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ビデオ会議が盛り上がらない時には、オープンダイアローグはいかが?

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昆野
(ビジネス・アーキテクツ/プロダクションUNIT)

Web業界歴20年以上、マーケティングをベースとしてWebディレクター、プロデューサーとして数々のプロジェクトを経験。Web業界の酸いも甘いも嚙み分けた結果、Web人材の案件への適正マッチングこそがプロジェクトの成否を決めるという持論にたどり着く。Web人材の地位向上を目指す考えに共鳴し2020年BA入社。色々な人と会って相談を聞く仕事です。

プロフィールアイコン(写真):昆野

ビデオ会議を行うようになってから、「参加者の発言が減った」という話を耳にします。特に、複数の参加者がいるミーティングでは、相手の様子や場の空気を掴むことが難しいせいか、その傾向があるようです。

そこで注目したいのが、精神医療の現場で利用されている「オープンダイアローグ」。対話(ダイアローグ)を活性化させるメソッドの一部が、近年ではビジネスに活用されつつあります。

"開かれた対話"を実現させる「7つの原則」

オープンダイアローグはフィンランドの病院で発祥した、統合失調症患者への治療的介入の一つです。

統合失調症の患者は幻覚や妄想を見るようになり、社会生活を送ること、自らの状況を把握することが困難になります。この状態を改善するために、オープンダイアローグ(開かれた対話)では患者とその家族、専門家が車座になっておしゃべりを繰り返します。そこでは、今後の治療方針などが隠さずに語られ、患者の心を開いていくことで、その症状を緩和させることに成功しているのです。

この、対話の場を整えることが、オープンダイアローグの肝となる部分です。国内で同メソッドの普及活動を行っている「オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン」が公開しているガイドラインでは、その「7つの原則」が紹介されています。

出典 : オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン. オープンダイアローグ 対話実践のガイドライン. 第1版, 2018, (参照 2020-10-28)
  • 即時対応:必要に応じてただちに対応する
  • 社会的ネットワークの視点を持つ:つながりのある人々を皆、治療ミーティングに招く
  • 柔軟性と機動性:その時々のニーズに合わせて、どこででも、何にでも、柔軟に対応する
  • 責任を持つこと:治療チームは必要な支援全体に責任を持って関わる
  • 心理的連続性:クライアントをよく知っている同じ治療チームが、最初からずっと続けて対応する
  • 不確実性に耐える:答えのない不確かな状況に耐える
  • 対話主義:対話を続けることを目的とし、多様な声に耳を傾け続ける

このうち、対話の具体的な方針となる「不確実性に耐える」、そして「対話主義」が、近年ではビジネスの現場で注目されています。

「不確実性に耐える」のは、対話においてシナリオなどを用意しないということ。とにかく患者に自由に話をしてもらい、時に相槌を打ち、質問をすることで、話を続けることを大切にします。そのためにも、医者が目上に立って何かを説明するのではなく、同じ目線で話すことを、オープンダイアローグでは重視しているのです。

オープンダイアローグに通じるブレストの鉄則

では、このオープンダイアローグを、どのようにビジネスの現場に落とし込めばよいのでしょうか。ここで注目したいのがブレインストーミングの4原則です。

  • アイデアの良し・悪しを判断しない
  • 自由奔放を歓迎する
  • 意見の量(数)を求める
  • 他人のアイデアとの結合を求める

さらに、シリコンバレーのデザインファームIDEOでは、これを改良した7つのルールを定めていると言われています。

ブレインストーミングの7つのルール

  • Defer Judgment・・・判断を延期する
  • Encourage Wild Ideas・・・ワイルドなアイデアを奨励する
  • Build on the Ideas of Others・・・他の人のアイデアに基づいて構築する
  • Stay Focused on Topic・・・トピックに集中し続ける
  • One Conversation at a Time・・・一度に1つの会話
  • Be Visual・・・視覚的であること
  • Go for Quantity・・・数量を求める

突飛な意見も歓迎し、それが「ダメ」だとすぐに判断せず、不用意に会話に割って入らない……。これらは相手を尊重するオープンダイアローグに通じるところがありそうです。

ビジネスにおいて有効な対話のフォーマットとは?

大阪ガス エネルギー・文化研究所 主席研究員で、神戸親和女子大学 発達教育学部 心理学科 非常勤講師などを務める鈴木隆氏は、著書『仕事に効くオープンダイアローグ』の中で、こんな定義をしています。

出典 : 鈴木隆. 仕事に効くオープンダイアローグ 世界の先端企業が実践する「対話」の新常識. 初版. KADOKAWA, 2019, 256p

オープン・・・壁をつくらず、とらわれず
ダイアローグ・・・問うて気づき、応えて学び合う

さらに、ビジネスにオープンダイアローグを取り入れるには、5つのポイントがあるとしています。それが、「多様性」「主体性」「傾聴」「質問」「内省」です。

既存概念にとらわれず、自分の意見を持つこと。その上で、他人の意見を聴く姿勢を大事にして、そこに疑問を見つけて問いかけ、最終的には自分の意見を振り返る。これは、ブレインストーミングをはじめとする、一連のビジネスにおける会議を活性化させる上で、一つのフォーマットとなりそうですね。

ただ、相手や自身の心に「問いかける」には、具体的なテクニックが必要となります。5W1Hや「ドラッカーの5つの質問」(※1)、「コルトハーヘンの8つの窓」(※2)などを駆使して、新たな疑問や課題を見つけていけば、さらに会議を活性化させることができるでしょう。

  • ドラッガーの5つの質問:「我々の使命は何か?」、「我々の顧客は誰か?」、「顧客にとっての価値は何か?」、「我々の成果は何か?」、「我々の計画は何か?」
  • コルトハーヘンの8つの窓:DO(何をしたのか)、Think(何を考えたか)、Feel(何を感じたか)、What(何をしたかったか)を、自分と他人のそれぞれに問うことで、状況を把握するメソッド

ディスカッションは"疑問を残したまま終わる"のが理想?

鈴木氏の著書の中では、対話(ダイアローグ)が有効に働いた例として、ハーバード大学のロースクール(法科大学院)が紹介されていました。

その授業はディスカッションを中心に行われるのですが、教師は自らの結論を言うことはなく、生徒と一緒になって互いに学び合うという姿勢を大事にしているそうです。質問を繰り返すことで、生徒の思考における盲点や弱点を指摘することに徹する。これによって、生徒は異なる視点からの意見に触れることになり、自ら考えて学ぼうという姿勢が芽生えます。

その上で、授業では最終的により多くの疑問を学生の心に残すことを理想としています。そのことも一因になっているのか、大学内では「ブラウンバッグ・ミーティング」という、ランチがてらの気軽なディスカッションが、生徒の間で日常的に行われているようです。

まとめ

相手の様子が分かりにくいビデオ会議では、時に自分の主張を言うだけになったり、逆に自分の意見を切り出しにくい状況もあるかもしれません。そのような時はオープンダイアローグの理念を思い返したり、それを参加者と共有してみてはいかがでしょうか。低調気味だったビデオ会議が、ぐっと盛り上がるかもしれませんよ。

参考
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