BAsixs参画企業、ビジネス・アーキテクツ(以下、BAと称する)に入社してもうすぐ丸3年が経とうとしています。フロントエンドエンジニアの清水です。
新年度ということで、おそらく世の中のほとんどの会社で「目標設定」が行われているのではないでしょうか。
わたしはこの「目標設定」がものすごく苦手で、特に「エンジニア」という人格で目標を考えようとすると、どんどん沼にはまってしまいます。
しかし最近、世の中には「パーソナルブランディング」という概念があることを知り「自分が会社の中でどういう人間になりたいか」ということを軸に考えることにしたら何を目標にすればいいかが考えやすくなってきました。
今回はわたしのパーソナルブランディング戦略と、そこに紐付けた目標設定のプロセスについてお話しします。
「パーソナルブランディング」とは?
「パーソナルブランディング」というワードから、「セルフブランディング」を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか?
わたしもそう思って、「パーソナルブランディング セルフブランディング 違い」などのワードで検索して、いろいろ記事を読んで調べてみました。
「personal=個人」も「self=自己」も大して変わらないような気がしますが、「個人」というとその外側に企業や組織など「個の集合」があり、「ビジネスに活かせること」を前提として個人の能力を周囲や世間に認知させる、というような行為を「パーソナルブランディング」と呼んでいる例が多いような印象を受けました。
一方、「自己」というのは単に「自分自身」というニュアンスが強く、「セルフブランディング」は他者との差別化を軸にSNSなどを利用して自身の強みや個性を発信し、それをビジネスや人間関係に昇華させる手法なのかな、と感じました。
また、「ビジネスに活かすために自分の価値を周りに認知させる」という意味ではどちらも同じであると紹介しているような記事もあり、解釈は様々あるようでした。
ここでは「パーソナルブランディング」を「組織の中での個人をブランディングして組織のビジネスに活かす」手法として捉えて続きを書いていきます。
自分の役割を考える
まずは、BAという組織の中で自分がどういう役割になりたいかということを考えました。
たとえば「リーダーシップを持ってプロジェクトを上手に仕切る人」や「高い技術力でその人にしかできないことをやる」というような役割は自分以外の名前が浮かぶので、そういう役割からはどんどん降りていきます。
仮にわたしが自分の長所を「リーダーシップがあるところ」や「ある分野において高い技術力を持っているところ」だと思っていたら、そこに食い込んで行くルートもあるのかもしれません。しかし今のところ、そのフィールドで人と張り合おうとは思っていないので、自分が経験してきたことやできることの中から、会社の役に立てるかもしれない方向性を探っていきます。
ラッキーアイテムになりたい
そうしていろいろ思い返したり考えたりした結果、わたしは「ラッキーアイテム」みたいになりたいな、と思いました。「ラッキーアイテム」というとなんとなくスピリチュアル感が出てしまうのですが、お守り的な意味ではないです。
臨機応変に適切な行動をしてプロジェクトを健全な状態に保てる人になりたい、というような意味なのですが「火消し屋」や「ご意見番」とか思われたいわけではありません。
単純に、一緒に仕事をする人みんなを幸せにしたいので、役割を火消しや物申すことに限らず「いい動きをしてくれる人」になりたいな〜と思うのです。
「いい動き」をしたことでプロジェクトがうまく進めば、お客さまからの信頼に繋がります。お客さまと信頼関係が築ければ、次にまたお仕事をいただけたり、別のお客さまの紹介にもつながるかもしれません。
会社の金銭的な利益やイメージ向上、事業拡大などに直接寄与するわけではありませんが、その基礎となる「お客さまとの関係性を向上する」ところに働きかけることで組織貢献につながると考えます。
ブランディングのプロセスを目標設定に変換する
さて、なりたい自分の方向性が決まりましたが、それをブランドとして打ち出したところで実力がなければスルーされるか、キャパオーバーの仕事を受けることになってしまうだけなので、自分もまわりも幸せにすることはできません。
たとえばゲームの世界で上級職に転職するためにいくつかの下級職をマスターする必要があるように、「ラッキーアイテム」というブランドを打ち出すためには善行ポイントを貯めなければなりません。また、そもそも、それが善行であるというための判断基準となる客観的事実も必要です。
冒頭にも書いたようにわたしは目標設定がものすごく苦手です。仕事を通して成長したいと思っていないわけではないのですが、どういう能力を身につけてどういう成果を出したことを評価されたい、というイメージが全然できず、毎回苦しんで絞り出していました。
今回はそこにパーソナルブランディング戦略を持ち込み、「ラッキーアイテムというポジションを掴みに行くためのプロセスを目標に据えて行動する」と考えることで、自身の成長と組織貢献を求められる目標設定というイベントをクリアしていきます。
現在、BAでは「能力」「成果」「姿勢」の3つの観点で目標とその達成指標を自分で考えた上で、上長と面談して目標設定を行っています。
面談では、目標に対して達成指標が適正であるか、その目標自体がその人のキャリアパスやその現在地に対して、ユルすぎたりキツすぎたりしないかという話をしています。
「いい動き」を分解する
「ラッキーアイテム」という評価はさておき、臨機応変に適切な行動をしてプロジェクトを健全な状態に保つための「いい動き」を目標設定のための「能力」「成果」「姿勢」という観点で分解していきます。
まず、「能力」から考えます。おそらく「いい動き」をするためには視野を広くもつことが大切だと思います。これは仕事に限らずスポーツやゲーム、日常生活においても同じことで、効率の良いルート選択のために全体をよく見て防御が薄い範囲や最短距離を確認するような能力です。
日頃からなるべく自分以外のことを意識した言動は心がけていますが、経験に依るものや憶測では「個人の感想」になってしまうので、その信頼度を上げるために、客観的事実をつくるような達成指標を考えます。
客観的事実としてわかりやすいものは資格やアウトプットなので、Web制作関連の資格を取ること、知らないことを学んで説明するようなアウトプットをつくることを「いい動きをする人の能力を得る」ための第一段階の達成指標としました。
次に「成果」です。まだ「ラッキーアイテム」ではない今の自分が、今年1年でできる最善の動きで実績をつくることが目標になるので、達成指標は「実績が作れたかどうか」になります。
フロントエンドエンジニアという立場上、直接お客さまとお話しする機会は多くはないので、欲張らずに今年は社内の動きをよくすることから始めます。
参画しているプロジェクトで今よりさらに成果を上げるために、できる範囲で改善提案を考えて社内で提案することと、立ち止まりがちなプロジェクトなどで推進力となり、目的をきちんと達成できるようにすることを達成指標にしました。
最後は「姿勢」です。姿勢に関する目標って難しいですよね。約束を守ってまじめに働くのは会社員として当たり前なので、それ系のことを書いても逆に「できてないの?」となってしまうのでいつもかなり悩みます。
「いい動きをする人がしている姿勢」と考えると、人を裏切らない、人にストレスを与えない、人を安心させる、というようなことが思い浮かびます。
頑張っている人を支えたり、人の気持ちを考える……というのも日頃から意識していることではあるのですが、それに適ったエピソードが生まれることが善行ポイントにつながるのではないかなと思いました。なので、そのエピソードをアウトプットすることを達成指標にします。
実際の目標設定シートにはもう少し具体的にプロジェクト名やアウトプットの方法を記載しましたが、これでひとしきり今年の目標を設定することができました。
これまでは「求められている能力に対して足りないと思う部分を埋める」ようなスタイルで考えていたので、考えることもそれを達成しようと努力することもかなり苦しかったのですが、今回は「なりたい自分に近付く」というプラスのモチベーションで考えられたので、達成しようと努力することも、これまでよりは楽しめるはずです。
さいごに
前の段にも書いたのですが、これまでわたしは目標設定を「自分のダメな部分や足りていない部分を埋めて会社員として人権を得る」ための懺悔的な行為だと認識していました。
上司からは「給料を上げるための作戦会議だよ」と言われて面談していましたが、はたして自分にとって給料が上がることが本当に幸せなのか、会社員として働き続けるモチベーションはそこに置くべきなのか疑問でした。
人生100年や老後2000万円必要など、不安になるようなことがいろいろ言われている時代の中、お金は持っておくに越したことはないですが、「それを得るために消耗していては長生きする意味もないのでは?」と思い、自分が気持ちよく働くために自分と周りを整えていく、という方向性に切り替えてこの考えに至りました。
自分が勝手にネガティブに解釈して苦しんでいただけで、本来は労働もそれにまつわる目標設定もそういうものだったのかもしれません。
盛大な自分語りとなってしまいましたが、目標設定や働く意味に対して自分と同じように苦しんでいる人の力に少しでもなれていたらうれしいです。