BAsixs参画企業、ビジネス・アーキテクツでセールスの仕事をしております寺尾と申します。本記事は「いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本」の書評です。
コンテンツマーケティングって何?美味しいの?という方も、最近コンテンツマーケティングってよく聞くよね、というマーケティング担当者も。
コンテンツマーケティングについて30分以上話すことが出来ない方は全員読んだ方が良いです。それくらいわかりやすくて面白い本です!
コンテンツマーケティングの入門かつ、中級者上級者でもいつでも帰って来られて大切な原則の確認ができる、コンテンツマーケティングを始めていく上でのおすすめの本になります。
コンテンツマーケティングをしっかりと勉強したい!
実は、ここ最近コンテンツマーケティングの需要が高まっており、私自身、プロジェクトでコンテンツマーケティングに関わることが増えてきました。、ここらでしっかりとコンテンツマーケティングの具体的な進め方、やり方を勉強したいと思い、この本を読み始めました。
「いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本」の内容
そもそも、「コンテンツマーケティングってなんだ?」という方に、この本での定義からお伝えします。
コンテンツマーケティングとは、読者にとって価値あるコンテンツの制作・発信をとおして見込み顧客のニーズを育成、購買を経て、最終的にはファンとして定着させることをめざす一連のマーケティング手法です
出典 : 宗像淳, 亀山将. いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本. 初版, 株式会社インプレス, 2015, 198P
とある通り、近年注目されているマーケティング手法の一つです。
この本は7チャプターに分かれています。
Chapter1 コンテンツマーケティングの考え方を理解しよう
そもそもなぜ今コンテンツマーケティングが必要だと言われているのかから始まり、成功させるために必要な考え方まで、まずは概念的なお話があるチャプターです。
Chapter2 コンテンツの種類や特徴を理解しよう
段々と具体的な話に移っていきます。コンテンツの種類と特徴についての説明があります。コンテンツというと「記事」くらいしか最初はイメージがなかったのですが、意外に種類が豊富なんだなとびっくりしました。
Chapter3 顧客視点のマーケティング戦略を立てよう
なんにしても最も重要な戦略パートです。コンテンツマーケティングは効果を実感できるまで半年から1年はかかる施策です。戦略をもたずに臨むとただただ大変な上に何も得られないなんて事態もあります。このチャプターは特に重要です。
Chapter4 読み手に響くコンテンツの作り方を理解しよう
コンテンツを「さあ、いざ書こう!」と思っても、おそらく3分後には手が止まってしまうと思います。
本書にも書かれていますが、日本では学校の作文教育の影響で「いい文章を書かないといけない」というプレッシャーが大きいそうです。言われてみれば思い当たる節があるのではないでしょうか。
それを解消してくれるチャプターです。コンテンツの作り方やどのような心理状態で臨むとよいかが丁寧に解説されています。
Chapter5 制作したコンテンツの影響力を最大化しよう
ここでは、SEO、ソーシャルメディア、競合メディア分析や広告など、制作したコンテンツをいかに広めるか、いかに読んでもらうかについて解説がなされています。
Chapter6 KPIを設定してPDCAサイクルをまわそう
「社内ブログでの情報発信」と、「コンテンツマーケティング」の大きな違いは「運用」にあるのではないでしょうか。
記事のアクセス解析をして、KPIと突き合わせ、どの記事をリライトしてどの記事をトップページで押していくか施策を決め、また結果を見て改善するなどコンテンツマーケティングはとても地道です。適切なKPIの設定方法などが解説されています。
Chapter7 ひとつ上のマーケティングへ
最後の章は、コンテンツマーケティングと組み合わせることで更に効果的なマーケティング手法について解説があります。まずはChapter6までこなせてから、ということでしょうか。
本を通して、著者自ら作り上げてきた知見が詰まっています
コンテンツマーケティング黎明期の頃より、自ら試行錯誤してコンテンツマーケティングを作り上げた株式会社イノーバ宗像社長、マーケティング部リーダーの亀山さんの共著となっています。
特に勉強になったのはこの3つ!
この本を読んで、特に勉強になったのは以下の3つです。
1.消費者は購入前に平均して10.6件の情報を収集している
インターネットが普及する以前は、消費者が収集できる情報には限りがあったため、店舗の陳列スペースにあるいくつかの商品を比較検討して購入していました。
しかし、インターネットが普及するにつれて、消費者自体が情報収集をすることが出来るようになりました。
2011年にGoogleが行った調査によると、「消費者は購入前に平均して10.6件の情報源に接している」とのことです。
私の感想としては2つあります。ひとつは「企業が発信する自社に都合の良い情報は全て見抜かれる」ため、誠実に情報発信をするべきだということ。
もうひとつは「この10.6件に入れなければ存在しないのと同じ」だということ。この10.6という数字をあなたはどう見ますか?
2.顧客が自分で「態度変容」をするためのコンテンツ設計が重要
ただのブログではなく、リード獲得を主目的とする場合、成果をどのように得るかという戦略が存在している必要があります。
コンテンツマーケティングの世界では、「態度変容」に着目することで、戦略を立案していきます。「態度変容」とは顧客の購買心理が変化していくことです。(そのままですね)
その態度変容をある程度こちらでコントロールする(促す)ために、コンテンツマップを作成します。具体的な手法は本書を読んでいただければと思いますが、今までは営業マンが顧客のステータス毎に必要なコンテンツ(情報)を提供し、フローを進めることを促していたが、今は顧客が勝手に進められるように設計する時代となっているのだなと感じます。
3.好きになってもらい、ブランドを作るためのコンテンツをつくろう
Chapter7にある内容でブランディングに関連する話です。
著者曰く、ブランド構築のためには3本の柱があるそうです。
ブランド構築のための3本の柱
- Likability(好ましさ)
- Expertise(専門性)
- Distinctiveness(他社との明確な違い)
その中のLikability獲得には以下の4つが必要だと言われています。
Likability獲得のために必要な4つの要素
- 「顧客ニーズの理解」
- 「共感を示す」
- 「フレンドリーさ」
- 「正直さ」
なんと、この4つの要素をどのようにコンテンツで表現するのかということまで丁寧に載っていますが、ネタバレになってしまうので詳しくは本書でご確認ください。
ペルソナはアップデートが肝心?
実際に実務と並行して読んでいっての感想ですが、難しいのが「運用が始まってからのペルソナ視点をチームで維持し続ける」ことだと思います。
どうしても「書けること」の中からコンテンツを選択してしまったり、顧客が知りたいことであってもそもそも「事業ドメインに直結していない内容」だと費用をかけてまで書く意味がなかったり……。リリースしてから思ったペルソナではない層に刺さることもあります(新規事業はたいていそうです)
というさまざまな事情で、「ペルソナが形骸化してしまう」ことは割とある話かと思います。じゃあペルソナは必要ないのかというと、そんなことはなく、コンテンツに悩んだときなどに立ち返る場所があるという意味だけでもとても大きい効果があるのです。
ペルソナがないと、チームで仕事をしている中で場当たり的に声の大きい人に迎合するコンテンツを作る感じになって、コンセプトまで崩れかねません。
そこでそのフェーズ毎に応じた「ペルソナの定期的なアップデート」が必要なのでは、と私は考えます。初期リリースから半年くらいまでは最初のペルソナでやってみる。
そしてそこからアクセス状況や問い合わせの情報を解析しペルソナをアップデートし、過去の記事をリライトしていく。のが良い施策になるのかなと、本書を読んでいて感じました。
さっそく実務で使っています
実際にここに書かれていることをクライアントとの打ち合わせで披露して、対話の中でブラッシュアップしています。コンテンツマップやコンテンツ全体戦略策定に関しても実務に活かし、より良い提案につなげていきたいです。
コンテンツマーケティングを無茶振りされて困っているご担当者様にオススメです!
ある日突然社長から「君、うちの会社で一番若いからwebわかるよね。最近流行ってるらしいコンテンツマーケティングって施策の担当にしたから。よろしくね。」と無茶振りされて困っている方に最適です(コンテンツマーケティングではありませんが、20代のときに実際私が遭った事例です)
BAsixsでも様々な企業様のコンテンツマーケティングのお手伝いをしています。お困りの際はお気軽にご連絡ください。
参考
- 宗像淳, 亀山将. いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本. 初版, 株式会社インプレス, 2015, 198P