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脱・属性!ニーズに基づくセグメンテーションで顧客に響くマーケティング

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プロフィールアイコン(イラスト):マーケター 山本
山本セールス&マーケティンググループ/マーケター(ビジネス・アーキテクツ)

South Carolina州 Winthrop University 卒業(心理学)。 広告代理店にて自動車メーカーの商品広告・マーケティング業務に携わった後、インターネットベンチャー、CRM・DRMエージェンシーにて、化粧品、マンション販売・管理、銀行、IT事業会社など様々な企業のCRM戦略策定やサイト/アプリ/メール/DMなどお客さま接点全体のコミュニケーションの最適化など、マーケティングコミュニケーション×テクノロジー×クリエイエティブ三位一体の実践的マーケティングにこだわり、多岐に渡る業務に従事する。

マーケティング戦略の基本フレームワークであるSTP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)。その最初のステップであるセグメンテーションは、市場を細分化し、ターゲット顧客を明確にするための重要なプロセスです。

従来のセグメンテーションでは、年齢、性別、居住地などの属性情報が重視されてきました。しかし、現在の多様化した市場においては、顧客のニーズに基づいたセグメンテーションがより重要性を増しています。

脱・属性!ニーズに基づくセグメンテーションで顧客に響くマーケティング

なぜセグメンテーションが重要なのか?

現在の市場は多様化し、顧客のニーズも複雑化しています。すべての人に同じ製品やサービスを提供しようとしても、顧客の心には響きません。セグメンテーションによって市場を細分化することで、それぞれのセグメントに合った最適なアプローチが可能となり、マーケティング効率を高めることができます。

ニーズに基づくセグメンテーションの重要性

セグメンテーションの軸は、年齢、性別、地域、所得など、さまざまな切り口が考えられます。しかし、最も重要なのは「ニーズ」でくくることです。なぜなら、顧客が製品やサービスを購入する理由は、その製品やサービスが自分のニーズを満たしてくれるからに他ならないからです。

例えば、同じ20代女性でも、コスメに対するニーズは大きく異なります。「トレンドのメイクを楽しみたい」「肌への優しさを重視したい」「時短で簡単にメイクを済ませたい」など、そのニーズはさまざまです。これらのニーズに基づいてセグメントを分けることで、より効果的なマーケティングが可能となります。

顧客の多様なニーズを起点に、さまざまな視点から市場を細分化

ニーズに基づくセグメンテーションのメリット

顧客理解の深化:
顧客のニーズを深く理解することで、より顧客に響く製品開発やマーケティング施策が可能になります。

競争優位性の確立:
競合他社がまだ気づいていないニーズを発見し、それに応えることで、市場での優位性を確立できます。

マーケティング効率の向上:
ニーズに基づいたセグメントに対してピンポイントでアプローチすることで、広告宣伝費などのマーケティングコストを最適化できます。

ニーズに基づくセグメンテーションの注意点

ニーズの多様性:
顧客のニーズは多様であり、常に変化しています。定期的な市場調査を行い、ニーズの変化を把握することが重要です。

潜在ニーズの発見:
顧客自身がまだ気づいていない潜在ニーズを発見することも重要です。顧客の行動や発言を注意深く観察し、潜在ニーズを探りましょう。

セグメントの具体性:
ニーズに基づいてセグメントを分けた後は、それぞれのセグメントを具体的に定義することが重要です。ペルソナを設定するなどして、セグメントのイメージを明確にしましょう。

ニーズを捉えるための具体的な方法

顧客のニーズを的確に捉えるためには、さまざまな情報収集と分析が必要です。

顧客との対話:

  • 顧客インタビュー:
    顧客の声を直接聞くことで、潜在的なニーズや不満を把握できます。
  • アンケート調査:
    大量の顧客に対して、定量的なデータを収集できます。
  • 行動観察:
    顧客の行動を観察することで、潜在的なニーズや課題を発見できます。

データ分析:

  • ソーシャルメディア分析:
    SNS上の顧客の投稿や口コミを分析することで、トレンドやニーズを把握できます。
  • データマイニング:
    購買履歴やWebサイトのアクセスログなどを分析することで、顧客の行動パターンやニーズを抽出できます。

潜在ニーズの発見:

  • 顧客の不満や課題に注目する:
    顧客が言葉にしない潜在的なニーズは、不満や課題の中に隠れていることがあります。
  • 顧客の行動パターンを分析する:
    顧客の行動パターンを分析することで、潜在的なニーズや欲求を推測できます。
  • 未来のトレンドを予測する:
    社会の変化や技術の進化など、未来のトレンドを予測することで、新たなニーズを発見できます。

ニーズでセグメンテーションを成功させた企業の事例

ユニクロ

ユニクロは、シンプルで機能的な服を世界中で展開し、多くの人に支持されています。そのマーケティング戦略は、従来のアパレル業界とは一線を画しています。

従来のファッションブランドは、年齢や好みに合わせてターゲットを絞るのが一般的でした。しかし、ユニクロは違います。顧客のライフスタイルや価値観を深く理解するため、対話やアンケート調査を積極的に実施。そして、商品を軸に世代や性別を超えた共通のニーズ、「着心地の良さ」に着目したのです。

毎日着る服だからこそ、肌触りは大切です。ユニクロは、「着心地の良さを求めるすべての人」をターゲットにすることで、流行に左右されない商品開発を実現しました。

さらに、ユニクロは顧客のニーズを細分化し、それぞれのニーズに合った商品を展開しています。

  • ヒートテック:
    薄くて暖かいインナー。重ね着しても着膨れせず、冬を快適に過ごせます。
  • エアリズム:
    汗をかいてもサラサラ。暑い季節も涼しく快適なインナーです。
  • ウルトラライトダウン:
    軽くて暖かいダウン。持ち運びやすく、寒い季節のアウトドアにも最適です。

これらの戦略により、ユニクロは独自の地位を確立し、世界中の幅広い顧客から支持されています。
ユニクロの成功は、顧客のニーズを深く理解し、それに応える商品を提供し続けることの重要性を示しています。

参照 : 【3分で理解】STP分析でユニクロのマーケティング戦略を紐解く. 集客・広告戦略メディア「キャククル」. (参照 2025-05-21)

パナソニック

パナソニックの持ち手のない5枚刃の電気シェーバー「ラムダッシュ」シリーズは、長年にわたり多くの男性に支持されています。その成功の背景には、ニーズに基づいた緻密なセグメンテーション戦略があります。

従来のシェーバー市場は、単に「ヒゲを剃る」という機能を中心に製品が開発されていました。しかし、パナソニックは顧客のライフスタイルや価値観の変化に着目し、新たなニーズの掘り起こしに挑戦しました。

パナソニックは、徹底的な市場調査と顧客分析を通じて、男性のシェービングに関するニーズを細分化しました。

  • 「深剃りしたい」
  • 「肌への優しさを重視したい」
  • 「忙しい朝でも手早く剃りたい」
  • 「スタイリッシュなデザインを求める」

これらの多様なニーズを捉え、それぞれに特化した製品開発を行っています。

ラムダッシュシリーズは、これらのニーズに応えるために、さまざまなモデルを展開しています。

  • 深剃りを追求したモデル
  • 肌への負担を軽減するモデル
  • 高速シェービングを実現するモデル
  • 持ち運びやすく、デザイン性の高いモデル

このように、多様なニーズに応える製品ラインナップを展開することで、幅広い顧客層を獲得しました。

近年では、ラムダッシュ「パームイン」という製品が、販売台数が計画比を大きく上回るほどのヒットを生み出しました。この製品は、今までのシェーバーの概念を大きく変えた製品と言えます。

  • デザイン性
  • オケージョンの網羅
  • 草食系男子へのポジショニング

これらの要素に基づいたマーケティングを展開することで、今までのシェーバーとは違う層へのアプローチを成功させています。

参照 : 電気シェーバー界に革命起こる!持ち手なし?パナソニックの「ラムダッシュ パームイン」が販売台数5万台以上の大ヒット商品になったワケ. ウォーカープラス. (参照 2025-05-21)

セグメンテーションとターゲティング、ポジショニングの関係性

STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)は、一連のマーケティング戦略のフレームワークです。セグメンテーションで市場を細分化し、ターゲティングで狙うべきセグメントを決定し、ポジショニングで自社の立ち位置を明確にします。

セグメンテーションで明確になったニーズに基づき、ターゲティングとポジショニングを行うことで、一貫性のあるマーケティング戦略を展開できます。

例えば、あるスポーツ用品会社が「週末に本格的なトレイルランニングを楽しむ30代男性」というセグメントをターゲットにした場合、ターゲティングの手法は明確になります。このセグメントにリーチしやすいアウトドア雑誌への広告掲載や、トレイルランニングイベントへの協賛などを活用します。ポジショニングでは、「過酷な環境でも最高のパフォーマンスを発揮できる、プロ仕様のトレイルランニングギア」というイメージを訴求します。

また、ある食品会社が「健康志向で、忙しい毎日でも手軽に栄養バランスの取れた食事をしたい40代女性」というセグメントをターゲットにした場合、ターゲティングの手法は明確になります。このセグメントが利用しやすいオンラインの健康食品販売サイトや、レシピ動画配信サービスなどを活用するでしょう。ポジショニングとしては、「時短で美味しく、しかも栄養満点な、あなたの健康をサポートする食品」というイメージを訴求します。

このように、STP全体を通して一貫性のあるマーケティング戦略を展開することで、ターゲット顧客に響く効果的なマーケティングが可能となります。

ターゲット顧客に響く効果的なマーケティング

セグメンテーションの未来:パーソナライゼーションとの融合

テクノロジーの進化により、個々の顧客に合わせたパーソナライズされたマーケティングが重要になっています。セグメンテーションで得られた顧客ニーズの情報を、パーソナライゼーションに活用することで、より効果的な顧客体験を提供できます。

例えば、ECサイトでは、顧客の購買履歴や閲覧履歴に基づいて、おすすめの商品やクーポンを表示したり、メールマガジンを配信したりすることができます。

また、AIを活用することで、顧客の属性情報や行動データ、購買データなどを統合的に分析し、より精度の高いパーソナライズされたマーケティングが可能となります。

セグメンテーションとパーソナライゼーションを組み合わせることで、顧客一人ひとりのニーズに合った最適な情報やサービスを提供し、顧客満足度とロイヤルティを高めることができるでしょう。

ニーズに基づくセグメンテーションは、マーケティング戦略の成功に不可欠な要素です。常に顧客視点を持ち、変化するニーズを的確に捉え、最適なマーケティング戦略を展開しましょう。

顧客理解を深めるセグメンテーションの真価

STPプランニングにおけるセグメンテーションでは、従来の属性情報だけでなく、顧客のニーズに基づいた細分化が重要です。ニーズでセグメンテーションを行うことで、顧客理解が深まり、競争優位性を確立し、マーケティング効率を向上させることができます。顧客との対話やデータ分析を通じてニーズを捉え、変化に柔軟に対応することで、より効果的なマーケティング戦略を展開できるでしょう。

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