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在宅勤務中のイライラを抑えるアンガーマネジメント術

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藤本アカウント(ビジネス・アーキテクツ)

大手BPO、人材ビジネス会社でリクルートアドバイザー、キャリアアドバイザーを担当、その後営業支援チームの立ち上げに携わる。2020年BAへ入社、第一事業部アカウントのサポート業務に従事。

家族の何気ない行動にイライラすることが増えた。メール主体のコミュニケーションでの齟齬に腹が立つなど……。在宅勤務中は他人の目がないこともあって、“怒り”の感情に振り回され、仕事に支障が出てしまった人も多いようです。

怒りは誰もがもつ自然な感情ですが、時には仕事上での失敗につながることがあります。そこで、今回はアメリカ発の怒りをコントロールする心理トレーニング「アンガーマネジメント」など、怒りとの賢い付き合い方を紹介していきたいと思います。

怒った時、人の身体で何が起きている?

anger management mechanism

まずは、人はなぜ怒りの感情に振り回されるのか、体内で起きているメカニズムにフォーカスしたいと思います。

強いストレスを受けたとき、脳内ではノルアドレナリンが分泌されて心拍数が上昇。注意力や集中力などがアップした、一種の興奮状態となります。野生動物が生き残るために、身体能力を向上させるのと同じメカニズムですね。怒った時に顔が赤くなったり、手が震えたりするのは、そのためです。

とはいえ、人は怒りを覚えたとしても、脳の前頭前野が暴力などの衝動的な行動に出ることを抑えてくれます。ただ、前頭前野の機能は、飲酒や睡眠不足などによって低下するので注意が必要です。

また、怒りの感情を発露させるストレスにも、いくつかの種類があります。例えば、自分のルールや社会的正義(とされるもの)を破られ、"間違いを正そう"としたとき、脳内ではドーパミンが分泌されます。これにより"悪を制裁する"ことが快感へと変わり、怒りをエスカレートさせてしまうことがあるようです。

他にも、"愛情ホルモン"ことオキシトシンが高い状態で、身内の人が自分の価値観に合わない行動をとった時。“安心ホルモン”ことセロトニンの濃度が下がっている状態で、「自分がないがしろにされている」と感じた時などに、人は怒りの感情に支配されがちです。そのスイッチを自覚して、コントロールすることが、怒りとの付き合い方の中で重要なポイントといえるでしょう。

怒らない、怒りを弱くするための考え方

怒りのスイッチを入れない、もしくはスイッチが入っても衝動的な行動をしないためには、一体どうすれば良いでしょうか?

これについては、心理学から宗教まで、さまざまな分野で具体的な方法が模索されています。例えば……

怒りのスイッチを入れない方法

  • 過度な期待を持たない
  • 自分のペースにこだわらない
  • 理想を高く持ちすぎない
  • 物事を決めつけない
  • すべてを思い通りにコントロールしようとしない
  • 勝ち負けなど一つの評価こだわらない
  • マイナスな出来事にも新たな価値を見出す
  • 自分の行動を客観視する
  • 相手の立場を考える
  • 怒りを鎮めるためのルーティンを用意する

怒りに関する番組や書籍は世の中にあふれているので、どれも一度は聞いたことがあるかもしれませんね。ただ、逆に言えば、怒りで失敗できないビジネスの現場では、どれも意識しておいて損はない定番テクニックだと言えそうです。

なお、不摂生な生活はセロトニンの濃度を下げ、不安感や妬みを感じやすくさせることから、"追い詰められたことでキレる"恐れにつながります。さらに、セロトニンの濃度が下がると、適切な社会行動を保とうとする前頭前野の機能を、低下させるとも言われているようです。

バランスの良い食事をとり、適度な運動をして、湯船に浸かってゆっくりリラックスする――。心身ともに健康な生活をおくることも、怒りをコントロールするためには重要です。

アンガーマネジメントで"怒りの数秒"を乗り切る

anger management several seconds

怒りのメカニズム、それを抑える方法論は知っていても、なかなかコントロールできない。そんな人に即戦力となるメソッドとして活用されているのが、「アンガーマネジメント」と呼ばれるテクニックです。

心理学の世界では、一般に怒りという感情は10秒程度しか持続しない、短期的なものとされています。この数秒の間に反射的な行動をセーブして、怒りを鎮めるというのが、アンガーマネジメントにおける基本的な考え方といえるでしょう。

この反射的な行動をセーブする方法として、アンガーマネジメントには複数のテクニックが存在します。例えば……

反射的な行動をセーブする方法

  • 怒りの強度をパラメーター化して、客観視できる状態とし、それに合わせた対応をする
  • 「どうってことない」など、気持ちを落ち着かせるための“魔法の言葉”を用意する
  • 怒りのトリガーとなる、自分の中の「~すべき」という価値観(コアビリーフ)を認識する
  • コアビリーフを侵害されたとき、その強度がどこまでなら"許せる""まぁ許せる""許せない"かの境界線を意識する
  • コアビリーフを侵害されたとき、それがコントロール"可能or不可能"か、"重要or重要でない"かで、行動をコントロールする

ほかにも、「100、97、94、91……」と引き算でカウントする、成功体験を思い出すなど、怒りの数秒間を乗り切る方法はさまざま。自分にあった方法を見つければ、常にイライラした自分から解放されそうです。

まとめ

ビジネスでは怒りに振り回されず、冷静な判断を下すことが必要となる局面もあるでしょう。さらに、"イライラした自分"というのは、他人にとってもストレスの元。怒りをコントロールして、よりよい人間関係を築きたいですね。

参考

  • 中野信子. キレる! 脳科学から見た「メカニズム」「対処法」「活用術」. 初版. 小学館, 2019, 190p
  • 植西聰. 「ムカッとくる怒り」がスーッとおさまる本. 初版. PHP研究所, 2011, 220p
  • 植西聰. 怒らないコツ 「ゆるせない」が消える95のことば. 初版. 自由国民社, 2018, 224p
  • 安藤俊介. 「怒り」を上手にコントロールする技術 アンガーマネジメント実践講座. 初版. PHP研究所, 2018, 256p