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RFP(提案依頼書)の書き方とは?必要な項目や作成時の注意点

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小島 寛人ディレクター(ビジネス・アーキテクツ)

ローカライゼーションベンダーのディレクターを経て、2006年にビジネス・アーキテクツに入社。以来、大企業のコーポレートサイト、マーケティングサイト、保険企業のオンライン見積りサイトなど多様なプロジェクトに参画。

Webサイトを制作する際は、必要な要件を制作会社に文書で伝える必要があります。この文書のことを「Request For Proposal(提案依頼書)」といい、単語の頭文字をとってRFPといいます。
ここでは、RFPの書き方や注意すべき点など、伝わるRFPの作成に必要な知識についてご紹介します。

RFP(提案依頼書)の書き方とは?必要な項目や作成時の注意点

Webサイト制作に欠かせないRFP(提案依頼書)

RFPは、Webサイトの制作やリニューアルを行う際、制作会社から質の良い提案を受け、Webサイトを意向どおりに完成させるために欠かせない重要なツールです。
発注者がRFPを作成しない、もしくは不明確な項目の多いRFPでコンペ参加を依頼した場合、制作会社は発注者の意図や希望を正しく捉えられないことから、提案内容が大きくぶれることがあります。さらに、各制作会社の提案内容にばらつきが生じるため、制作会社の選定が難しくなります。

適切な情報をわかりやすくまとめたRFPは、依頼の目的や要件が明確に制作会社に伝わるので、発注者の希望に沿った質の高い提案を受けられ、プロジェクトに合った制作会社を選ぶことが可能になります。
「どんなパートナーを求めているのか」という発注者の明確な意図を伝え、より良い成果を出すためにも、RFPは手間を惜しまずきちんと作成すべき重要なツールであることを理解しましょう。

知っておきたいRFP(提案依頼書)作成後の流れ

RFPを作成してからWebサイトの完成・運用までの流れは、大きく3つの段階に分けられます。

第1段階:発注までに必要なステップ

ステップ図:1.RFP作成 2.制作会社調査 3.RFP提示(秘密保持契約:NDAの締結) 4.オリエンテーション(質疑応答) 5.コンペ 6.選定 7.発注(契約)

発注者は複数の制作会社を選定し、作成したRFPを提示。その後、制作会社とのオリエンテーション(質疑応答)を経てコンペを行います。RFPの提示からコンペまでの期間は、1ヵ月程度が目安です。
コンペ終了後、発注者はその内容を検討し、制作会社を選定。正式に発注(契約)となります。
ちなみに、コンペに呼ぶ会社数は3〜4社が望ましいとされています。5社以上呼んで提案を受けると、提案を受ける側の負荷が高く、判断が難しくなるからです。
「最初に提案を受けた会社か最後に提案を受けた会社」、「これまでと同じ会社でいい」といった選択をしてしまい、適切な会社を選べなくなる恐れがあります。

第2段階:制作までに必要な制作会社とのやりとり

ステップ図:1.企画・要件定義 2.プロジェクト設計 3.情報設計・デザイン 4.開発・制作

発注者は、制作会社がRFPをもとに定義した要件の内容を確認し、協議、調整を行います。要件が確定したら、体制やスケジュールといったプロジェクト設計や情報設計、デザインなどを進め、開発・制作に入ります。
制作スケジュールはサイト規模などによって異なり、1ヵ月程度で完成する案件から数年かかるものまであります。初めて取引をする会社と契約した場合は、要件定義の期間を長めに見積もっておくといいでしょう。

第3段階:公開とその後のアクション

ステップ図:1.テスト・デバッグ 2.公開 3.運用 4.解析 5.成果拡大のための施策立案 6.施策の実施

要件に沿ったWebサイトが完成したら、テストとデバッグを経て公開となります。公開後は、日々の運用を通して得られたデータの分析と効果検証を行い、次のアクションへとつなげます。

RFP(提案依頼書)作成前にやっておくべき準備

続いては、RFP作成前にやっておくべきことを紹介します。

ステークホルダーへのヒアリングと依頼

社内には、Webサイトのステークホルダーがいます。事前に各ステークホルダーへのヒアリングや、RFP作成に必要となる資料の作成を依頼しましょう。ヒアリングではそれぞれの立場で異なる意見も出てきますが、それを調整しまとめることもRFP作成担当者の重要な役割です。
各ステークホルダーへはどのようなヒアリングや依頼をすべきなのか、確認しておきましょう。

マネジメント層

マネジメント層には、短期的ではなく中長期的な視点で、Webサイトが経営課題の解決にどのように寄与すべきなのかをヒアリングします。現在の経営課題から想定される解決策(経営戦略)と、Webサイトに期待する役割などを確認しましょう。

マーケティング部門

マーケティング部門には、担当者の立場でのヒアリングでなはく、ユーザー視点での分析を依頼しましょう。アクセス解析など、分析を通じて判明した現状の課題や問題点が、新しいWebサイトで解決すべき目標のひとつになるはずです。場合によっては、アンケート調査の実施も視野に入れましょう。

営業部門

顧客に最も近いポジションが営業部門です。クライアント目線で自社のサービスがどう見えているのかをヒアリングし、営業力の強化を図るための改善点について確認しましょう。

情報システム部門

情報システム部門には、システム構成図などの資料作成を依頼しましょう。システム担当者の観点が入ることで、Webサイトのリニューアルにおけるシステム要件が明確になります。提案内容が仮に良いものであっても、システムの絶対条件を満たしていなければ意味がありません。

スケジュールの立案

大まかでいいので、公開までのスケジュールを立てましょう。プロジェクトは、さまざまな事情によりスケジュールどおりに進まないことがよくあります。特に、大規模プロジェクトといわれる案件では、ステークホルダーが多岐にわたることから、承認に時間がかかる場合も珍しくありません。承認フローやかかる時間など、事前に確認できることはしっかり確認しておくとともに、あらかじめバッファを設けておくといいでしょう。

公開後の運用設計

RFPの作成に没頭すると、Webサイト公開後の運用フェーズをまったく考えていなかったという事態に陥りがちです。
Webサイトの公開はゴールではありません。大切なのは運用を通してWebサイトを成長させていくことです。RFPの作成前に、必ず公開後の運用設計を立てておきましょう。

ビジネス全体におけるWebサイトの役割の明確化

RFPの作成においては、Webサイトのコンテンツや設計・デザインをどうするかという点も重要ですが、公開後のWebサイトが自社のビジネスにどのような立ち位置で、どう機能するかも明確にしておく必要があります。そのため、KPIロードマップやカスタマージャーニーといった、ビジネス全体の中でWebサイトの役割が俯瞰して見えるツールも準備しましょう。こういったツールを作ることで、必要な要件がより明確になることもあります。

制作会社の選定基準の設定

制作会社選びにおいては、「どのような会社と仕事がしたいか」を、あらかじめ明確にしておくとよいでしょう。類似実績、メンバーの人柄、デザイン力、実装力など、制作会社にはそれぞれ特徴があります。プロジェクト成功のために優先すべき制作会社の特徴を決めておくことで、そのプロジェクトに合った会社を選定できます。コンペ前に評価シートを準備し、点数制で判断する方法もおすすめです。

RFP(提案依頼書)に必要な項目

RFPを作成するためには、具体的にどのような項目が必要となるのでしょうか。RFPに必要な項目は、そのプロジェクトの概要と要件に分けて考えるといいでしょう。

プロジェクト概要

概要とは、Webサイトの制作プロジェクト全体の概要を意味します。
プロジェクトの背景や目的、依頼の範囲、解決すべき課題、競合他社・ベンチマーク、予算、スケジュール、想定ターゲットなどの項目をしっかりとRFPに記入しましょう。これらの項目が不明瞭だと、制作会社の提案がぶれてしまいます。

サイト要件

要件とは、Webサイト制作を実際に進めていく上で必要な条件のことです。
例えば、具体的な成果物の内容や納品の形態、セキュリティ要件、CMS要件、サーバ要件、運用要件、その他Webサイトに欲しい機能のほか、予算やスケジュールといった項目が要件に該当します。

実際に項目を埋めていくと、明確に決まっていてすぐに記入できるものと、そうでないものが出てくるはずです。不明確な項目は個人の想像や仮説といった曖昧な情報を記入せず、担当部署に確認するなどして正しい情報を記入する習慣を身につけることが大切です。

使えるRFP(提案依頼書)を作るためのポイント

RFPの作成は、すべての項目を深く検討して記入することが理想ですが、実際、そうはいかないこともあります。また、目的に応じた工夫をすることで、より使いやすいRFPを作成することができます。
すべての人にとってわかりやすい“使えるRFP”を作成するポイントを、押さえておきましょう。

最低限の水準を満たすための項目を記載

小規模で急ぎの案件などRFPの作成にあまり時間が取れない場合は、以下の最低限の項目の記載をするように心掛けるといいでしょう。

RFP作成における最低限の項目

  • どういう意図で:Webサイトを作る目的
  • 何を:Webサイトで実現したいこと
  • いつまでに:公開日や各作業工程の締切日
  • どうやって:具体的な技術(ワードプレス、フルスクラッチなど)
  • いくらで:想定している予算

コンペでの制作会社の評価に有効な基準項目を設定

制作会社の比較・検討を容易にするには、制作に該当する作業について基準となる項目を設けておくといいでしょう。
作業ボリューム、依頼範囲、搭載したい必須機能といった具体的な項目は、提案のブレを防ぎ横並びで評価するために役立ちます。

RFP作成に使用するソフトで気をつけたいこと

RFPを作成するソフトは、Office系ソフトでもAdobe系ソフトでもそれ以外のソフトでも問題ありません。
とはいえ、RFPはプロジェクトメンバー間での共有や、上層部への報告書として使用される場合もあります。そのため、誰もが使える一般的なソフトを使用することをおすすめします。

細かい仕様ではなく大枠を明記

RFPは、その作成の過程で社内の意識統一を図り、コンペ時に質の高い提案を制作会社からもらうための文書であり、仕様書ではありません。
細かい仕様まで詰めるのではなく、発注側がWebサイトを制作する上での目的やゴール、制作会社に求めることなど、大枠を明記するものであることを忘れないようにしましょう。

RFPを作ってWebサイト制作を成功に導こう

Webサイトの制作やリニューアルの成功に、RFPは欠かせないことが理解いただけたのではないでしょうか?
とはいえ、見たり聞いたりしたことがすぐに実践で活かせるかというと、そうはいかないのが現実です。そこでおすすめしたいのが、RFPのサンプルを使っての実践です。実際に記入してみることで、今の自分の理解度がわかります。
自社にRFPの雛形がある場合にはサンプルと見比べて、雛形をブラッシュアップしてもいいかもしれません。

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