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Webプロジェクト成功の鍵!実践的プロジェクトマネジメント術

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プロフィールアイコン(イラスト):マーケター 山本
山本セールス&マーケティンググループ/マーケター(ビジネス・アーキテクツ)

South Carolina州 Winthrop University 卒業(心理学)。 広告代理店にて自動車メーカーの商品広告・マーケティング業務に携わった後、インターネットベンチャー、CRM・DRMエージェンシーにて、化粧品、マンション販売・管理、銀行、IT事業会社など様々な企業のCRM戦略策定やサイト/アプリ/メール/DMなどお客さま接点全体のコミュニケーションの最適化など、マーケティングコミュニケーション×テクノロジー×クリエイエティブ三位一体の実践的マーケティングにこだわり、多岐に渡る業務に従事する。

ビジネス環境において、プロジェクトマネジメントは目標達成に不可欠なスキルです。しかし、多くのプロジェクトが期待通りの成果を上げられずに終わってしまうのも事実です。では、プロジェクトを成功に導くためには、具体的にどのような点に注意すればよいのでしょうか?

本コラムでは、プロジェクトの安定的な推進のための重要なポイントを解説し、プロジェクトマネジメントの基本項目から、スコープ、コミュニケーション、品質、リスク、調達の管理まで、実践的なアプローチをご紹介します。

Webプロジェクト成功の鍵!実践的プロジェクトマネジメント術

PMBOKの限界:プロジェクトマネジメントにおける万能薬ではない理由

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)は、プロジェクトマネジメントの知識体系として広く認知され、多くのプロジェクトで参照されています。PMBOKは、プロジェクトマネジメント協会(PMI)が発行するプロジェクトマネジメントのベストプラクティスを体系的にまとめたもので、プロジェクトマネージャーの共通言語として活用されています。

しかし、PMBOKは万能ではなく、その適用には限界があることも事実です。

PMBOKの限界

柔軟性の欠如:
PMBOKは包括的なフレームワークですが、全てのプロジェクトに画一的に適用できるわけではありません。プロジェクトの規模や特性によっては、過剰なプロセスやドキュメントを要求し、柔軟性を損なう可能性があります。

複雑性:
PMBOKは多くの知識エリアとプロセスで構成されており、その複雑さから理解や適用が難しいと感じるプロジェクトマネージャーもいます。特に、経験の浅いプロジェクトマネージャーにとっては、PMBOKをそのまま適用することが負担になる場合があります。

変化への対応とアジャイル導入の留意点:
かつてPMBOKは固定的なプロセスに偏りがちで、変化の速いアジャイル型プロジェクトへの対応が課題とされていました。最新版では、12の原則や8つのパフォーマンス領域の導入、価値提供の重視、テーラリングの推奨など、柔軟性を高める大幅な改定がなされています。

しかし、これらの新しい概念を現場で効果的に活かすには、プロジェクトチーム自身がその本質を深く理解し、状況に応じて適切にテーラリング(最適化・調整)する能力が不可欠です。この適用能力が伴わない場合、依然としてPMBOKの恩恵を十分に受けられず、変化への機敏な対応が難しいという状況は残ります。

網羅性の限界:
PMBOKはプロジェクトマネジメントの知識体系として有用ですが、全ての業界、全てのプロジェクトを網羅しているわけではありません。プロジェクト固有のリスクや課題に対応するためにはPMBOKを参考にしつつ、状況に応じた知識や経験が求められます。

PMBOKをより効果的に活用するために

PMBOKの限界を理解した上で、より効果的に活用するためのポイントを以下に示します。

プロジェクトの特性に合わせたカスタマイズ:
PMBOKをそのまま適用するのではなく、プロジェクトの規模、特性、リスクなどを考慮し、必要なプロセスやツールを柔軟に選択・カスタマイズすることが重要です。

アジャイル型プロジェクトマネジメントとの組み合わせ:
変化への対応が求められるプロジェクトでは、PMBOKとアジャイル型プロジェクトマネジメントを組み合わせることで、より効果的なプロジェクトマネジメントが可能です。

プロジェクトマネージャーの経験と知識:
PMBOKはあくまでガイドであり、プロジェクトマネージャーの経験と知識がプロジェクトの成功を左右します。PMBOKを参考にしつつ、状況に応じた判断と行動が求められます。

PMBOKを基礎知識とする:
PMBOKは、プロジェクトマネジメントの基礎知識を理解するための、有用な知識体系です。PMBOKで得られた知識を基礎として、実際のプロジェクトの状況に合わせて応用していくことが重要です。

全てのプロジェクト推進において重視すべきこと

前の章では、PMBOKが持つ利点と限界、そしてそれを効果的に活用するための考え方について解説しました。PMBOKは有用な知識体系ですが、プロジェクトの特性や状況に応じて柔軟に適用することが成功への鍵となります。

この章では、PMBOKの考え方を活用しつつ、全てのプロジェクト推進において重視すべきことを9つの観点で説明します。 具体的には、明確な目標設定と計画から始まり、プロジェクトを円滑に進めるための効果的なコミュニケーション、そしてプロジェクトの方向性を定めるスコープ管理について掘り下げます。さらに、チームの力を最大限に引き出すチームワークとリーダーシップ、状況変化に柔軟に対応する進捗管理と柔軟性、成果物の品質を担保する品質管理、予期せぬ事態に備えるリスク管理、必要な資源を確保する調達管理、そして最後に、効率的なプロジェクト推進をサポートするプロジェクト管理ツールの活用という9つの重要なポイントについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

1:明確な目標設定と計画:プロジェクト成功の基盤

成功するプロジェクトの基盤は、明確な目標設定と綿密な計画にあります。

  • 目標の明確化
    • プロジェクトの目的、達成すべき成果、成功の基準を具体的に定義します。
    • 関係者全員が共通認識を持てるように、目標を共有します。
  • 計画の策定
    • WBS(Work Breakdown Structure)を活用し、プロジェクトをタスクレベルまで細分化します。
    • 各タスクの担当者、期限、必要なリソースを明確にします。
    • ガントチャートなどを用いて、スケジュールを可視化します。
  • リスク管理
    • プロジェクトに影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、対策を立てます。

リスクの発生状況を定期的に監視し、必要に応じて計画を修正します。

2:効果的なコミュニケーション:プロジェクトを円滑に進める鍵

プロジェクト関係者間の円滑なコミュニケーションは、成功の鍵を握ります。

  • コミュニケーション計画
    • コミュニケーションの頻度、手段、内容を計画します。
    • 定期的なミーティングや進捗報告会を実施します。
  • 情報共有
    • プロジェクトの進捗状況、課題、変更点などを関係者間で共有します。
    • 情報共有ツールを活用し、効率的なコミュニケーションを図ります。
  • フィードバック
    • 関係者からのフィードバックを積極的に収集し、プロジェクトに反映させます。
    • 問題が発生した場合は、早期に共有し、解決策を検討します。

プロジェクト内外の関係者との効果的なコミュニケーションは、プロジェクトを円滑に進めるために不可欠です。プロジェクトマネージャーは、情報伝達を迅速かつ正確に行い、関係者間の誤解やコミュニケーションギャップを防ぐ必要があります。定期的な報告会議や進捗状況の共有は、関係者の期待値を調整し、プロジェクトへの支持を得るために役立ちます。

3:スコープ管理:プロジェクトの方向性を定める

プロジェクトの目標と範囲を明確に定義することも、プロジェクト成功の重要な要素です。スコープが不明確な場合、プロジェクトは方向性を失い、コスト超過やスケジュール遅延につながる可能性があります。プロジェクトマネージャーは、プロジェクト開始時にスコープを明確に定義し、プロジェクト全体を通してスコープを管理する必要があります。

4:チームワークとリーダーシップ:目標達成への牽引

プロジェクトチームの結束とリーダーシップは、プロジェクトの成功に不可欠です。

  • チームビルディング
    • チームメンバーのスキル、経験、役割を考慮し、最適なチームを編成します。
    • チームメンバー間の信頼関係を築き、協力体制を構築します。
  • リーダーシップ
    • プロジェクトマネージャーは、リーダーシップを発揮し、チームを牽引します。
    • チームメンバーのモチベーションを高め、目標達成に向けて導きます。
    • 関係各所とのネゴシエーションや意見の調整も行います。

5:進捗管理と柔軟性:状況変化への対応

プロジェクトの進捗状況を把握し、必要に応じて計画を柔軟に修正することが重要です。

  • 進捗管理
    • KPI(Key Performance Indicator)を設定し、プロジェクトの進捗状況を定量的に評価します。
    • 進捗状況を定期的に確認し、遅延や問題が発生した場合は、早期に対処します。
  • 柔軟性
    • 計画通りに進まない場合も想定し、柔軟な対応策を準備します。
    • 状況の変化に応じて、計画を適切に修正します。

6:品質管理:成果物の品質を維持する

プロジェクトの成果物の品質を維持することも、プロジェクトマネージャーの重要な役割です。品質管理には、テスト計画の策定、テストの実施、テスト結果の評価などが含まれます。プロジェクトマネージャーは、品質基準を設定し、成果物がこれらの基準を満たしていることを確認する必要があります。

7:リスク管理:予期せぬ問題への備え

プロジェクトには、予期しない問題やリスクがつきものです。プロジェクトマネージャーは、これらのリスクを特定し、評価し、対応策を計画する必要があります。リスク管理は、プロジェクトを成功させるために不可欠なプロセスです。

8:調達管理:必要な資源を確保する

プロジェクトに必要な資源を調達することも、プロジェクトマネージャーの重要な役割です。これには、ソフトウェアやハードウェアだけでなく、社内外のプロジェクトリソースやサービスも含まれます。プロジェクトマネージャーは、最適な資源を選定するために、明確な判断基準と業界知識をもつ必要があります。

9:プロジェクト管理ツールの活用:効率的なプロジェクト推進

プロジェクト管理ツールを活用することで、効率的かつ効果的にプロジェクトを推進できます。

  • タスク管理ツール
    • Asana、Trello、Jiraなど
    • タスクの進捗状況を可視化し、チーム全体のタスク管理を効率化します。
  • コミュニケーションツール
    • Slack、Microsoft Teamsなど
    • リアルタイムなコミュニケーションを可能にし、情報共有をスムーズにします。
  • スケジュール管理ツール
    • Backlog、Redmineなど
    • ガントチャートなどを利用し、プロジェクト全体のスケジュールを可視化します。

プロジェクトマネジメント成功に向けて最低限意識したい8つの管理項目

プロジェクトマネジメントの成否は、基本となる3つの項目と、それを支える5つの管理項目を適切にマネジメントできるかどうかにかかっています。これらの項目をバランス良くコントロールすることで、プロジェクトを成功に導くことが可能になります。

補完関係にある3項目:プロジェクトマネジメントの根幹

プロジェクトマネジメントの基本となる3つの管理項目は、時間、費用、組織であり、これらは互いに補完し合う関係にあります。

  • 時間 (Time Management)
    プロジェクトは、設定された期間内で目標を達成する必要があります。そのため、日々の進捗状況を正確に把握し、遅延が発生しないように、常に次のアクションを計画しておくことが重要です。スケジュール管理ツールなどを活用し、タスクの依存関係やクリティカルパスを明確にすることで、効率的な時間管理が可能になります。
  • 費用 (Cost Management)
    プロジェクトを予算内で完了させるためには、適切なコスト管理が不可欠です。プロジェクトマネージャーは、人件費、材料費、外注費など、プロジェクトに関わる全てのコストを把握し、予算超過にならないように管理する必要があります。予実管理を徹底し、定期的にコストの見直しを行うことで、予算内にプロジェクトを収めることができます。
  • 組織 (Structure Management)
    プロジェクトの工程や状況に応じて、最適なスキルをもつ人材を適切な場所に配置し、組織を最適化することが求められます。プロジェクトチームの編成、役割分担、コミュニケーション体制の構築など、組織マネジメントはプロジェクトの成功に大きく影響します。チームメンバーのモチベーションを高め、協力体制を構築することも、プロジェクトマネージャーの重要な役割です。

補完関係にあるプロジェクトマネジメント管理項目:時間 (Time Management)、費用 (Cost Management)、組織 (Structure Management)

これらの3項目は相互に密接に関連しており、1つの項目が変動すると、他の2つの項目に影響を与えます。例えば、プロジェクト期間を短縮しようとすれば、追加の人員や費用が必要になる場合があります。

プロジェクトマネージャーは、これらの項目のバランスを常に意識し、最適な状態を維持する必要があります。

その他の管理項目:プロジェクトを成功に導くための5つの柱

プロジェクトを成功させるためには、以下の5つの管理項目も重要です。

  • スコープ(Scope Management)
    プロジェクトの目的と目標、成果物を明確に定義することが、スコープ管理の基本です。スコープが不明確な場合、プロジェクトの方向性が定まらず、不要な作業が増えたり、成果物の品質が低下したりする可能性があります。プロジェクト開始時に、関係者と合意形成を行い、スコープを文書化することが重要です。
  • コミュニケーション(Communication Management)
    プロジェクト内部のチームメンバー間だけでなく、顧客やステークホルダーとの円滑なコミュニケーションは、プロジェクトを成功させるための重要な要素です。情報伝達を迅速かつ正確に行い、誤解や認識の齟齬を防ぐことが求められます。定期的な会議や報告会の実施、情報共有ツールの活用など、効果的なコミュニケーション計画を立てることが重要です。
  • 品質(Quality Management)
    プロジェクトの成果物が、要求された品質基準を満たしていることを保証することが、品質管理の目的です。テスト計画の策定、テストの実施、テスト結果の評価など、品質管理プロセスを適切に実施することで、高品質な成果物を提供することができます。
  • リスク(Risk Management)
    プロジェクトには、予期せぬ問題やリスクがつきものです。リスクを事前に特定し、分析し、対応策を計画することが、リスク管理の重要なプロセスです。リスク管理計画を作成し、定期的にリスクの見直しを行うことで、プロジェクトへの影響を最小限に抑えることができます。
  • 調達(Procurement Management)
    プロジェクトに必要な物品やサービスを外部から調達する場合、調達管理が必要になります。ソフトウェアやハードウェアだけでなく、外部の協力会社やコンサルタントの選定、契約交渉、調達品の受け入れなども、調達管理に含まれます。最適な調達先を選定するためには、明確な判断基準と業界知識が重要となります。

その他のプロジェクトマネジメント管理項目:スコープ(Scope Management)、コミュニケーション(Communication Management)、品質(Quality Management)、リスク(Risk Management)、調達(Procurement Management)

これらの8つの項目を適切にマネジメントすることで、プロジェクトを成功に導くことが可能となります。プロジェクトマネージャーは、これらの項目を常に意識し、状況に応じて柔軟に対応することが求められます。

プロジェクトの安定的な推進に向けて

プロジェクトマネジメントは、多くの項目を適切に管理する必要がある複雑なプロセスです。プロジェクトを成功させるためには、時間、費用、組織のバランスを取り、スコープ、コミュニケーション、品質、リスク、調達を適切に管理することが重要です。これらの項目を効果的に管理することで、プロジェクトを安定的に推進し、目標の達成を実現していきましょう。

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