コンテンツマーケティング事業を推進していくにあたり、「KPIを出せ」と上司に指示されたり、事業オーナーに言われたりすることもありますよね。ノウハウはたくさんありますが、皆様のケースにおいて実際どのようにKPIを出せば良いのでしょうか?
本記事では筆者の経験な ども交えて、説明していきます。
一般的なコンテンツマーケティングのKPIをまずは確認
KPIにはさまざまな種類があり、自社の目的に応じて適切なものを設定しましょう。一般的なコンテンツマーケティングのKPIを考えるなら、ある程度よく使われている種類を絞り込むことができます。
具体的には、次のようなKPIがよく設定されます。
一般的なコンテンツマーケティングのKPI
- オウンドメディアサイトへの流入数
- SNSのフォロワーやいいねの数
- ホワイトペーパーのダウンロード数
- オウンドメディアサイトやSNSからのセミナー申込者数
まず、コンテンツマーケティングにおいては「オウンドメディアサイトのコンテンツがどの程度の集客力を持つか」が効果測定の最重要指標になります。
例えば1ヶ月に100アクセスの流入を獲得しているAという記事よりも、1,000アクセスを獲得しているBという記事の方が一般的には集客力が高いとみなされます。
実際には、そこからどのくらいのユーザーがコンバージョンにつながる行動を取ってくれるかによって成果は異なりますが、オウンドメディアサイトを通して流入が増えれば増えるほど、売上などの成果につながる可能性は高いといえます。そのため、「オウンドメディアサイトへの流入数」はKPIの指標として有効です。
近年では、SNSのフォロワーやいいねの数も、KPIとして使われる指標のひとつです。SNSのフォロワーは、一言でいうと「自社に興味を持っている人の数」を表します。フォロワーが多いほど日常的に自社のコンテンツを受け取ってくれている人が多いということであり、コンテンツマーケティングの効果が高まりやすいといえます。
さらに、「いいね」の数は投稿したコンテンツがどの程度共感を集めているかをはかる指標になります。いいねが多い投稿ほど「自社への興味を高める力が高い」コンテンツといえるでしょう。
ホワイトペーパーを設置しているのであれば、オウンドメディアサイトのコンテンツを通したホワイトペーパーのダウンロード数をKPIに設定する方法もあります。コンテンツを閲覧した上でホワイトペーパーをダウンロードしたということは、コンテンツマーケティングがユーザーの興味・関心を高めた可能性が高いと考えられるからです。
同じように、オウンドメディアサイトやSNSを経由したセミナー申込者数もKPIの指標としては有効です。自社のコンテンツを閲覧した上でセミナーに申し込んでくれたということは、コンテンツマーケティングが十分な効果を発揮したと考えられる可能性が高いです。
ちょっと変わり種のKPI:KPIはサイトの目的によって変わる
他にも、KPIはサイトの目的によってさまざまなものが想定されます。
自社の製品やサービスの認知度を高めたり、ファンを増やすためにメディアサイトを運用しているのであれば、闇雲にPV数を追いかけるのではなく、サイトの訪問者数である「UU数(ユニークユーザー数)」に注目し、KPIを設定するケースが多いです。
また、2021年現在、SNSのコンテンツデリバリー力はBtoB、BtoC問わず上がっていることから、SNSで自社のオウンドメディアサイトのコンテンツが共有された「SNSでのシェア数」をKPIに設定することもあります。
リード(見込み客)の獲得を目指しているのであれば、サイトリピーターの数や資料請求の回数も効果的な指標になる可能性が高いです。
KPIは、自社がコンテンツマーケティングを行う目的に合わせて設定することで初めて効果的に機能します。
一般的なKPIがサイトの目的に合っているかどうか、判断する目も担当者には必要です。サイトに合っていない無理で無謀なKPIを立ててしまうと、現場も無理な行動目標を立てざるを得ず、疲弊してしまうリスクが高まります。
発足したてなのか、PVはある程度集めている段階なのか、最初のKPIはクリアしたが次の目標を決めたいのか、とサイトの育ち具合に合わせて無謀でないKPIを設定しましょう。
発足したてのメディアサイト(第1フェーズ)ではどのようなKPIを立てるか?
まだ発足したばかりのメディアサイトは一般的に「第1フェーズ」と呼ばれます。では、第1フェーズではどのようなKPIを立てることが望ましいのでしょうか。
メディアサイト立ち上げ期に大切なこと:チャレンジ数と仮説検証の数
メディアサイトを立ち上げたばかりの頃は、まだ十分な集客力が備わっておらず、どのようなコンテンツを発信すればユーザーに効果的な訴求を行えるのかが明確になっていない時期であるといえます。
そのため、効果が期待されると仮説を立てたコンテンツを積極的に発信していき、チャレンジ数をできるだけ多く、できるだけバラエティに富んだ形で重ねることが大切です。
チャレンジの数をKPIで表現するとすれば、下記の4つの指標がこのフェーズのKPIとして設定される代表的なケースです。
メディアサイト立ち上げ期(第1フェーズ)の代表的なKPIの例
- 記事投稿数
- PV
- UU
- (PV・UUの下支えとしての)設定キーワードの検索順位
またコンテンツを作りっぱなしにせず、公開するたびにそのパフォーマンスを見極めて、仮説を検証していくことも忘れないでください。
まずは発信し続けて効果測定を行い、どのようなコンテンツが効果的なのかを判断した上で、少しずつ発信内容を改善していくプロセスが求められます。
コンテンツの改善で最も重要なのは「適切なリライトをすること」
改善の例で言えば、記事のリライトが挙げられます。
記事の設定キーワードの順位が低ければ、検索意図を満たすように内容を加筆する、記事のクリック率が低ければタイトルやディスクリプションの言い回しを改善します。
この「リライト」という作業で効果を上げ、数値が改善できるかどうかが、メディアサイト運営者・編集者の腕の見せどころです。
少し集客力が伸びてきたフェーズ(第2フェーズ)ではどのようなKPIを立てるか?
メディアサイトの集客力が少し伸びてきた「第2フェーズ」では、集客力が備わり始めて、自社のコンテンツを閲覧してくれるユーザーも増えてきている時期です。
そこで、第2フェーズではより具体的に成果につながるKPIを設定するケースが多い傾向にあります。
そろそろコストパフォーマンスも問われる時期
集客力を高めることは重要ですが、訪問者が増えただけでは具体的な売上などの成果にはつながりません。
売上などの成果は、コンテンツマーケティングによって集めた訪問者に具体的な行動を起こしてもらうことによって上がるため、集客力が高まってきたらそろそろコストパフォーマンスも問われる時期だと判断しましょう。
社内ライター・編集者を使って記事を作っている場合は「ライター・編集者の稼働時間」、外注ライター・編集者を使って記事を作っている場合は「外注費」の指標を用いて、1記事にかかるコストを算出し、プロジェクト全体のコストを算出しておくと、コストパフォーマンスを計算するのに便利です。
リード獲得数などの商談に結びつくKPIはどのように立てるか
コストパフォーマンスを高めるための商談に結びつくKPIは、「ユーザーに何度もサイトへ足を運んでもらう」ためのKPIを設定することが重要です。
第1フェーズの「PV・UU」などのKPIに加えて、
メディアサイト成長期(第2フェーズ)の代表的なKPIの例
- リピート数
- リピート率
- フォームでのお問い合わせ数
- 資料のダウンロード数
- SNSのフォロワー数
などのKPIが最適であるといえます。
ユーザーが購入を判断するためには、何度もサイトへ足を運んで情報収集を行うケースが多いからです。
再訪に直結するKPIは、SNSのフォロワー数や資料請求の回数、リピーターの人数などが挙げられます。
また言わずもがなですが「フォームでのお問い合わせ」や「資料のダウンロード」など直接的なアクションもKPIに入れていくべき時期と言えます。
KPIは定期的な数値計測・振り返りが大切
KPIは一度設定したままで放置するのではなく、定期的に数値計測や振り返りを行うことが大切です。
Google Analyticsのようなアクセス計測ツールを用いて、PV・UU・リピート数などを計測し、Google Search ConsoleやGRCのような検索順位の計測ツールでキーワードごとの記事の順位を計測し、KPIの達成状況をモニタリングする必要があります。
具体的な数値をデータで把握しなければ、設定したKPIが適切なのか判断できず、コンテンツマーケティングにおいて効果を発揮しているかどうかが分からないので、この工程はしっかりとやりましょう。
メディアサイトの運営状況に合わせて「KPI」の見直しをする勇気を
また、数値計測や計画との乖離を観察し、定期的にメディアサイトの運営状況を振り返って、KPIが実態に見合った成果を上げられているかどうかの確認も必要です。
最初に設定したKPIを達成できるのが理想ではありますが、設定したKPIと実態がかけ離れている場合、設定したKPIそのものが適切でない可能性も考えられます。
一度決めたKPIを厳格に守り続けるのではなく、実態に合わせた見直し・変更・改善も視野に入れながら運用していきましょう。
まとめ:KPIを立てるときに必要なのは「リアリズム」「客観性」「現場が疲弊しない持続可能性」
KPIを立てる際に必要になるのは、実際に再現できるKPIを徹底的に追求して数値を設定できる「リアリズム」と、設定したKPIが正しく運用できているかどうかを「客観性」をもって検証することです。
定期的な振り返りを行い、その都度適切なKPIが設定できているかどうか現実的・客観的に確かめましょう。
BAsixsでは、コンテンツマーケティングのKPI設定例や効果測定の方法を記載したガイドブックをご用意しております。
KPI設定の参考に、ぜひご覧ください。
コンテンツマーケティングの効果測定・改善のための徹底ガイド | BAsixs(ベーシックス)
また、コンテンツマーケティングは、リスティング広告など他のマーケティング方法に比べ、即効性のある施策ではありません。フェーズごとに現実的なKPIを作り、1つずつクリアしていくことが大切です。そのような中長期的な目標設定に耐えうる、持続可能な運営体制の構築も視野に入れて運営しましょう。
コンテンツマーケティングは作業工程も多いため、自社で対応が難しい場合は外注するのも選択肢のひとつです。コンテンツマーケティングの導入・運用にお困りの際は、ぜひBAsixsまでご相談ください。