こんにちは。BAsixs参画企業である、ビジネス・アーキテクツ(以下、BA)の鈴木です。
みなさんはお客様や社員に自社の魅力を伝えたい場面で、次のようなことにお困りではないですか?
「お客様に明確な企業イメージが伝わらない」
「社員の間で会社への向き合い方がまちまち」
「企業ブランディングがうまくできない」
これらのお悩みは、CI(コーポレート・アイデンティティ)の新規立ち上げや見直しをしてみると解決するかもしれません。
適切 なタイミングとしては、現在のCIがうまく機能していないと感じる場合や、創立の周年などが良いでしょう。もし企業の統合などがあるなら、より一層力を入れてCIを立て直す価値があります。
CIの刷新には短くて1年はかかると想定しておき、より長く企業の支柱となるものを目指すことをおすすめします。
刷新したいけれども、そもそも
「CIが何なのか、ぼんやりとは知っているけれど説明できない」
「どう取り組めば良いのか、どんな効果があるの知りたい」
など、CIへの理解を深めたい方々に、今回はCIについて事例を交えて解説していきます。
CI(コーポレート・アイデンティティ)とは?
CIとは「コーポレート・アイデンティティ(Corporate Identity)」の略で、企業の理念を行動やロゴを通して社内外へ発信する企業戦略を指します。
CIは主に次の3要素から成り立っています。
- MI(マインド・アイデンティティ/Mind Identity)
- BI(ビヘイビア・アイデンティティ/Behavior Identity)
- VI(ビジュアル・アイデンティティ/Visual Identity)
それぞれがどのような意味と役割を持つのか、順を追って見ていきましょう。
MI(マインド・アイデンティティ)
MIは企業の理念や存在意義のことを言い、企業経営をする上でどのような心構えで振る舞うのかを定めるものです。そのため、MIにはただビジネスの方針だけではなく、社会貢献へのスタンスや企業哲学も含む独自性と包括性を持った理念が求められます。
このあとご説明するBIとVIはこのMIを元に作られるため、企業の核心はどこにあるのかしっかりと向き合って決める必要があります。
BI(ビヘイビア・アイデンティティ)
BIは、MIをもとにした社員の行動規範のことを指します。社員の行動に一貫性を持たせることで、お客様にも体験として企業のMIを伝えることができます。また、BIは具体的な「この企業における社員のあるべき姿」を示すので、社員同士の間でも意識を合わせやすくなり、社内の摩擦を減らすことに繋がります。
VI(ビジュアル・アイデンティティ)
BIがMIを行動として示す代わりに、MIを視覚的に表したものがVIです。ロゴやコーポレートカラー、タイポグラフィなど、デザインで企業理念を伝えることがVIの役割です。
VIがMIと紐づいていないとデザインだけが一人歩きしてしまい、MIとは沿わないものになってしまいます。この問題は特にアウトソーシングでVIを作る際に気をつけたいポイントです。
企業ブランディングのためにCIを戦略的に運用することの効果
ここまではCIにまつわる言葉の意味を解説しました。続いては、CIを戦略的に使うことで得られる効果を3つ紹介します。
効果1:競合他社と差別化し、認知度を上げられる
まず1つ目のメリットとして、競合他社との差別化と認知度向上が期待できます。
CIを作ることにより、企業が何を成し遂げようとしているのか明確になり、VIを通して目に見える形で表現され、CIを認知した人がその企業のことを覚えやすくなるからです。ただし、差別化と認知向上を図るには、CIを作るだけでなく、世の中にCIを発信するという行動も重要になってきます。
効果2:社員の意識を統一する指針となる
2つ目のメリットとしては、社内の摩擦を減らし、企業としてのあるべき価値創造に注力できることが挙げられます。
CIを作ることで、企業の理念がBIという実現しやすい形で表現されるため、社員の視座・意識の統一を図れるからです。
逆に、CIが浸透していないことにより、
- 経営層が言ってることの意図がいまいち理解できず、仕事に反映できない
- 良かれと思ってやった仕事が、会社が目指す方向性と違ったため評価されなかった
などの問題が生じることにつながりかねません。
これらの問題を避けるためにもCIは必要になっていきます。
効果3:顧客体験を通じて企業価値を高められる
3つ目のメリットとして、一貫性のあるCIによって、顧客はいつでもMI(企業理念)に基づいた商品やサービスを体験できます。そしてCIを通じて顧客からブランドイメージに好感を抱いてもらえれば、競合他社の中から選ばれる理由となります。
つまり、商品やサービスだけでは差がつけられない場合に最後の決め手となり得るのです。
CIの作り方
前述の通り、CIはMI、BI、VIの順で作っていく必要があります。この章では、さらに前段階となるMIを作る準備から紹介していきます。
ステップ1:目的・目標と問題・課題を共有
まずは自社の目的・目標を再確認し、それの実現について起きている問題と課題を整理しましょう。問題と課題は部署などを横断してヒアリングし、様々な立場のメンバーでCI設計チームを組むことが望ましいです。
ステップ2:方針と計画を策定
調査結果をもとに、それぞれの課題を解決するMIの方向性を絞っていきます。既存のMIと大きく離れてしまうと社内外の混乱を招くことになるため、なるべくヒアリングで出てきたイメージの良い部分は残すようにしましょう。
ステップ3:MIを作る
MIを作るには、創業者の思いや会社の歴史といった過去の振り返りと共に、今いる社員の抱いているイメージも大切です。MIを作る段階で意識したいのが「シンプルすぎるくらいにわかりやすく、明確な言葉でMIを定義する」ということです。このことがあとでご説明する社員への浸透にも繋がっていきます。
また、対外的にはステークホルダーの調査も重要になります。他社がどんなブランドを掲げているか、株主からどのように思われているかなど、外から見た自社はどのような存在でどんな位置付けなのか、客観的な視点も取り入れることで企業価値を上げやすくなります。
ステップ4:BIを作る
BIでは社員の行動規範を明文化するため、人事総務部との協力が非常に重要です。加えて、社員の普段の行動に変化が加わるので、混乱が起きないようBIの浸透施策も考慮しておくと良いでしょう。
これらの取り組みがクリアできれば、企業での社員の意識を統一でき、しかも社員一人ひとりがMIに基づいた顧客体験を生み出せるようになります。
ステップ5:VIを作る
MIに沿った色彩やフォントなどを取り入れて、企業を視覚表現していきます。デザインをアウトソーシングする場合は、MIを細かくデザイナーに伝えて理解してもらう必要があります。ロゴやシンボルが単体で美しいものであっても、MIと離れてしまっていると一貫性が失われてしまうので、CIプロジェクトとしての成果をあげるためにもMIを意識したデザインを目指しましょう。
ステップ6:社内外へ浸透
社内の浸透方法は、例えばの浸透方法は、例えば全社員や部署ごとの定例会議の時間を活用して定例会議の時間を活用してCIの概要を説明すれば、一度に多くの人に周知しやすれば、一度に多くの人に周知しやすいため、施策の基本になります。定例会議定例会議が難しければ、それぞれの部署を回って直接アナウンスするなど、まずは「知ってもらう機会を作る」ということを目標にしましょう。
社外への浸透についても、訪問時に自社のCIを紹介する時間を設けたいものです。グッズがあれば、社員にも顧客にも配布してわかりやすく記憶に残せます。
ステップ7:運用管理
CIの運用管理で重要なことは、全体設計する担当者を決め、MI・BI・VIで担当を切り分けないことです。この点を押さえていないと、担当者の異動でCIが曖昧になってしまうリスクがあるからです。
上記がCIプロジェクトチーム側の管理問題とすれば、社員への浸透施策運用において重要なことは、ステップ3でご説明した「シンプルすぎるくらいにわかりやすく、明確な言葉でMIを定義する」ことです。このポイントがクリアできていれば、社員にもよりCIが伝わりやすく、馴染みやすくなるでしょう。
ただし、どんなにシンプルな定義であっても、浸透施策のアウトプットが多くなるとメッセージが散乱したものになりやすいため、都度最初の定義を振り返り一貫性を意識する習慣をつけましょう。
CIを作る際に注意すべきこと
CIを作るに当たって注意すべきことの代表的な例は、MI→BI→CIの順で作ることというのは先ほども述べました。ここではそれ以外にも注意したいことをいくつか挙げていきます。
注意点1:ステークホルダーを最初から巻き込む
MIの作り方を説明した際に、ステークホルダーの調査が重要なことを述べました。
MIはCIの根幹、つまりブランディングの要となるので、企業戦略の方針から商品・サービス提供までの全てに影響を及ぼすこととなります。しかもCIは長く使い続けることが前提となるため、競合他社のCIや株主からの印象、顧客からの印象を踏まえて設計する必要があります。
株主や顧客からどのような企業であることを求められているか、競合他社と差別化できるポイントはどこにあるか、この2点からCIを策定していくことをお勧めします。
注意点2:社内外への浸透には時間をかける
先ほども「グッズを制作して配布する」という社内への浸透施策の例をご紹介しましたが、そのほかにも
- 社内のイベントに紐づけてCIを使った企画を作る
- 入社のオリエンテーションにCIの紹介を含める
- 自社のCIらしさを考えるワークショップを開く
など、CIを自分事として捉えてもらう工夫を凝らす方法があります。
注意点3:ガイドラインは必要
せっかく丹念に作り上げたCIがあっても、個々人の認識に任せて運用していては崩れていくのが早まってしまいます。社員へ正確なCIを共有し、顧客へ提供し続けるためには、MI・BI・VI・CIの全てが記載されているガイドラインを用意することが有効です。
「ブランドらしさとは何か」「業界におけるブランドの位置付け」「ロゴの扱いのルール」などを取りまとめたガイドラインがあれば、社内にも社外にも一貫したCIをいつでも提示できます。
企業ブランディングの事例紹介
ここまでCIについてご説明してきました。それでは次に、視覚で多方面に発信されるものの、多くの人が関わるためにつまずきやすいVIの制作を、BAではどのように行なったかを事例としてご紹介いたします。
VI制作事例
BAではBAsixs立ち上げの際に、社内外への浸透のためのアプローチが難しいという課題を抱えていました。まだテキストベースの定義しかなかったため、文章を読み概念を理解するというステップを踏むしかなかったのです。
そこでBAsixsの概念をロゴというVIで表現し、顧客にも社員にも見た目で理解してもらえるようにしました。
ロゴの制作期間には1ヶ月という限られた時間しかありませんでしたが、仕事の密度をあげて「取り入れるべき想いを逃さず最大限取り入れるために工夫をする」ことを最重視しました。
どのような経緯でこの意識を持ち、どんなプロセスを経てロゴが作られたのかについては、ぜひこちらの記事をご覧ください。
BAsixs「らしさ」を表現するロゴができるまで〜ロゴ完成までの1ヶ月を大公開〜 | BAsixs(ベーシックス)
そうして出来上がったのがBAsixsのロゴです。
BAsixsのロゴ制作では、単なるグラフィックではなく想いを形にする方法をデザインし、想いをデザインし、形に落とし込みました。そのことでVIを語りやすくなり、「共感できるきっかけ作り」になったと思います。
CIは顧客と社内の双方の満足度に繋がる
CIを作ることは、このように社員の意識から顧客の体験、ひいてはステークホルダーも巻き込んで効果を発揮していきます。
これからCI導入や変更を考えている方は、本記事で解説した
- CIの意味と得られる効果
- CIの確実な作り方
- CIの運用の仕方
を踏まえて取り組むことをおすすめします。