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失敗しないAEMリニューアルの鉄則!事例に学ぶ「3つのフェーズ」とプロジェクト管理術

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プロフィールアイコン(写真):シニアディレクター 野島
野島アカウント&ディレクショングループ/グループマネージャー/シニアディレクター(ビジネス・アーキテクツ)

2008年にビジネス・アーキテクツに入社。システムエンジニアとして中規模以上のシステム設計・システム開発を担当。現在はそのバックグラウンドを活用し、サイト構築案件から運用案件まで様々な案件のディレクターを担当。UXとエンジニアリングの観点から顧客の課題解決を行っている。CompTIA Project+認定資格保持。

企業がWebサイトリニューアルを進める際、「CMSを刷新すれば成果が出る」という単純な話では済まないのが現実です。
特に、Adobe Experience Manager(以下、AEM)のような高機能CMSを用いた大規模リニューアルでは、要件定義・プロジェクト管理・運用設計までを見据えた戦略が不可欠となります。AEMは柔軟性と拡張性に優れる一方で、その設計思想を十分に理解しないまま導入を進めると、コスト超過やスケジュール遅延、運用面での混乱を招きやすい側面もあります。

実際、AEMでのサイトリニューアルを検討しているWeb担当者・発注担当者の多くが次のような悩みを抱えています。

  • プロジェクトの進め方がわからない
  • 失敗した場合の影響が大きく不安
  • どのベンダーに相談すべきか判断できない

本記事では、こうした悩みや不安を背景に、AEMリニューアルを失敗させないだけでなく、成功に導くための考え方とプロジェクトの進め方を整理します。
具体的には、ある大学のAEMリニューアル事例をもとに、次の内容を「準備(Plan)」「実行(Do)」「定着(Check & Act)」という3つのフェーズに分けて解説し、各段階で発注担当者が押さえるべき視点や判断ポイントを明らかにしていきます。

  • なぜAEMリニューアルは失敗しやすいのか
  • 成功したプロジェクトは何が違ったのか
  • 発注担当者として、どのフェーズで何を判断すべきか

本記事を読み進めることで、AEMリニューアル全体の設計図が見え、ベンダー選定や進行管理において迷いにくい判断軸を持てるようになります。

これからAEM導入・リニューアルを検討される方はもちろん、すでに進行中のプロジェクトに不安を感じている方にとっても、安心して次の一手を選ぶための指針となるはずです。

失敗しないAEMリニューアルの鉄則!事例に学ぶ「3つのフェーズ」とプロジェクト管理術

AEMリニューアルが失敗する「よくある3つの落とし穴」

AEMは、大規模サイトの長期運用を支えるWeb基盤として、極めて高いポテンシャルをもつCMSです。しかしその反面、多機能さゆえに「導入すること自体がゴール」にすり替わったり、従来のCMSの延長線上でプロジェクトを捉えたりすることで、リニューアルが停滞してしまうケースも散見されます。

特にWebサイトの発注担当者にとっては、次のような心理的ハードルが存在します。

  • AEM特有の進め方がわからない
  • プロジェクトのどこで判断すべきか不安
  • 失敗した場合の影響が大きく、慎重にならざるを得ない

本章では、AEMリニューアルにおいて多くの企業が実際に陥りがちな「3つの落とし穴」を整理しながら、なぜ失敗が起こるのか、そして成功プロジェクト管理の観点からどう回避すべきかを解説していきます。

要件定義の曖昧さ

AEMリニューアルが失敗に終わる最大の要因は、要件定義の「解像度の低さ」にあります。「最新システムへの刷新」や「デザインの刷新」といった抽象的な目標のまま進行してしまうと、開発フェーズで必ず認識の乖離が生じます。
その結果、膨大なコストを投じながらも、現場のニーズを満たせない成果物が生まれてしまうのです。
特にAEMでは、次のような事業・運用視点を含めた要件定義が不可欠です。

  • 誰のためのサイトなのか
  • どの業務をどこまで効率化したいのか
  • 今後5年〜10年の運用をどう見据えるのか

発注担当者が主導してリニューアルの目的やKGI/KPIを明確化し、関係するステークホルダー間で認識を揃えておくことが、後工程の手戻りやコスト増大を防ぐ土台となります。

コンテンツ移行の甘い見通し

AEMリニューアルでは、コンテンツ移行を軽視した結果、プロジェクト全体が停滞するケースも非常に多く見られます。
既存サイトに数千〜数万件のコンテンツが存在する場合、単純なデータ移行では済まず、次のような課題が顕在化します。

  • 情報設計の見直し
  • コンポーネント化を前提とした構造変更
  • 手動移行による品質低下リスク

成功しているプロジェクトでは、AEMの特性を踏まえたうえで、「すべてを移行する」のではなく「今後も活用すべきコンテンツは何か」を整理し、移行対象を精査しています。
発注担当者としては、移行ボリュームを正確に把握し、移行計画をプロジェクト初期段階で具体化しておくことが、スケジュール遅延や品質低下を防ぐ重要なポイントとなります。

ベンダーとのコミュニケーション不全

AEMリニューアルの成否は、ベンダーとの協業体制によって大きく左右されます。
しかし実際には、次のような状態に陥り、後から大きな問題に発展するケースも少なくありません。

  • 責任範囲が曖昧なまま進行している
  • 技術的な前提条件が十分に共有されていない
  • 進捗や課題がブラックボックス化している

AEMのような大規模CMSでは、発注者とベンダーの双方が同じゴールを見据え、進捗や品質の可視化、仕様変更時の判断プロセスの確立、そして定期的なレビューを通じた認識合わせを行うことが不可欠です。
そのためにも、単なる「制作会社」ではなく、AEMリニューアル全体を俯瞰し、プロジェクト管理まで伴走できるパートナーを選定することが、失敗を回避する重要な判断ポイントとなります。

鉄則公開:AEMリニューアルを成功に導く「3つの成功フェーズ」と管理術

AEMリニューアルを成功させる最大のポイントは、CMSの機能理解そのものではなく、プロジェクト全体をどう設計し、どう管理するかにあります。
特にAEMは、「長期運用を前提としたWeb基盤」であるがゆえに、短期的な制作視点だけで進めてしまうと、リリース後に運用負荷や改善停滞といった問題が表面化しやすくなります。

本章では、成功プロジェクト管理の考え方に基づき、AEMリニューアルを確実に前進させるための進め方を「準備(Plan)」「実行(Do)」「定着(Check & Act)」の3つのフェーズに分解して解説します。

各フェーズにおいて、発注担当者が担うべき役割と具体的な判断ポイントを整理します。
これにより、プロジェクトの不確実性を最小化しながら、ベンダーとの協業を円滑に進めることができます。
その結果、リニューアル後も長期にわたって成果を出し続けるWeb基盤を構築するための、確かな道筋が見えてくるはずです。

AEMリニューアルを成功に導く3つのフェーズとして、フェーズ1「Plan(要求・目標の厳格な定義)」、フェーズ2「Do(品質と進捗の可視化)」、フェーズ3「Check & Act(運用フロー設計とトレーニングによる定着)」の流れを示した図。

フェーズ1(Plan):発注担当者主導の「要求・目標の厳格な定義」

最初の「計画フェーズ」は、AEMリニューアルの成否を左右する最重要フェーズです。
この段階で曖昧なままプロジェクトをスタートしてしまうと、後工程での手戻りや意思決定の迷走につながります。
AEMリニューアルでは、多くの部署・関係者が関与するため、発注担当者自身がプロジェクトのゴールを言語化し、旗を立てる役割を担う必要があります。

具体的には、次のことを明確にし、既存サイトの課題やターゲットユーザーのニーズを客観的に整理します。

  • リニューアルで解決したい事業・業務課題は何か
  • 誰にとって価値のあるサイトなのか
  • 成功・失敗をどう判断するのか(KGI/KPI)

さらにAEMでは、「今後5年〜10年使い続けるWeb基盤」として、セキュリティや運用負荷、拡張性・保守性といった非機能要件までを含めた定義を行うことが不可欠です。
このフェーズを丁寧に行うことが、失敗プロジェクトを回避し、以降の工程を安定させるための土台となります。

フェーズ2(Do):手戻りを最小化する「品質と進捗の可視化」

計画が固まった後の「実行フェーズ」では、品質と進捗をいかに可視化できるかが成功の分かれ目となります。
AEMリニューアルでは仕様や要件が複雑化しやすく、進行中に「認識のズレ」が生じやすいためです。
このフェーズでは、次のことを徹底し、プロジェクトの状態を常に見える化していきます。

  • WBSに基づいた進捗管理
  • 作業単位ごとの成果物確認
  • 課題・リスクの早期検知

こうした課題を打破する極めて有効な手法が、「プロトタイプ型開発」の導入です。
最終的な完成を待つのではなく、開発の早期段階でプロトタイプ(試作品)を共有し、実際のページに近い状態で検証を行います。これにより、プロジェクト終盤で発覚しがちな「認識の致命的なズレ」を未然に防ぎ、最小限のコストで確実な合意形成を図ることが可能になります。

発注担当者としても、リニューアルをベンダー任せにせず、進捗や品質、さらには判断が必要なポイントを定期的に確認し自ら意思決定を行うことが重要です。
それにより、プロジェクト全体の安定性を確保し、成果物の品質を大きく高めることが可能となります。

フェーズ3(Check & Act):システム定着のための「運用フロー設計とトレーニング」

AEMリニューアルにおいて、サイトの公開はゴールではなく、あくまで「スタートライン」に過ぎません。AEMへの投資が成功だったといえるかどうかは、リリース後の運用フェーズでいかにその高度な機能を使い倒し、ビジネス成果につなげられるかにかかっています。
この最終フェーズでは、次のことをリリース前から計画的に進めていきます。

  • コンテンツ承認・公開フローの設計
  • 運用ルール・ガイドラインの整備
  • 運用担当者向けトレーニングの実施

特にAEMは、Adobe製品群との連携によって真価を発揮するCMSです。
そのため、単なる操作説明にとどまらず、「どう使えば業務が楽になるのか」「どう改善につなげるのか」という視点での教育・定着支援が重要になります。

このフェーズにおいて運用フローの設計やトレーニングを丁寧に行うことで、属人化しない運用体制を確立できます。それにより、改善サイクルが回り続けるサイト運営が可能になります。
結果として、長期的に成果を出し続けるWeb基盤を実現でき、AEMリニューアルを真の「成功したプロジェクト」として完結させることができます。

大学事例から学ぶ!プロジェクトを成功に導いた「3つの成功要因」

AEMリニューアルを成功させるためには、単に最新のCMSを導入するだけでは不十分です。
組織が抱える課題を正しく把握し、それに即したプロセスと体制を設計できるかどうかが、プロジェクトの成否を大きく左右します。

本章では、実際にAEMリニューアルを成功させたある大学の事例をもとに、前章で解説した「3つの成功フェーズ(Plan/Do/Check & Act)」が、どのように現場で実践されたのかをひも解いていきます。
発注担当者の立場で読み進めることで、「自社ならどこから着手すべきか」「何を判断軸にすべきか」といった具体的なイメージを持っていただけるはずです。

AEMリニューアル成功の3要因として、今後10年を見据えたシステム基盤の抜本的刷新、再利用性を高めるコンポーネント型サイト構築、手戻りを防ぐプロトタイプ型開発と業務フロー最適化を示した図。

成功要因1:今後の10年を見据えた「システム基盤の抜本的刷新」

この大学のAEMリニューアルにおける最大の特徴は、短期的なリニューアルに終始せず、今後10年を見据えたシステム基盤として再設計した点にあります。従来のCMSでは、次のような課題を抱えていました。

  • 技術的な制約が多く改善が進まない
  • セキュリティや保守対応に不安がある
  • 運用負荷が年々増大している

そこで、AEMへの移行を単なる「サイト刷新」ではなく、長期運用を前提としたWeb基盤の抜本的な刷新として位置づけ、セキュリティや可用性、さらには将来的な拡張性にまで踏み込んだ包括的な設計を実施しました。

この判断により、教育環境や情報発信の変化にも柔軟に対応できる、持続性の高いWeb基盤を実現しています。
これは、フェーズ1(Plan)における要求・目標定義を徹底した結果といえるでしょう。

成功要因2:再利用性を追求した「コンポーネント型サイト構築」

2つ目の成功要因は、AEMの特性を最大限に活かしたコンポーネント型サイト構築です。
この大学では、ページ単位で制作する従来型の手法ではなく、「部品(コンポーネント)」を組み合わせてページを構成する設計を採用しました。
その結果、次のような効果を同時に実現しています。

  • ページ制作・更新のスピード向上
  • デザインやUIの一貫性確保
  • メンテナンス・改修コストの削減

特に注目すべき点は、将来的な運用まで見据えて設計されていることです。
発注担当者が「今後どう使われるか」を意識した判断を行ったことで、リニューアル後も現場が使い続けやすいサイト構造が定着しました。
これは、フェーズ2(Do)における品質と実行性を重視した設計・判断が成功につながった好例といえます。

成功要因3:手戻りを防ぐ「プロトタイプ型開発」と「業務フローの最適化」

3つ目の成功要因は、開発初期からプロトタイプ型開発を採用し、手戻りを徹底的に防いだ点です。
この大学では、情報設計→デザイン→実装→テストアップという一般的な制作フローで、実際にブラウザで確認できるものをテストアップの段階まで待つのではなく、早い段階でワーキングプロトタイプを作成し、関係者全員で具体的な完成イメージを共有しました。

これにより、プロトタイプを通じた早期のイメージ共有によって認識のズレを即座に修正し、仕様確定までの意思決定を迅速化させることで、後工程での大幅な修正や手戻りを徹底的に回避することが可能となりました。

さらに、AEM導入をきっかけに業務フローそのものの見直しにも着手。
承認プロセスや更新フローを最適化することで、現場スタッフの負担を軽減し、リニューアル後もスムーズに運用が回る体制を構築しています。
これはフェーズ3(Check & Act)における、運用定着と改善を前提とした設計・トレーニングが功を奏した結果です。

まとめ:貴社のAEMリニューアル成功をサポートします

AEMリニューアルは、単なるWebサイトの改修ではなく、企業や組織のデジタル戦略を長期的に支える基盤づくりです。
本記事で解説してきたように、AEMリニューアルを成功させるためには、次のような「3つの成功フェーズ」を意識した進め方が欠かせません。

  • 発注担当者主導での明確な要求・目標定義
  • 品質と進捗を可視化し、手戻りを防ぐプロジェクト管理
  • リリース後を見据えた運用フロー設計と定着支援

また、大学事例からも明らかなように、成功しているプロジェクトに共通しているのは、AEMの機能を活かす以前に、プロジェクト全体をどう設計し、どう管理するかを重視している点です。

  • 要件定義を曖昧にしない
  • コンテンツ移行や運用まで含めて計画する
  • ベンダーと対等な立場で協業できる体制をつくる

これらを押さえることで、AEMリニューアルは「失敗が不安なプロジェクト」から「成果につながる投資」へと変わります。

AEMは、多機能かつ柔軟性の高いプラットフォームである一方、正しい進め方と伴走支援がなければ、その価値を十分に引き出すことが難しいCMSでもあります。
だからこそ、大規模・中長期視点のWebリニューアルでは、要件定義からプロジェクト管理、運用定着までを一貫して支援できるパートナー選びが重要になります。

Business Architects(ビジネス・アーキテクツ)では、弊社の経験豊富なディレクターがAEMリニューアルにおける豊富な支援実績をもとに、発注担当者の立場に寄り添いながら、失敗しないAEMリニューアルの進め方を伴走型で支援しています。

  • 何から着手すべきか整理したい
  • 自社に合ったAEMリニューアルの進め方を相談したい
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上記のようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
貴社のAEMリニューアルを、確実に成果へとつなげるプロジェクトとして成功させるために、私たちが全力でサポートします。