきことをプロが「5P」の観点でまとめてみた。

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プロフィールアイコン(写真):シニアデザイナー 菅原 潤
菅原 潤シニアデザイナー(ビジネス・アーキテクツ)

多摩美術大学グラフィック科卒業後、企画制作会社勤務後にフリーとして20年近くデザイナーとして稼働。数年前にグラフィック部門立ち上げのため会社組織に入り、2020年より転籍してBA所属になる。企画からのトータルなクリエイティブ創りを行うグラフィック事業を展開。

一般的にセールスプロモーションとは、キャンペーンやイベントなどを実施して、消費者の購買意欲や販売業者の販売意欲を引き出す取り組みのことです。

そして成功に向けては「消費者に手にとってもらえること」が非常に大きな鍵になります。

「消費者に手にとってもらえる」セールスプロモーションとは、どのような仕掛けが必要なのでしょうか。
BAsixs参画企業、ビジネス・アーキテクツ(以下、BAと称する)で、企業のセールスプロモーションやビジュアルデザインを手がけているグラフィックデザイナーの菅原さんに「セールスプロモーションを行うために意識すべきこと」を聞いてみました。

セールスプロモーションを行うために意識すべきことをプロが「5P」の観点でまとめてみた。

消費者に対してどうインパクトを残せるか、を考えてアイデアを出していく

菅原さんが考える「セールスプロモーション」とは何でしょうか?

セールスプロモーションとは、キャンペーンやイベントなどを実施して、消費者の購買意欲や販売業者の販売意欲を引き出す取り組みのことです。

私の場合は、企画を考える時に「商品やブランドが売れる」ことよりも、「消費者に対してどうインパクトを残せるか」を最優先して企画アイデアを考えることの方が今は重要かなと思っています。

消費者に企画が当たれば必然的に販売数は上がりますからね。

最近のセールスプロモーションで、消費者にインパクトを残しているな、と感じたものはありますか?

そうですね、最近はキャラクターやブランドとコラボする企画がインパクトのあるプロモーションの一つとして展開する事例が増えていますね。

例えば、日本マクドナルドは、昨年、不二家の「ミルキー」とのコラボレーションメニュー「マックシェイク ミルキーのままの味」を発売しました。ミルキーの絶対的なブランド力、味の想起力で大ヒットを生み出しました。

また、少し前になりますが、日本コカ・コーラが「い・ろ・は・す × UNIQLO eco ACTION 」キャンペーンを仕掛けました。

コラボパッケージのい・ろ・は・す(ミネラルウォーター)を購入すると、リサイクルポリエステル製の限定フリースジャケットが当たるというもので、売上増加もさることながら、「環境に対してアクションをしていく」商品の理念同士が噛み合った好事例となりました。

参考

消費者に対してどうインパクトを残せるか、を考えてアイデアを出していく

まず企業がやるべきことは「競合他社事例の大量のインプット」  

セールスプロモーションを行うにあたって、企業は最初に何をすべきでしょうか?

まずは商品のことを良く知り、ターゲットやマーケット、競合他社商品など出来る限り多くの事例をインプットすることが何より大切です。

その上で、今回のセールスプロモーションの着地点としてどこを目指すのか、競合他社との違い・ポジショニングをどこに設定して、誰に対してどういうインパクトを出していくのか、をクライアントとディスカッションしながら考えていきます。

ここで私達の仕事で大切なことが「企画アイデアを考える上で、クライアントの希望からくる一方向のみの議論に収束させない」ことです。

同じ目的を達成するパートナーとして、真逆だったり、全然違う方向のアイデアにもアプローチをして、企画のアイデアに広がりを出して、洗練させていくことが重要です。

セールスプロモーションの手法は必ず「目的を定義し、そこから逆算して計画する」

セールスプロモーションの手法はどうやって決めれば良いでしょうか?

まずはプロモーションの意図・目的は何か?を定義して、全プロジェクト参加者で同じ目線で目的を共有する必要があります。売上向上なのか、社会的なインパクトなのか、ブランドの認知向上なのか、出発点のここの議論が何よりも大切です。

次に、その目的を達成させるために、イベント優先のプロモーションが良いのか、キャンペーン優先のプロモーションが良いのか、手法を決めていきます。この順番が王道ですね。

イベント優先なら、街頭・店頭・ブースなどで主にサンプリング・デモンストレーションなどを行い、対象商品購入へのキッカケ作りにします。

キャンペーン優先なら、対象商品の購入に関係なく応募できるオープンキャンペーンなのか、対象商品の購入が参加の条件のクローズドキャンペーンなのかをまず設定します。

その上で、店頭やWebサイト・SNSなどさまざまなメディアを駆使し、キャンペーンへの誘導を促す告知を打って、対象商品の購入増加へつなげていきます。

「経路」だけではなく「内容」のターゲットへのマッチが必須。企画やデザインの力が試される

なるほど。計画した手法を実践してもターゲットに受け取ってもらわないと効果はありませんよね?

もちろん、多くの人にそのイベントやキャンペーンに参加してもらうことが最優先ですが、そのキャンペーンがターゲットに刺さるためには「経路」だけではなく「内容」のターゲットへのマッチが必須です。

このマッチを正確に当てるために、日頃のターゲットの消費行動やメディア接触行動やトレンドなどを敏感につかみ、そのターゲットに刺さる内容やデザインを突き詰めていくことが大切ですし、そこが私達のような仕事の腕の見せどころです。

今の時代、ターゲットにぴったりとはまれば、ユーザーがSNSでハッシュタグや投稿で拡散してくれるので、この「ターゲットにマッチしたメッセージが出せること」が何より大切になりますね。

キャンペーンの浸透のために大切な「UX」「反復」「施策中のバージョンアップ」

キャンペーンを浸透させる為に大切なことは何ですか?具体的な他社事例があったら教えてください。

見るだけだったり、買うだけだったりの施策であれば「見た目のインパクト」がはまれば良いと思います。

しかし、現代のセールスキャンペーンは「見るだけ」という単純接触であるケースは少なく、多くのメディアで展開することが当たり前になっています。

「見る」という接触から、アプリやWebサイトなどを消費者に触らせて、何かをしてもらう施策であれば、キャンペーンを浸透させるためには絶対にアプリやWebサイトのUX(ユーザーエクスペリエンス)が大切です。

例えば、日本マクドナルドのアプリとモバイルオーダーのアプリが別々で使いにくかったんですよね。今ではアプリが1つにまとまり、店舗情報も、オーダーも、キャンペーンのクーポンも1つのアプリに集約され、使い勝手が上がり、便利になりました。

キャンペーンに興味を持ち、アプリやWebサイトに訪れた人に対して、離脱をせずキャンペーンでの狙いの行動をしてもらう。このUX設計も我々のような仕事では重要なポイントとなります。

プロモーション後は、どうすれば良いのでしょうか?ポイントを教えてください。 

人は1ヶ月で8割の事を忘れると言われています。だからこそ重要なのは、反復して伝えることなんですよ。プロモーション後、次の施策展開も早い方がより効果が得られる確率も上がります。

PDCAを回すことも大切なのですが、継続した打ち出しも大切です。さらに施策中の気づきからアジャイル的に新しいアイデアを実行し、プロモーションの幅を広げることも大切になってきます。そのトライによって得たバージョンアップが次の施策の成功へとに繋がっていきますね。

まとめ:現代のビジネスの成功に必須の「5P」という枠組みに沿い「体験」と「拡散」を誘発するプロモーションを

現代のビジネスの成功に必須の「5P」という枠組みに沿い「体験」と「拡散」を誘発するプロモーションを

ビジネスにおいて、Product(製品・商品)・Place(流通)・Price(価格)・Promotion(プロモーション)という「4P」が揃わないとビジネスとして成功しないという考え方が長い間支配的でした。

現代、インターネット環境が当たり前になってからは、exPerience(体験)のPが加わり『5P』になったと言われています。

また、SNSの発達で誰でも自分の考えをオープンな環境に発信できるようになったため、さまざまなSNSでのユーザーの投稿やレビューが、消費者の購入時の判断基準として大きなファクターになってきています。

そのため、現代のセールスプロモーションではユーザー体験を向上しつつ、ユーザーが発信したくなる施策を考えて打ち出さなくてはいけません。

ユーザー体験が、

  • 製品・商品そのものを体験してもらうためのものなのか
  • イメージを体験してもらうためのものなのか
  • その体験が購買やクチコミなどのユーザーの次の行動につなげることができるのか

をセールスプロモーションを打ち出す時に常に頭に入れて考えることが大切です。

BAsixsでは、従来のオフライン施策(チラシ、パンフレットなど)とデジタル施策(ホームページ、SNSなど)を横断した「体験」と「拡散」を誘発するセールスプロモーション施策を企画・設計します。ぜひ御相談ください。

参考

  • 田川欣哉. イノベーション・スキルセット. 初版.株式会社大和書房, 2019, 208p