BAsixs(ベーシックス)

「あたりまえ」をアップデートしつづける

複雑で難易度の高いWebサイト制作のパートナーとして信頼関係を築くPMとは?|【ネットイヤーグループ様×BA対談】

読了目安 : 17

  • 投稿日 :
  • 最終更新日 :

この記事を書いた人

プロフィールアイコン(イラスト):BAsixs編集部
BAsixs編集部

BAsixsは、社会課題の解決と新たな価値創出をBAグループ全体で目指すためのサービスブランドです。

ネットイヤーグループとビジネス・アーキテクツ(以下、BAと称する)は、いずれも1999年に設立され、インターネット黎明期からWebクリエイティブ業界で事業を展開してきました。両社はプロジェクトを共同で推進するなど「競争」ではなく、「共創」の関係を築いています。

今回、Web業界のプロジェクトマネジメントに関する理解の促進を目的に、対談を実施しました。

参加者は、ネットイヤーグループでプロジェクトマネジメントに関する豊富な経験と知見をもつ宮沢氏と、BAでディレクション&リテンショングループのGMを務める小山の2人です。

両社が考えるプロジェクトマネジメントのベストプラクティスや、プロジェクトを成功に導くために求められるリーダーシップなどの資質とは何なのでしょうか。 今後のWeb業界の行く末や、プロジェクトマネジメントの展望なども交えて語り合いました。

複雑で難易度の高いWebサイト制作のパートナーとして信頼関係を築くPMとは?|【ネットイヤーグループ様×BA対談】

インタビューした人

プロフィールアイコン(イラスト):ディレクター/フロントエンドエンジニア 富本
富本ディレクター/フロントエンドエンジニア(ビジネス・アーキテクツ)

地元・愛知の印刷会社や広告会社にてWeb制作に携わる。2014年頃、フロントエンドエンジニアとしてBAに入社。現在、ディレクターとして開発・運用の進行管理やWebサイトのガイドライン作成やコンポーネントの設計・作成を担当しています。好きなキャラクターはリラックマ。イタリアとスイスに行きたい。

インタビューを受けた人

  • プロフィールアイコン(写真):ネットイヤーグループ株式会社 宮沢 博様
    宮沢 博様プロデューサー/プロジェクトマネージャー(ネットイヤーグループ株式会社)

    WEB制作会社にてデザイナー、コーダーを経て、2008年よりネットイヤーグループ株式会社へ入社。大規模Webサイトリニューアルプロジェクトに参画。その後、B2C,B2B,グローバルサイトなど様々な分野のプロジェクトにて、プロジェクトマネージャーを始め、UXD、WEBコンサルトなど幅広い経験を武器に活躍。また、チームマネージャーなども経験。近年はプロジェクトの品質管理や人材の育成に積極的に取り組み、幅広く活動している。

  • プロフィールアイコン(イラスト):第1事業部 事業部長 小山
    小山第1事業部 事業部長(ビジネス・アーキテクツ)

    BPOの会社でのなんでも屋を経て、2019年からBAへジョインしました。第1事業部で責任者をしております。

ネットイヤーグループとBA、お互いの印象・イメージ

お互いの会社の印象やイメージをお聞かせください。

宮沢氏:BAさんは、メンバー全員がプロジェクトに真摯に向き合い、ゴールに向かって突き進んでいくプロ集団というイメージです。

小山:ありがとうございます。ネットイヤーグループさんはWeb制作だけではなく、いわゆる体験価値やUX、CXに重きを置いて事業を展開されていると感じます。

例えば、羽田空港様の事例を拝見すると、Webサイトだけではなくフロアガイドの小冊子も制作されるなど、デジタルとリアルを融合した顧客体験の向上を目指されています。

プロジェクトマネジメントの重要性

ゴールまでの道筋を設計し、ドライブすることがプロジェクトマネジメント

プロジェクトマネジメントの考え方や定義についてお聞かせください。

宮沢氏:プロジェクトマネジメントとは、ゴールに向けてプロジェクトの道筋を設計し、きちんとゴール達成までドライブすることだと考えています。

1つのプロジェクトにはお客さまもいれば、社内メンバーなどさまざまな関係者がいます。プロジェクトマネージャー(以下、PM)は、そうした各関係者のバランスを取りながら、適切なタイミングでサポートを行なう存在だと思います。

小山:ネットイヤーグループ、BAの両社ともPMBOK(Project Management Body Of Knowledge)の知識体系が前提にありますね。個人的に宮沢さんのご意見に付け加えるとすれば、プロジェクトマネジメントとはプロジェクトにおけるいくつかの「P」をマネジメントすることだと考えています。

具体的には、

  • Profit(利益)
  • Progress(進捗)
  • People(人)
  • Product(成果)
  • Process(手順)

などです。

例えば「Profit(利益)」という面では、お客さまの利益を追求するがあまり、メンバーが「やりすぎてしまう」ことがあります。高品質な成果物を納めるために過剰に工数をかけると、どこかに皺寄せが来ることも考えられます。そうなると納期や他の部分の品質などに影響が出ます。それはコストに響くため継続的に良いサービスをご提供できなくなり、結果としてお客さまにもBAにもWinではなくなります。それは私たちが望んでいる姿ではないですね。

また、「Progress(進捗)」や、リソースマネジメントとしての「People(人)」、「Product(成果)」「Process(手順)」をどのように計画するかは、宮沢さんがおっしゃった「ドライブする」という言葉のなかにも包含される要素だと感じます。

「ズレ」を察知し、軌道修正することがプロジェクトマネージャーの役割

プロジェクトマネージャーの役割や、求められる資質を教えてください。

宮沢氏:マネジメントの役割は当然求められます。

特に、先ほど小山さんもおっしゃっていた「P」をどのように設計し、進めていくかが重要です。プロジェクトの詳細な設計やドライブ、お客さまやメンバーがプロジェクトに集中しやすい環境づくりも、プロジェクトマネージャーの仕事には含まれます。

ただし、プロジェクトにおいて我々プロジェクトマネージャーは主役ではありません。専門性をもつメンバーとお客さまが主役でいる状態が理想です。各メンバーやお客さまとの関係を円滑にし、理想の状態をつくるためにも、プロジェクトマネージャーには豊富な知識や広い視野が求められます。

そのほか、お客さま視点で課題を捉えることや、単に課題を解決するだけではなく、さまざまなストーリーを創造しながら課題を解決する力が重要だと感じています。

小山:プロジェクトマネージャーが手を動かして目立つような案件は、たいてい良い事態にならないですよね。むしろモニタリングや仕組みを設計する立場に専念して、うまくいっていないポイントを察知して、早めにケアすることが本来の役割です。

お客さまと認識の齟齬がある、納期の調整ができていないなど、うまくいっていない状況を1ヵ月も放置していると、ひどい状況に陥ります。早めに気付くことでリカバリーできる余裕が生まれます。

宮沢氏:ゴールに続く道があるとイメージした場合、先々の障害物を取り除いて進みやすくすることもプロジェクトマネージャーの役割の一つです。ただし、多くのプロジェクトでは進行途中で進行方向にズレが生じます。その「ズレ」に1週間で気が付くのか、はたまた1ヵ月かかるかで、軌道修正に要する時間も変動します。

お客さまの「ハッピーサプライズ」とメンバーへの高評価がやりがい

プロジェクトマネージャーとしてやりがいを感じる瞬間を教えてください。

宮沢氏:ネットイヤーグループで昔から使われていて、私も大好きな言葉に「ハッピーサプライズ」というものがあります。お客さまが期待していた以上の成果を達成し、喜んでいただくことを目指す考え方ですが、このハッピーサプライズが生まれ、お客さまに喜んでいただけたときには特にやりがいを感じます。

加えて、チームメンバーから「やって良かった!」という達成感や感謝の言葉がもらえたときも、うれしい瞬間ですね。

小山:私の場合は、プロジェクトマネージャーである自分が表に出なくても、メンバーが中心になってプロジェクトがうまく進行しているときにやりがいを感じます。

デザイナーの納品物やエンジニアが実装したシステムを見たお客さまから、「素晴らしいデザインです」「このシステムは使いやすくて、機能面もすごいですね」とお褒めいただけるなど、メンバーが評価されているときが一番うれしい場面です。

宮沢氏:プロジェクトマネージャーが目立ってしまうなど、武勇伝をつくるようなプロジェクトは実は望ましくありませんよね。お客さまやメンバーに働きかけ、問題が起こらないまま目的やゴールを達成できることが理想です。

対談風景(二人で会話する様子)

プロジェクトマネジメントの重要性は、下記で詳しく説明していますのでご参考ください。

コーポレートサイトリニューアルを成功に導く!プロジェクトマネジメントの重要性 | BAsixs(ベーシックス)

プロジェクトマネジメントのベストプラクティス(最適解)

ベストプラクティスはリスクを早期に発見する仕組みづくり

両企業で実践しているプロジェクトマネジメントのベストプラクティスを教えてください。

宮沢氏:プロジェクトごとに内容やお客さまの抱える課題が異なるので、すべてに当てはまるベストプラクティスはないと思います。ただしどのようなプロジェクトでも、適度に緊張感のあるチームをつくれるかどうかは重要なポイントだと考えています。

また、全体的なストーリーをプロジェクトに関わる全員で共有することも大事です。

小山:私が特に重要だと考えているベストプラクティスは、お客さまとのキックオフミーティングです。BAでは要件定義フェーズの開始時や、設計フェーズに移行したタイミングなどで必ずキックオフを実施します。

フェーズごとにお客さまの関与度は変わるので、フェーズの移行の度にポイントや方向性を改めてご認識いただくことが目的の一つです。また、フェーズが変わるタイミングでは中間成果物が発生することが多いため、成果物の読み合わせと確認もキックオフの目的には含まれます。

プロジェクトの途中にキックオフによる振り返りを挟むことで、お客さまとの認識の齟齬を埋めることができます。終盤になって「そんなことは聞いていなかった」といわれることは、プロジェクト進行のうえで大きなリスクです。これが完了目前だと軌道修正も困難になります。ですので、道が逸れていることになるべく早く気付ける仕組みづくりが大事です。

宮沢氏:ネットイヤーグループでは、大規模な案件の場合にはPMO(Project Management Office)が参画して、要件定義書などの各種ドキュメントを第三者視点でチェックします。そうすることで、抜け漏れを早期に防止する体制を敷いています。

プロジェクトを成功に導くコツは「目線と歩幅」を合わせること

プロジェクトを成功に導くためのコツやポイントを教えてください。

宮沢氏:プロジェクトに関わる複数のステークホルダーと「目線と歩幅」をうまく合わせられるかが、プロジェクト成功の鍵になります。

例えば、Web業界には難解な言葉が多いため、お客さまに説明した際にその場では納得いただいたご様子でも、実はちゃんとご理解いただいていなかった、という場面はよくあります。逆に、こちらが理解しているつもりでも、お客さまの業務や専門用語について齟齬が生じる場合もあり、コミュニケーションの工夫が求められます。

そのため、プロジェクト全体を通じて、常に「目線と歩幅」を合わせる努力が欠かせません。

小山:私は、ステークホルダーとの期待値の合意が重要だと考えています。プロジェクトには、比較的スムーズに進むものと対処が難しいものがあります。ここでいう難しいプロジェクトとはサイトの規模や開発難易度ではなく、期待値を合意しなければならないステークホルダーの数です。

大きなプロジェクトになるほど、情報システムや広報・経営企画・社長室、さらには製品部門といったいろんな部署が参加しており、それぞれの立場で少しずつ期待値が違います。

例えば、リニューアル担当部門が経営企画室で、目的を「ガバナンスの強化」に置いていたとします。しかし、ほかの部署が目的を知らずに「カッコ良いサイトができる」というイメージだけが先行すると、あとになって「今のサイトと全然変わらない」というマイナスの反応が起こります。こうなると、お客さまのなかで軋轢が生じてしまうのです。

このような事態を避けるためにも、重要なフェーズに移行するタイミングなどでキックオフを実施し、ステークホルダー全員の合意形成を図ることが重要です。

対談風景(小山が話している様子)

プロジェクトオーナーが決定しやすいような運営を心がける

反対に、うまくいかないプロジェクトの共通点を教えてください。

宮沢氏:ステークホルダーが多くいるにも関わらず、決定権をもつ方が積極的に参画していないプロジェクトや、お客さま側での最終的なまとめ役が見えないプロジェクトの運営は非常に難しいと感じます。

小山:プロジェクトには参画していないけれど、実はプロジェクトオーナーは社長だった、といったケースも往々にしてあります。その場合、お客さまのご担当者と相談して、説明資料や説明のシナリオなどを一緒につくります。プロジェクトオーナーが決断しやすくなるような働きかけや工夫も、プロジェクトマネージャーの大事な仕事です。

宮沢氏:「決定者にどのように話をもっていきましょうか」と、ご担当者と相談することは多いですよね。

PMBOKをベースに座学と実務でプロジェクトマネージャーを育成

プロジェクトマネージャー育成のための取り組み内容を教えてください。

宮沢氏:座学によるものと、現場での実務経験で育成に取り組んでいます。

座学については、社内でPMBOKをベースにしたプロジェクトマネジメントを学べる講座を用意しています。

ネットイヤーグループは創業からUXを大切にしていることもあり、UXデザイナーだけではなく社員全員が受講できるUX講座も設けています。
UXデザインのベーシックスキルについて座学と演習を中心に学ぶカリキュラムや、UXデザインに関するスキルを認定する制度があります。

小山:教育の仕組みが整っているのは、すごく羨ましいですね。

BAでは、今期からUXやアクセシビリティなどテーマごとの分科会を立ち上げ、自分たちの業務で必須の内容を学ぶ機会を設けています。

プロジェクトマネジメントについても同じく分科会を開いていて、現在はプロジェクトを管理するための仕組み化に取り組んでいます。仕組み化がされていないと再現性が低くなってしまうためです。

「プロジェクトマネジメントには〇〇のツールを使う」など、仕組みを整備した先に、PMBOKの考え方やリスクを検出する手法など、より体系化した知識を学ぶ段階があると考えています。

プロジェクトを成功に導くリーダーシップとコミュニケーション

ゴールを明確にして「ズレ」を是正するために社内外に働きかける

プロジェクトのチームをまとめるために大切にしていること、実践していることを教えてください。

宮沢氏:ゴールを明確にすることです。お客さまの社内でも部署によってゴールが異なる場合があるので、常にゴールを意識することが大切です。

プロジェクトの途中で、臨機応変にゴールを変更することは一概に悪いことではありません。良くないのは、いつの間にかゴールがズレてしまい、思いもよらない場所へ行き着いてしまうことです。ゴールを変えるのであれば、プロジェクトメンバー全員が把握しておく必要があります。

小山:BAでは、目的のズレを修正するという点を強く意識しています。例えば、品質に関する部分でミスが発生すると、チーム全体が品質改善のみに焦点を当てて動いてしまうことがあります。そうなると、プロジェクトマネジメントの目的の一つである「Profit(利益)」がないがしろにされかねません。

プロジェクトマネージャーとしては、目的がズレないようにいきすぎた状況を是正し、社内外に働きかけることも必要だと考えています。

真の課題を見極めるための俯瞰的視点と平明なコミュニケーション

プロジェクトマネージャーとしてお客さまに接する際に、心がけていることを教えてください。

宮沢氏:「お客さまが依頼されている内容が、果たして本当のゴールなのだろうか」と常に考えることです。そのためには、“木”と“森”の両方を俯瞰して見ることを心がけています。実際に目の前にある課題が木で、その課題を含んでいるより大きな課題が森、というイメージです。

また、さまざまな人の立場や視点で物事を考えて、ゴールを見極めることも大事だと思います。

小山:宮沢さんと重複するのですが、私もお客さまの言葉の奥底に眠る意図を引き出すことを心がけています。

例えば、お客さまから「UXを改善したい」というご要望をいただくことがあります。ただヒアリングを繰り返していくとUX改善が本質ではなく、シンプルに「カッコ良いサイトをつくりたい」という意図だった、というケースがあります。しかしそのままの言葉では提案依頼書(RFP)に書きづらく、お客さまは「UX改善」という表現を使って依頼をされていたのです。

お客さまの真意を引き出すためにも、Web業界特有の難しい言葉を使わず、平明な言葉で質問を重ねることが大事だと思っています。

上流工程や運用などプロジェクトの見るべき範囲が広がっている

昨今、お客さまのニーズの変化について、感じていることがあればお聞かせください。

宮沢氏:昨今では、お客さまもデジタルマーケティングの一環としてWebサイトを位置づけるようになりました。そのため、より上流工程を加味したリニューアル提案や、プロジェクトの設計が求められています。

加えて、少し前から「DX」のキーワードが出るようになりました。お客さまから「Webサイトをリニューアルすることで効率化したい、運用コストを下げたい」といった運用以降も含めたご相談をいただく機会が増えています。

小山:そうですね。以前と違い「Webサイトを通じてこういうことを実現したい」という目的をRFPに明記されるお客さまは多くなりました。

運用フェーズ以降についても、Webサイトの継続的なモニタリングや改善提案のご相談をいただくことがあります。我々はそうした派生的な目的を含めてプロジェクト全体を設計する必要があり、見るべき範囲が広がっていると感じます。

プロジェクトマネジメントは今後どう変わる?

コミュニケーションや幅広い知識、柔軟性がより求められる

昨今ではAIの技術革新や管理ツールの普及が進んでいます。今後、Web制作業界のプロジェクトマネジメントのあり方はどう変わると予測していますか?

小山:モニタリングの世界は変化しそうです。例えば、我々プロジェクトマネージャーの替わりにAIがリスクを検知し、アラートを出すようになる可能性は十分にあります。

宮沢氏:タスクとして事務的に処理していた部分は、AIによる効率化が進みそうですね。だからこそ、社内外とのコミュニケーションや、経験則をもとにした判断など、人間しかもちえないインタラクティブな部分がより重要になると思います。
ただし、AIはときにハルシネーション(※)を起こすことがあります。AIで生成された情報の正否を判断するためには、幅広い知識が必要ですね。

小山:プロジェクトマネージャーは難度の高い仕事です。プロジェクトの進行方向の「ズレ」を察知して軌道修正する技術や、俯瞰的な視点は一朝一夕に獲得できる能力ではありませんが、AIなどを組み合わせることでより良いプロジェクトにしていくことはできると思います。

対談風景(宮沢氏が話している様子)

※ハルシネーション:AI特有の「もっともらしい誤情報」のこと。

ネットイヤーグループとBAで協力し、Web業界の人材の価値向上に貢献したい

最後に、PMを目指す方たちに向けて今後必要となる能力や人物像をお聞かせください。

宮沢氏:デジタル技術が目まぐるしく進化する時代なので、常にアンテナを張り、新しい技術やトレンドを学び続けることが重要です。そして、それらの有用性を見極めるスキルも求められます。

AIやツールが事務的なタスクを処理し、コミュニケーションのようなデジタルには頼れない部分が多くなるなど比重は変化しますが、PMの根本的な役割は変わらないと思っています。

そして、私たちの仕事で変わらないもう一つの要素は、どんな職種でも常にユーザーを中心に考えることです。
そのため、普遍的な「PM×UX」を基盤にもち、変化する技術に流されずに取捨選択し、プロジェクトを正しく導けるスキルがますます重要になってくると考えています。

小山:BAでは特に製造業のお客さまが多く、近年はその案件規模も大型化しています。それにともない、プロジェクトマネージャーの役割がより多岐にわたり、重要性もさらに高まっています。

我々としては幅広い案件に対応するために、若い世代が積極的にプロジェクトマネージャーを目指せる環境づくりをする必要があると考えています。そのためには、プロジェクトマネジメントの経験をあまり積んでいない人でもスムーズに業務を進められるよう、最新ツールの導入や業務の仕組み化をすることが重要ですね。

ツールや仕組み化によってタスクをより効率的に消化できるようになれば、プロジェクトマネジメントを目指してもらいやすくなると思っています。

ただ、お客さまとの関係性の築き方、コミュニケーションの取り方などの根本の部分は仕組み化できるようなものではありません。プロジェクトマネージャーを今後担う方たちは、そういった部分を先輩たちから受け継いでほしいですね。

宮沢氏:プロジェクトマネージャーは難しい役割を担いますが、やりがいのある面白い仕事です。最終的には、AIや機械で代替できない職種なのではないでしょうか。

小山:そうですね。もちろん、面倒なこともしなければならない職種ですが(笑)。

ネットイヤーグループ、BAともに黎明期からWeb業界に携わっているので、協力してプロジェクトマネージャーやディレクター、デザイナー、エンジニアなど、業界における人材の価値向上に貢献したいと考えています。

特にプロジェクトマネージャーは、人材不足だと長年いわれている職種です。この対談記事を通じて、転職やローテーションの検討の際にプロジェクトマネージャーに挑戦してみたい、と思ってくれる人が増えることを期待しています。

対談風景(二人で会話する様子)

まとめ:会社の垣根を超えた連携で、プロジェクトマネジメントの価値向上を図る

今回は、会社の垣根を超え「Web業界のプロジェクトマネジメント」というテーマでネットイヤーグループ宮沢氏と、BA小山の対談をお届けしました。

両社ともに共通している部分が多くある一方で、企業文化や仕組みには違いがあります。

また、プロジェクトマネジメントの仕事のやりがいや面白さについて意気投合したほか、Web業界に関わる人材の価値向上を目指したい、という締めくくりの言葉も印象的でした。

この記事を通して、両社のプロジェクトマネジメントの高い品質が伝わるとともに、貴重な人材であるプロジェクトマネージャーという職種に興味をもつ人が増えれば幸いです。