こんにちは。BAsixs参画企業、株式会社ビジネス・アーキテクツの青木です。
RFPテンプレートは、今やWebサイトで簡単に入手できます。
しかし、いざ作成となると予想より多くのタスクがあることに気づきます。
例えば、関係各署との連携や集まった意見の調整、外部パートナーとのやり取りなど、RFP作成担当者は多くのタスクを目の当たりにします。
調整が不十分なまま強引にRFPを完成させると、プロジェクト を客観的にとらえられず、「正しく伝わらない」「求めていた提案に繋がらない」RFPとなってしまいます。
とはいえ、予算やスケジュールに余裕があるプロジェクトは少ないですね。
本記事では、RFP作成担当者が要望を正しく伝えるために、RFP作成時に陥りやすい注意点や意識すべき重要な点をご紹介します。
はじめてRFPを作成する方、作り方に不安がある方向けに、ビジネス・アーキテクツではRFP作成支援を承っております。お気軽にご相談ください。
Webサイト制作においてRFPを用意すべき理由とRFPを作成する5つのメリット
RFP(提案依頼書)とは、「外部パートナー(委託先)各社に対して、Webサイトの構築やシステムの導入などを依頼する資料のこと」です。
RFPの詳細説明は、以下のページをご覧ください。
RFPを作成しなくても、外部パートナーに提案依頼をすることは可能ですが、実現したいことや課題を正しく伝えられません。
とくに、複数社から提案を募る「提案コンペ」の際は、RFPを提供し各社に依頼主と共通認識をもってもらうことが重要です。
RFPを作成しないと、依頼する内容にバラツキが生じ、適正な比較・評価・選定ができません。
次に、RFPを作成するメリットを説明します。
RFPを作成して得られる依頼者側の4つのメリット
外部パートナーに提案を依頼する時にRFPを作成するメリットは4つあります。
RFP作成で得られる依頼者側の4つのメリット
- プロジェクト関係者の認識のすり合わせができる
- 外部パートナーの評価基準を設定できる
- 要件定義フェーズの負荷を軽減できる(コスト・期間)
- 決裁者や上層部への稟議資料に活用できる
RFPはプロジェクトを進行するにあたり、事前に社内のステークホルダーと認識を合わせるために作るべき、重要な成果物です。
各社からの提案に対して、自社の評価基準が
- 費用
- スケジュール
- 解決出来る課題の数
- +αの提案があるか
などの中で、何を優先して評価するかを事前に決めておくことで、外部パートナーの選定もスムーズになります。
RFPの作成は外部パートナーだけでなく、依頼者にもメリットが多いと言えます。逆に選定基準などが曖昧な場合は、コンペではなく自社に近い構築実績などで選ぶケースも多いですね。
提案コンペ時はQ&A表(質疑応答期間の質問・回答リスト)を使い、外部パートナーに伝える情報を統一する
提案コンペを開催する際には、RFPの提供後に各社の質問受付け期間を設けることをお勧めします。
RFPを提供しただけでは、意図通り完ぺきに伝わるとは限らないからです。
追加の確認事項など各社からの質問を集約し、Q&Aを各社に回答を配布します。
各社に回答を配布する理由はRFP作成の理由と同じで、適正な比較・評価・選定を、やりやすくするために、伝える情報を統一するためです。
依頼者側も回答する担当者が別々な場合が多いため、形式がバラバラだと、追加で発生した Q&Aをとりまとめるのに手間がかかってしまいます。Q&Aを各社に展開しやすくするために、依頼者側で用意したQ&Aフォーマットを提供すると良いでしょう。
RFP作成で事前に想定しておかなければならないこと
RFPを作成する中で、必ず他部署との連携や意見・要望をまとめる作業が発生します。
まずは、RFP作成に着手する前に以下のことを事前に想定しておきましょう。
RFP作成に関わるステークホルダーの例
- プロジェクトに関係しそうな他部署や担当者
- 承認を得なければいけない決裁者
- 実際にプロジェクトにアサインするメンバー
上記の関係者に、方向性や意見のヒアリングが出来ていれば
プロジェクトの中でも重要視するべき課題やスケジュール感を把握できます。
実際にRFP作成に着手したら、関係者を交えて以下の項目内容を決めていきます。
関係者に確認すべきRFPの項目
A. プロジェクト概要
- プロジェクト名
- プロジェクトの目的
- プロジェクトの背景
- 解決すべき課題
- 効果指標
- 対象サイトURL
- ターゲット
- 競合他社・ベンチマーク
- 予算
- 納品物・納品形態
B. 提案依頼内容
- 依頼の範囲
- スケジュール(提出期日)
- コンペにおける提案内容・提出物
- 契約条件
C.サイト要件
- 推奨環境
- インフラ要件
- CMS要件
- セキュリティ要件
- 運用要件
D.問い合わせ先・窓口
- 問い合わせ先
- 窓口
上記のRFP項目一覧は「RFPサンプル コーポレートサイト編」で、解説付きで公開しております。是非参考にしてください。
RFPは必ず社内の関係者と作成すべき
サイトの役割によって、営業部門や情報システム部門などの他部署と連携しましょう。
社内の関係者とは、例えば
- 経営層:中長期的な会社の計画や方針と、Webサイトの目的を合わせるため
- 営業部門:実際にに問い合わせてくれた見込み顧客の課題や悩みをプロジェクトの背景・目的の説明に盛り込むため
- マーケティング部門:これまでのWebサイト訪問者の情報を元に、プロジェクトの目的や効果指標を決めるため
- 広報部門:会社をどう見せたいのか、顧客からどういう印象を持ってほしいかの認識を合わせるため
- 法務部門:契約の条件や内容において問題ないか確認するため
- 人事部門:人材採用におけるWebサイトに期待している事をくみ取るため
- 情報システム部門:サイト要件について、会社のルールに違反していないか、考慮漏れが無いか判断してもらうため
- 事業部:今後展開するサービスや製品の情報を保持しており、また、完成するWebサイトへの期待も引き出す必要があるため
などがあります。
関係する代表的な4つの部署(経営層・営業部門・事業部・情報システム部)にヒアリングすべき具体的な内容は後述します。
各項目の専門分野の方に意見または記入を担当してもらうと良いでしょう。
RFP作成を全て1人で進めて完成しても、RFPを部署内に共有した時には、メンバー間の認識の齟齬が生まれてしまいます。プロジェクトの目指すべき目標・方向性からも逸れてしまいます。
進めてきた工程をさかのぼって修正するのは、時間と労力がかかります。さらに方向性を見失ってしまいます。
まずは、RFPを作成してみましょう。
以下のページにて、RFPのサンプルとサンプル利用方法を解説しておりますので、是非参考にしてください。
伝わる!RFPサンプル(一括ダウンロード編) | BAsixs(ベーシックス)
サイトのリニューアル目的や課題などがまとまらなければ、BAsixsはRFP作成のサポートをしておりますので、ご相談ください。
各部門の関係者から引き出すべき情報
ビジネス・アーキテクツでは、外部パートナーとしてクライアントから完成したRFPを頂くこともあれば、RFP作成サポートやRFPをそのまま要件定義としてコンペ無しでご支援させていただく企業様も多いです。
RFPを受け取る立場としても、作る立場としても経験を持っている我々ならではの視点で、本当に引き出すべき情報をご案内します。
Webサイトの代表的な2つの目的は「ブランディング」と「売上創出」
Webサイトのターゲットや目的は様々ですが、代表的な目的は2つあります。
Webサイトの2つの目的と活用例
- ブランディング:コーポレートサイト・ブランドサイトなど
ブランディングが目的のWebサイトでは、広報・総務といった部署へヒアリングを行いましょう。
企業活動の発信(プレスリリース)やCSR、SDGsなどの企画に対する情報や意見を引き出します。 - 売上:サービスサイト、オウンドメディアなど
商品の購入や、サービスのお問い合せを目的としたWebサイトでは、営業・マーケティング部署からヒアリングを行いましょう。
ターゲット層の問い合わせから逆算したKPI(投稿記事数やイベント開催数)などの目標値、またWebサイトと連携するSFAやMAツールでの顧客情報の扱い方を引き出します。
他にも、以下のようにサイトの目的を整理をする場合もあります。
- 企業やブランドの認知度の向上
- カテゴリー内での想起獲得
- サービスの申込み・契約や、商品の購入
- お問い合わせや資料請求によるリード獲得
- 利用者・購入者からのロイヤリティ(信頼・愛着)の獲得
- 人材採用
次に、関係する代表的な4つの部署にヒアリングすべき具体的な内容を説明します。
1.経営層から引き出すべき9つの情報
なんといっても会社の重要な情報を握っているのは経営層です。
経営層と認識の齟齬が生じると、プロジェクトそのものに大きな影響を与えてしまいます。経営層と最初に認識合わせることが何よりも重要です。
経営層から引き出すべき9つの情報
- 経営理念
- 事業計画(ビジョン)
- 売上計画
- 中期計画
- 今後力を入れていくサービス
- CSR活動
- Webサイトに割ける予算
- Webサイトを公開したい期限
- 契約条件
2.営業部門から引き出すべき13の情報
Webサイトの集客で得たリードに対してアプローチをかけるのは営業部門です。
サービスサイトの場合は売上目標と獲得すべきリード数(顧客単価)、狙うべきターゲットの明確化がサイト設計の重要なポイントになります。
昨今では、従来の対面営業からオンライン営業への切り替えを目的にしたWebサイトリニューアルが増えています。
Webサイト経由で得たリード情報に対して、営業がどうアプローチするのか、どう管理していくのかを明確にしましょう。
営業部門から引き出すべき13の情報
- 売上目標
- 主要サービス
- 解決すべき課題
- 効果指標
- 競合他社・ベンチマーク
- ターゲット
- 目標獲得リード数
- 顧客単価
- 顧客ニーズ
- 顧客管理方法(CRMとの連携)
- MA使用の有無
- 顧客のセグメント情報
- お問合せフォームの記入事項(顧客から引き出すべき情報)
3.事業部から引き出すべき3つの情報
自社で展開するサービス・商品別に事業部が設けられている場合があります。
事業部ごとに計画している今後のサービス展開やプロダクト情報を、把握しておきましょう。
事業部から引き出すべき3つの情報
- リニューアルに対象となるページ数(合計ページ数)
- 今後展開するサービス・製品
- 営業からの情報だけで拾えないプロダクト情報
4.システム部門から引き出すべき9つの情報
サーバーなど、Webサイト運営に欠かせないインフラを管理しているシステム部門。
現状のサーバー情報や今後必要となるスペックなど、現Webサイトの運用課題を交えてRFPに必要な情報を引き出しましょう。
システム部門から引き出すべき9つの情報
- セキュリティに関する要件
- 推奨環境
- 運用要件
- インフラ要件(サーバーの基本情報、契約状況を含む)
- 現在使用しているCMS情報・契約状況
- 現サイトにかかるランニングコスト
(CMSライセンス費・サーバー費・保守費など) - 現状の課題
- 新Webサイトのサーバー移行の要否
- 新サーバーで必要とされるスペック
RFP作成の注意点:よくないRFP7つの特徴
「外部パートナーに求めている提案をもらえないRFP」という観点で、よくないRFPの特徴を5つ挙げていきます。
よくないRFP7つの特徴
- 目的が不明確
- 解決したい課題があいまいで、「○○したい」のように要望となっている
- サイトに関する要件が未設定
- 運用・保守の範囲が明記されていない
- スケジュール・予算が非現実的
- 課題の優先順位が分からない
- 効果指標が未設定
予算を提示する際の注意点
予算を提示する際は、マストで解決したい課題を厳選して伝えると、求めている提案をもらいやすいです。
松竹梅のバリエーションの提案を募るのも良いでしょう。
松竹梅のバリエーション例
- 松・・・解決したい課題に加えて、自社では見えていない課題も含めて解決する提案
- 竹・・・自社が見えている課題を全て解決する提案
- 梅・・・優先度が低い課題の解決はスコープに入れない場合の提案
まとめ:プロジェクトの成功のため、2つの「共通認識」を意識したRFPを作成しましょう。
RFP作成は依頼者にもベンダーにも、提案を募る上で重要な成果物です。
依頼者側の「共通認識」と、ベンダーとの「共通認識」。
2つの共通認識を意識したRFPを作成し、最適なベンダーの選考とプロジェクトの成功に繋げていきましょう!
ビジネス・アーキテクツでは3つのRFPを無料で提供しています。RFP各項目を記載する時の注意点やポイント解説もあるので、ぜひご活用ください。
また、BAsixsはRFPテンプレートの提供だけでなく、RFPの作成支援も行っています。
- 初めてRFPを作成する
- どう作成したらよいか、社内で調整すればよいか分からない
- 今のサイトの課題が見いだせない
- 新しいサイトの方針が決まらない
- RFPを作ってみたものの、なんだか心配
上記のようなことでお悩みの方のために、ビジネス・アーキテクツではプロジェクト成功に繋がるRFP作成のため、課題分析やサイト診断などをサポートしています。
是非お気軽にご相談ください。