社内のルール、環境作りといったことからどの現場でも通用する、一定品質以上のHTMLマークアップができる人材を育成するための実践的な場を設定しています。
メインの課題は、フロントエンドエンジニアとして実案件で活躍できるスキルをあげることです。この研修の中でも、実際の案件と同じ環境でコミュニケーションツール、ソース 管理ツールを使いながら進めています。そういった環境を整えることで、入社後早い時期に案件で活躍できるメンバーになることを目指しています。
今回の記事では、この取り組みの内容を掘り下げて詳しくご紹介していきます。
組織内の課題解決も含めた分科会
比較的経験の少ない人をターゲットとした分科会ですが、社内の現在の状況やかかえる課題解決の役割もこの分科会発足のきっかけの一つとして挙げられます。
従来からかかえている課題
経験の少ないエンジニアにとっては、どうしてもデザイナーがこだわるポイントを見逃してしまいます。
また転職などで入社した経験者でも、所属していた組織の進め方や考え方などの違いで、組織にジョインした初期は苦労するというケースも多々あるかと思います。
これらのことは現場に入り、場数を踏めばいずれは解決できることも多いですが、人が入る度にプロジェクトのメンバーでサポートするということを繰り返すことは効率も悪く、教える方にも負担になってしまうという問題がありました。
多様な働き方で出てきた課題
さきほど説明したエンジニアとデザイナーのこだわるポイントが違う点、中途入社のメンバーがこれまでに経験してきた習慣の違いに加えて別の課題も出てきました。オフィス勤務とリモートワークを組み合わせたハイブリッドワークによる働く場所の多拠点化、国籍や文化の違うメンバーも増えた働き方の多様化に伴う課題です。
こうした課題がある中での会社の一つの取り組みとして発足したのが、このHTMLプロフェッショナル分科会になります。
分科会の内容
分科会を始めるにあたっての目的や会の設計、取り組んでいる内容、今後取り組もうとしていることなど幾つかご紹介します。
分科会の目的と設計
この分科会は名前からも想像できるとおりいわゆるエンジニアのスキルアップが主たる目的です。しかしながらこのスキルをいくら向上させても実際の案件ですぐ活躍するのは難しいケースも多々あります。
これらを振り返ってみると社内のルールや環境作りで苦労し、立ち上がりに時間がかかってしまったというケースが多くあります。私自身も何度か転職を経験した中で身に覚えのあることでした。
こうしたことを踏まえどの現場でも通用し早い段階で活躍できる人材を育てることを目的として、分科会を設計しています。
社内ルールや制作フローの修得
分科会で学ぶ技術のキーワードとしてはHTML、CSSです。そして内容としてはHTMLのコーディングであったりHTMLマークアップ、デザインカンプを理解する力、といったことが主な内容となります。ただ実際の案件に関わるとなるとこれら以外のことが必要とされることも多くあります。
例えば制作するソースコードを管理するにはgitの理解が必要になります。規模の大きな案件では複数人で同時に開発をするためにもgitを使った管理は避けられません。分科会でも課題の制作物はgitで管理をするようにしています。
また社内のツールでgitと連携したテストサーバーを簡単に立ち上げられる仕組みがあり、これらの使い方や申請の仕方なども分科会を通して身につけてもらっています。
実践的な取り組み
さきほどご紹介したgitの取り扱い以外にも、社内で使用しているコミュニケーションツールやタスク管理ツールも実案件と同様のものを利用しています。これらのことで、実際の案件でのイニシャルコストを抑え、スムーズに入っていけるトレーニングにもなっています。
ちなみに2024年時点では、コミュニケーションツールはSlack、タスク管理ツールはBacklogを利用しています。
実際にテストサーバーサイトの更新業務などは、開発が進行していたWebサイトリニューアル案件でも、通常かかる時間をかけずに担当になってもらうことができ、既存の業務を分科会参加のメンバーに任せることができました。
進めながら社内の知見をアップデート
BAはドキュメント化の進んでいる会社だと思います。ただ改めて分科会の参加メンバーに既存のドキュメントを使って解説しようとすると足りないものであったり、アップデートされず情報が古くなっているものもあることに気づきました。分科会はこうしたものを見直す良い機会にもなりました。
また最近では日本語より英語の方が得意なメンバーも増えていて、分科会で課題を進めながら使っているドキュメントの英訳をしてもらったりもしています。
開始してからの感触
試行錯誤をしながらも限られた時間の中でメンバーたちと進めている分科会ですが、今は全メンバーが実際の案件にアサインされ、先程紹介したような分科会で行ったことを実践しています。
また分科会を開始してから、色々な社内の成功した実例の情報も集まりだしました。制作フローで参考になりそうなものは、取り入れて社内に共有する活動も始めています。
まだまだ解決できていない課題も多くありますが、メンバーからも意見を出してもらいより良い形を目指して進めています。
また何かの機会にこの先の活動もご紹介できるようにします。