現在のビジネスにおいて、顧客体験(CX)は重要な差別化要因となっています。顧客は単に製品やサービスを購入するだけでなく、購入前後の体験も含めて評価しています。
本コラムでは、顧客満足度を高め、ロイヤルティ向上、口コミによる新規顧客獲得に繋がる、優れたUX・CXの実現に向けた取り組みと、データ利活用による効率化・効果化についてご紹介します。

UX、CX、DXの定義
UX、CX、DXは、人や組織によって解釈が異なる言葉です。ここでは、筆者なりの定義を整理します。
【筆者の考えるUX、CX、DXの定義】
- UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス):
顧客視点に立ち、デジタル技術やデータを使って、情報構造・デザイン・操作性を最適化し、質の高い顧客体験を提供すること。 - CX(カスタマーエクスペリエンス):
サービスやコンテンツの価値・魅力・訴求力を高めることで、顧客の欲求を刺激し、行動を促すこと。 - DX(デジタルトランスフォーメーション):
デジタル技術を活用した変革によって、競争優位性を確立し、ビジネスの成果と生産性を向上させること。
ポイント
- UXは顧客体験の質を高めるための具体的な手段を指し、CXは顧客体験全体を向上させることを目指す概念と言えます。
- DXは、UXやCXの向上を含む、より広範な概念です。
ユーザーエクスペリエンス(UX)の重要性
UXとは、顧客が製品やサービスを利用する際の体験全体を指します。優れたUXは顧客満足度を高め、ロイヤルティ向上、口コミによる新規顧客の獲得促進に繋がります。
UXを向上させるためには、まずターゲット顧客を深く理解することが重要です。顧客のニーズ・課題・行動パターンを把握し、それらに合わせた製品・サービスや情報提供、サポート体制を構築する必要があります。
UXでは、顧客が求める情報やサービスをシームレスに提供し、お問い合わせや商品購入(契約)など顧客行動の障壁を取り払うことが重要となります。
UX(ユーザー体験)を設計する上で、以下の点に注意しながらサイトやアプリを作る必要があります。
- ユーザビリティ:
想定したユーザーが簡単に操作・利用できること。 - アクセシビリティ:
老若男女、障害をもつ人、ハンディキャップなどに左右されず、誰にとっても利用やすいようにすること。 - 情報設計(情報アーキテクチャー):
情報の整理や配置を分かりやすくすること。 - モックアップ・プロトタイプデザイン:
試作品を作り、動作や操作性を確認し、改善を繰り返して、ユーザーにとってより使いやすいサイトやアプリにブラッシュアップしていくこと。
これらのプロセスを通じて、お客さまの不満や使いづらいと感じる部分をなくし、「分かりやすく、操作しやすい」と感じるサイトやアプリに進化させることが重要です。
カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上
CXは、顧客と企業とのすべての接点における体験を指します。CXを向上させるためには、顧客の感情に寄り添い、期待を超える価値を提供する必要があります。
CXで重要となるのは、「期待づくり」と「期待を超える価値の提供」です。競争が激化する環境では、競合よりも魅力だと顧客に感じてもらえなければ、顧客との繋がりをもつことができません。また、期待を超える価値を提供できなければ、他を選択されてしまい、関係を継続することもできません。
CXでは、顧客にとって魅力/価値あるコンテンツや便利/有益なサービス提供を通じて、顧客の継続利用、欲求・反応・行動をいかに喚起させることができるかを検討することが重要となります。
CXを向上させるためには、以下のような取り組みも有用と考えられます。
- パーソナライズされた情報提供:
顧客の属性や行動履歴にもとづいて、最適な情報を提供する。 - 迅速かつ丁寧なサポート:
顧客からの問い合わせに迅速に対応し、丁寧なサポートを提供する。 - オムニチャネル対応:
電話、メール、チャット、SNSなど、さまざまなチャネルで顧客との接点を持ち、シームレスな体験を提供する。 - 顧客参加型のコミュニティ形成:
顧客同士が交流できる場を提供し、コミュニティ感を醸成する。
データ活用でビジネスを加速!攻めのDXのススメ
DXというと、業務効率の改善ばかりが注目されがちですが、これからはデータとテクノロジーを駆使して、競争優位性のある新しいビジネスを生み出すことこそが重要になってきます。
企業は、顧客情報や行動履歴など、さまざまなデータを保有しています。これらのデータを収集・分析し、ビジネスプロセスに活用することで、効率化はもちろん、売上アップや顧客満足度向上といった効果も期待できます。
マーケティングにおけるデータ活用では、年齢や居住地といった属性データや購買履歴などのトランザクションデータに加え、顧客の「今」の状態を捉えるデータが重要になります。
顧客分析では、ペルソナなどの手法で顧客像を把握することが一般的ですが、人の気持ちは常に一定ではありません。気分や状況によって、興味や関心は変化します。そこで、顧客の興味や関心が高いタイミングを捉え、適切なアプローチをすることが重要になります。
「興味や関心が高い」状態とは、具体的にどのような状態なのでしょうか?
それは、顧客が積極的に情報に接触し、多くの情報を集めようとしている状態と言えます。
例えば、以下のような行動は、まさに興味や関心が高い状態であると考えられます。
- 特定の商品について調べている
- 関連する情報を集中的に閲覧している
このようなデータを活用することで、より確度の高い顧客に対し、以下のような行動が可能になります。
- 関連性の高い情報を提供する
- 適切な提案を行う
データに基づいた的確なアプローチは、顧客エンゲージメントを高め、最終的には売上向上に繋がります。攻めのDXは、データ活用によって新たなビジネスチャンスを生み出すだけでなく、顧客との関係性を深化させる上でも重要な役割を果たします。
自動化でビジネスを加速!仕組み化とDXのススメ
データに基づいたアプローチを自動化することで、ビジネスプロセスの効率化と顧客獲得の強化を両立させることができます。
例えば、顧客の行動に応じて、以下のようなことが可能になります。
- あらかじめ用意したシナリオにもとづいて自動的にメールを送信する
- チャットボットを使って問い合わせに自動で対応する
さらに、AIを活用すれば、以下のような高度な自動化も実現できます。
- 顧客のニーズを予測し、最適なタイミングで情報や提案を提供する
具体的な活用例
- メールマーケティングの自動化:
顧客の属性や行動履歴にもとづいて、興味や関心に合わせたメールを自動的に送信します。 - チャットボットによる顧客対応:
24時間365日、顧客からの問い合わせに自動で対応します。よくある質問集(FAQ)と連携することで、顧客自身で問題を解決できるため、顧客満足度向上にも繋がります。 - レコメンド機能の強化:
AIを用いて顧客の購買履歴や閲覧履歴などを分析し、最適な商品を提案します。 - 広告配信の最適化:
AIを用いて広告効果を予測し、最適なターゲットに最適な広告を配信します。
自動化のメリット
- 業務効率の大幅な向上:
定型的な作業を自動化することで、従業員の負担を軽減し、より創造的な業務に集中できます。 - 顧客体験の向上:
顧客一人ひとりに合わせた最適な情報や提案を、タイムリーに提供できます。 - 売上向上:
顧客のニーズに合った商品を提案することで、購買意欲を高め、売上向上に繋がります。
自動化は、ビジネスを加速させるための強力なツールとなります。自社のビジネスに合った自動化の仕組みを導入し、効率化と売上向上をどう実現することができるかについて、この機会にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
顧客体験(CX)向上とデータ活用(DX)でビジネス成果を改善する:評価と継続的な改善
顧客体験(CX)の向上、データ利活用(DX)、そして自動化は、現代のビジネスにおいて不可欠な要素です。これらを組み合わせることで、顧客満足度を高め、ロイヤルティ向上、新規顧客獲得、そして最終的には売上・利益向上に繋げることが可能となります。
しかし、これらの取り組みが本当にビジネス成果に結びついているのかを適宜評価し、改善を続ける施策プロセス管理 (計測・最適化・継続化)の環境を整えることも重要となります。
1 事業成果を評価するための指標
上記の取り組みが事業成果に結びついているかを評価するためには、以下の指標を定期的に測定・分析することが重要です。
- 顧客接触状況・情報閲覧・コンバージョン実態:
Googleアナリティクスやサーチコンソール、資料ダウンロードやお問い合わせ、商品購入などのコンバージョンデータを通じて、定点的にKPI/KGIを測定します。 - 顧客満足度:
顧客アンケートやレビューなどを通じて、顧客満足度を測定します。 - 顧客ロイヤルティ:
リピート率や顧客生涯価値などを測定します。 - 新規顧客獲得数:
広告やキャンペーンの効果測定などを通じて、新規顧客獲得数を測定します。 - 売上・利益:
各施策が売上・利益にどれだけ貢献しているかを測定します。
2 指標分析と改善
これらの指標を定期的に測定・分析し、改善点があれば迅速に対応することで、事業成果を高めていくことが可能となります。
まとめ:CX・DX・自動化でビジネスを加速させよう!
UX・CXの向上、データ利活用、自動化(仕組み化・DX)は、現代のビジネスにおいて不可欠な要素です。これらの要素を組み合わせることで、顧客満足度を高め、ロイヤルティ向上、新規顧客獲得、売上・利益向上に繋げることが期待できます。
これらの取り組みが事業成果に結びついているかを評価するためには、定期的に各種指標を測定・分析し、改善点があれば迅速に対応できるような環境をいかにつくれるかが、現在企業に求められているのではないでしょうか。
最後に
本稿では、顧客体験(CX)向上とデータ利活用(DX)によってビジネス成果を改善するための評価と継続的な改善についてご紹介しました。これらの取り組みを参考に、ぜひ貴社のビジネスにおいても、顧客満足度向上、ロイヤルティ向上、そして売上・利益向上をあらためて検討するきっかけとなればうれしく思います。
もし、貴社でCX、UX、DX(自動化の仕組み導入)をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。貴社のビジネスに適した策を一緒に検討し、マーケティングを強化する環境の構築に向けてサポートさせていただきます。