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~今日からできる~Webコンテンツを魅力的にする3つの考え方(後編)

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この記事を書いた人

プロフィールアイコン(イラスト):マーケター 田代
田代セールス&マーケティンググループ/マーケター(ビジネス・アーキテクツ)

広告代理店にてマンションデベロッパー、人材派遣の広告・マーケティング業務に携わった後、システム開発会社にて製薬会社や生命保険会社のマーケティング支援に従事。エンドユーザーに対してWebやメールを活用してのコミュニケーションの運用、改善、最適化などを中心に業務を担当。直近ではオウンドメディアの編集長として自社への引き合いを増やす役割を担った。

前編では、Webコンテンツの「魅力」は偶然できるものではなく、設計によって意図的に作ることができるという考え方のもと、3つの視点をご紹介いたしました。

その中でも重要なポイントのひとつが、サービスを「機能」の側面だけでなく、そこから得られる「メリット」、その先にある「未来の変化=ベネフィット」を伝えることの大切さでした。

後編では、「ベネフィット」にフォーカスをあて、どう語るか、どんな表現が届きやすいのか、気をつけなければいけない点など実践的な注意点を掘り下げていきたいと思います。

~今日からできる~Webコンテンツを魅力的にする3つの考え方(後編)

ベネフィットを語る時の注意点

「このサービスを導入すれば、御社の業務が劇的に改善されます」
「導入社数1,000社以上!効果はすでに実証済みです」

こうした文言をどこかで見たことがあるという方も多いのではないでしょうか。

もちろん、“ベネフィットを打ち出す”という意味では正しい方向です。ですが、ベネフィットの「語り方」を誤ると、むしろ読み手に不信感を抱かせてしまうリスクがあります。

自社目線で言い切りすぎない

よくある落とし穴が、自社目線で言い切りすぎてしまうことです。「○○の課題を解決できます」といった断定的な表現は、サービス提供側としては熱意のつもりでも、読み手には押しつけがましく広告的に聞こえてしまいます。

特にBtoB領域では、読み手の多くが慎重です。「それって本当?」「うちは違うかもしれない」といったフィルターが常にかかっている状態とも言えます。だからこそ、ベネフィットを語る時は、「こちらが言いたいこと」よりも、「相手に信じてもらうことができるか」を基準に考える必要があります。いくら強い表現でベネフィットを語っても、「なんだか都合のいいことを言ってるだけかも…」と思われてしまい、それ以上読み進めてもらえなければ元も子もありません。

ベネフィットの“信ぴょう性”を高める表現方法を取り入れる

そこで有効なのが、第三者に語ってもらうという選択肢です。導入事例、インタビュー記事、実績データ、ユーザーの声。自分たちの言いたいことに他者の視点を交えて伝えることで、コンテンツ全体に、信じてよいかもという空気感を与え、ベネフィットの“信ぴょう性”をぐっと高めることができるのです。

ベネフィットが、自社サービスの本質とズレていないかにも注意

また、そもそも「語っているベネフィットが、本当に自社サービスと整合しているかどうか」という点にも注意が必要です。サービスの機能的な部分がいまいちなのに、語っている未来だけが華やかだと、期待とのギャップが強調されてかえって疑念を抱かせる結果になってしまいます。

ベネフィットを語るということは、サービスの約束を伝えるということ。だからこそ、その約束が「サービスの本質とズレていないか」を丁寧に確認しながら言葉を選ぶ必要があります。

コピーライティングとの関係

「ベネフィットまでしっかり伝えるコンテンツを作りたい!」

ベネフィットの大切さは理解できても、「それをどう伝えればいいのか」「言い回しが難しい」と悩むこともあるのではないでしょうか。

実際、BtoCやマス広告の分野では、ベネフィット表現や感情に訴えるコピーはプロのコピーライターが担当することが多いのが実情です。ターゲット心理に刺さる言葉、響くリズム、訴求の切り口…これらは一朝一夕で身につくスキルではありません。

とはいえ、すべての現場にプロフェッショナルなコピーライターをアサインできるわけではありませんし、そこまでの体制が整っていない現場も多いはずです。

では、コピーライターがいない場合、どこまでを自分たちでやればいいのでしょうか?

ポイントは、「最低限、メリットまでは自分たちで整理しておく」ということ

  1. 機能は何か(機能)
  2. 機能が何を実現するのか(メリット)
  3. それが誰にどう役立つのか(ベネフィット)

この3つの構造が見えていれば、たとえ言葉のプロでなくても、読者に伝わる軸をもつことができるようになります。

ベネフィットの表現に迷ったら、「実際にそれが起きたら、読み手の世界はどう変わるだろうか?」と例文で書いてみることもおすすめです。

たとえば:

  • 「問い合わせ件数が増える」
    • → 「営業が見込みのある案件に集中できるようになる」
  • 「操作が簡単になる」
    • → 「現場の教育コストが減り、立ち上がりが早くなる」

こうした言葉の言い換えで、ベネフィット表現の精度は大きく変わっていきます。

もし可能であれば、第三者や別チームのメンバーに見てもらいましょう。自分たちがあたりまえに使っている表現が、本当に伝わっているか?読み手目線に立っているか?言葉そのものに加え、設計や発想の妥当性が加味されているかのチェックをしてもらうことで、より良い言葉を導くきっかけになるでしょう。

つまり、コピーライターのように魅力的な言い回しを考えることよりも、伝えるべき価値やベネフィットを明確に言語化すること。難しい部分ではありますが、ここを社内でしっかり設計できていれば、表現の部分はあとからでも十分に整えていけるのではないでしょうか。

「すごい」より「なるほど」を生む視点とは?

ここまで、前編ではコンテンツ設計の3つの視点を、後編(本記事)ではベネフィットの伝え方や表現の注意点を整理してきました。それはすべて、このセクションで言いたいことにたどり着くためだったと言ってもよいかもしれません。

Webコンテンツの目的は、単に情報を届けることではなく、「これ、自分にも必要かも」と読み手に思わせアクションにつなげること。魅力や強みを伝えることは大切です。ですが、「すごいですね!」という感想がゴールになってしまってはダメなのです。

ユーザーが本当に知りたいのは、「これ、自分にとって意味があるかもしれない」という納得感です。つまり、「すごい」よりも「なるほど」。「なるほど、これは自分にも使えるかもしれない」「うちの課題に効きそうだ」といった『自分ごと化される反応』を引き出すことが、魅力的なコンテンツの本質なのです。

すごいとなるほどの違い

「すごい」と「なるほど」反応の種類の違い

  • すごい
    • 特徴:
      驚きや感心。読み手の外側で完結する感情。
    • 結果としての行動:
      「すごいね」で終わってしまうと、行動に結びつきにくい。
  • なるほど
    • 特徴:
      理解・納得・共感。読み手の中で接点が生まれる感情。
    • 結果としての行動:
      自分の状況に置き換えて考え、問い合わせや共有に発展しやすい。

「なるほど」を引き出すコンテンツに必要な視点

「すごい」と思わせるコンテンツは、確かにカッコいいかもしれません。ただ、それだけではユーザーの行動にはつながりにくいものです。

読み手が「なるほど」と感じる情報を意図的に作ることで、コンテンツは『伝えるから動かす』へと進化していきます。私たちがめざすべきは、“自分ごと化”された反応です。この部分が届いてこそ、コンテンツは単なる“サービス説明”ではなく、「自分の未来に関わるもの」として認識されるようになるわけです。

言い換えれば、「なるほど」は、“理解”や“納得”といった内側の反応。それが生まれると、読み手は自分の状況に置き換えて考え始めます。そして「これ、うちにも効きそう」と感じた時に初めて、問い合わせや社内共有などの行動につながるきっかけが生まれるのです。

この“なるほど”を引き出すには、実はここまで整理してきた視点がすべて関係しています。

  • 誰にとって、どんな課題解決になるのか?
  • なぜこのサービスが、その解決にふさわしいのか?
  • それを、どんな言葉で語れば自然に伝わるのか?

こうした視点をベースに設計されたコンテンツであれば、「すごい!」ではなく「なるほど!」という納得の感覚が、読み手の中に自然に生まれてくるのではないでしょうか。

そしてその“なるほど”が生まれると、コンテンツの役割は単なる情報提供から、“行動のきっかけ”を作るものへと進化します。「なるほど」を生み出す設計こそが、魅力的なコンテンツを作るための最終的な鍵とも言えるのです。

担当されたコンテンツは「なるほど」を生みだせているでしょうか?

まとめと、次の一歩

少し長くなりましたが、ここまでご紹介してきたように、コンテンツの魅力は偶然できあがるものではなく、設計によって、意図的に作ることができます。

前編では、成果につながりにくい“よくあるつまずき”をチェックしながら、
「そもそも、何をどう伝えるべきなのか?」という設計視点を軸に3つの観点をご紹介しました。

  • 視点①:何をどう語りたいかの整理
  • 視点②:サービスについての整理
  • 視点③:ターゲットについての整理

そして後編(本記事)では、前編の内容をふまえたうえで、どうすれば“なるほど”と感じてもらえる表現にできるか?という視点から、ベネフィットの伝え方や注意点、コピーライティングとの関係について考えてきました。

この3つの視点は、それぞれが独立しているようでいて、実はひとつのストーリーとして連動しています。誰に、どんな価値を、どう届けるか。この一連の設計が明確になれば、「なんとなく違う」を感覚に頼らず言語化できるようになり、フィードバックや再企画もブレずに進められるようになります。

そしてなにより、「これでいいのかな…」という悩みから抜け出し、納得感のあるコンテンツを自分たちの言葉で届ける手応えが得られるようになります。

とはいえ、「伝えること」には正解がなく、ひとりで抱え込むのも難しいもの。特に自社サービスに深く関わっている立場だからこそ、主観と客観のバランスをとるのは簡単ではありません。

もし、
「今のコンテンツ、どうにも手応えがない…」
「なんとなく“刺さっていない”気がするけど、理由が言語化できない…」

そんなふうに感じているなら、一度、誰かと一緒に見直してみるのも一つの方法です。

Business Architects(ビジネス・アーキテクツ)では、
「誰に、何が、どう伝わっているのか?」を整理・診断し、
読み手に“なるほど”と思ってもらえる表現へと再設計するお手伝いをしています。

「コンテンツ、ちょっと見てほしいな」
そんな時は、ぜひお気軽にご相談ください。