今回は、BAsixs参画企業、ビジネス・アーキテクツ(以下、BAと称する)の谷口さんに未経験からWebディレクターになった経緯や、業務内容についてお聞きしました。
Webディレクターになる ために必要な知識やスキルをはじめ、仕事の楽しさ、難しさなど……Webディレクターを目指されている方は、現役Webディレクター・谷口さんの声をぜひ参考にしてみてください。
Webデザインへの興味をきっかけに、Webディレクションの世界へ
まず自己紹介をお願いします。
プロダクションUNITでWebディレクターをしています、谷口です。
帰国子女で、しばらくはアメリカに住んでいました。大学はタイにある、バンコクのインターナショナルカレッジで、デジタルデザインについて学びました。
現在は複数のコーポレートサイトの運用を担当しています。
BAに入社された経緯を教えてください。
大学時代、Webデザインやグラフィックについて学ぶ中で「デザインなら続けても苦にならない」と感じていたので、デザインに関わる仕事に就こうと考えていました。
帰国してデザインの仕事を探していたところ、派遣会社からWebデザイナーの採用枠でBAを紹介してもらいました。
派遣で入社されたときはデザイナーだったのですね。ディレクターに変更されたきっかけは何だったのでしょうか?
初めはデザインの業務に就いていたのですが、Web全体の工程の中でデザインをどう機能させるか、勉強すべく異動しました。
デザインツールを使って何か制作するにあたっても、制作したものがどういう意味を持つのかを考えたり、クライアントやチーム内でのコミュニケーションの取り方を考えたりなど、新卒だったのもありイチから学ぶことが多かったです。
Webディレクターの仕事は、対人折衝力が求められる
ディレクションチームに入り業務を行うにあたって、難しいなと感じたことはありましたか?
まず、スケジュール管理が難しいと感じました。
自分だけではなく、全体を見て管理しなければならないので、今でも難しいと感じているもののひとつです。
他には、ビジネス上のコミュニケーションが難しかったです。
報告や相談をするにしても、適切なタイミングを見極め、相手の求めている粒度で情報を渡さなければならないので、苦戦しました。
Webディレクターの業務の中にはチームメンバーのモチベーションを上げる、もしくは保つなども含まれますか?
そうですね。メンバーの性格を知って、どういうコミュニケーションの取り方がいいか、考えなければいけません。
例えばチャットはなく、電話がいいのかなどコミュニケーションの手段を変えることもあります。
これも人によって違うので、難しいですね。
では、Webディレクターの仕事を行う中で面白いと感じることはありますか?
Webディレクターはクライアントの窓口になるので、クライアントの要望や思っていることを聞き、一緒に考えることができます。直接やりとりができるのはWebディレクターの醍醐味ではないでしょうか。
また、成果物のフィードバックをもらったり、御礼を直接聞けるのも励みになります。
最近だと、Webサイトのリニューアルを行った際に「スケジュールがタイトだったのにも関わらず期日までにリリースしていただいてありがとうございます」と感謝されました。
クライアントに「対応が丁寧だね」と普段心がけていることを汲み取っていただいたときなども「やってよかった」と実感します。
反対に、業務上での失敗談はありますか?
以前、自分のスキルアップを兼ねて、ある社内プロジェクトを担当したことがありました。
そのときは、要望に対して言われた通りにやってしまい、要件は満たしましたが、要求を満たすことができませんでした。
プロジェクトを振り返り、要望をただ聞くのではなく、そこから意図を掴まなくてはならないのだと教訓として残りました。
アウトプットも大事ですが、ヒアリング力を鍛えることによって、軸を持った提案が行えるようになることが重要ですね。
プロジェクト管理だけが、Webディレクターに必要なスキルではない
Webディレクターの業務が面白いと感じられるようになるまでに、備えておいたほうがいい基本的なスキルはありますか?
たくさんありますが、ディレクションチームに異動して最初に必要だなと感じたのは、まずプロジェクト管理に関わるスキルです。
Webディレクターはプロジェクト管理が仕事なので、関連する業務ツールを理解して、使いこなせていると大きいかなと思います。
BAでは、ドキュメント関係であればGoogleドキュメント、タスクやスケジュール管理であればBacklogやTeamGanttなどを使用しています。
なるほど。ツールの使用以外で、プロジェクトを管理する上で必要な能力はありますか?
スケジュール管理能力は間違いなく必要です。
その上で、リスクヘッジができると違うと思います。
私も特訓中なのですが、先を見据えてリスクを具体的に織りこむことで、長期的な目線でスケジュールを引くことができます。
他に、必要なスキルはありますか?
テクニカルなスキルとしては、プログラミングへの理解が必要です。
ソースコードをある程度読んで、軽微な修正ができるレベルで知っておくと、業務に活かせると思いますね。
私がWebディレクターになりたての頃は、HTMLは分かっていても、CSSが分かっていないときがあり、メンバーに任せっきりの状況もありました。
だからこそ、基礎だけでも知っておくと違うと思います。
HTMLとCSS、他に知っておくと良いものはありますか?
ドメインやサーバーまわりなど、インフラ関連を知っておくと、Webサイトの新規構築を行う際に役立ちますね。
バックエンドエンジニアの業務内容を理解し、計画を立てられるようになります。
また、会議のときにバックエンドエンジニアとスムーズに会話できることで、制作の中にもっと入りこめます。
現場ではフロントエンドとバックエンド、どちらの知識を使うことが多いですか?
どちらも同じくらい使います。
フロントエンドの知識は、運用面で役立つことが多いですね。
例えば静的ページの修正を行う場合、HTMLやCSSを知っていると「このコードを変えてほしい」など、フロントエンドエンジニア目線で修正指示を行えます。
未経験ならデザインツールへの理解は必須
未経験で入社する人に向けて、必要な準備を教えてください。
「自分もやっていて良かった」ものとしては、Adobe PhotoshopやAdobe XDなど、Adobeのデザインツールを使えているといいかなと思いますね。
Webディレクターも画像を加工したり、ワイヤーを引いたりすることがあるので、スキルとして持っておくと役立ちます。
BAに入社する前に学習していたことはありますか?
先ほどの回答に重複しますが、Adobeツール全般を学んでいました。
動画制作やグラフィックデザインなど、Webデザインに関わるところは広く勉強しました。
Adobeの技術に慣れていると、その後の仕事の馴染みもいいと思います。
足りない知識は入社後に補う
HTMLとCSSは入社して改めて学習し直しました。
会社に本があるので、実際に読んでみて、自分でコーディングし、LPを作るところまで挑戦してみました。
Webディレクター業務と直接関わるところでは、会社負担でオンラインスクールのTechAcademyで、Webディレクションコースを受講しました。
ここでは、Webディレクションの業務を広く学ぶことができます。
また、最近はGitについて学習を始めました。
基本的にはフロントエンドエンジニアが使うものですが、ページ管理を行う上で必要だと感じ、本を買って勉強しています。
複数人作業する環境だと、特に必要な知識になると思います。
今後、学んでみたいことはありますか?
有り余るほどありますが……コミュニケーション力をもっと高めたいので、どうやったら伝わるのか、報告の方法など、本がいろいろ出ているので読んで実践したいです。
ビジネススキル寄りのものだと、ディレクターは営業的な動きも求められるので、ヒアリング術や提案力なども積極的に学んでいきたいと感じています。
BAには未経験でも安心して働ける環境がある
BAでWebディレクターとして働く魅力があれば教えてください。
分からないことがあっても、Webディレクターに限らず周りの先輩方が親切に教えてくれるので、未経験で入ってもきちんと育ててくれる環境だと思います。
上下関係も厳しすぎず、やりたいことに挑戦させてくれます。
BAは大企業のクライアントが多いですが、クライアントの魅力はありますか?
しっかり話し合えますし、丁寧に対応してくださる方が多いです。
引いたスケジュールに対して全員が合意をとって、その枠内で進められます。
スケジュールの枠内でプロジェクトを進められるということですが、プライベートへの良い相乗効果もありますか?
そうですね。ワークライフバランスとしては、休日出勤は基本的にありませんし、業務を調整して早く帰ることもできるので、プライベートと両立しやすいです。
もちろん、強要されることもありません。
一人前のWebディレクターになるために、目の前の仕事は丁寧に行う
今後目指す理想像を教えてください。
BAに入ってから3年以上経ちましたが、まだまだできることは少ないと感じています。
そのため、まずは上司や先輩ディレクターのように、一人でプロジェクトマネジメントを任せてもらえるようになりたいです。
クライアントワークでは、各クライアントのニーズを丁寧に汲み取って、解決手段の引き出しを増やしていきたいと思っています。
理想に向けて気をつけていること・努力していることはありますか?
プロジェクトメンバーとコミュニケーションを重ねて、個々の意見を汲み取りながら、アサイン・スケジュール・工数の管理を丁寧に行うように努めています。
プロジェクトマネジメントを円滑に進められることで、社内だけではなく、クライアントへの信頼にも繋がるのではないかなと思います。
Webディレクターになるためには「コミュニケーション力」と「段取り力」が必須
さいごに、Webディレクターを目指している人に一言お願いします。
私は完全未経験で入社しましたが、Webディレクターはコミュニケーションが取れ、スケジュールが引けると、なんとか務まります。
失敗することもあると思いますが、諦めずに目指してほしいです。
本日は貴重なお話をありがとうございました。