ちょっと階段を上るだけで呼吸が乱れる……。マスクを常につけていると、息苦しさを感じてしまうことがありますよね。ただ、呼吸の乱れは、心と身体に影響するもの。万全の状態で仕事に臨むためにも、今こそ“正しい呼吸”を意識してみてはいかがでしょうか?
現代人は呼吸が浅くなりがち、身体への影響は?
オフィスや自宅にこもり、机にばかり向かっていると、日常的に浅い呼吸を行うようになります。これによって、体内に取り込む酸素の量が自然と減っていくそうです。
呼吸において酸素が不足していると、人体には様々な悪影響があると言われています。例えば……。
- 疲れやすく、一度たまった疲れが抜けにくい
- 眠りが浅くなる
- 感情の起伏が不安定になって、イライラしがち
さらに、酸素不足は脳にも影響を与えるようです。脳の酸素消費量は身体全体の約25%と言われており、酸欠になると頭がぼーっとしてきます。昼食後に頭がぼーっとする原因の一つには、胃腸が優先的に酸素を使ってしまい、脳に酸素が行き届かないこともあるようです。
脳のパフォーマンスが低下すれば、仕事にも支障をきたしてしまいます。そこで意識したいのが、無意識のうちに行っている呼吸の深さです。
腹式呼吸で仕事のパフォーマンスを高める
今行っている呼吸が浅いか深いかどうかは、おへその下に手を当ててみれば分かります。呼吸に合わせてお腹が動いていれば、いわゆる腹式呼吸と呼ばれる深い呼吸。お腹が動いていなければ胸式呼吸と呼ばれる、浅い呼吸となります。
このうち身体が緊張やストレスを感じている時に行われるのが胸式呼吸です。例えば、パソコンの画面に向かって、身動きせずに仕事をしているときなどは、胸式呼吸になりがちと言えるでしょう。ちなみに、男女では女性の方が胸式呼吸になることが多く、特に40歳以上の女性は胸式呼吸が多いのだとか。
胸式呼吸から腹式呼吸に切り替えると、副交感神経が優位に働き、心身がリラックスします。緊張がほぐれるということは、集中力が高まるということ。さらに、右脳の働きが活発化することで、直観力や創造性が向上する効果も期待できるそうです。仕事上でのアイディアがなかなか出ないときは、まさに一呼吸を入れることが、突破口になるかもしれませんね。
さらに、酸素が身体に効率よく取り込まれると、血流が向上して身体が活性化します。また、腹式呼吸を行うことで横隔膜が上下すると、内臓が適度に刺激されて血流量がアップ。こちらは、胃腸の働きを活発化させるとともに、基礎代謝を高める効果もあるようです。
普段の呼吸だけでなく、深呼吸も意識的に行う
心を健全に保つためには、深呼吸も効果的と言われています。深呼吸を行うと心身がリラックスし、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌量が増加。落ち込むようなことがあっても、ポジティブ思考になれるようになります。
では、どのように深呼吸すれば、その効果をより高められるのでしょうか。これには、識者からさまざまな方法が提案されています。例えば……。
セロトニンの分泌量が増加する深呼吸の方法
- 背筋をピンと伸ばし、丹田(ヘソの拳一つ分下)を意識しながら、鼻から5秒かけて息を吸い、お腹をへこませるように10秒かけてゆっくりと吐く。
- お尻の力を抜いて、膝をゆるめ、肩を内側に入れるようにして立ち、背中に入れるように、とにかく楽に5~8秒かけて息を吸う。そして、それを10~20秒かけて吐き切る。
中でも、重要とされているのが、ゆっくりと時間をかけて息を吸い、そして吐くということ。特に、息を吐くときには意識を集中させて、腹式呼吸を行いましょう。この深呼吸を数回繰り返すことで、心身をリフレッシュできます。
まとめ
心身を落ち着けるには、「まず深呼吸」というのは良く聞く話。大事な仕事を抱えているのに、頭がうまく働かない、心が落ち着かないというときは、深い呼吸を意識してみてはいかがでしょうか。その上で、胸式呼吸ではなく、腹式呼吸を心掛ければ、適度にリラックスして集中度を高めた状態をキープすることができそうです。
参考
- 藤麻美子. 毎朝10回の「深い呼吸」で体が変わる. 初版. 文響社, 2016, 169p
- 森田愛子. 深呼吸のレッスン. 初版. PHP研究所, 2016, 174p