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IT運用の混乱を仕組みで止める。情シス業務を安定させる改善プロセス

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プロフィールアイコン(イラスト):メンバー 澁谷
澁谷サービスサポートグループ/メンバー(ビジネス・アーキテクツ)

航空自衛隊で整備職に従事し、在籍中にコンピューターや機械の基礎知識を習得。その後、IT系専門学校でインフラ関連の基礎知識を学び、卒業後はSIerでネットワーク系サービスの運用保守を経験しました。さらに転職を経て、事務職や情報システム部門での業務にも携わり、2025年にビジネスアーキテクツに入社。現在はサービスサポートグループで情報システム関連の業務を担当しています。

社内ITを専任で見られる人がいない、あるいは他業務と兼務している場合、IT運用は業務の幅が広がるほど複雑になりがちです。
問い合わせの経路が統一されていなかったり、申請に必要な情報が揃わなかったり、アカウント管理が追い付かなくなったり――日々の業務の中で、少しずつ負荷が積み重なっていきます。

こうした状況を落ち着いて回していくには、担当者の頑張りだけでなく、情報の整理や流れを整える仕組み化が欠かせません。

本記事では、情シスが抱えやすい悩みと、それに対してBusiness Architects(ビジネス・アーキテクツ、以下BA)ではどのように改善してきたのかを、実例を交えながら紹介します。

IT運用の混乱を仕組みで止める。情シス業務を安定させる改善プロセス

はじめに:社内IT運用における課題と仕組みづくり

社内のIT運用を安定させるには、担当者のスキルや記憶に頼るのではなく、誰が対応しても一定の品質で回る仕組みを整えることが重要です。この仕組みがあることで、情シス業務は安定して回るようになります。

社内IT運用で起きやすい課題

会社の成長や利用するツールの増加にともない、情シスが扱う問い合わせ・申請・アカウント管理などの業務は加速度的に複雑化していきます。

こうした状況下で対応ルートや記録方法が整理されていないと、情報の抜け漏れが発生し、業務が回りにくくなるという悪循環に陥りやすくなります。

社内IT運用を安定させるための仕組みづくり

個人の経験や記憶に頼った対応では、その人が不在のときに業務が止まってしまうなど、安定性を保つのが難しくなります。

誰が対応しても一定の品質でスムーズに回る仕組みを整えることこそが、情シス業務を安定させるための重要な土台となります。

IT運用を安定させる「仕組み」の全体像

業務を安定させる土台づくり

仕組み化の第一歩は、日々の問い合わせや定型作業を誰でも再現できる形に落とし込むことです。ここが揺らいでいると、どんなに便利なツールを入れても運用は安定しません。

Before:属人運用に頼りがちな状態

手順がチャットの過去ログや個人の記憶にしかないと、対応のたびに正解を探す手間が発生します。
特定の人にしか分からない業務が多いことは、属人化を招くだけでなく、担当者が不在の際に業務が止まるリスクに直結します。

After:マニュアル整備による対応基準の統一

主要な業務をドキュメント化し、全員がアクセスできる場所に集約することで、誰が担当しても対応の質を一定に保つことができます。

これにより、対応のばらつきがなくなるだけでなく、新任者の教育コストも大幅に削減されます。

BAでの改善例:情シスマニュアルサイトを整備し、業務手順を一元化

BAでは、社内専用のポータルサイトを用いて情シス専用のマニュアルサイトを構築し、各ツールのユーザー追加方法や日常的な定型業務まで、ほぼすべての手順を集約しています。

実際、入社1年目の担当者が「マニュアルを見ながら一度先輩に教わるだけで、次からは一人で対応できるようになった」という実例もあり、情報の集約がスムーズな業務の引き継ぎと安定運用に大きく貢献しています。
新しい作業が発生した際も、このサイトに追記していく運用を徹底することで、情報の鮮度を維持しています。

問い合わせ対応を見える化する仕組み

情報システム部門には、日々多種多様な問い合わせが寄せられます。
これらを個人の判断だけで処理せず、入り口を整えてチーム全体で状況を可視化することが、対応漏れやナレッジ不足を防ぐ第一歩です。

Before:問い合わせ経路が散乱している状態

メール、チャット、口頭など、問い合わせの入り口が複数に分かれていると、情報はあちこちに散在してしまいます。

こうした状況下では、対応の漏れや重複が発生しやすくなるだけでなく、「いつ、誰が、どう判断したか」という経緯が残りにくいため、後から情報を掘り起こすのが難しくなります。

After:入口の整理と履歴管理の一元化

問い合わせの窓口を特定のルート(専用チャンネルやフォームの設置など)に整理し、情報を一つの管理ツールへ集約します。

入り口を絞ることで、ほぼすべての案件に対応の経緯と結果を確実に記録できるようになります。
さらに、対応状況が一覧化されるため、チーム内での共有がスムーズになり、蓄積されたデータは全員が参照できるナレッジベースとしても活用できます。

問い合わせが届いてから管理ツールへ集約されるまでの運用フロー図

BAでの改善例:問い合わせ対応をタスク化し、進行状況と履歴を一元管理

BAでは、情シスへの問い合わせ専用チャットを設け、ここに届いた問い合わせを担当メンバーがタスク管理ツールへ起票しています。

これは、誰がどのタスクをどこまで進めているかという進行管理を行うためです。
あわせて、対応のプロセスを記録に残すことで、チーム内のナレッジとしても蓄積しています。

たとえば、以前と同じ不具合が起きた際、別の担当者であっても過去の履歴を追うことで、当時の対応内容を確認しながら迅速に動くことができるようになっています。

申請を確実に受け取るフロー整備

アカウント発行や備品購入などの申請業務は、正確さとスピードの両立が求められます。入り口となる窓口のフォーマットを整え、承認プロセスを可視化することで、確認に要する工数を削減し、スムーズな実務着手が可能になります。

Before:情報の過不足により何度もやり取りが発生

チャットやメール等でバラバラに依頼が届く状態では、詳細な設定内容や利用開始日などの必須情報が不足しがちです。

その結果、不足している情報を補うためのヒアリングが繰り返し発生し、情シス・ユーザー双方の作業時間を圧迫する要因となってしまいます。

After:受付窓口の集約とフォーマット化

申請窓口を1か所に集約し、入力項目をあらかじめ定型化することで、最初から「作業に必要な情報がすべて揃った状態」で依頼を受け取ることが可能になります。

また、利用するサービスによっては承認プロセスを組み込むことができるため、誰が承認したのか、今どこで止まっているのかといった進捗も把握しやすくなります。

BAでの改善例:ワークフローシステムで申請窓口を集約し、申請内容を標準化

BAでは社内の申請業務を一元管理するワークフローシステムを活用し、あらゆる申請を集約しています。

主要ツールのユーザー追加申請などは、作業に必要な項目をすべてフォーム内で必須回答に設定し、確認や差し戻しの手間を最小限に抑える運用を行っています。
また、情シス内部の作業フローも、

  1. 申請者の所属長による承認
  2. 情シス担当者の作業完了
  3. 別の情シス担当者によるチェック

上記のようなステップをすべてシステム上で完結させています。この組織的なダブルチェック体制によって、高い正確性と業務の透明性を維持しています。

アカウント・権限管理を整理する仕組み

情報の鮮度を保ち、不要なコストやセキュリティリスクを抑えるためには、誰がどの権限を持っているかを常に把握できる仕組みが重要です。

Before:管理対象の増加による全体像の不透明化

利用するSaaSや業務ツールが増えるにつれ、アカウントの付与・剥奪の対象は広がり続けます。利用状況や権限設定が可視化されていないと、不要なアカウントや未使用のライセンスが残り続け、コスト増やセキュリティリスクを招く要因になります。

また、組織の変更や人の動きにあわせて情報を更新する際、複数部門の担当者が関わると進捗が不透明になりやすく、対応漏れが起きやすい状況を生み出す一因となります。

After:管理情報の集約と、更新プロセスの確立

散在しているアカウントやライセンスの付与状況を一覧化し、1か所に集約することで、常に最新の状況を把握できる状態を維持できます。
定期的な棚卸しを運用フローに組み込めば、不要な権限を適時整理するサイクルが生まれます。

また、作業が複数の担当者や部門にわたる場合でも、共通の進捗管理ルールを設けることで、対応の停滞や漏れを防ぐ体制の構築が可能になります。

BAでの改善例:管理システムと共有台帳を活用した管理情報の集約

BAでは、情報の性質に応じて記録場所と運用を使い分けています。

アカウントや権限の付与状況は、柔軟に情報を集約できる共有の管理台帳で一覧化しています。一部のライセンス管理には資産管理システムを活用し、棚卸しの際のデータ照合をスムーズに行えるようにしています。

一方、入退社などの進捗管理が必要な場面では、コーポレート部門と共有の入退社管理表を活用しています。アカウント作成やPC準備といった各作業項目を、両部署の担当者がリアルタイムに埋めていくスタイルです。

このように情報の蓄積と作業の進行をそれぞれ適切な形で可視化することで、漏れのない確実な運用を維持しています。

まとめ:情シス運用を無理なく回すために

情シスの日常運用は、マニュアル整備・問い合わせ対応・申請フロー・アカウント管理など、細かな仕組みづくりの積み重ねで安定性が大きく変わります。

一つひとつの工夫はシンプルに見えますが、それらが組み合わさることで、担当者の属人化を防ぎ、トラブルに強い組織の土台となります。
まずは現在の運用の中で、少しでも型化できる部分がないか、見直してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

IT運用に悩んだときの選択肢として

すべてを一度に整える必要はありませんが、以下のような状況に心当たりがあれば、今回ご紹介した仕組み化の考え方が一つのヒントになるかもしれません。

  • 問い合わせ対応が特定の人に集中している
  • 申請内容の不備によるやり取り(差し戻し)が多い
  • アカウントや権限の管理状況に不安がある

BAでは、こうした社内ITの取り組みとは別に、企業のIT運用をサポートするサービスも展開しています。
自社で運用を回すための体制づくりや、効率化のためのツール選定・導入支援など、私たちの経験を活かしたサポートが可能です。

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そんな場面で、ビジネス・アーキテクツのIT運用支援サービスを選択肢の一つとして活用してみませんか?