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BAのUXデザイナーは何をデザインしているのか?(後編)関わる人みんなの体験をデザインする

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BAsixs編集部

BAsixsは、社会課題の解決と新たな価値創出をBAグループ全体で目指すためのサービスブランドです。

UXデザイナーという職種は「デザイナー」という言葉が含まれているため、デザイナーしかできないと思われがちです。

しかしWeb制作に携わる人は、普段からユーザーの視点で考えてサービス開発や改善に取り組んでいるはずです。また、Web制作に関わるチームの業務改善に取り組んでいる方もまた、チームメンバーの目線でよりよい体験を模索していらっしゃると思います。

これらWeb制作の本質は、UXデザインに通じると思います。

そこで本記事では当社の現役UXデザイナー3人に、普段のお客様と接する時に大切にしていることや、UXデザインの定義について考えを聞いてきました。インタビューを通して、私が驚いたことや新たな発見を中心にお伝えします。

この記事を通して、デザイナー出身以外のWeb制作経験者にもUXデザインに関心を持っていただき、自分の領域を広げるヒントになればと思います。

BAのUXデザイナーは何をデザインしているのか?(後編)関わる人みんなの体験をデザインする

インタビューした人

プロフィールアイコン(イラスト):マーケター 信谷
信谷マーケター(ビジネス・アーキテクツ)

前職では複数社にてコーポレートIT部門の支援サービスに従事。2018年よりBAに関わるようになり、2021年に入社。前職時代の知見を活かし、MAツール導入・運用支援サービス開発プロジェクトに参加し、ゼロからの新サービス立上げを経験。現在はBAsixsサイトのコンテンツ企画から編集業務を担当。

インタビューを受けた人

  • プロフィールアイコン(写真):ゼネラルマネージャー/CDO(Chief Design Officer)/人間中心設計スペシャリスト 森 太輔
    森 太輔ゼネラルマネージャー/CDO(Chief Design Officer)/人間中心設計スペシャリスト(ビジネス・アーキテクツ)

    2008年、企業の情報コミュニケーション戦略を実現するプロジェクトを中心に、アートディレクター及びリードデザイナーとしてビジネス・アーキテクツに入社。特に日本の製造業のグローバル展開プロジェクトに長年関わっている。現在はデザイン部門の責任者も務める。

  • プロフィールアイコン(イラスト):第3事業部 マネージャー/デザイナー 野田
    野田第3事業部 マネージャー/デザイナー(ビジネス・アーキテクツ)

    Web制作会社数社を経てBA入社、デザイナーとしてクリエイティブUNITに所属。2017年より、オンサイトチームに参加、リードデザイナーとして数々のプロジェクトを担当。

  • プロフィールアイコン(イラスト):UI/UXデザイナー 正木
    正木UI/UXデザイナー(ビジネス・アーキテクツ)

    2020年BA入社。マーケティングの知見を持つデザイナーとして、クライアントの課題解決提案・WebサイトのUIUX設計・CIVI制作など、幅広いデザインワークに従事。趣味は絵を描く事と業務の効率化。

UXデザイナーって何ですか?

前編では、当社のUXデザイナー3人の経歴から、現在担当しているお客様案件の概要やコミュニケーションでの工夫について詳しく伺いました。

BAのUXデザイナーは何をデザインしているのか?(前編)お客様の先にいるユーザーと向き合う | BAsixs(ベーシックス)

後編では一歩俯瞰して、当社が考えるUXデザイナーの定義と、UXデザイナーって何を考えている人なのか?という疑問に迫ります。

デザイナーの守備範囲って、どのくらいあるのでしょう?

正木:「形ないものを設計し、形あるものにしていくこと」はすべてデザインの範囲かなと思っています。

野田:そうですね。正木さんと同じく、人のために何かを創る人は、全員デザイナーと呼んで良いと私は思います。

正木:日々、デザイナーの守備範囲は増えていき、役割が細分化されているイメージがあります。例えば、これまではUX/UIを1人が設計していましたが、昨今ではUXとUIとそれぞれ職種が分かれている組織が増えましたよね。

森:たしかに、UXとUI、それぞれ職種が分かれる傾向はありますね。より専門性が高まり、深い知見と経験が求められているからですかね。

私は、製品やサービスの価値を見出すことがデザイナーの守備範囲だと思っています。

プロジェクトに関わる人は全員がデザイナーかもしれません。事業部長3人の対談記事にもあったとおり、求められているのは単純なスキルではなくマインドセットと言えそうですね。

では BAが考える、UXデザイナーの定義は何ですか?

5階層モデル

森:一般的には、「ユーザーがサービスやプロダクトを利用した際の“体験”をデザインする仕事」と定義されるようなことが多いでしょう。

ユーザーの体験価値を考え抜き、サービス全体のユーザー体験を設計し、それをユーザーの手に届け、機能させることを遂行する人だと思います。そのため当社では、目的・戦略の設定から、要件の整理、全体の構造・骨格設計、開発まで一貫して携わっています。

正木:そうですね、BAのデザイナーはプロジェクトのキックオフから関わるので「なぜこの成果物なのか?」といった意図をきちんと説明できますよね。

そうそう、1つ面白い話があるので聞いてくれますか?

野田:どんな話?

正木:最近、プロジェクトで新しい発見をした話です。いわゆるUXデザインは自分たちが設計するイメージを思い浮かべることが多いですが、みんなで意見を出す場づくりや組織運営もUXデザイナーは担うことができるという発見です。

野田:面白いプロジェクトですね。ユーザー体験だけではなく、サービス提供者の体験をデザインするのもUXデザイナーのカバー範囲ってことですね。

森:面白いですね。

私が入社した10年以上前と比べると要件は複雑化し、考えることが広がったため、デザイナーが担う役割は必然的に広がっています。

私や野田さんの役割はプロダクトの設計や開発の比重が多いですが、正木さんはお客様がスムーズな運用を実現するための体制に関するご提案にも関わったりしていますよね。

正木:UIとUXの境界は分かりづらいと思いますが、ふわっとした想いを目に見えるようにするのがUXの領域、それを実際にユーザーが触れるタッチポイントを作るところがUIの領域です。もちろんタッチポイントを作る中で、タッチポイントをどう使うかを検討するのもUXですが、これはUIに近いUXデザインですね。

UXデザインというと、UI/UXデザインより幅広い領域を担っていると考えています。

UXデザイナーって、普段何に1番時間を使っているのでしょう?

正木:物理的な時間でいうと、ドキュメントを作っている時間が一番長いかもしれないですが、業務の比重としては考える作業が1番多いです。そのためドキュメント作成自体に割く時間は最小限におさえ、考える時間を増やすように意識しています。

ふわっとしたモノを明らかにするためには、何を、どのタイミングで明確化させるべきか、どれくらいの粒度(抽象度)が適切か、どのような形にまとめるべきかなどの「あるべき」を考えています。

野田:「ふわっとしたモノを明らかにする」って、具体化するってことなん?

正木:具体化だけに限らないです。「ふわっとしたモノを明らかにする」と聞くと、「抽象的なものを具体的にする」というイメージを持たれるかもしれませんが、適切な抽象度にするためには「具体的なものを抽象化する」場合もありますね。

具体と抽象の世界を行ったり来たりして、何が分かりやすいかどう伝えるべきか考えてから、ドキュメントを作っています。

UXデザイナーとは何かを考える

普段大切にしていることは「ビジネス視点」「ユーザー視点」を持つこと

「ビジネス視点」「ユーザー視点」を持つために、どのような取り組みをしていますか?

野田:「ユーザー視点」で1番大切にしていることは、自分がお客様サービスのユーザーになること、ファンになることです。さらに競合他社のサービスを使ってみると、改善アイディアが湧いてきます。

また、サービスの使いやすさを評価する目的のユーザビリティテストに参加して、ユーザーの声を沢山聞いています。普段からユーザー視点でどこを改善したいか、チームメンバーと話して、提案の引き出しを増やしています。

「ビジネス視点」では、決算レポートを定期的にみたり、ニュースをチェックしています。他には、座学(書籍やオンライン講座、業界資格)で必要な情報をインプットし、実践でアウトプットするという往復ですね。

正木:ユーザーの生の声を聞くことって大切ですよね。

「ユーザー視点」に関しては、ユーザーテストなどユーザーの意見が聞ける機会に積極的に参加しつつ、世の中のさまざまなUIに積極的に触れることで表現の語彙を集めています。

「ビジネス視点」については、職種外の知見をインプットしつつお客さんの立場に寄り添うことに取り組んでいます。

森:私も、お客様との会話を増やしたり、ユーザーの声を聞かせてもらう機会を積極的につくっています。またプロジェクト外のメンバーにヒアリングするなど、とにかく客観的な意見を拾いながら視点が狭くならないようにしています。

BAのデザイナーだからこそ得られる経験は何だと思いますか?

森:沢山ありますが、3つほど厳選して挙げるなら、

  • 大手企業のプロジェクトが多く、世の中に大きな影響を与えられる。
  • 直取引のクライアントが多いので、お客様企業の中枢に入りこむことができる。
  • チーム編成やプロジェクトの課題が多岐に渡るので、デザイナーに限らず自分の幅を見出せるチャンスがある。

などでしょうか。

その他にも繰り返しになりますが、開発に関わるデザインだけでなく、運用を効率的に回すための組織やフローのデザインも経験できる点は特長だと考えています。

正木:そうですね。規模が大きい案件に関われるけど、大型案件にありがちな分業があまりなく、あるべき姿の定義からグラフィック作成まで一気通貫で関われるところかなと思います。

大変なこともありますが、その分やりがいはあります(笑)

UXデザイナーが普段大切にしていることを出し合う

当社は数年〜10年以上にわたる継続案件が多いですが、どのような点をお客様から評価いただいていると思いますか?

野田:お客様と同等かお客様以上に深く考えて、お客様と一緒にサービス開発や改善に取り組むことの積み重ねが、信頼に繋がっているのではないかと思います。

森:本当に、そうですね。成果を出し続けられている証でもありますね。

設計やアウトプットの品質向上のために、様々な職種・役割のメンバーを繋ぐHubになり、情報共有やコミニュケーションをとるように動いています。

正木:なるほど。私は自己評価が高くないので分からないですが、普段気を付けていることは、「痒いことに手が届く人になるように行動する」ことです。「便利だな」と思ってもらうことが、相談しやすい関係値を築ける第一歩だと思っています。

森:野田さんと正木さん2人に共通する根幹には「おもてなし」の精神が感じるんですよね。例えばお客様の要望に応えるために、お客様の業務を理解をしたり、分からないと想定した部分を先回りして準備するなど、共通の資質だと思います。こういう行動がお客様から評価されていると理解してます。

UXデザイナーが普段大切にしていることを出し合う2

今後はチームを拡大し、お客様に提供できる価値を広げたい

もう1人UXデザイナーをプロジェクトチームに増やすとしたら、どういう人に来て欲しいですか?

正木:「UXデザイナー」はデザイナーからだけでなく、ディレクターやフロントエンドからUXデザイナーになっている人も増えていますよね。

野田:そうですね。これまでの経験や経歴に関係なく、サービスに興味がある人にプロジェクトに参画して欲しいです。

お客様のサービスが好きで、お客様の業務を自分事化できる人であれば、改善したいという気持ちが自然に出てくると思います。チームで一緒に取り組むので、他のメンバーと同じくらいお客様のサービスへの愛情を持てる人だと嚙み合いやすいと思います。

逆に、お客様のサービスが好きになれない人や、もっと良くしたいという想いが持てない人は一緒に取り組むとつらいでしょうね。

森:プロジェクトに参画しないと分からないことが多いですが、まずは何事にも挑戦したいと考える人がいいですよね。もちろんUXデザイナーに必要なスキルセットはありますが、それ以上に、お客様やプロジェクトメンバーへの考え方や関わり方が重要かもしれないですね。

今後、挑戦してみたいことはありますか?

正木:今関わっているプロジェクトチームはメンバーの4人がそれぞれの知見を交換し合った、とてもいいプロジェクトでした。このプロジェクトチームのコミュニケーションのやり方をBAに持ち帰れないかなと考えています。これまでプロジェクトで得た知見を社内メンバーへ共有できたら、私の知見ではなく組織の知見になると思います。

森:新規のお取引やプロジェクトは日々増えているので、経験の共有がもっと活発にできたらいいですよね。今回のこのインタビューも「ワークショップ形式でやってみましょう!」という正木さんのアイディアで、付箋にアイディアを書き出し、グルーピングしながら進めています。

野田さんの案件も元々は1人だったのが今では8人チームになったからこそ、メンバーそれぞれの視点や経験が組み合わさってよりよい提案ができているのだと思っています。

これまではBAのメンバーだけでプロジェクトチームを組成することが多かったですが、パートナー会社とも協力しながらチームを拡大する機会も増やしたいです。

野田:いいですね、そういうやり方は今後増えていくと思います。

私のチームは、今年の1月からBAチームに新たなメンバーを迎えたばかりなので、今いるメンバー全体が1段ずつレベルアップしたいと考えています。またディレクターとデザイナーが自分の領域にこだわらず、メンバー全員がUXデザイナーというチームにしたいと考えています。

森:当社の方針としても、1人でお客様をサポートするより、専門性の高いメンバーが増えるほど提供できることも増えるので、チーム化は私たちのミッションのひとつだと思います。

チームとしてお客様をサポートするために、デザイナーという職種に限らずUXデザイナーとして活躍したいメンバーを募集しています!

正木:私の案件も複数人チームにしたいと思っているので、どういう人がUXデザイナーに向いているのか最近ずっと考えていました。結論としてはスキルや経験ではなく、「対話を通して世の中やお客様に貢献したい」と考えている人とチームで一緒にお仕事したいなと思います。

スキルややりたい事を通して、世の中に貢献したいという人がプロジェクトメンバーになってほしいなと思っています。

だから、いわゆるデザイナーからUXデザイナーというキャリアパスだけではないですよ。アカウントやディレクターなどからUXデザイナーになる人も増えていると思います。

森:そうですね、私が言いたい事を殆ど話してくれました(笑)。言語化できていないお客様の要望や悩みを引き出し、解決に導くためには、自分の領域にこだわらず対応できる人と一緒に仕事をしたいですね。

決めてくれないとできない、自分はここまでしかやらない、という人は提供できる価値も広がりません。柔軟に対応できる資質を持った人だと活躍の場は広がるでしょう。

UXデザイナーが普段大切にしていることをまとめる

編集後記

今回インタビューに参加した3人はそれぞれやっている事が違うので、インタビューは予想以上に大盛り上りの楽しい時間でした。

「UXデザイナーはサービス利用者の体験だけでなく、サービス提供者の体験もデザインする」という言葉は目から鱗でしたね。

また、野田さん個人の意見が、以前別の記事のインタビューで聞いた森下さんの言葉とリンクしていて、少し感動しました。「自分がユーザーになる」こと、つまり1ユーザーとしてお客様のサービスが好きだからこそ、より良くしたい!という気持ちが自然と沸き起こるという話は印象的でした。

この記事を読んで、当社のUXデザイナーの考え方に共感してくださった方は、ぜひお話しましょう。ご連絡お待ちしております!