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ユーザーの体験価値を高める人間中心設計をUI/UX分科会で学んでみた

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プロフィールアイコン(写真):デザイナー 廣瀬 麻由
廣瀬 麻由デザイナー(ビジネス・アーキテクツ)

旅行代理店で10年間勤務したのち、2021年からWeb制作会社でデザイナーとして勤務。コーポレートサイトやLPなどのデザイン制作、サイトの更新業務、ディレクション業務等を担当。2022年にビジネス・アーキテクツに入社し、金融、SaaS系サービスのUI/UX改善、コーポレートサイト構築、オウンドメディア(BAsixs)記事の素材作成などを担当している。

開発にかかわる基礎的なフロー・スキルの習得および、HCDの理解を深めることで、今後のUI/UX案件を担当できる人材の育成を目標に4ヶ月に渡ってUI/UX分科会を実施しました。具体的な内容や勉強方法、HCDを理解することで得られるメリットのご紹介をします。

ユーザーの体験価値を高める人間中心設計をUI/UX分科会で学んでみた

分科会の目的

一緒に働くメンバーは、現在UI/UXの知識を必要とする業務にかかわっているメンバーやまだ経験がないメンバーもいて、経験値もさまざまです。

BAでは、職務にかかわらず業務に必要だと捉えている技術やスキル、マインドセットを習得し、成長を促す場として分科会を実施しています。

本記事で紹介するUI/UX分科会では、参加メンバーのスキル、マインドセットを底上げし、より多様な業務に参画し、実務で活かせるスキルを身につけることを目的としています。
とくにBAの考えるデザインにおける「設計」部分のスキル、マインドセット習得に重きをおき、HCDの観点からUI/UX設計を体系的に学ぶことにしました。

BAが求める人材とHCD

BAの考えるデザインとは、クライアントが抱える課題を紐解き、さまざまな可能性をアウトプットしながら、何度も検証を繰り返し、思考を深め、課題解決に必要なものを「設計」することです。

BAの考えるデザイン | BAsixs(ベーシックス)

また、業務を推進する各ロールのメンバーが自分の専門領域に限定されたスキルに留まらず、より多様なスキルをもつチーム編成を目指しています。そのために、メンバーに求めるスキルセットは以下のとおりです。

「顧客のビジネスやユーザーの価値観を理解し、柔軟に業務のルールを設定し、多分野の基礎スキルを活用して論議を深め、迅速な意思決定を促進すること。また、スピード重視で改善案をアウトプットし、提案できる。」

このようなスキル習得のために、メンバーはデザインの見た目の美しさだけではなく、ユーザーの本質的なニーズや要求を理解し、それを中心に据えて設計する「HCD」のスキルを取得する必要があると考えています。

HCD基礎検定を後援するNPO法人人間中心設計推進機構(HCD-Net)では、HCDを以下のように定義しています。

人間中心デザイン(HCD)とは、モノ・コトに対して、「利用者視点」と「共創」によって新しい価値を生み出すことであり、「問題の設定 (発見) 」と「解決策の探求 (創造) 」と「繰り返すこと」を中核とした 「メソッド (プロセス+手法) 」と「マインドセット (心構え・捉え方) 」のことである

出典 :HCD-Net「人間中心デザイン(HCD)に関する基礎知識体系を構築」. HCD-Net. (参照 2024-07-24)

BAではBtoBからBtoCまでさまざまなWebサイトを作成する機会が多くあります。私たちはこれらのWebサイトを作成する中で、HCDの考え方をもとに、顧客のビジネス課題を解決してきました。

とくにHCDの「ユーザー視点」の理解を深めた人材を育成することで、その人材がユーザー視点の意識を織り込んだWebサイトを制作し、満足度の高いサービスを提供できると考えています。
また、ユーザーの利便性・満足度を高めるだけでなく、制作の効率向上や開発手戻りの減少などのコスト削減、プロダクトが使いやすくなることによるサポートコストの軽減にも貢献しています。その結果、ユーザーのみならず、企業側にとっても恩恵があります。

分科会での勉強方法について

分科会のルールや進め方

およそ4ヶ月に渡って実施した分科会は、以下のテーマと進め方で実施しました。

教材書籍として「HCDライブラリー0巻」を使用しながら分科会を進めました。この本は、HCDの入門書と位置付けられ、HCDの基礎となる概念から具体的なプロセスまでを解説しています。初心者から経験者まで、体系的にHCDに関するスキルやマインドセットを学ぶことができます。

また、メンバーにとって効果的な分科会にするため、以下の実施ルールを定めました。

  • 自発的に参加&発言する:自ら率先して行動する姿勢を養う
  • ファシリテーター交代制:チーム全体を俯瞰するスキル身につける
  • 批判しない&否定しない:批判があると良いアイディアが出にくくなる
  • 分科会で不足している部分は、自主学習も取り入れる:知識の深堀りを行う

私たちの業務は、お客さまを巻き込みながらディスカッションを行うこともあります。分科会で定めた実施ルールは、普段の業務にも活用できる実践的な取り組みとなっています。

分科会の学びと成果物

私たちは、HCDの概念やプロセスの理解を深めるために、事前にテーマを予習し、参加メンバーが疑問に思ったことや学びを共有し、注力したいテーマを選び、お互いの知見や事例を持ち寄りディスカッションしながら分科会を進めました。
その中から2つご紹介します。

HCDの概念

普段、私たちがよく耳にする「ユーザビリティ」、「ユーザエクスペリエンス」、「デザイン思考」は、実はHCDという考えがベースにあることが理解できました。

図:HCDとは

また、既存の開発プロセスにHCDの考え方を当てはめた事例や、以下に記載したHCDに取り組む7つのメリットを参考にしながら、HCDの基礎知識を体系的に学び、活用の第一歩となりました。

HCDの7つのメリット

  1. ユーザーの生産性や組織作業効率の向上
  2. 訓練やサポート費用の削減
  3. アクセシビリティの向上
  4. ユーザエクスペリエンスの改善
  5. 不快感やストレスの緩和
  6. ブランドイメージの向上
  7. サスティナビリティへの貢献

HCDのプロセス

HCDとは、ユーザーの特性や利用実態を把握し、開発関係者が共有できる要求事項の下で、設計とユーザビリティ評価を連動させることで、より有効で使いやすい、満足度の高い商品やサービスを提供するための一連の活動です。これらの主要な4つの活動「利用状況の把握」、「要求の明確化」、「解決策の作成」、「評価」の具体的な背景や必要性、手法を順を追って学びました。

分科会での不明な用語や手法については、個々に調査をするなどして理解を深めました。経験が浅いメンバーもいるため、過去の業務の事例を共有しながら進行することで、お互いの知見を深める工夫をしました。
HCDの価値は、モノやサービスづくりにおいて人間に着目することから始まります。そして、「ユーザエクスペリエンス」、「デザイン思考」領域との連携から経営や社会の課題解決の場においても求められる時代になってきていることも知りました。

分科会の締めくくりとして、HCDの考え方とユーザエクスペリエンス開発の基礎理解を計る指標とすべく、HCD基礎検定を受験しました。HCD基礎検定は、HCDの基礎知識体系をまとめた入門編のような資格となっているため、受験を通じてHCDの重要性を再確認し、深く理解する学びの場になりました。

分科会でfigmaに学習内容を付箋に書き込んだキャプチャ

将来の展望

分科会で学んだことが、これまでの業務でなんとなく体感として感じていたことを、知識として落とし込めたところは大きな成果となりました。
また今後は、HCDにおける用語や思考法などを学ぶだけでなく、UI/UXのスキル、マインドセットをBAで働くメンバー全員が実際に業務の中で活用していくことが重要であると考えています。

UI/UX分科会終了後も、次のステップとして以下の資格取得などを引き続き目指していく予定となっています。

  • ユーザエクスペリエンス向上の取り組みに欠かせないスキルとマインドセットを実践的かつ体系的に学ぶ「UX検定基礎」
  • HCDのプロセスに基づいた自身の実務経験を振り返る「HCD-Net認定人間中心設計スペシャリスト」

BAでは、サービスやサイトの構築に必須の基礎スキル、マインドセットをもち、ユーザー視点で考えられる人材を増やすことは重要と考えています。分科会で得た知識が業務を通じて実践の機会が得られるように、これからもメンバーを巻き込むような仕組みや機会づくりを続けていきます。

こういった取り組みによってBAがお客さまに提供できる価値の質が上がっていきます。その結果、お客さまのビジネスを加速させ、その先にあるユーザーの体験をアップデートし続けながら、「人のためになり、人が欲しいと感じる」サービスを実現していきます。