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Adobe Experience Manager 認定試験の受験体験記

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原口ブリッジエンジニア(ビジネス・アーキテクツ)

米国IT企業のソフトウェア開発部門でプログラム・マネージャーとして長年従事、2023年よりブリッジエンジニアとして入社、BA宮崎オフィス勤務。Adobe Certified Expert - Adobe Experience Manager Sites Business Practitioner 保有

Adobe Experience Manager (AEM) は、さまざまなデバイスやデジタル・チャネルを介して顧客体験を提供する世界最高峰のエンタープライズ系CMSといってよいでしょう。

お客さまに安心してAEMを導入していただくために確かな技術と知識が必要となりますが、それを証明する方法として Adobe認定資格があります。この記事は、Adobe認定資格を取得するために AEM認定試験を受験して合格した体験記となります。AEM認定試験の合格をめざす読者の皆様の参考になれば幸いです。

Adobe Experience Manager 認定試験の受験体験記

はじめに

AEMを利用したグローバルサイトのリニューアル・プロジェクトに参加してまもなく1年になります。セルフトレーニングでAEMの概要と基礎を学び、AEMクラウド環境のサンドボックスを利用して理解を深めてきました。

実務としてプロジェクトに参加してからは、AEMに関する記事の日本語翻訳や、ワークフローの設計と実装、プロジェクト用に開発されたカスタムコンポーネントのテストやドキュメント作業など、AEMの開発メンバーをサポートする業務を担当してきました。

AEM資格取得分科会という社内における資格取得勉強会にも参加することにしました。参加メンバーとAEM認定試験の概要や試験対策を共有するようになり、これまでのAEMのスキル習得と業務経験の成果として、AEM認定試験にチャレンジすることを決めました。

AEM認定試験の種類と目的

まずはどの認定試験を受験するか検討を行いました。AEM認定試験の対象は業務従事者から開発者までさまざまで、レベルもプロフェッショナル、エキスパート、マスターと3段階あります。エキスパートとマスターの認定試験は、英語と日本語で受験が可能となっています。

AEM認定試験の種類と目的について少し紹介します。詳細は Adobe認定制度のサイトから参照してください。

プロフェッショナル認定試験(0〜12ヶ月間の経験)

AEMのプロフェッショナル認定試験には、業務担当者、サイト開発者、アセット開発者、バックエンド開発者、技術基盤の5つの種類があります。合格するとAEM開発者、あるいは業務担当者として1年程度の経験の知識やスキルが認定されます。

エキスパート認定試験(1〜3年の経験)

AEMのエキスパート認定試験には、業務担当者、サイト開発者、DevOPS、Forms開発者、クラウド移行の5つの種類があります。合格するとAEM開発者、あるいは業務担当者として1年から3年程度の経験の知識やスキルが認定されます。

マスター認定試験(3〜5年の経験)

AEMのマスター認定試験は、サイト設計者向けの1種類だけがあります。合格するとサイト設計者として3年から5年程度の経験の知識やスキルが認定されます。

上記すべての認定の有効期限は合格から2年間で、更新手続きによって認定を更新することが可能です。合格すると認定証が届き、認定期間の間は、認定ロゴや認定バッジが利用可能となります。

出題の範囲

AEM認定の種類によって、認定の対象や目的、そして出題の範囲も異なります。そのため、まずは認定のガイドを読んで、受験の選定の参考にします。またほとんどの認定には、無料で受けられるトレーニングコースや模擬試験が用意されていますので、その内容やレベルをより詳しく知ることができます。

筆者が受験するAEMビジネス業務従事者エキスパート認定試験の出題範囲(出題傾向)は、以下となっています。

  • 教育(22%)
  • アーキテクチャ(24%)
  • 経営状況分析(38%)
  • 設定と実装(16%)

模擬試験の内容から、ビジネス業務従事者としてどのような知識やスキルが求められるのかを把握することができました。

受験の準備と計画

操作画面:Examity Dashboard

受験の準備として、まずAdobe社の認定追跡システム(Adobe Credential Management)に登録します。この時にExamityという試験システムにも登録し、受験者のプロファイルや受験地のタイムゾーンを登録します。

操作画面:スケジュールカレンダー

受験日と時間の予約と申し込みは、この認定追跡システムから行います。「スケジュール管理」メニューから、受験する試験を選び、カレンダーから予約可能な開始時間を予約します。予約する時間帯は登録済みのタイムゾーンとなりますので、受験地のタイムゾーンを必ず設定しておく必要があります。受験の申し込みと支払い手続きが完了すると予約が確定されます。この予約は受験料を支払い後であっても日程変更やキャンセルができるようです。

また受験種類の選定のため、Adobe社が用意したさまざまなレベルの模擬試験を受けて、現時点の実力を試すことにしました。この模擬試験の経験から得られたAEM認定試験の特徴は、AEMに関する知識だけでは合格は難しいと言えることでした。

AEMの認定試験はオンライン方式で、問題はすべて選択問題となります。ただ、各設問に対して、「正」か「誤」あるいは「適切」か「不適切」といった識別が必ずしも明確なわけではなく、知識や経験からベストと思われる解答を、一つ、もしくは複数を選択するような問題になっています。裏を返せば、知識と経験があれば問題から正解を絞りやすいということでもあります。

受験する試験の種類が定まったら、認定ガイドでも推奨されている受験準備アンケートを受けました。このアンケートで60%以上の解答ができることが受験適正の目安だそうです。

操作画面:受験準備アンケート

筆者の場合、AEMの経験は1年程度ですが、メインの業務として従事してきましたのでAEMの基礎知識と経験には自信ありました。でもカスタムコンポーネントの開発経験はなかったので、開発者エキスパート認定では適正は不十分で、業務担当者のエキスパート認定であれば合格の見込みはあると判断しました。

明確な目標の設定と計画

AEM資格取得分科会は、オンラインで情報共有や意見交換などの活動をしています。さらに、オンラインでのミーティングも週1回行われます。

オンラインミーティングでは、各自の学習の進捗報告がメインとなるので、実際の学習はスキマ時間を利用することになります。業務に従事しながら学習することになりますので、時間は限られており、明確な目標の設定と綿密な計画が必要と考えました。

筆者がたてた目標は、70%以上の得点で合格することです。内訳は、50%以上の得点を試験時の実力で獲得すること、プラスして20%以上の得点力を過去問題や模擬試験のドリル演習から得ることでした。

また、認定試験の目的や試験範囲、出題配分も明確なので、得意・不得意によって勉強の時間配分も考慮することにしました。筆者の場合、期間は2ヶ月で、10時間程度の学習時間を計画しました。Adobe社や Udemyの模擬試験のドリル学習に約6時間、苦手対策に約4時間を割り当てました。

さらに具体的な達成目標として、Udemyの模擬試験全12回分(1回、約30問、所用時間約5分)とAdobe社の模擬試験(プロフェッショナルとエキスパート)(1回、各50問、所用時間10分)の約400問の100%正解としました。

対策の実施と留意点

筆者が受験する、AEMビジネス業務従事者エキスパート認定の場合、経営状況分析(38%)がもっとも比重が高いのですが、経営状況分析は業務上での経験がありませんでした。そこで、この分野の学習と対策に重点をおきました。

また受験時間が100分で、問題数は50問なので、1問あたり2分の時間配分となります。問題内容と問題の意図や目的をしっかりと理解できれば解答を導きやすくなります。Udemyのたくさんの模擬試験のドリル学習から、英語の問題を読解する訓練もしました。

AEM認定試験は、基本的に英語で行われます。問題文と解答文を理解するだけの英語力は必要となります。エキスパート認定やマスター認定では、問題や選択解答の読解力も必要となりますので日本語試験も用意されています。ただ日本語の問題は、英語問題からの翻訳であるという点、Adobe社のトレーニングや模擬試験、さらに Udemyなどの模擬試験試験がすべて英語のみで用意されている点から、英語のドキュメントを読むことが多いAEM開発者や業務従事者の皆様は、英語で認定試験を受けた方が得点しやすいと思いました。

またUdemyなど、Adobe社でない第三者が提供する模擬試験は、正しくない解答例も散見されるので注意が必要です。例えば問題の中で、「業務従事者としてはどれを推奨しますか?」、「業務従事者としては何から調査しますか?」といった問題など、どれも正しいと思われる解答からベストを選択する問題がでます。このような問題では、たまにベストではない解答例がありますので、もし迷った場合、解答例を信じずに自分で正解を調べることをお薦めします。筆者も参加しているAEM資格取得分科会では、こういった問題や解答をメンバーと確認できる環境にあったのでとても助かりました。

Adobe社の模擬試験の例:トレーニングモード Adobe社の模擬試験の例:トレーニングモード

受験と結果

試験当日は、受験サイトにログインし、予約した試験開始時間予定の15分前からスタートできます。スタートボタンを押すとZoom会議が起動され、プロクターと呼ばれる(試験管)からの指示を待ちます。まず Zoomで全画面を共有して、カメラもオンにして、本人認証が行われます。名前を読み上げ、「受験サイトに登録した写真」及び「カメラに映った顔とパスポート等のID」を使って、プロクターが本人確認をします。

なお証明書類は、受験サイトの登録が英語表記のため、同様に英語表記で氏名と写真を証明できるパスポートを使うことをお薦めします。

本人認証が終わると、ブラウザーとZoom以外のPC上のプロセスが動作していないことを確認してもらいます。場合によっては、プロクターがPC画面からリモート操作してブラウザーとZoom以外は強制終了することもあります。Zoomの設定で、リモート操作を可能にしておくことが必要です。

同意書への署名とプロクターからの注意事項の説明が終わると、試験にすすみます。試験前の簡単なアンケートに答えると試験が始まり、試験時間のタイマーも開始されます。

回答が終わったら試験結果の送付ボタンを押して試験は完了します。Zoomは終了し、試験後の簡単なアンケートに答えれば、試験結果の表示ボタンがでてきます。結果はその場で画面上に表示され、メールで結果を自分のメールアドレスに送ることも可能です。

認定試験の結果

筆者を含むAEMの資格取得分科会メンバーの3名が、AEM認定試験を受け、全員が合格しました。筆者はビジネス業務従事者エキスパート認定試験、ほかの2名のエンジニアはサイト開発者認定試験のプロフェッショナルとエキスパートを受けました。

筆者は、目標だった70%以上の得点で合格できました。ただ、結果を表示するまで合格かどうかわからないほど、迷ってしまった解答もたくさんありました。また経験不足や知識不足を感じる問題もありましたので、今後の学習や実践での課題となりました。

イメージ:認定証

今後の認定試験にむけて

受験用のバウチャーを購入した際に、特典としてThe Adobe Digital Experience Certification Programから、申し込んだ試験と同じ種類のPilot試験を無料で受けられる案内が届きました。AEM資格取得分科会にとっても有効な体験だと思い、本番の認定試験の直後にPilot試験の受験も予約しました。実際にPilot 試験を受けて問題へのコメントなどを送りました。

Pilot試験なので解答のスコアはでませんでしたが、全49問、すべて過去問題にはなかった新しい問題でした。問題のレベルは同じ程度ですが、認定試験の問題は常に更新されていることを理解しました。どのような問題が出ても、70%以上の得点ができるだけの知識とスキルをつける必要があるとあらためて思いました。

以上、体験記となります。この記事が、AEMの資格取得分科会で合格をめざすメンバー、そしてAEM認定試験の受験を検討されている読者の皆様の参考となれば幸いです。