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エコシステムの意味は?ビジネスで導入するメリットや成功事例を解説

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ビジネスの場においてよく耳にする「エコシステム」という言葉。聞いたことはあるけれど、意味を知らないという方も多いのではないでしょうか?

本記事では、エコシステムの意味やエコシステムを導入するメリットについてご紹介します。実際にエコシステムを取り入れている企業の成功事例や、エコシステムで成功するためのカギも合わせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

エコシステムの意味とは?:今やビジネス用語として浸透

エコシステムは、ビジネスにおいて同じ業界または別の業界の企業が連携し、収益を伸ばしていく構造のことを指します。

今やビジネスの場で使われるようになったエコシステムという言葉ですが、由来は全く別の分野の用語から来ています。日々変化する現代の中で、徐々にビジネス用語として浸透してきたという流れがあります。

エコシステムはもともと生物用語

エコシステムはもともと、生態系における生物用語です。生態系の中では、各生き物が生産者、消費者、分解者の役割を担っています。この3者は、お互いが生きる上で必要不可欠な存在であり、それらの循環によって生態系が成り立っているのです。

このように、同じ領域の生き物や植物が、お互い依存しながら生きているという関係のことをエコシステムと言います。

IT・ビジネス分野におけるエコシステムって何?

元々は生物用語だったエコシステムが、IT・ビジネス分野で使われるようになったのには、ある背景があります。

そもそもインターネットが普及する前の時代のIT・ビジネス分野では、大手企業の1社が圧倒的な力を持つ、1社だけでビジネスを完結する、という形が主流でした。しかしインターネットが普及して以降、急速な技術の進歩とグローバル化の中で、1社の力だけで最先端の技術をつけることや、他社に対抗する競争力を保つことが困難となりました。

そこで登場したのがエコシステムです。同じ分野の企業が製品を連携したり、他の分野の企業が各々の知識・技術を提供したりしながら、収益を上げていく構造を取り入れることで、変化の多い現代にも対応しやすくなります。

このように、共存共栄でビジネスに取り組むエコシステムを導入することが、今の時代に対応していくための1つの手段となっているのです。

エコシステムを取り入れる3つのメリット

変化と進化が求められる現代の中で、共存共栄でビジネスに取り組むエコシステム。では具体的に、エコシステムを取り入れるメリットは何でしょうか?ここではエコシステムを導入するメリットを3つご紹介します。

1.短期間で新商品・新サービスを開発できる

まず1つとして、短期間で新商品・新サービスを開発できるというメリットがあります。

今の時代は技術革新によって、次々と新しい製品やサービスが発表され、プロダクトライフサイクル(製品が生まれてから消失するまでのプロセス)が短期化されています。だからこそ、短期で成果を出すことが重要です。

例えばGoogle社は端末、OS、ネットワーク、プラットフォームなど、様々な分野の企業と連携してお互いの技術・製品を活用し、収益を伸ばしています。

このようにエコシステムを導入して他社の製品・サービス・技術を活用することで、効率よく、短期間で新製品を生み出すことができます。社内の資源だけに依存しないことが、ビジネスの効率性・即効性を高めることに繋がるのです。

2.業界の環境変化に対応できる

2つ目のメリットは、業界の環境変化に対応できるという点です。

先述のように、現代はグローバル化やテクノロジーの進化、さらに法規制の変化など、環境の変化が著しい時代と言えるでしょう。

例えばAmazonは、業界の変化に柔軟な対応をしている会社の1つです。Amazonが製作したAmazon EchoやKindle、Amazon Alexaなどは、時代の変化、需要の変化に対応するために作られました。他の企業と連携することで新サービスを開発し、次々と目新しい価値を提供しています。

このように、変化が求められる現代にうまく対応しながら事業を広げるためには、エコシステムの導入が重要となります。

3.自社の認知度が上がる

メリットの3つ目は、自社の認知度が上がるという点です。

連携する企業それぞれが、各々のターゲット・顧客に対して商品やサービスを売り込むので、その分顧客の幅が広がり、認知度が高まります。

顧客の幅が広がることで、商品やサービスの展開にバリエーションが増えたり、それぞれの顧客に合った新たな商品開発ができたりと、各々の企業の成長にも繋がっていきます。

パートナー企業が増えるほど自社の商品がリーチする顧客が増えていくので、自社の認知度アップに繋がります。

エコシステムの代表的な3つの成功事例

では、実際にどのような企業がエコシステムを取り入れ、成功をしているのでしょうか?ここでは、有名企業におけるエコシステムの成功事例を3つご紹介します。

成功事例1.Apple社

Apple社は、エコシステムで成功している代表的な企業です。Appleでは主に、製品とコンテンツの2つの形態での連携をしています。

まず製品面では、Appleが提供するiPhoneやMacBookに必要なパーツであるスクリーン、カメラ、チップセット、キーボードを作る企業との連携です。iPhoneやMacBookを作るAppleにとっても、各パーツを作る企業にとっても、収益を伸ばす上でお互いの存在は必要不可欠です。

さらにコンテンツという面では、Apple Music、iTunesストア、App store(各アプリ)との連携です。端末を提供するAppleと、音楽・動画やアプリを提供する企業、そしてそれを活用するユーザーの3者によって収益が発生しています。

このようにAppleでは、Appleを中心としながらも利益を独占することなく、相互的に利益を発生させるというエコシステムを確立し、成功させています。

成功事例2.Microsoft社

ソフトウェアの開発と販売に取り組むMicrosoft社は、新しいアプリケーションを共同で開発したり、パートナー企業から得たデータを基にクラウドプラットフォームを強化したりしています。

さらにMicrosoftは、自動車関連企業と連携していることでも有名です。現代の自動車業界の発展は著しく、自動運転や電気自動車の開発、ライドシェア・配車サービスの取り組みなど、様々な新製品・新サービスを開発中です。そこでMicrosoftは車業界の可能性に目を向け、自社のAIサービスやIoTなどを提供し、自動車企業がデジタル機能を構築・拡張できるように支援しています。

このように、Microsoftにとってパートナー企業の生み出す技術は重要な成長要素となり、パートナー企業にとってもMicrosoftの品質の高いサービスは必要不可欠な要素となっています。

成功事例3.YouTube社

2006年にGoogleによって買収されたYouTube社は、その後確実に売り上げを伸ばしました。YouTube社は、動画を投稿する配信者、動画を見る視聴者、広告を掲載する広告主の3つのパートで形成するエコシステムを取り入れて成功しています。

これら3者は、YouTubeを以下のような場として利用しています。

Youtubeにおけるエコシステム

  • 動画配信者:他のメディアでは届けることができない人たちに動画を届け、ファン獲得を目指す場
  • 視聴者:動画を見たり、他の視聴者と交流したりして楽しむ場
  • 広告主:幅広いYouTube視聴者の中から自社のターゲットとなる顧客にリーチして、確実に広告を届ける場

このようにYouTubeのエコシステムは、動画配信者、視聴者、広告主の3者が直接繋がり、平等に利益・価値を得ている形態となっています。

エコシステムで成功するためには:ビジョンの共感とフェアネスが必要

では、エコシステムで成功するためにはどうすればいいのでしょうか?

まず、エコシステムを導入するにあたっては、パートナー各社の共感が不可欠です。明確なビジョンを共有した上で、お互いのパフォーマンスを十分に発揮できる環境を作っていくことが重要になります。

さらに、各企業がそれぞれ担う役割において、できるだけ平等に利益を得られる仕組み作りも必要です。1社が収益を独占したり、どこかの企業が足を引っ張ったりすることは、エコシステムの失敗と言えるでしょう。

このようにエコシステムで成功するためには、まずはパートナー企業との共感、そしてお互いにとっての利益を確認することが非常に大切です。

規模の小さな会社でエコシステムを成功させる鍵

規模の小さな会社でエコシステムを成功させるために最も大切なことは、自社の立ち位置を明確にし、自社にとってのメリットを検討することです。

実際のところ、エコシステムで利益を出すためには時間とコストがかかります。内部の協力も必要になりますし、他社と連携するにあたって業務の細分化などの準備も欠かせません。

こういった中で、「自社がエコシステムのどこのパートを担うのか」という自社の立ち位置を明確にすること、加えて、エコシステムを取り入れることでの自社のメリットを検討することが必要になります。時間・費用・労力が必要だからこそ、導入するメリットを明確にしなければなりません。

さらに今後の日本では、少子化が進み、人的リソースが減少していくことが予想されます。そのため、自社としてどこにリソースを集中させ、どこを他社に任せるのかといった判断が重要になるといえるでしょう。

まとめ:エコシステムのメリット・価値をはっきりと認識した上で導入を検討してみよう

本記事では、エコシステムの意味と成功事例、そしてエコシステムで成功するために知っておきたい知識について解説しました。

今回ご紹介した通り、変化の激しい現代に対応するための手段の1つとして、エコシステムの導入があります。企業のビジネスを発展させるためにも、エコシステムを取り入れるメリット・価値を明確にしたうえで、エコシステムの導入を検討してみるのが良いでしょう。