本記事は「THE MODEL」の書評です。
Webご担当者やコンテンツマーケティングにお悩みの方はもちろん、従来のTEL営業や訪問営業、「とりあえず会ってみる」営業スタイルに疑問をお持ちのビジネスパーソンにオススメの1冊です。
インサイドセールスはただの内勤ではない!?他部門との「共業」について学びたい!
最近よく耳にする「インサイドセールス」という言葉に惹かれ、この本を手にとり、読み進めることにしました。
獲得したリードをどのように管理し、受注へと運ぶのか。営業やマーケティングなどの部門を通した「共業」プロセスとは何なのかを学んでいきたいと思います。
「THE MODEL」の著者と構成
著者:福田 康隆氏について
1996年に日本オラクルに入社し、セールスコンサルタントとして勤務。2001年にアメリカオラクル本社に勤務した後に、2004年に佐野力氏の進めによってセールスフォース・ドットコム米国本社に入社。米国で営業プロセスを学び、翌年に同社日本法人にてSMB市場向けの組織づくりとオペレーションの実施を開始します。
以後9年にわたり専務執行役員兼シニアバイスプレジデントとして日本市場における成長を牽引し、2014年にマルケト日本法人代表取締役社長に就任。Adobeによるマルケト本社買収後はアドビ システムズ専務執行役員・マルケト事業統括として活躍し、2019年末をもって退社。現在はジャパン・クラウド・コンサルティング株式会社の代表取締役社長です。
本書はマルケトから福田氏が離れた年の2019年に発売されています。
構成(目次)について
本書は5部で構成され、プロセス、戦略、人材・組織・リーダーシップという観点で、著者の経験を交えながら、読者にとっての「THE MODEL」を創るためのヒントが解説されています。
第1部 アメリカで見た新しい営業のスタイル
- 第1章 マーク・ベニオフとの出会い
- 第2章 営業のプロセス管理
- 第3章 「ザ・モデル」のその先へ
第2部 分業から共業へ
- 第4章 2つの変化
- 第5章 分業の副作用
- 第6章 レベニューモデルの創造
第1部~第2部では、著者の米国での様々な出会いや発見から、従来の営業プロセスでは通用しないこと、分業することでの副作用や改善を繰り返してできた「最新レベニューモデル」の解説があります。
第3部 プロセス
- 第7章 マーケティング
- 第8章 インサイドセールス
- 第9章 営業(フィールドセールス)
- 第10章 カスタマーサクセス
第3部では、各部門の役割や評価指標、マネジメントに求められることが記されています。
第4部 3つの基本戦略
- 第11章 市場戦略
- 第12章 リソースマネジメント
- 第13章 パフォーマンスマネジメント
第4部では、プロセスを機能させ、ビジネスを成長させるために重要な3つの基本戦術が記されています。
第5部 人材・組織・リーダーシップ
- 第14章 人材と組織
- 第15章 リーダーシップ
第5部では、メンバーの能力を最大限に引き出す「増幅型リーダー」と、メンバーを消耗させる「消耗型リーダー」などリーダーシップなど、マネジメントとしての骨格をつくる上で大きな影響を与えてくれます。
顧客の変化や、企業の環境・条件が変化しても、対応できる営業プロセスや組織づくり、戦略構築まで分かりやすく解説されてる1冊です。
「THE MODEL」の要約:新たな営業プロセスモデルとは?
THE MODELとは、新たな営業プロセスモデルの提示
- ターゲットリストの作成
- 電話、メール
- アポイント
- 提案
- 交渉
- 受注
- 契約の更新(既存顧客のフォロー)
これまでは、これら上記のプロセスすべてをカバーするのが従来の営業のイメージでした。
しかし、THE MODELではこれらのプロセス、
- 「マーケティング」・・・潜在顧客の獲得
- 「インサイドセールス」・・・見込み客の育成、案件発掘
- 「フィールドセールス(営業)」・・・商談管理、受注
- 「カスタマーサクセス」・・・継続契約、活用支援
の4つに分けることができ、各プロセスをきちんと整理し、部門間で「共業する」ことがTHE MODELの営業プロセスにはひとつ重要な点としています。
「THE MODEL」を読んで、現代のビジネスの変化を感じる
営業プロセスを今、考え直すタイミング?:待ったなしのタイミングになっている
THE MODELが人気になったのも顧客の変化による、企業側の営業のやり方を大きく変えなければならなくなった事が1番の理由と感じました。
その背景として、顧客が欲しい商品、導入したいサービスを「自ら選び、情報収集し、比較までしたうえで購入したい」時代になったからだと言えます。
また企業側として、
- 人材不足
- 働き方改革
- 業務効率化
などの課題に加え、何よりもコロナによる感染対策により、今までの人海戦術的な営業プロセスを変えざるを得ない状況となりました。
コロナ禍において、顧客は「会いたくないけど、情報は欲しい」と考え、企業も「情報を伝えに行きたいけど、会いに行くのははばかられる」と考える。
双方の考えは、合致しているのです。
企業は待っているだけで良いのか?:待っている間に他社への検討に進んでしまう
本書では、コンバージョンした新規リードの大半は「将来購買の可能性はあるが今すぐではない」人、すなわち見込み客であると書かれており、この見込み客は「時間がかかっても戻ってくる可能性がある」とも記されています。
この「時間がかかる間」に何もせずに待っているのは、営業の方、Webサイトの担当者、コンテンツマーケティング意識の高い方は違和感があるのではないでしょうか。
顧客は待っているのか?
いえ、顧客は企業が待っている間も様々な情報を集めています。
営業が接点を持つ前に勝負はついている!?:自社でコンテンツを保有する重要性の高さ
2012年にシリウス・ディシジョンが「情報収集、比較検討、意思決定といった購入プロセスのうち、前半の67%は営業担当者が接する前に終わっている」と調査発表されていて、2015年にフォレスターのレポートが「B2Bのバイヤーの75%は営業担当者から買うよりも、Webサイトで買うほうが便利だと感じている」と調査発表されている、と書かれています。
つまり、顧客は「自分のタイミングで、自分が信じられる有益な情報を、好みの方法で入手し、営業担当者に売り込まれることなく自分のペースで、自分のことを理解してくれる企業から購入したい」と考えているのです。
皆さんも、欲しい商品を購入する前にメーカーのWebサイトを見るだけでなく、Amazonでレビューを確認し、類似商品を調べ、価格.comで価格の最安値を見たり、憧れの人は何を使っているのか、Instagramや動画配信サイトなどSNSを駆使して情報収集を行うことが多いのではないでしょうか。
中でも、メーカーのWebサイトに「ブランドコンセプト」や「活用術やアレンジ術」など、ライフハック系のコンテンツもあると満足感が得られ、空き時間にサクッと見られるよう、ブックマークに保存することで購買意欲も上がりますよね。
BtoBの商材においても、活用事例や技術情報など、購入・契約前に知りたいことを積極的に情報収集してから、意思決定を行う傾向が強くなっています。
そこで、マーケティングとインサイドセールスの役割や関係性が非常に活きてくるのです。
参考
- 福田康隆. THE MODEL. 初版. 株式会社翔泳社, 2019, 48P
MAツールとコンテンツを活用し、顧客を理解することで適切なコミュニケーションを!
獲得したリードはマーケティングからインサイドセールス、インサイドセールスからフィールドセールスへとステージを遷移していくが、まだ購入意欲が高まっていない顧客に誤ったタイミングで望んでいないアプローチ(急なアポイントなど)を行ってしまえば、かえってマイナスの印象に繋がるという点が、特に学びになりました。
私の営業活動における現在の課題
- 見込み客を有望リードへと成長させるリード育成
- ステージが遷移するタイミングを的確に進めること
- 失注や見送りになった既存顧客を再度検討段階に遷移させる(リサイクル)
THE MODELを読むことで発見できた解決策
- マーケティングオートメーション(MA)ツールを活用すること
- 顧客がサイト上のどのページに興味があるのか、どこに課題を感じているのかを把握
- その顧客にあったコンテンツでコミュニケーションをとることで課題は改善される
さっそく自分の営業活動でMAツール活用やコンテンツ配信に役立てています!!
THE MODELに書かれている、マーケティングやインサイドセールスの役割や、変化していく顧客について理解を深めたことで、MAツールやコンテンツの活用の幅も広がっていきました。
クライアントの抱える課題でもあるので、Webサイトの構築やコンテンツマーケティングのより良い提案に活かしていきたいです。
BAsixsでは、一緒にセールス組織を盛り上げていただける仲間を募集しております。インバウンドのマーケティング手法・セールス手法を勉強しながら実践できる環境でお仕事をしていただけます。ご興味がございましたら、ぜひサイトからお問い合わせください。
参考
- 福田康隆. THE MODEL. 初版. 株式会社翔泳社, 2019