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リヴィジョン様が実践する“採用サイト改革”【前編】ーー課題の見える化とコンセプト設計の舞台裏

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BAsixs編集部

日々の業務の中で「あたりまえ」をアップデートできた取り組みを発信しています。

採用サイトは、企業と求職者を結ぶ最初の窓口。求職者とのミスマッチを防ぐためにも、業務内容や待遇面だけでなく、企業カルチャーやビジョンを正しく伝えることが大切です。

今回は、メディア運営や人材紹介など、教育分野において多様なサービスを提供するリヴィジョングループ様の採用サイトリニューアル事例を、前編・後編の2部構成で深掘りします。

前編では、同グループが抱えていた採用課題や、スローガン「Craft Careers」の誕生につながったコンセプト設計の背景に迫ります。
登場いただくのは、株式会社リヴィジョン 代表取締役・富永 光太郎氏と、採用サイトプロジェクト全体の推進を担った株式会社キャリアビスタのブランドコミュニケーション課 課長 田坂 圭吾氏。

後編では、制作の舞台裏や完成後の反響、そして今後の採用戦略について詳しくご紹介します。

リヴィジョン様が実践する“採用サイト改革”

リヴィジョン様が実践する“採用サイト改革”【前編】ーー課題の見える化とコンセプト設計の舞台裏

インタビューした人

プロフィールアイコン(イラスト):ディレクター 富本
富本セールス&マーケティンググループ/ディレクター(ビジネス・アーキテクツ)

地元・愛知の印刷会社や広告会社にてディレクター・フロントエンドエンジニアとしてWeb制作に携わる。2014年頃、フロントエンドエンジニアとしてBAに入社。現在、自社コーポレートサイトやオウンドメディアのマーケティングに携わっている。また、長期にわたりウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)のWG4への参加も。好きなキャラクターはリラックマ。

インタビューを受けた人

  • プロフィールアイコン(写真):代表取締役(株式会社リヴィジョン) 富永 光太郎様
    富永 光太郎様代表取締役(株式会社リヴィジョン)

    暁星高等学校、早稲田大学を卒業。株式会社日経BP社等での勤務を経て独立。現在は、「Craft Careers」「Close Together」を理念に掲げ、教育業界の持続可能な発展に貢献すべく、学校の経営・広報・人材・教務の観点から、私立学校および公立学校を支援する事業を展開している。

  • プロフィールアイコン(写真):ブランドコミュニケーション課/課長(株式会社キャリアビスタ) 田坂 圭吾様
    田坂 圭吾様ブランドコミュニケーション課/課長(株式会社キャリアビスタ)

    早稲田大学教育学部を卒業後、大手塾での算数指導を経験。2009年より株式会社キャリアビスタで教員の就職支援や私立学校の生徒指導に携わる。教育現場とキャリア支援の経験を活かし、現職ではグループの価値を高め、認知度の向上に努めている。

教育業界全体が就職希望先としての人気が低迷

はじめに、リヴィジョン様の事業概要について教えてください。

富永様:当社は、関東圏の私立中学・高校を中心に、学校経営のトータルサポートを事業としている会社です。

事業分野ごとに会社が独立しており、生徒募集のための広報メディアを企画・運営する「株式会社リヴィジョン」、教員の総合人材サービスを行う「株式会社キャリアビスタ」、学内学力診断事業を手掛ける「株式会社シンクアンドクエスト」の3社がリヴィジョングループとしてそれぞれの強みを生かしたサービスを提供しています。

リヴィジョングループの強みとなる3社

富永様:近年、当社グループは事業領域の全国的な拡大と、新たな顧客層へのサービス開発を加速させております。

首都圏から全国へとサービス提供エリアを拡大しているキャリアビスタの取り組みに加え、リヴィジョンでは通信制高校への進学希望者という新たなターゲットに向けたサービス開発を推進。さらに、シンクアンドクエストでは、AIによるテスト問題の自動生成に関する研究を進め、教育現場の業務効率化という課題解決にも注力しています。

事業拡大を目指すなかで、どのような採用課題を抱えていたのでしょうか?

富永様:当社はこれまで転職エージェント経由で年に数名のキャリア採用を行ってきました。しかし近年は、「そもそもキャリア採用の応募が集まらない」という問題があったんです。

これは、少子高齢化による労働人口の減少も要因の一端かもしれませんが、「学校のブラック職場化」がメディアで盛んに取り上げられるなど、教育業界全体が就職先として人気が低迷していることも挙げられます。

学校教員の成り手が少ないなかで、その採用支援を行っている当社の事業にも、なかなか興味を持ってもらえない。つまり、求職者の方々に選んでもらえない。

この課題を解決するべく、新たに求人サイトを立ち上げ、我々の仕事のやりがいやミッション、存在意義などを強くメッセージとして発信することにしたのです。  

株式会社リヴィジョン 代表取締役 富永光太郎 さま

なるほど。一般的な採用サイトとは、コンセプトが異なるわけですね?

田坂様:おっしゃる通りです。一般的な採用サイトは、「応募」や「資料請求」をコンバーションとしていると思いますが、当社の場合は、「ミッションやバリューに共感していただき、業務内容を深く知ってもらうこと」を目的にしました。

実はこれまで、ミッション&バリューを対外的にあまり発信してきませんでした。サービスサイトは以前からありましたが、当社の理念や思いを伝えるブランドサイトはなかったのです。

そこで今回、BAさんにブランドサイトとしての役割も期待できる採用サイトの制作をお願いしたのが経緯ですね。

数あるサイト制作会社のなかから、なぜBusiness Architects(ビジネス・アーキテクツ、以下BA)を選んだのでしょうか?

富永様:ビジネス・アーキテクツの代表とのつながりがあったことがきっかけですね。

BAさんの制作するサイトの評判や、戦略から関わっていただけるという話を聞いていたので、ぜひお願いしたいと考えました。結果的に、互いの視点を合わせながら制作を進められ、満足できるサイトができたと思います。

株式会社リヴィジョンの採用サイトのトップページのキャプチャ

「Craft Careers」に込めた想い

では、採用サイトを制作するにあたり、どのようなコンセプト設計を行ったのでしょうか?

田坂様:やはり私たちのミッションやバリューを、どんな言葉で、どのように伝えるのかが一番の問題でした。当社は「お客さまそれぞれの課題に寄り添ってサービスを提供する」という思いを込めた「Close Together」を創業当初よりスローガンとして掲げてきました。

この言葉に加えてもうひとつ、“当社が事業を通じて提供したい価値”を端的に表したスローガンを、この機会につくりたいと思ったのです。そこで、採用サイト制作プロジェクトがスタートしてから、まずそのスローガンの策定に時間をかけました。

BAさんにさまざまな案をいただいて、ブラッシュアップにも時間をかけ、半年ほどの期間をかけて完成したのが 「Craft Careers」というスローガンです。「キャリアを創り上げる」という我々の事業の本質を表すことができたと思います。

株式会社キャリアビスタ ブランドコミュニケーション課 課長 田坂圭吾 さま

富永様:「Make」ではなく、「Craft」を用いているのが重要なポイントですよね。「人が介在して、手づくりで新しい価値を生み出す」という企業姿勢を伝えています。

田坂様:たとえば、教員であれば、学校側は「学歴」や「年齢」「得意科目」などの条件を通して採用希望者を探すのが一般的です。ただ、そうした機械的な作業だけでは、本当に求める人材になかなか出会うことはできません。

やはり教員には、「人柄」や「コミュニケーション能力」だったり、「学校教育に対する情熱」だったりと、データに表れにくい資質も求められます。学校側もそうした美徳を備えた人材を欲しいと思っています。

しかし、こうした人間性のようなものは、いわば「行間」に埋もれてしまって、残念ながら検索できないのです。そこで私たちは、念入りな面談などを行うなどして、教員としてのスキルや能力だけでなく、人間性にも優れた人材かどうか見極めて学校側に紹介しています。

まさに「丁寧な手づくり」で人材サービスを提供されているわけですね。

富永様:はい。人材サービス以外でもその姿勢は表れています。グループ企業である、シンクアンドクエストでは主に公立・私立の中学校を対象とした学力診断サービスを提供していますが、学力テストの結果次第で生徒の進路が変わり、その後の人生にも大きな影響を与える可能性があるわけです。

一人ひとりの「人生=キャリア」に責任を持って、よりよい方向へと導いていく。こうした事業のやりがいや価値観を「Craft Careers」という言葉は見事に言い表していると思います。やはり「Make」では、どこか重みがなく、手触り感がないんですよね。

田坂様:また「Craft Careers」には、「当社に入社していただいた方のキャリアを支援していく」という意味も込めています。

当社では新入社員の研修や面談を手厚く行っており、就職後のキャリアアップをサポートしています。生徒や先生のキャリアを支援しつつ、自分たちも成長していく。事業特性だけでなく、企業カルチャーも表している言葉が「Craft Careers」です。

「Close Together」と「Craft Careers」。このふたつの言葉を新サイトの軸にしようと決まるまで半年ほどかかりましたが、その後はスムーズに進み、プロジェクトスタートから10か月程で現行の採用サイトが完成しました。

永さま、田坂さまが会話している様子

採用者数が倍増し、働き方や企業カルチャーが浸透

2024年6月のサイト公開から1年ほどが経ちました。成果はいかがでしょうか?

田坂様:事業規模の拡大も相まって、サイト公開前より採用者数が倍増しました。

実は今回の採用サイトには、応募フォームを設けておらず、全員が従来どおり転職エージェントからの紹介です。採用面接の際は、採用サイトを確認していただいたようで、質疑応答も内容の深いものになりました。このサイトが応募者の当社に対する質問のきっかけをつくっていると思います。

また、採用後の研修も非常にスムーズになりました。企業文化のミスマッチが減ったのだと思います。専門用語や業界動向などについては、入社後の研修などで身に付きますが、価値観の共感については、後から合わせていくのが難しい面もあります。

どのようなコンテンツを掲載しているのでしょうか?

田坂様:具体的には、採用サイトの「Staff Story」という先輩社員のインタビュー記事がコンテンツとしても有効でした。

ある程度イメージを持って臨んでもらえるため、事前理解がスムーズになりました。全員が企業文化をある程度イメージしたうえで採用に応募してきてくれているので、早期離職の心配も軽減されていると感じます。

富永様:正直、これまではサービスサイトしかなく、事業ごとに会社が分かれているという複雑さがありました。当社に興味を持っても応募までには至らなかったケースが多々あったと思います。

しかし今回、リヴィジョングループとして一本筋の通ったサイトができたことで、「この会社で働いてみたい」「リヴィジョンを先に受けてみよう」といった人が増えたのではないでしょうか。それが採用者数の増加につながっているのだと思います。

田坂様:そうですね。また、採用サイトができたことで、こちらから優秀な求職者にスカウトのアプローチもしやすくなりました。

スカウトの際は、当社とのマッチ率が高そうな人にメールを送り、あわせて採用サイトのURLを添付します。それにより、働く姿がイメージしやすくなり、成功率が上がっているように思います。

富永様:人材確保にどこも苦労しているなか、「どうしてもこの会社に入りたい!」と思ってもらうにはやはり強いメッセージの発信が必要です。

今回のサイトは、充分にその役割を果たしてくれていると思います。サイトをご覧になられた一人でも多くの求職者の方に共感いただき、応募につながってくれることを期待しています。

富永さま、田坂さまの集合写真

編集後記

前編では、リヴィジョングループ様が抱えていた採用課題から、サイト制作のコンセプト設計や立ち上げ後に得られた効果についてお話を伺いました。「Craft Careers」に込められた想いに、共感された方も多いのではないでしょうか。

求職者にとって、「会社の文化に馴染めるか」「長く働けそうか」は、業務内容と待遇と同じくらい重要で知りたい情報です。今回の採用サイトでは、そうした不安や疑問を解消し、まさに 「リヴィジョングループの価値観や働く環境をリアルに伝える窓口」になっていると感じました。

後編では、採用サイト制作の工夫や現場での挑戦、さらにリニューアル後の具体的な成果や今後の採用戦略についてご紹介します。
リヴィジョングループ様がどのように採用を進化させ、未来を描いていくのか――その取り組みをぜひご覧ください。

リヴィジョン様が実践する“採用サイト改革”