グローバルサイトを運営する上で、1ヶ所修正するだけでも、言語の数だけページの変更作業が発生してしまい、手間だなと悩んでいませんか?
例えばWordPressで各国サイトを管理する場合、各国サイトが別のブログ(別のWebサイト)になるので、それぞれのサイトで同じ記事を作る必要があります。記事を修正するときは各国サイトの記事を全て修正することになり、更新の手間がかかってしまいます。
そのようなあなたのお悩 みは、Adobe Experience Manager(以下、AEM)のマルチサイトマネージャーのライブコピーと言語コピーの機能を使うことで解決できます。
AEMパートナー企業のエンジニアが実際の画面を見せながら、次の2つの流れを説明します。僕の母国であるバングラデシュ向けサイトの構築を例に説明しますね。
- バングラデシュ向けサイトを構築する
- マスタの更新内容を、すべての海外拠点向けサイトへ反映する
AEMの概要
AEMはAdobe Inc.が提供するCMSプラットフォームです。Webサイトを管理するために、必要な機能を全て実現できるように、AEMは設計されています。
グローバルサイト運営でよくある5つの課題と、その解決方法については、次の記事にまとめています。ぜひ合わせてご覧ください。
AEM (Adobe Experience Manager) 導入で解決するグローバルサイトの課題 | BAsixs(ベーシックス)
本記事では、上記の記事で紹介している解決方法の中から、多言語コンテンツを一元管理し、世界中のステークホルダーに届ける機能について詳しく説明します。
実際、「複数の部署や海外拠点の担当者がコンテンツを更新できるようにしたいが、情報統制に悩んでいる」というご相談をいくつかいただいております。
1. バングラデシュ向けサイトを構築する
多言語サイトを構築するためには、AEMのマルチサイトマネージャーのライブコピーと言語コピーという機能を使います。
下図のようにAEMのライブコピー(青線)の機能を使うと、マスターとなる英語サイトを元に海外拠点向けの英語サイトを作れます。海外拠点向けの英語サイトから、言語コピー(赤線)の機能を使って、海外拠点向けの現地語のサイトも作れます。
ライブコピーと言語コピーを使った運用の仕組みを取り入れることで、統制がとれたサイト運営ができます。
日本向けコンテンツが多い場合は、グローバルサイトと運用を切り離すほうが良い
上の図で、日本語サイトだけ別で管理している理由を簡単に説明します。
日本に本社がある企業には、IRをはじめとした日本だけに向けたコンテンツが多いので、グローバル向けコンテンツとは切り離して管理する事をおススメしています。そのためグローバル向けに、日本語サイトとは別でマスターとなる英語サイトを作成します。
本記事では紹介しませんが、ワークフロー機能を利用してガバナンスを保った健全なサイト運営も可能です。ワークフローについては次の記事で紹介しています。
サイトガバナンスを強化!承認ワークフローで発信メッセージを統一 | BAsixs(ベーシックス)
ステップ1.マスターを元にバングラデシュ向けの英語サイトを作る(ライブコピー)
マスターの英語サイトからライブコピー機能を使ってバングラデシュ向けの英語サイトを作ります。この操作はAEMのサイト作成画面で簡単に行うことができます。
マスターの英語サイトを選択し、サイトの作成メニューから「ライブコピー」を選択します。次にライブコピーの展開先であるバングラデシュサイト「Bangladesh」を指定すると、バングラデシュ向けのフォルダ内に英語サイトが作成されます。
ステップ2.バングラデシュ向けの英語サイトを元にベンガル語サイトを作る(言語コピー)
バングラデシュ向けの英語サイトから、言語コピー機能を使ってバングラデシュ向けのベンガル語サイトを作ります。この操作もAEMのサイト作成画面で簡単に行うことができます。
バングラデシュ向けの英語サイトを選択し、サイトの作成メニューで「言語コピー」を選択します。次に言語コピーするコンテンツの範囲を選択し、英語から翻訳言語(今回はベンガル語)を指定して翻訳プロジェクト(※)を作成します。翻訳プロジェクトを実行すると英語コンテンツがベンガル語に翻訳され、バングラデシュ向けのベンガル語サイトが作成されます。
※ 翻訳プロジェクト:上記の図では省略していますが、コンテンツを翻訳する時は、翻訳プロジェクトの中で翻訳を実行します。翻訳の種類は、翻訳者による翻訳と、機械翻訳による翻訳のどちらも指定が可能です。
2. マスタの更新内容を、すべての海外拠点向けサイトへ反映する
この段落では、マスターで更新した内容をすべての海外拠点サイトに反映する流れを説明します。更新の大まかな流れは、次の図のとおり構築と同様の手順で進めます。
また特徴的なのは、各海外拠点向けサイトに紐づいたコンテンツをマスター上で一元管理し手軽に更新することが可能な点です。公開されているすべての海外拠点向けサイト(今回の場合はバングラデシュ向けのサイト)は、マスターのコンテンツ更新と同期されているためです。
ステップ1.マスターを更新して、ライブコピーで作成した各国の英語サイトへ反映する
マスターのトップページのタイトルを変更する場合を例に説明します。まずマスターの英語サイトのトップページを編集します。トップページのタイトルを 「We will fulfill your Dream.」から 「We will fulfill your Dream within your budget.」に編集します。
編集後にロールアウト(更新開始)操作を行うと、ライブコピーされたバングラデシュ向けの英語サイトに同期し、編集箇所(今回はトップページのタイトル)が更新されます。
次に、マスターの英語サイトを選択し、ライブコピーの「同期」ボタンをクリックすると、ロールアウト(更新開始)を開始します。
ステップ2.バングラデシュ向けのベンガル語サイトを更新する
ステップ1で更新されたバングラデシュ向けの英語サイトを選択し、操作画面の左メニューの「言語コピーの更新」から更新します。すると、編集内容がバングラデシュ向けのベンガル語サイトにも反映されます。
同じようにフランス向けやスペイン向けの英語サイトでも「言語コピーの更新」から更新すると、更新内容が各海外拠点向けの言語サイトにも反映されます。
まとめ:AEMを使ってグローバルサイトの運用を効率化しよう
グローバルサイト全体の統制をとりたい場合、AEMのライブコピー機能を使うと更新作業を効率的に進められ、運用を継続してもガバナンスをきかせて統一し続けることができます。さらに、サイトの一部のコンテンツのみを各海外拠点で更新・公開できるように設定したい場合は、ライブコピーされた各海外拠点向けの英語サイトを編集して、言語コピーで更新をするという流れで対応できます。
なお、WordPressやPowerCMSとAEMを比較している比較表もあるので、ぜひご覧ください。
グローバル企業や、複数人・複数部署でサイト更新する担当者におすすめのCMS比較表202 | BAsixs(ベーシックス)2
BAsixs参画企業のビジネス・アーキテクツには、企業のグローバルサイトを構築・運営したノウハウがあります。僕たちのように日本語でコミュニケーションでき、かつ英語でも情報収集できる開発チームが国内にあります。
ご要望があれば、AEMに関するご相談やデモも承ります。どうぞお気軽にお問い合わせください。