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「デザイナー必須」UD検定を受けるメリットと業務への活用方法を紹介

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プロフィールアイコン(写真):第3事業部 マネージャー/デザイナー 水戸
水戸第3事業部 マネージャー/デザイナー(ビジネス・アーキテクツ)

Web制作会社数社でのデザイン経験を経て、2017年にBA入社。入社後はLP〜大規模な案件まで複数案件の情報設計・デザインに携わり、現在はUX開発を手掛けるUIデザイナーとして客先常駐中。気がついたら入社して5年経っていた。2020年にUD検定初級を取得。人に恵まれていることに感謝しつつ、毎日やりがいと面白さを感じながら、課題解決のために日々奮闘しています。

一般財団法人 国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)が主催する、UD検定(初級)をBAsixs参画企業、ビジネス・アーキテクツのデザイナー・水戸さんが受験しました。UDとは何なのか?UD検定を受けることで業務へどのように活かせるのか?受験を通して学んだものについて語っていただきました。

身の回りにたくさんあるUDを正しく学ぶ検定

UD検定は、ユニヴァーサルデザイン(以下、UDと称する)の普及と実現に向けた活動を行っている一般財団法人 国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)が主催する検定です。初級と中級の2種があり、私は初級をオンラインで受験しました。初級はUDを正しく理解するための基礎知識を身につけることを目的としていて、デザイナーだけでなく、UDに関心がある人であれば誰でも受験することができます。

UDとは、障がいの有無や年齢、性別、国籍にかかわりなく、すべてのユーザーが使いやすいモノやサービスの設計(デザイン)することをいいます。似た言葉に「バリアフリー」がありますが、バリアフリーとの違いは、障がい者や高齢者に対象を限定しない、より広い概念だという点です。

実は、意外とみなさん見過ごしていますが、UDの実例は身の回りにたくさんあります。たとえば、ペットボトルの胴体にある凹みはボトルを持ちやすくするためのUDですし、シャンプーボトルの刻みもシャンプーであることを識別するためのUDです。UD検定の初級は、UDとは何か?ということや、身近にあるUDを知ることからスタートします。

WebにおけるUD(Webアクセシビリティ)はすでにデザインにおいてはグローバルスタンダード

UDを知ったきっかけは、ビジネス・アーキテクツに入社した当時、先輩に受験者が多かったからです。その時はデザインにはあらゆる利用シーンを想定し、使う人のことを真剣に考えてつくることが大事なんだなと何となく理解しました。その後、IAUDが主催する「48時間デザインマラソン」に参加したことで、UDに対する関心が深まり、きちんと勉強したいと思うようになりました。

「48時間デザインマラソン」は、障がいのある方と2泊3日、寝食を共にしながらUDに配慮したプロダクトデザインを考えるというイベントです。視覚障がい者の方々と同じグループになったのですが、私たちと同じようにスマホをいじったり、PCサイトを見たり、私たちと変わらず過ごしている様子を見て、とても驚いたのを覚えています。

視覚障がいがあっても、サイトにPDFの読み上げ機能が実装されていれば問題なく閲覧することができます。ただ、すべてのサイトにそのような配慮がなされているわけではないから、対応していないサイトを見たい場合はとても困るというお話をされていたことも印象に残っています。

障がいがあっても、適切な配慮があれば何でもできるし、どこへでも行けます。でも、社会の仕組みはまだまだそのニーズに十分に追いついていません。WebサイトにおけるUDとは、すべての人がウェブサイトで提供される情報を利用できるようにすることで、一般的に「Webアクセシビリティ」と呼ばれています。海外では「Webアクセシビリティ」の配慮が進んでいて、配慮していないサイトには罰金が課されるケースも出てきています。日本でも大企業を中心に取り組みが進んでおり、今後Web制作にあたってアクセシビリティはますます重要になるはずでしょう。「これからWebデザイナーとして仕事をするなら、アクセシビリティとも深く関わるUDはきちんと勉強しておくべきだ」という思いが強くなり、今回のUD検定受験となりました。

UD検定では、試験本番までに2回のオンライン講習&力試しテストがあります。試験そのものもさることながら、2回の講習が私にとっては非常に勉強になりました。

何よりも大きな収穫だったのは、「UDって身の回りにこんなにたくさんあるんだ!」という“気づき”でした。挿入する方向や表裏を判別するためにあるPASMOの切り欠き、ビールの缶ぶたの点字は、実は“おさけ”と書いてあること……。お札の表面のザラザラも額面がわかるようにつけられていると知って、知れば知るほどUDに興味がわきました。一方で、世の中にはまだまだUDが足りていないなとも思いました。

写真:駅の改札で切符を購入している、盲導犬を連れた女性

ものづくりに関わるすべての人に知ってもらいたい

アクセシビリティとは、簡単に言えば“サイトの使いやすさ”のこと。ユーザーにとっての見やすさやわかりやすさ、操作しやすさなどを考慮してサイトのデザインを考えることをいいます。

アクセシビリティは、そのサイトのユーザーをよく考えて、個別に設計する必要があります。たとえば、高齢者が多く訪問するサイトなら、高齢者が読みやすく理解しやすいよう最適化しなければなりません。

UDや、UDと似た概念であるインクルーシブデザインは、アクセシビリティを考える際の要素として、Webデザイナーであれば誰でも知っておくべきだと思います。知らないと、見る人を置いてきぼりにした、デザイナーの独りよがりのサイトになってしまいます。

私がWebが好きな理由は、世界のどこにいてもアクセスできて、誰でも見ることができるからです。でも、アクセシビリティの配慮がされていないと、こうしたWebの利点を活かすことができません。どんなに価値のある情報でも、見られる人が制限されてしまったら、多くの人に届けることができなくなってしまいます。それは本当にもったいないことですよね。

UD検定は、プロダクトデザイナーやWebデザイナーだけでなく、広くものづくりに関わる人すべてに受けてほしい検定です。一般の人でも興味があれば、どんどん受けてみてほしいと思います。まず、身近にあるUDを知ること、興味を持つことが大切で、検定はそのよいきっかけになるはずです。

Webデザイナーに限って言えば、たとえば、サイトの配色を考えるのにUDの知識はとても役に立つと思います。ほかにも、フォントサイズや行間、フォームの作り方、エラーメッセージの出し方など、UDの知識を活かして考えるべきところはたくさんあります。

デザイナーだけでなく、エンジニアやディレクターなども含めた全員がUDの考え方を知り、誰でも当たり前にアクセシビリティを考慮するものという意識に変わっていけたらいいなと期待しています。

“人が使うもの”であることを忘れずデザインし続けたい

IAUD 特別ワークショップ資料:どこまで障害者?私は健常者?健常者って何?

出典 : 国際ユニヴァーサルデザイン協議会, 特別 ワークショップ 48時間デザインマラソン in 東京, 第13回48時間デザインマラソン ワークショップ in 東京, 2018-09-06/08.

初級なので基本的なことを一通り勉強しただけですが、それでも“障がい”の認識ががらりと変わりました。

障がいは、何も心身が不自由なケースばかりではありません。私は握力はとても弱くて、かたい瓶のフタを開けるのに苦労します。これも、一種の障がいではないでしょうか。買い物をしすぎて両手がふさがってしまっているとか、そういう場合も障がいのある状態といえるかもしれませせん。そういった、様々な人や様々な利用シーンを想定しながらサイトを作らないといけないなと、講習を受けて改めて思いました。

検定を通してUDについて学んでから、世の中のUDにどんどん目が向くようになりました。いま都内にUD映画館というのがあって、リアルタイムに字幕が出るらしいです!もし、検定を受けていなかったら知らずに過ごしてしまったかもしれないことに、たくさん気づけるようになりました。

次は、ぜひ中級にチャレンジしてみたいですね!色彩検定の「UC級」にも興味があります。UCとは、色のユニバーサルデザイン(universal color)という意味で、誰もが見やすい色づかいやデザインのこと。まさにWebデザイナーとして大事なポイントなので、ぜひ学んで日々の仕事に活かしたいと考えています。

自分たちが作るサイトは人が使うもの。人が使うものである以上、UDを知ることは重要だと思います。もちろん、すべての人に対してサイトを最適化することは不可能です。それでも、少しでも多くの人に見てもらいたい、見てもらえるようなサイトを作れるデザイナーになりたいです。

デザインにもUDにも“あるべき姿”というものがある中で、両者のバランスを取って差をどれだけ埋められるかがデザイナーとしての今後の課題になりそうです。

※ 本コンテンツに使用されている画像の一部は、一般財団法人 国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)様より許可をいただいております。