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【ビジネス思考術】問題解決に役立つ「セパレート思考」とは?

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岡島(ビジネス・アーキテクツ)

大手精密機械メーカーで、採用及び社員教育や新規事業開発を担当。その後、スタートアップ企業での起業家支援と大企業の新規事業立上げ支援に携わり、新人からマネジメント層、起業家から大企業の中間管理職まで、幅広い層を支援してきた。2020年にBAへ入社、人事と新規事業の両方の経験を活かし、人材開発事業に従事している。

やるべきことが多すぎる。一所懸命やっても結果につながらない。アイデアが行き詰まってしまう……。それは、タスクや優先順位、アイデアが“整理されていない”ことが、原因かもしれません。

今回はそんな思考の袋小路に迷い込んだ人に効くと言われるメソッド、「セパレート思考」について紹介したいと思います。

仕事上のムリ・ムラ・ムダを炙り出す「7つの質問」とは?

separate thoughts 3m

"思考の整理家"を名乗る経営コンサルタント、鈴木進介氏の著書『問題解決のためのセパレート思考』において、セパレート思考とは"頭の中の選択肢を仕分けする思考法"と紹介されています。それぞれの選択肢について、「すぐできる/できない」、「コストがかかる/かからない」といった基準を設けて仕分けをする。これによって、「問題の9割は解決できる」そうです。

では、セパレート思考はどんな人に有効なのでしょうか? それを判別する方法として、鈴木氏は7つのチェック項目を用意しています。

  • 毎日、ToDoリストの作成に時間をかけすぎている
  • 理屈や合理性を重視する性格である
  • 完璧主義者で100%の準備がなければ動けない
  • 自分のやり方や主張にこだわりすぎる
  • 他人の目を常に意識しすぎてしまう
  • いつもネット検索に時間をかけすぎている
  • 物事を簡潔に話すことが苦手である

出典 : 鈴木進介. 問題解決のためのセパレート思考. 初版. フォレスト出版, 2015, 248p

冒頭で紹介したようなケースに陥っている方の中には、各項目が当てはまる人が多いようです。この状態が解決されない限り、仕事にムリやムラ、ムダ(3M)が生じて、業務効率が悪化する恐れがあります。それを解決するのが、今回紹介する「セパレート思考」というわけです。

選択肢を仕分けするのに有効な"基準"とは?

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いきなり、"頭の中の選択肢を仕分けする"と言われても、「どうすればいいか分からない」という人もいるかもしれません。そんな時は、判断のために明確な基準を立ててみてはいかがでしょうか

ここで、『問題解決のためのセパレート思考』に掲載されていた“仕分けの基準”を、いくつか紹介したいと思います。

定量/定性
「数値で表現できる/できない」という基準。「今月の売り上げをあと500万円上げる」「赤字部門の業績を改善する」というように複数の目標がある時、それを短期と中長期に振り分けて、何を優先すべきか判断するのに有効です。

手段/目的
その選択肢が「目的そのもの/それを達成する手段」かという基準です。「手段をこなすことを意識しすぎて、本来の目的を見失っていた」というのは良く聞く話。「福利厚生のための旅行が社員の負担になっていた」というように、手段が目的に繋がっていないことで起きる、ムリやムダを解消できます。

ミクロ/マクロ
「プレゼン内容」といった具体的な方法論に行き詰まったときには、「クライアントの価値創造」というように物事をマクロから考えることで、新たなアイデアが浮かぶことも。選択肢をミクロとマクロで振り分け、ミクロであればマクロな、マクロであればミクロな視点をもつことで、新たな展開が生まれます。

事実/意見
選択肢の元となる情報が「客観的な事実/誰かの主観的な意見」なのかという基準です。「値引きの必要がある」という意見が、「ライバル社の売り込みがあった」という事実を元にしていることを知れば、「新たな商品を売り込む」というように新たな選択肢が生まれることもあります。

出典 : 鈴木進介. 問題解決のためのセパレート思考. 初版. フォレスト出版, 2015, 248p

こうして、導き出した選択肢を実行に移すときにも、セパレート思考は有効です。例えば……

「やらないこと/やりたいこと」を基準として、自分の強みを打ち出す。
「こだわること/こだわらないこと」を基準として、リソースを集中する。
「変えられること/変えられないこと」を基準として、着手すべきことを明確にする。

手の内の選択肢を整理すれば、より的確に、効率よく、納得したうえで、物事に取り組めるようになるでしょう。

仕分け結果を紙に書きだすことで、現状を俯瞰でとらえる

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ここまでの紹介で、セパレート思考の大まかな概要は掴めたと思います。ただ、頭の中だけで選択肢の仕分けをしようとすると、なかなか上手くまとまらないことも。そんな時は、選択肢を紙に書きだしてみてはいかがでしょうか。

これは、基準に従って選択肢を左右2列に書きだすという手法。これによって現状を俯瞰で見られるようになります。さらに、複数の基準で選択肢を分けたいときには、ペイオフマトリクス表を使うと良いでしょう。例えば、「やりたいこと」と「必要なこと」の2軸で仕分けすれば、"自分の強みを活かすために、まず着手すべき選択肢"が見えてきます。

そして、明確な仕分け出来たら、最後は勇気をもって不要な選択肢を捨ててください。これによって決断と行動にスピード感が生まれます。

まとめ

ビジネスの現場でなんらかの問題を抱えている時は、セパレート思考を駆使して、一度頭の中を整理してみてはいかがでしょうか。見落としていた判断ミス、新たな選択肢が見えてくるかもしれませんよ。

参考

  • 鈴木進介. 問題解決のためのセパレート思考. 初版. フォレスト出版, 2015, 248p