Business Architects(ビジネス・アーキテクツ)では、パフォーマンス最適化済みのクラウドCMSの「PowerCMS X クラウド」を導入・活用して自社のコーポレートサイトのリニューアルを実施しました。
本記事では、以下の項目についてデザイン&コミュニケーションサービス事業部アカウントの昆野にインタビューを行いました。
- コーポレートサイトのリニューアルに踏み切った背景
- サイト分析から見えてきた課題
- PowerCMS X クラウドの概要や選定したポイント
- リニューアルで得られた効果について

インタビューを受けた人
- 昆野アカウント/ディレクター(ビジネス・アーキテクツ)
Web業界歴20年以上、マーケティングをベースとしてWebディレクター、プロデューサーとして数々のプロジェクトを経験。Web業界の酸いも甘いも嚙み分けた結果、人材の案件への適正マッチングこそがプロジェクトの成否を決めるという持論にたどり着く。2020年BA入社。色々な人と会って相談を聞く仕事です。
コーポレートサイトリニューアルの背景
最初のテーマは、Business Architectsが自社コーポレートサイトをリニューアルした背景についてです。以前のサイトではどこに課題を感じ、リニューアルに踏み切ったのでしょうか。
コーポレートサイトのリニューアルで目指したことは?
コーポレートサイトのリニューアルに踏み切った理由を聞かせてください。
昆野:直接的な理由の一つは、グループ会社をBusiness Architectsに統合することになったからです。そのタイミングにあわせて、コーポレートサイトのリニューアルの検討を開始しました。各社コーポレートサイトもBusiness Architectsのコーポレートサイト配下に統合し、新たにメッセージや各事業の情報を発信することになりました。
リニューアルで目指したことや期待した成果は何ですか。
昆野:リニューアルで目指したことは大きく4つありました。
まずは、グループ各社の統合にともなうコンテンツの整理です。これまではグループ各社が各ブランドで情報やサービスを発信していましたが、Business Architectsに統合することで同じ考えのもとに情報やサービスを整理し、統一感のある見せ方で発信しなくてはなりません。ブランディングにつながる重要なコンテンツなので、時間をかけて整理を進めました。
2つ目は、各サービスへの問い合わせを増やすことはもちろんですが、営業ツールのメインであるBAsixsサイトへの流入強化です。
3つ目が、グループ各社をはじめ当社の既存のお客さま、そして新たにコーポレートサイトをご覧になった方々にBusiness Architectsのサービスや考え方などをより深く知っていただくことです。
さらに、4つ目として、採用に関連した質の良い問い合わせの増加も期待しています。当社から発信するメッセージを正しく理解いただくことで、応募者とのミスマッチを防ぐことになると考えています。
既存のコーポレートサイトには、どのような課題があったのでしょうか。
昆野:リニューアルの目的は会社統合という点ですが、別の観点でアシストコンバージョンや問い合わせの増加に課題がありました。
当社では、マーケティング施策の一つとして、オウンドメディア「BAsixs」を運営しています。BAsixsとコーポレートサイトの間には、例えば、「コーポレートサイト リニューアル」といったキーワードで検索したユーザーがBAsixsにたどり着き、記事を読み、そこからBusiness Architectsのコーポレートサイトに移動しサービスについて問い合わせるといった流れがあります。このようなオウンドメディアとコーポレートサイト間の往来をもっと増やす必要があると考えました。
リニューアル時、BAsixsからコーポレートサイトへの流れだけでなく、最初にコーポレートサイトに訪れたユーザーが、コーポレートサイトに掲載されたBAsixsの事例記事を読みに行くような導線を設計・整備しました。2つのサイト間の往来を増やすことで、アシストコンバージョンや問い合わせの増加を狙っています。
リニューアルにともないCMSをどうするか ~PowerCMS Xクラウドの選定と導入~
次のテーマは、新しいコーポレートサイトに導入するCMSについてお聞きしました。
どのようなCMSを比較・検討し、PowerCMS X クラウドを選定したのでしょうか。
CMS選定のプロセスについて
コーポレートサイトのリニューアルにあたって、CMS選びも重要なポイントだと思います。候補としてあがったのはどんなCMSでしたか。
昆野:候補として検討したのは、大規模なWebサイトやグローバルサイトに適しているAdobe Experience Manager(AEM)、当社のオウンドメディア(本サイト)で導入しているContentful、そしてPowerCMS X クラウドでした。現行のコーポレートサイトで利用していたHubSpotは、先に挙げた課題の解決には適さないだろうと考え、今回は検討対象から外しました。
そして、グループ各社が統合されるBusiness Architectsのコーポレートサイトの規模感や予算感、各CMSの機能やカスタマイズのしやすさなど、さまざまな角度から検討した結果、最もフィットするのがPowerCMS X クラウドだという結論になりました。
言葉で説明すると簡単に比較・検討したように思えるかもしれませんが、当社にてお客さまのコーポレートサイトをリニューアルする時と同じように、きちんとした比較・検討を経て最終決定しました。
以下に、当社でダウンロード資料として配布しているCMS機能比較表の一部を掲載しますので、ご参考にしてください。
上記以外にも以下のページより、編集・運用のしやすさ、費用感、拡張性、SEO対策という点でPowerCMS Xと他のCMSとを比較した資料がダウンロードいただけます。ぜひ、ご覧ください。
選定の決め手となったPowerCMS Xの機能
Business Architectsでは、コーポレートサイトのリニューアルにあたりPowerCMS X クラウドを導入しました。PowerCMS Xの概要と特徴、選定のポイントについて解説します。
PowerCMS Xの概要と特徴、選定のポイントとは
PowerCMS Xの概要について教えてください。
昆野:PowerCMS Xは、アルファサード社が2018年に開発したMovable Typeを改良した国産CMSです。Movable Typeの使いやすさはそのままに拡張性に優れ、静的ファイルを出力する処理(再構築)のパフォーマンスに優れているのが特徴です。他にも、コンテンツの権限やワークフロー管理の設定がデフォルトで用意されているほか、独自にプラグインを作ってWebサイトに機能を追加することも可能です。エンドユーザーのニーズにマッチしたWebサイトを構築しやすいのが魅力です。
さらに、PowerCMS Xにはクラウド版もあり、サーバー構築などの複雑な初期設定をせずに手軽に導入できます。
PowerCMS Xクラウドの導入にあたって特に重視した機能、いわば「選定の決め手」について教えてください。
昆野:まず、重視したのはウェブアクセシビリティに優れたWebサイトを構築できる機能です。PowerCMS Xには、ウェブアクセシビリティを高めるさまざまな機能が実装されています。デジタル庁の「ウェブアクセシビリティ ガイドブック」でもウェブアクセシビリティに配慮したCMSとしてPowerCMS Xが紹介されています。また、官公庁をはじめ、島根県、江東区、足立区などの自治体にも多く採用されている実績があります。
次に高いカスタマイズ性を重視しました。テンプレートを作りやすく、当社のようなWeb制作会社の視点では、お客さまからのご要望に柔軟に応えられるCMSといえます。そこが当社としても魅力でした。
また、今回はグループ統合でサイトを公開するためリリース日は決まっており、遅延が許されず、スケジュール管理が重要となります。その点においてもPowerCMS Xは、Webサイト構築の工数管理がしやすく、構築期間を読みやすいため、スケジュール管理がしやすいこともポイントでした。
データ移行ツールが用意されているところも決め手の一つでしたね。グループ各社を統合するため、別ドメインのページをBusiness Architectsのコーポレートサイトのドメインの配下に取り入れる必要があります。グループ各社には、WordPressで作成されているページ、静的ページ、LPなどさまざまなページがありました。そのページ郡からコンテンツを移行し、整理して表示し直すという作業が発生しますが、その移行の際に、データ移行ツールの使用を計画に組み込みました。
機能以外にも魅力的な点はありましたか?セキュリティやサポート面についてはどうでしょうか?
昆野:セキュリティが担保されていること、サポート体制がしっかりしていることがポイントでした。セキュリティについては、管理画面の設定および環境変数で強化できるようになっています。管理画面でのセキュリティ設定では、2段階認証や一定時間内に指定回数以上ログインに失敗したユーザーをロックアウトする設定などができます。一方、サポート体制については、外資系のCMSの中には、マニュアルが整備されていなかったり、問い合わせをしても回答まで時間がかかってしまったりすることがあります。PowerCMS Xは純国産CMSなので、その点は安心です。
PowerCMS Xのクラウド版は、サーバー構築などの複雑な初期設定をせずに手軽に導入でき、運用管理の負担を軽減することも可能です。クラウドなのでトラブル発生時の対応をリモートで行うことができます。こうした運用面でのメリットも大きいと考えました。
また、今回のコーポレートサイトのリニューアルでは利用していませんが、PowerCMS Xには、以下のような魅力的な機能も豊富にあります。
- 多言語翻訳機能
- サイト全体のライブプレビュー機能
- アセットのステータス管理
- IR情報や新商品情報の管理方法
- やさしい日本語エディタとふりがな機能
- Microsoft Translatorとの連携
こうした機能があることも、今後、コーポレートサイトを拡充していく時にメリットになると考えています。
リニューアルで得られた成果
今回のコーポレートサイトのリニューアルによって、どのような成果を上げることができたのでしょうか。
Business Architectsのサービスをお客さまに正しく伝えられるように
リニューアルプロジェクトを振り返って成功した点、改善できた点は何ですか。
昆野:振り返って成功したと思える点は、2つあります。
1つ目は、納期が守れたことです。
これは、各フェーズでのメンバー間の情報共有や決定事項のドキュメント化などプロジェクトマネジメントの賜物だと思います。
2つ目は、当初の目的であった、我々が新しくメッセージとして伝えたいことを設計の観点からきちんと実装できたことだと思います。
前回のコーポレートサイトのリニューアルは5年ほど前で、ちょうどコロナ禍の直前でした。当時と現在を比べると、オンラインで完結するサービスが広く求められ、例えば商談もコーポレートサイトで情報を収集したうえでオンラインというケースが増えています。コーポレートサイトの重要性がますます高まる中、その構築において当社が重要だと考える情報を発信し、提供できる機能やサービスを正しくお客さまにお伝えする、その情報設計が体現できたと感じています。
RFP(提案依頼書)の作成を経て、どのような知見やノウハウを得ましたか。
昆野:一般的に、コーポレートサイトのリニューアルなどでは、RFPがあることで認識のズレが起こりにくくなり、ベンダー選定の際にも役立ちます。そのため、しっかりと関係者にヒアリングをし、RFPに反映させることはプロジェクトを成功させる重要なポイントだと考えています。
今回のリニューアルでは、PowerCMS Xの知見があるメンバーとそれほど詳しくないメンバーとの間に知識や知見、ノウハウなどでギャップがありました。そのギャップを解消するために、社内向けRFPにてプロジェクトの全体像や期待を明確に伝え、関係するメンバー間において認識の齟齬を防ぐことができたことが最大のメリットでした。
今後のサイト運用についてどのような考えをお持ちですか。
昆野:今回導入したPowerCMS X クラウドでは、権限設定とワークフローの機能が利用できます。コーポレートサイトのCMSの権限設定とワークフロー機能を組み合わせることで、コンテンツ作成・公開のプロセスを効率化し、安全性を高めることができます。
一例として、ガバナンスとコンテンツのクオリティを担保するために、Webマスターの承認を得てからでないと公開できないような仕組みを考えています。
また、当初の課題でもあったBAsixsへの導線を増やしたことで、今まで以上にコーポレートサイトとオウンドメディアとの行き来ができるようになりました。リニューアル時に解析設計も見直しを行いましたので、より詳細な解析ができる体制が整いました。今後、コーポレートサイトとBAsixsとを往き来する来訪者が求める情報、次のアクションがしやすくなる施策を打てるようにしていくことを考えています。
PowerCMSパートナープロであるメリット
Business ArchitectsはPowerCMS Partner Proですが、そのメリットについてはどうお考えですか。
昆野:Business Architectsは、PowerCMS Partner Proに認定されています。アルファサード社とのコミュニケーションラインができていて、連携が取りやすく、素早い解決に向かうことができるのがメリットだと思います。
お客さまにとってもトラブルの早期解決は、スケジュールの遅延を防ぐことができる点で大きなメリットになります。
PowerCMS Xが向いている企業について
さまざまなCMSがある中で、どのような企業がPowerCMS Xの導入に適しているとBusiness Architectsでは考えているでしょうか。
PowerCMS Xの導入が適している企業についてのお考えをお聞かせください。
昆野:「魅力的な機能の紹介」の章でお伝えした内容を活用できる企業ですね。具体的には、多言語化を行いたい企業や、アクセシビリティを重視する企業です。また、IR情報を頻繁に管理する企業にも向いていると考えています。あとは運用のしやすさを重視する企業ですね。
規模問わずWordPressを使ってサイトを運用している企業もありますが、運用体制が整っていないとWordPressの機能を活かせないばかりか、セキュリティ等で問題が発生することも多くなります。
こういった企業では、PowerCMS Xを一つの移行先の選択肢として検討すると良いかと思います。
WordPressからの移行もしやすいのですか。
昆野:コンテンツ移行ツールが準備されているので、ツール利用が可能です。当社も一部のサイトから移行ツールを利用しました。ただし、他の移行と同様に事前の検討をしっかり行うことが移行をスムーズに展開する重要なポイントとなります。
PowerCMS Xが実現するこれからのコーポレートサイトとは
PowerCMS Xを導入・活用することで、今後のコーポレートサイトはどのように変化していくとBusiness Architectsでは考えているでしょうか。
PowerCMS Xを導入することで、今後コーポレートサイトはどのように進化していくとお考えでしょうか。
昆野:コーポレートサイト自体の役割は、時代とともに変わっていくものだと思います。現在のコーポレートサイト含むWebサイトは、Webにおける来訪者とのコミュニケーションツールです。ユーザーにとってそのWebサイトは、安心・安全に閲覧できWebサイト内を回遊できることが大前提です。
そして、企業などのコンテンツを発信する側は、これまで以上に、多くの人たちに製品やサービス、企業の取り組みなどの情報を「きちんと届ける」という観点が重要になります。その企業側が「きちんと届けたい」ことを正しく伝えられ、全ての来訪者にとってストレスが少ない、ユーザーフレンドリーなWebサイトが求められていくと思います。
ユーザーフレンドリーなWebサイトの実現手法として、UI/UX改善やウェブアクセシビリティ向上が寄与すると考えています。
まとめ:ビジネス拡大に貢献するコーポレートサイトの構築にもPowerCMS Xは有効
Business Architectsでは、グループ各社の統合にともない、PowerCMS Xを導入・活用してコーポレートサイトのリニューアルを実施しました。目指したのは、コーポレートサイトのリニューアルを通じて、サービスラインナップをはじめとした発信情報を整理し、マーケティングを強化し、サービスへの問い合わせを増やすことでビジネスをさらに加速させることでした。
この取り組みの継続が、コーポレートサイトを起点としたビジネス拡大の知見・ノウハウをさらに蓄積し、コーポレートサイトのリニューアルをお考えのお客さまのビジネスの成長にも貢献できると考えています。