プロジェクト概要
総合広告代理店であるD社様のメディアサイトを構築いたしました。また構築後の分析・運用などメディアサイトとしてあるべき姿に近づけるための提案を行いました。
プロジェクトの背景・課題
ご相談いただいた背景
ご相談いただいた時期は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発出され、人々の外出が制限されていました。当時の状況からD社様はアフターコロナの時代になっても、全てがコロナ以前の対面中心の営業に戻るとは思っていないため、潜在層の方のニーズを掘り起こし、集客のパイを広げることを目的に、コンテンツマーケティングに取り組むと決めました。
そしてWebサイトは「ユーザーとコミュニケーションする大切な接点であり、自社を見つけてもらうための重要な基地」とオウンドメディアを位置づけたそうです。
弊社が運営する当サイト・BAsixsをご覧いただき、同じようにメディアサイトを使ったコミュニケーションを実現したいとご相談いただきました。
お客様が抱えていた課題
- 自社が力を入れているサービスについて発信することで、潜在層の方のニーズを掘り起こし、集客のパイを広げ(市場規模におけるシェアを拡大する)、より多くのリード獲得につなげたい
- 新サービスのブランディング向上に貢献したい
- ブランド検索ではなく、記事内容からランディングするWebサイトにしたい
上記の課題を解決するために、見込み顧客が欲しい情報をコンテンツとして提供することで、インバウンドマーケティングのかたちを実現することを目指しました。
ご提案・実施内容
初年度の目標は「インバウンドマーケティングのかたちを実現すること」でした。この目標を実現するためには、可能な限り早くオウンドメディアをリリースすることが急務でした。
D社様にご提案した中で特徴的な点は、とにかく早くメディアサイトリリースすることを優先したいため、要件定義の中でも必要最低限の項目について決めました。要件定義フェーズでも特に重要な現状の課題整理のために、ペルソナ・カスタマージャーニーのワークショップを開催しました。結果として、意思決定をスムーズに進められ、6ヶ月でリリースできました。
1.メディアサイトの企画
Webサイトの方針やKGI・KPIを設計
まず関係者へのヒアリングを行い、Webサイトの方針やKGI・KPIを設計しました。目標は、行動目標と数値目標の2つの観点で管理しています。
- KGI:お問い合わせ数
- KPI(数値目標)
- 認知:新規ユーザー数、離脱率
- 興味:再訪数、ブランド名の指名検索数
- 検討:ページ滞在時間、資料ダウンロード数
- 申込:メール経由の問い合わせ数、問い合わせフォーム送信数
- 受注:商談数、成約数
- KPI(行動目標)
- 認知・興味:新規コンテンツ公開数、リライト数、プレスリリース数、別事業部メディア・外部メディアへの寄稿数
- 検討:資料公開数、ウェビナー開催数
- 申込:事例記事公開数
要件定義では、ワークショップを通して関係者間で共通認識をつくる
顧客とのより良いコミュニケーションを図るためにペルソナ・カスタマージャーニーのワークショップを開催しました。顧客の思考や行動を洗い出し、それらに対してどんな課題やニーズがあるのかを整理しました。そして、どういうコンテンツが必要か、どんなコンセプトでオウンドメディアを運営するかをD社様の関連部署の方々も交えて協議しました。
リスク管理のためにリスクを洗い出し、対策を決める
情報システム部署の担当者様とインフラの運用・保守・管理において、セキュリティ上想定しているリスクと対策を議論しました。
2.ユーザーが使いやすいWebサイトを設計
ファーストビューとトップページをデザインする
D社様が考えたサービス名を元にファーストビューを作成し、議論を重ねてブラッシュアップしました。また、トップページの構成も、構成案を作成して方向性を固めました。
ユーザビリティ・回遊性が高まるように、Webサイト全体のタグやカテゴリを設計する
メディアサイトとしてのユーザビリティ・回遊性を意識して、Webサイト全体のタグやカテゴリの設計を行いました。なお、カテゴリはWebサイトの構造を表す分類、タグはカテゴリーの構造に縛られず関連性の高いコンテンツをつなぐ分類です。
タグ例
- ブランディング
- マーケティング
- デザイン
- 対談
- ナレッジ
- イベントレポート
- 調査レポート
例えば、コラムに設定されている「デザイン」というタグをクリックすると、コラム一覧やダウンロード資料一覧では「デザイン」のタグがついたコンテンツのみが表示されます。結果として、ユーザーが興味のあるコンテンツを見つけるきっかけとなり、回遊促進を狙います。
3.運用を見越したWebサイトの開発・テスト
CMSへの記事実装
設計フェーズのWebサイト構築と並行して、D社様が作成した記事のレビューも進めました。そしてCMSには2つのグループに分けて登録しました。
まずはサイト内導線の設定が必要なサービスページや記事一覧ページ、フォームの設定が必要なダウンロード資料を優先してCMSに登録しました。その後、関連部署との確認が必要な事例やコラム記事などの個別記事を登録しました。
MAツール導入
D社様の課題や運営体制に合わせて、MAツールを比較・検討し、導入をサポートいたしました。獲得したリードを検討フェーズ・ニーズ毎にセグメント分けして、メールを使ったリードナーチャリングができるように設計しました。
ダッシュボードの設計・実装
Google AnalyticsとGoogleタグマネージャーを使った効果測定の設計、さらにダッシュボードの実装によりWebサイトの状況をリアルタイムで見える化しました。ダッシュボードを作ることで、週次の効果測定レポート作成にかかる工数を抑え、仮説立案や企画により多くの時間を割くことができます。
脆弱性診断(ペネトレーションテスト)の実施
実装したオウンドメディアの中でも、特に重要な複数のページとCMS管理画面について、脆弱性診断を実施しました。想定されるサイバー攻撃の手法に基づき、システム・ネットワーク内の弱点がないか検査することで、システムが機能しなくなる事態や情報漏洩などのリスクを防ぎます。
4.メディアサイト運用開始後の取り組み
キーワード戦略マップのワークショップを実施
コンバージョン数を増やすためには、どういうキーワード群を狙うのか、逆にどういうキーワード群は狙わないのか関係者で共通認識をつくるためにワークショップを企画しました。参加者でキーワードのアイディアを出し、「事業の親和性が高い・低い」「顕在ワード・潜在ワード」の2つの軸で整理しました。
作成したダッシュボードで両社オンサイトでの分析
毎週作成するアクセスレポートの作成業務では、ダッシュボードの画面キャプチャを貼るだけで現状の共有ができます。そのため、データ集計の手間は無く、仮説立案・施策提案やD社様との議論に時間を割くことができます。
分析結果を元に、新規記事企画・リライト企画の提案会の開催
上記のアクセスレポートの後半の企画提案パートでは、新規記事やリライトの提案を行っていました。さらに状況に応じて解析設計の見直しも提案しました。集計データや競合調査結果をどのような視点で読み解いて仮説立案するのか、実行した施策に対してどのように評価を行うのかなど、レポートの説明と共にレクチャーいたしました。
1年近くの提案会を実施した結果、D社様の編集部だけでもコンテンツ企画・制作・評価が回せるようになりました。
プロジェクト期間
6ヶ月(2023年12月現在も運用をご支援継続中)
チームメンバー
成果
- Withコロナ・アフターコロナというBtoB営業にとって難しい時期にもかかわらず、事例など顧客が求める情報をコンテンツ化して提供することで、多くのお問い合わせを獲得しました。
- 本案件のオウンドメディアの成果が後押しとなり、D社様の他の分野でもメディアサイトが複数立ち上がるなど、社内から非常に高く評価されました。
今後の展開
サイト立ち上げ当初の目標「インバウンドマーケティングのかたちを実現すること」が達成できたので、翌年度は次のようなことに取り組みたいと考えています。
- 新サービスの展開
- 自社の更なる強みの発進
- 社内への営業連携強化
サービス提供会社
- 会社名
- 株式会社 ビジネス・アーキテクツ
- 事業内容
Webサービスの企画・設計・デザイン・開発・運営にかかる総合サービスの提供
- 企業URL
- https://www.b-architects.com/