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リモートワーク時代のプロジェクトマネジメント

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プロフィールアイコン(写真):ディレクター 森住
森住アカウント&ディレクショングループ/グループリーダー/ディレクター(ビジネス・アーキテクツ)

2003年よりビジネス・アーキテクツに参加。大規模サイトのフロントエンド実装で多くの実績を積む。2008年からは実装者として稼働する傍ら、フロントエンドディレクターとして大企業向けのコーポレートサイト、サービスサイトの実装要件定義、実装ガイドライン策定、アクセシビシティガイドライン策定など、プロジェクト初期段階から運用設計まで、フロントエンド領域の設計業務に携わる。2016年には、業種業態や規模の異なる複数のサイトを運用するための専任組織リテンション・デザイン部を立ち上げ、部長としてワークフロー策定からプロジェクト管理、組織マネジメント全般を担当。2017年より大手ICT企業のオンサイトチームに参加。サイト運用業務からオウンドメディア構築やイントラサイト構築・運用をディレクション。技術とトレンドの観点から提案し続けている。

近年、リモートワークは企業にとって不可欠な働き方となりました。この変化は、プロジェクトマネジメントのあり方にも大きな影響を与えています。従来の対面中心のマネジメント手法では対応しきれない新たな課題が浮上し、多くのプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーがその解決策を模索しています。

本記事では、リモートワーク環境下におけるプロジェクトマネジメントの課題を明確にし、それらを克服してチームを成功に導くための実践的な戦略とベストプラクティスを紹介します。

リモートワーク時代のプロジェクトマネジメント

働き方変革がもたらすプロジェクトマネジメントへの影響

リモートワークの普及は、私たちの働き方を大きく変え、それに伴いプロジェクトマネジメントも新たな局面を迎えています。場所や時間に縛られない働き方は多くのメリットをもたらす一方で、従来のマネジメント手法では対応しきれない課題も浮上しています。
次の章では、働き方の変革がプロジェクトマネジメントに与える影響について概説します。

リモートワークにおけるプロジェクトマネジメントの課題

リモートワークへの移行は、プロジェクトマネジメントにさまざまな課題をもたらしました。

コミュニケーション

物理的な距離があるため、偶発的な会話が減少し、情報共有の遅延や認識のズレが生じやすくなります。テキストベースのコミュニケーションが増えることで、ニュアンスが伝わりにくくなることもあります。

チームの一体性

メンバーが個々に働くことで、チームとしての連帯感や一体感が希薄になりがちです。これにより、モチベーションの低下や孤立するメンバーも出てくる可能性があります。

進捗管理

メンバーの働き方が見えにくくなるため、プロジェクトの進捗状況をリアルタイムで把握することが困難になります。タスクの優先順位付けやボトルネックの特定が遅れることもあります。

制約と健康

リモートワークは、仕事とプライベートの境界線を曖昧にし、長時間労働やストレスにつながる可能性があります。メンバーの心身の健康維持も重要な課題となります。

解決に向けたリモートワーク戦略

これらの課題を克服し、リモートワークでプロジェクトを成功に導くために、自社で行っているリモート戦略の事例と合わせて紹介します。

解決に向けたリモートワーク戦略

コミュニケーションの円滑化

定期的なオンラインミーティング
毎日短時間の朝会や週次の進捗会議を設け、情報共有とチームの連携を強化します。

  • 毎日10時から15分間担当ディレクターが集まり、案件状況を確認します。
  • 金曜日の週報を受けて、週明け月曜日に1on1を15分〜30分間行っています。

明確なコミュニケーションチャネルの確立
SlackやGoogleミート、Zoomなど、用途に応じたコミュニケーションツールを使い分け、ルールを明確にします。

  • Slackは文字によるコミュニケーションをする場合に利用します。瞬時にリアクションがほしい場合に適し、業務のかたわらに必ず備えているツールです。
  • Google MeetやZoomは、前もって予定を決め、原則はアジェンダに従って言葉によりコミュニケーションします。意思決定を伴うことが多いです。

非同期コミュニケーションの活用
ドキュメント共有ツールなどを活用し、各自のペースで情報にアクセスできる環境を整えます。

  • Boxは主に社外向けの共有ツールとして利用していますが、共同編集も可能なので顧客とコラボレーションする場合に適しています。

プロジェクト管理ツールの効果的な活用

タスク管理ツールの導入
BacklogやAsanaなどのタスク管理ツールを活用し、タスクの可視化、進捗状況の共有、担当者の明確化を行います。

  • Backlogにプロジェクトを立ち上げて、開始から完了までのタスクとマイルストーンを設定します。
  • タスクには、必ず開始日と期限日、担当者を設定して、所在を明らかにしています。タスクが分解される場合は子課題を作成して、必要なコミュニケーションの促進、またタスクの抜け漏れがないようにしています。

進捗管理ダッシュボードの作成
プロジェクト全体の進捗を一目で把握できるダッシュボードを作成し、ボトルネックを早期に発見します。

  • Backlogのガントチャートで済む場合もありますが、グランドスケジュールを引く際にはMicrosoft Plannerを使い、前後のタスクの依存関係を明確にすることで、顧客との役割分担にも役立ちます。

情報共有プラットフォームの活用
Google Driveなどドキュメントやナレッジを共有し、情報へのアクセスを容易にします。

  • Googleドライブは社内のドキュメント作成を大きく担っています。社外に展開する場合には、一般的なOfficeファイル形式に書き出し共有することも容易です。

信頼とチーム文化の醸成

透明性の確保
プロジェクトの目標、進捗、課題などをチーム全体で共有し、透明性を高めます。

  • ミーティングでは、進捗管理ダッシュボードやタスク管理ツールを使い、常に目の前のことと先のマイルストーンをメンバー全員で共有し合い、認識を揃えるようにしています。

心理的安全性の確保
メンバーが自由に意見を述べ、失敗を恐れずに挑戦できる環境を構築します。

  • 常にメンバーの声に耳を傾け、意見を否定せず受け入れる姿勢を取っています。そうすることで議論がさらに深まり、誰もが納得する結論が出ます。

定期的な1on1ミーティング
プロジェクトリーダーがメンバーと個別に面談し、業務上の課題やキャリアプランについて話し合う機会を設けます。

  • 全員で話すだけでなく、1対1で話す重要性も意識しています。言葉の覇気や声量により、気が付くことはたくさんあります。

柔軟な手法の導入

アジャイル開発の導入
短いサイクルで計画、実行、評価を繰り返すアジャイル開発は、変化の激しいリモートワークに適しています。

  • アジャイル開発は密度の濃いコミュニケーションを必要とします。常時オンラインになっていることが、コミュニケーションを有意にしています。

成果主義の導入
プロセスよりも成果に焦点を当てることで、メンバーの自律性を高め、生産性向上につなげます。

  • プロセスを通じて生じた成果はメンバーに最大限に還元していきます。プロジェクトは決して一人の成果ではありませんが、一人の成果を見つけることもリーダーの役割です。

メンバーの健康支援

休憩の推奨
定期的な休憩を促し、心身のリフレッシュを促します。

  • 休憩が取りやすい状況や一日の計画、それぞれの負荷調整と気にかけることは意外にたくさんあります。

ワークライフバランスの尊重
業務時間外の連絡を控えるなど、プライベートの時間を尊重する文化を醸成します。

  • 同じメンバーに限らずクライアントに対しても、営業時間外の連絡は予約投稿などを使って送信することを義務付けています。

メンタルヘルスサポートの提供
必要に応じて、専門家によるカウンセリングや相談窓口を提供します。

  • Business Architects(ビジネス・アーキテクツ、以下BA)では、いつでも契約している産業医との面談が可能です。

プロジェクト成功のためのベストプラクティス

リモートワーク環境下でプロジェクトを成功させるためには、以下のベストプラクティスを参考にしてください。

明確な目標設定と役割分担

プロジェクトの目標と各メンバーの役割を明確にし、共通認識を醸成します。

定期的なフィードバック

メンバーに対して定期的にフィードバックを行い、成長を支援します。

成功事例の共有

プロジェクトの成功事例を共有し、チーム全体のモチベーション向上につなげます。

継続的な改善

プロジェクトの振り返りを定期的に行い、課題を特定し、改善策を講じます。

未来のプロジェクトマネジメント

リモートワークは、プロジェクトマネジメントに新たな挑戦をもたらしましたが、同時に新たな可能性も開きました。適切なツールと戦略、そしてチーム文化の醸成によって、リモートワークでもプロジェクトを成功に導くことは可能です。
未来のプロジェクトマネジメントは、柔軟性と適応性を備え、変化に強い組織を構築することが求められます。

BAでは、変化する働き方やチームのあり方に合わせ、プロジェクトマネジメントの仕組みを進化させています。リモートでもメンバーが主体的に動き、目的を共有しながら成果を生み出せるチームづくりを支援しています。新しい時代のプロジェクト推進にご関心のある方は、ぜひお問い合わせください。