時代の変化とともに、エンジニアのあり方も大きく変わってきています。これからの世の中に必要とされるエンジニアとは、どのようなものなのでしょうか?長年エンジニアとしてキャリアを積み、現在はBAsixs参画企業、ビジネス・アーキテクツ(以下、BAと称する)のエンジニア リング UNITとソリューション UNITのマネジメントを担当している長澤さんにお話をうかがいました。
インタビューを受けた人
- 長澤情報システム部 部長/ゼネラルマネージャー(ビジネス・アーキテクツ)
業務アプリケーションの開発会社にてプログラマーとしてキャリアをスタート。SE・PMの経験を経て、2007年に大手Web制作会社へ転職。グループ会社横断で利用する基幹システムの設計・開発及び周辺システム連携のプロジェクトを推進。2018年にビジネス・アーキテクツへ転職しエンジニアリングUNITとソリューションUNITの責任者を務める。現在は情報システム部の部長兼ゼネラルマネージャーとして、組織運営に携わっています。
近年のエンジニアの種類と役割
BAにおける、エンジニアの種類と役割について教えてください。
BAのエンジニアは、フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアに分かれています。フロントエンドエンジニアはWebサイトのブラウザ側で動くものをプログラムするのが仕事で、バックエンドエンジニアはサーバ側を担うエンジニアです。このほかに、サーバメンテナンスを専門に行うエンジニアもいて、バックエンドエンジニアが兼務することもあります。
近年、エンジニア市場はどんなふうに変化していますか?
時代とともに注目される業界が変わると、エンジニアのフィールドも変わってきます。Web制作のエンジニアは減ってきている気がしますね。10年くらい前はゲーム領域に人材が集まっていましたが、現在はAIや物流、キャッシュレス決済など、多様な領域に進むエンジニアが増えているように思います。
エンジニアとして、今後どんな人材が求められていきますか?
今後どんなニーズが出てくるかは正直わかりませんが、Web以外にもエンジニアが活躍できる領域が広がっているので、1つの専門を突き詰めるというより、いろいろな分野の仕事がこなせるエンジニアのほうが活躍できるのではないでしょうか。
これまでは、フロントエンドエンジニアで入社したら、ずっとフロントエンドの仕事を行うというのが一般的でした。しかし、これからのエンジニアは「フロントエンド一筋」というような一点突破型というよりも、多様性が求められる場面でも変化に対応できる人材が求められると考えています。たとえばフロントエンドエンジニアであれば、デザインやバックエンドなど、周辺の領域のこともある程度理解できるような人だと、仕事で活躍できるチャンスが多くなります。
経験年数はどれくらい評価されるものですか?
経験年数も大事ですが、それよりも何をやってきたかが大事です。得意分野はあるけれど周辺業務の理解がまったくないと、チームとして仕事をする上で共通言語がないため困ります。
もちろん、特定の分野のプロフェッショナルとして活躍しているフリーランスの方もいますが、その働き方を成立させるには、新しい技術を実案件で取り入れていける環境が必要です。携われる"案件運"にも大きく影響されるため、本当の意味で成功できるかどうかを考えると、狭き門だと思います。一方で、実際の案件の多くは安定稼働できることが大前提となるため、企業に所属しているエンジニアは職人タイプよりも、チームメンバーやお客さまとコミュニケーションが取れるタイプの方が活躍しやすいのではないでしょうか。
異業種からエンジニアになる人もいるのですか?
はい。技術開発のスピードが速くて日進月歩の業界ではありますが、常に最新の技術を知っておかなくてはならないとか、複雑で難解なプログラムを書けなければいけないというわけではありません。また、古い技術から順番にすべてを習得する必要はないので、異業種からの転職してくるエンジニアはたくさんいます。
むしろ、ほかの業種の知識や経験は、実案件ではプラスに働くことが多いです。たとえば、経理経験のある人がエンジニアになれば、会計のシステムを作るときにこれまでの知見が発揮できます。
エンジニアに必要なスキルや能力
エンジニアに最低限必要なスキル・能力は何ですか?
まず、プログラミング言語の習得。フロントエンドエンジニアにはJavascript、バックエンドエンジニアにはPHPを覚えておいてほしいですね。ただし、これさえできればいいというものではありません。
次に必要なのはコミュニケーション能力です。意外に思われるかもしれませんが、お客さまが求めるものを正しく理解し、適切なやりとりを行いながら完成を目指していくコミュニケーション能力はとても重要です。
また、勉強しつづけられることも大事な能力です。技術はどんどん変わっていきますから、常に自分のスキルを拡張しつづけなくてはなりません。トライ&エラーの繰り返しにくじけないことも大切です。
どんな人でも勉強すればエンジニアにはなれると思いますが、飽きっぽい人やプログラムを書くことに苦手意識がある人には向いていないかもしれないですね。
経験年数ごとに求められるスキル・能力も変わってきますか?
僕個人の意見ですが、経験を積んでいる人にはぜひ後進の育成をお願いしたいです。会社が成長するためには後輩や部下の成長が不可欠ですから。また、これまでの経験を活かして何か新しいものを生み出してくれたらと思います。新規事業の提案や業務の標準化・効率化など、率先して進めてもらえたら嬉しいです。
スキル・能力のオススメの身につけ方
エンジニアになるのに、おすすめの学習方法を教えてください。
未経験で入社した場合、BAでは外部研修を受けてもらうと同時に、フロントエンドエンジニアには社内のトレーニングプログラムも用意しています。ボリュームのあるプログラムですが、最後まで終了しないと実案件に入れません。また、勉強会も開催しています。
2020年の夏から新しく始めたのが、社内ブログです。自分たちがやっている仕事や技術について他の社員に紹介するもので、現在はフロントエンドのスタッフが持ち回りで投稿しています。たとえば……「ゆく河内くる河内」という記事は河内さんが1年でどれだけ成長したかを書いたもので、「WordPressのセキュリティ対策 これだけはやっとけ」という技術関係の記事もあります。各自の知見を共有し合う場になっています。
エンジニアは独学しやすいのですが、ゴール設定を間違えるとただ疲れるだけの勉強になりがちです。ですから、何かを作ると決めたらそのテーマで勉強するなど工夫が必要です。世の中にはオンラインの学習ツールもあり、とても便利ですが、会社のルールなどとズレてしまわないように注意しながら進めるとよいと思います。
フロントエンドエンジニアをゼロから育成。BAのフォローアップ制度 | BAsixs(ベーシックス)
あったら便利な資格はありますか?
体系的に言語を学ぶという意味では、 HTML5プロフェッショナル認定試験、 PHP技術者認定試験、 Python 3 エンジニア認定基礎試験 などがあります。 また、エンジニアの仕事に直結するような資格でなくても、自分の業務を効率化するためなどに活用できると思います。Webクリエイター能力認定試験も持っていれば、デザイン側の基礎知識はあると評価してもらえるかもしれません。
あとは、間接的に仕事に役立つ資格、たとえばウェブ解析士やPMPなどを持ったエンジニアも非常に魅力的です。Webがどう使われるのか、どうあるべきかをきちんとわかった上で仕事ができるのは強みだと思います。
Webサイト制作と直接の関係性は薄そうな簿記や中小企業診断士などの資格も案件によっては役立ちます。お客さまとの共通言語を持っているとコミュニケーションがスムーズになるので、持っていて無駄になる資格というのはないように思います。
BAにおけるエンジニアリングUNITのあり方
現在のエンジニアリングUNITをご紹介ください。
フロントエンドチームは6名、バックエンドチームは4名の10名体制です。フロントエンドチームは9割が女性、バックエンドは全員男性です。
エンジニアリングUNITのメンバーは素直な人が多いですね。大変な状況になってもがんばるし(笑)、さいごまで踏ん張れる人が多いです。
フロントエンドエンジニアはやったことがすぐに目に見える形になるのでやりがいがありますし、バックエンドエンジニアは縁の下の力持ち的な頼り甲斐のある仕事です。
今後目指していく姿を教えてください。
社内ブログのように、自分たちが学んだことやできることを積極的にアウトプットしていきたいです。ノウハウを共有し、自分の言葉で語る経験を積むことで、お客さまや他のスタッフとのコミュニケーション能力を高めていきたいと思います。
また、BAではお客さま先にエンジニアを同行させるようにしています。営業と一緒に提案書を持ってお客さまのところへ行くこともあります。お客さまのことを知らないで仕事はできませんし、ただ言われたことをこなすだけの考えないエンジニアになって欲しくないですから。"コミュニケーションができるエンジニア"がBAエンジニアのあるべき姿です。
まとめ
職業としてのエンジニアの魅力は、自分で動くものが作れること。「こういうものが作れたらいいな」と思ったら自分で作れるのは楽しいですよね。
BAでエンジニアとして働くメリットは、成長する機会がたくさんあることです。作業ができればいいという考え方ではなく、幅広い経験をさせますし、勉強する人をあと押しするカルチャーなので、"潰しがきく"エンジニアになれると思います。
コミュニケーション力があるエンジニアになりたい人、幅広い仕事ができるエンジニアを目指したい人、異業種からチャレンジしてみたい人は、ぜひ一緒に働きましょう!