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はじめてのグローバルサイト構築【概念理解編】英語サイトとの違いと、失敗しないための基本視点

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プロフィールアイコン(イラスト):マーケター 飯塚
飯塚セールス&マーケティンググループ/マーケター(ビジネス・アーキテクツ)

システム開発会社で金融プロジェクトに配属し、6年勤務したのち、社内システムエンジニアとしてデータ見える化、社内DX、業務効率化を担当。2024年にビジネス・アーキテクツへ入社し、セールス&マーケティンググループでマーケターとして業務稼働の見える化や、GA4のデータ分析に携わっている。

国内市場の成熟や海外競争の激化により、企業のグローバル展開は「あたりまえの選択肢」になりました。そうした中で、海外の顧客・投資家・求職者に向けて、企業の一次情報を統一して発信する基盤となるのが「グローバルサイト」です。
あなたもその構築プロジェクトに関わることになったのではないでしょうか。

ただし、グローバルサイトは国内サイトを翻訳すれば成立するものではありません。国や地域によって前提が異なるため、言語だけでなく、情報の見せ方や体験全体を現地基準に合わせて設計する必要があります。翻訳を起点に考えてしまうと、意図が伝わらなかったり、結果として企業の信頼性を損ねてしまうケースも少なくありません。

本記事では、経験の浅い担当者が迷いやすいポイントを整理しながら、数多くのグローバルサイト構築を支援してきた知見をもとに、以下を解説します。

  • グローバルサイトの目的と役割
  • 英語サイトとの決定的な違い
  • 世界標準に合わせた表記・情報設計・デザインの考え方

まずは全体像と判断軸を押さえ、プロジェクトの土台を固めましょう。

はじめてのグローバルサイト構築【概念理解編】 英語サイトとの違いと、失敗しないための基本視点

そもそもグローバルサイトとは?グローバルサイト担当者になったあなたへ

海外市場への進出があたりまえとなった今、グローバルサイトは企業の戦略を支える重要な基盤になっています。
あなたもその構築プロジェクトに関わることになり、「グローバルサイトとは何か」「英語に翻訳するだけでは足りないのか」「どこから始めればよいのか」と不安を感じているかもしれません。

実際、グローバルサイトは国内向けサイトとは目的も構造も大きく異なり、ローカライゼーション、法規制対応、CMS選定、SEO、運用ガバナンスなど、検討すべき領域は多岐にわたります。
部署移動により初めて携わることになった方や2回目以降の担当者、または意思決定者、レビュー担当者など、経験の浅い担当者が迷うのは当然のことです。

グローバルサイトとは、特定の国や言語に限定せず、企業のブランドや方針、重要な情報を世界に向けて統一的に発信するためのWebサイトです。
単なる多言語対応ではなく、文化や表記、法規制、運用体制まで考慮し、グローバル基準で設計・運用される点が特徴です。

そこでまずグローバルサイトを構築するうえで、プロジェクト全体の流れと押さえておくべき基本視点を理解することが重要です。
全体像をつかむことで、どこに注意し、何を優先すべきかが見えてきます。

海外展開で求められる役割と担当者が抱えやすい不安

企業の海外展開が進む中で、グローバルサイトは「世界に向けた企業の顔」として重要な役割を担います。
しかし、初めてこの領域に関わる担当者にとって、戸惑いや不安が生まれやすいのも事実です。

まず大きいのが、何をどう進めればよいのか分からないという不安です。
グローバルサイトは国内サイトよりも検討すべきテーマが多く、以下のような専門性の高い領域に触れる必要があります。
これらが、担当者にとってハードルとなります。

  • ローカライゼーション
  • hreflangなどの多言語SEO
  • GDPR/CCPAといった法規制
  • 多言語CMSの構造
  • 表記・通貨・日付など国際標準への対応

さらに、英語サイトとの違いが理解できないことによる不安も多く見られます。
単なる翻訳では伝わらず、文化・UI設計・表記ルールなどを踏まえた「現地化」が求められるため、最初はギャップを感じやすい点です。

また、グローバルサイトにはマーケティング、広報、海外事業部、法務、人事など多くの部署が関わるため、調整業務が複雑になりがちです。
担当者が板挟みになりやすいのも、このプロジェクト特有の構造によるものです。

さらに、企業全体の海外戦略と直結するため「失敗できない」という心理的プレッシャーも不安要因になります。

しかし、これらの不安は決して特別ではありません。グローバルサイトは複数の専門領域が交わるプロジェクトであり、経験の浅い担当者が迷うのは当然です。
次のセクションでは、こうした不安を解消し、プロジェクトを成功へ導くための視点について解説していきます。

プロジェクトを成功へ導くための基本視点

グローバルサイト構築は、国内サイトとは比べものにならないほど検討すべき領域が多く、最初に「どこを軸に考えるか」を押さえることが成功の鍵になります。
ここでは、担当者が意識すべき3つの視点を紹介します。

  1. サイト完成ではなく目的を起点にする
    グローバルサイトの本質は、企業の理想像や解決したい課題を形にすることです。
    ブランド発信、ガバナンス統一、情報整理、海外採用など目的が曖昧だと、コンテンツも設計もブレてしまいます。
    まずはチームで「何のために作るのか」を共通認識にすることが重要です。
  2. 翻訳ではなく現地化(ローカライゼーション)で考える
    「日本語サイトを英語に変換すればよい」という考え方では失敗します。
    国によって文化も表現もUIのルールも異なるため、以下のような海外ユーザーに合わせた最適化が必要です。
    • 表記・通貨・日付・記号の違い
    • 直訳では伝わらない文章
    • 日本に特有の情報設計・装飾
  3. 構築だけでなく運用まで見据える
    グローバルサイトは公開して終わりではありません。
    多言語更新フロー、翻訳・承認のプロセス、CMS構造、現地法人との役割分担など、運用設計が成功の持続性を決めます。最初の段階で運用まで考えておくことで、後の混乱を防げます。

この3つの視点は、プロジェクトが迷わず進むための基盤になります。

グローバルサイトの目的を明確にする:ブランディングと課題解決

グローバルサイト構築で最も陥りやすいのが、「サイトを完成させること」自体が目的になってしまうことです。
プロジェクトが進むにつれ、デザインや翻訳など作業に意識が向きやすく、本来のゴールを見失いがちです。
しかし、本当に重要なのは、企業として目指すべき姿や解決したい課題を実現する手段としてグローバルサイトを位置づけることです。

  • ブランドをどう見せたいのか
  • 何の課題を解決したいのか
  • 誰に、どんな価値を届けたいのか

こうした目的を最初に明確にしておくことで、個々の判断がブレず、関係者間の認識も揃えやすくなります。

グローバルサイトが必要とされる理由

企業がグローバルサイトを必要とする背景には、いくつかの明確な課題があります。
まず、拠点や言語ごとに個別のサイトを運用していると、ブランドメッセージが国ごとに異なって伝わり、企業としての一貫性が損なわれがちです。
また、複数拠点でバラバラに更新作業を行うと、コンテンツ管理が非効率になり、情報の重複や齟齬が生まれやすくなります。

さらに、グローバル市場で信頼される企業であるためには、正確で統一された一次情報を提供できる体制が不可欠です。

グローバルサイトは、こうした課題を解消し、ブランド価値の向上や信頼性の確立につなげるための基盤として必要とされています。

グローバルサイト構築の主な目的

グローバルサイトは、単に情報を英訳して公開するためのものではなく、企業の海外戦略を支える重要な基盤です。多くの企業は、次の4つの役割を期待して構築を進めています。

  1. グローバルブランディングの強化
    国や地域に関係なく、企業のメッセージや価値観を一貫して発信し、ブランドの信頼性を高める役割を担います。
  2. 情報発信のガバナンス統一
    現地法人や地域ごとにバラつきがちな情報や表現ルールを、本社基準で統一・管理するための仕組みとなります。
  3. 世界向けの情報ハブとして機能
    投資家・顧客・メディアなど、世界中のステークホルダーが最初にアクセスする入口として、企業の重要情報を集約します。
  4. 海外人材を惹きつける採用ブランド強化
    企業の理念・文化・働き方を伝えることで、優秀な海外人材の獲得にもつながります。

企業が求める4つの役割とローカルマーケティングとの違い

グローバルサイトは、海外向けに翻訳した情報を掲載するだけの場所ではなく、企業のグローバル戦略を支える重要な基盤です。
企業がとくに重視するのは「ブランドを世界に一貫して伝えること」「情報発信を本社基準で統一すること」「世界のステークホルダーが必要な情報にアクセスできるハブとして機能すること」、そして「海外人材を惹きつける採用ブランドを形成すること」です。

  1. ブランドを世界に一貫して伝えること
    国や地域ごとに文化が異なっても、企業として大切にしている価値観やメッセージを統一した形で発信し、ブランドの信頼性を高めます。
  2. 情報発信を本社基準で統一すること
    海外拠点や現地法人が増えると、情報や表現にばらつきが生まれがちです。グローバルサイトは本社の方針を基準に情報を整理し、企業としての一貫性を保つ役割を果たします。
  3. 世界のステークホルダーが情報にアクセスできる拠点となること
    投資家、メディア、顧客、求職者など、世界中のユーザーがまず訪れる「企業の入口」として、重要な一次情報を集約する役割をもちます。
  4. 海外人材を惹きつける採用ブランドを形成すること
    企業文化や理念を正しく伝えることで、優秀な海外人材から「働く価値のある企業」として認識され、採用競争力の向上につながります。

また、グローバルサイトは海外での販促活動を担うローカルマーケティングとは目的が異なります。広告やプロモーションは国ごとに最適化されるべきものですが、企業としての価値観やメッセージといった変えてはいけない核は、グローバルサイトで統一して発信する必要があります。

企業がグローバルサイトに求める4つの役割を一覧で示した図。ブランドの一貫した発信、本社基準での情報統一、世界のステークホルダーが情報にアクセスできる拠点化、海外人材を惹きつける採用ブランド形成の4点を整理している。

こうした役割を理解することで、グローバルサイトが単なる翻訳サイトではなく、企業の軸となる情報・ブランドを支える戦略的な存在であることが明確になります。

英語サイトとの決定的な違い:単なる翻訳では伝わらない

「日本語サイトを英語に翻訳すれば海外向けサイトになる」と考えられがちですが、翻訳だけでは意図が伝わらず、読みづらさや違和感につながることがあります。

グローバルサイトに必要なのは、言語だけでなく、文化的背景やUIの前提まで含めて現地ユーザー視点で再設計することです。
つまり、翻訳版の英語サイトではなく、世界のユーザーに合わせて再設計したサイトである必要があります。

本章では、その中核となる「ローカライゼーション」と、「デザイン・情報設計」のポイントを解説します。

翻訳では不十分な理由とローカライゼーションの重要性

直訳は、ネイティブにとって不自然だったり、意図がずれて伝わったりすることがあります。背景にあるのは、言語だけでなく、表記や記号、情報の受け取り方といった前提が国や地域で異なる点です。

そのため必要なのは翻訳ではなく、海外ユーザーが自然に理解できる形へ最適化するローカライゼーション(現地化)です。

翻訳だけでは不十分である理由を示した図。並び順、地図の基準、記号の使い方、日付や通貨などの表記形式といった点で、日本と海外では前提が異なることを例示している。

並び順の違い
日本語の五十音順ではなく、海外ではアルファベット順が基本

地図の基準
日本中心の地図ではなく、世界標準であるイギリス中心図法が一般的

記号の使い方
丸印(◯)はチェックマークに、バツ印(×)は空欄やハイフンに置き換える

表記形式の違い
日付(YYYY/MM/DDなど)や通貨の表記は国ごとの慣習に合わせる

このような点を、海外ユーザー視点で自然に見える形に調整して初めて、情報が正しく伝わります。
これらの視点をもたないまま、翻訳だけでグローバルサイトを構築すると、企業が伝えたいメッセージが届かず、結果として信頼性を損ねてしまう可能性があります。

世界標準に合わせる表記・情報設計・デザインのポイント

グローバルサイトでは、必要な情報をすばやく理解できるシンプルで直感的な設計が重視されます。さらに、前の章で紹介した例についても、並び順や記号、日付・通貨の表記、地図の基準など、表記やUIの前提そのものが国や地域によって大きく異なります。

日本のWebで見られがちな「情報の詰め込み」や「注釈の多用」、「過度な装飾」は、海外ユーザーにとって負荷になりやすく、読みづらさや混乱につながることがあります。

重要度に応じて情報を整理し、余白やタイポグラフィを活かして視線誘導を設計することがポイントです。加えて、文化や表記の違いを踏まえ、現地のデザイナーやライターの知見を取り入れることで、世界標準の体験に近づけられます。

まとめ:グローバルサイトは「翻訳」ではなく「世界に向けた設計」である

これまでお伝えしてきたように、グローバルサイト構築で最初に押さえるべきポイントは、次の3つに集約されます。

  1. サイト完成ではなく「目的」を起点にする
    グローバルブランディング、情報発信の統一、世界向けの情報ハブ、海外採用強化など、何を実現するためのサイトなのかを先に定義することで、設計・コンテンツ判断がブレにくくなります。
  2. 翻訳ではなくローカライゼーション(現地化)で考える
    文化や表記、UIの前提が異なる以上、直訳だけでは情報は正しく伝わりません。海外ユーザーが自然に理解できる形へ、表現・情報設計・デザインを最適化する視点が不可欠です。
  3. 世界標準の表記・情報設計・デザインに合わせる
    日本のWebで起こりがちな「情報の詰め込み」「注釈の多用」「過度な装飾」は、海外ユーザーにとって読みづらさや混乱につながりやすい傾向があります。必要な情報を優先し、シンプルで直感的に理解できる設計へ寄せることが重要です。

ここまでの内容は、プロジェクトの“土台”にあたる考え方です。
次回、後編(実践・設計編)では、この前提を踏まえたうえで、法規制・プライバシー・アクセシビリティへの対応、CMS・アーキテクチャの選定、グローバルガバナンスと運用体制の設計を、実践ロードマップとして整理します。

こうした考え方を踏まえたグローバルサイト構築を進める中で、判断に迷う場面は少なくありません。Business Architects(ビジネス・アーキテクツ)では、構想から運用まで一貫した支援を行っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。