どの仕事もさまざまな能力が必要とされますが、その中でも業務を遂行する上で欠かせない専門的なスキルを「テクニカルスキル」といいます。
今回は、ポータブルスキルやコンセプチュアルスキル、ヒューマンスキルとの違いを紹介いたします。
テクニカルスキルとは:業務上欠かせない専門的な技術や知識
テクニカルスキルとは、業務を行う上で欠かせない専門的な技術や知識、能力のことをいいます。
テクニカルスキルは、職種や業種によって全く変わってくるので、まずは自分の仕事に該当するテクニカルスキルにはどんなものがあるのか、正確に把握することが大切です。
テクニカルスキルと混同されやすいキーワードとの違いは?
テクニカルスキルと混同されやすいキーワードとして、「ヒューマンスキル」と「コンセプチュアルスキル」と「ポータブルスキル」が挙げられます。
ここからは、これらの3つのスキルとテクニカルスキルの違いについて解説します。
ヒューマンスキルは「対人関係」のスキル
ヒューマンスキルは「対人関係能力」のことで、他者と良い関係を築き、円滑なコミュニケーションが図れるスキルとされています。
具体的には「コミュニケーション能力」「プレゼンテーション能力」「調整能力」などがヒューマンスキルに該当します。
しかし、コミュニケーション能力もプレゼンテーション能力も、仮に営業職であればその職に不可欠な専門的なスキルであるという点から、テクニカルスキルに分類されることがあります。こうなると違いが曖昧で分かりにくいと思うかもしれませんが、見分け方は簡単です。
その能力が業務をする上で必要不可欠なものであるなら「テクニカルスキル」、社内や社外との連絡などのその職と直接関係のないスキルであれば「ヒューマンスキル」に分類されます。
コンセプチュアルスキルは「概念化する」スキル
コンセプチュアルスキルは、「概念化能力」のことで、物事の本質を捉えるスキルとされています。概念化能力とは、得た情報や知識をつなぎ合わせて、抽象的な事象や物事のおおまかな枠を理解する力です。
具体的な例としては、「論理的思考力」「問題解決能力」「応用力」などが挙げられます。
ポータブルスキルは幅広い分野で生かせるスキル
ポータブルスキルは、業種や職種が変わっても生かすことのできるスキルのことです。
持ち運びできるスキルという意味で「ポータブルスキル」といわれています。
例えば通常業務は、
- 課題を洗い出す
- 課題解決のための計画を立てる
- 実行する
という流れで行われることが多いですが、これはどのような仕事にも当てはまるプロセスです。そのため、身につけておくと違う職種でも生かせるポータブルスキルになります。
また、1人で仕事を完結させるというのは不可能なことから「社内対応」「社外対応」「部下のマネジメント」などの人と関わる能力もヒューマンスキルとも重なりつつもポータブルスキルのひとつといわれています。
テクニカルスキルとポータブルスキルの大きな違いとしては、前者は基本的に他業種でそのまま生かすことが難しい専門的なスキルであるのに対して、後者は幅広い職種で適用可能なスキルであるという点です。
例えば、IT業界でエンジニアとして特定の言語を使ってアプリ開発ができるというテクニカルスキルを持つ人が、アパレル業界の接客部門に転職しても、その人のテクニカルスキルが役に立つ可能性はかなり低いです。
しかしIT業界で培った、社内や社外とやりとりをしてプロジェクトを進めていくスキルは、転職先の他業界でも役に立つポータブルスキルといえます。
このように、業種や職種が変わっても生かせるスキルが「ポータブルスキル」、特定の業種や職種で生かせる専門的なスキルが「テクニカルスキル」ということを覚えておきましょう。
テクニカルスキルを身につける4つの方法
ここでは、テクニカルスキルを身につける5つの方法についてご紹介します。
1.会社のOJTを利用する
OJTとは、「On the Job Training」の略で、新人や未経験者に実際の業務を経験しながら仕事を覚えてもらう研修のことです。
OJTはすぐにアウトプットできる環境があるので効率よく技術力が磨かれ、実践的なスキルアップを図ることができます。
スキルを磨くためには、知識を蓄えることも重要ですが、同時に実践を積むことも必要です。したがって、新入社員や未経験での転職をした人は、まずは会社のOJTにしっかり取り組み、テクニカルスキルを身に付けましょう。
2.空いた時間に勉強する
個人でスキルアップを図るなら、空いた時間に勉強するのもひとつの方法です。
朝1時間だけ早く起きて勉強の時間に充ててみたり、通勤時、就寝前の時間などを見つけて勉強したりするのがおすすめです。
しかし、個人でいきなり勉強を始めても集められる情報量に限界があったり、モチベーションが続かなかったりで、断念してしまう可能性も少なくありません。
そのため、空いた時間での学習はインプットに徹して、OJTなどを通してアウトプットをするようにしましょう。
個人で勉強をするのであれば、アウトプットの場も確保できるように意識して勉強すると効率よく吸収できます。
3.資格を取得する
資格試験を利用するのも有効です。
資格を取得すれば、特定の能力を持っていることを顧客や社内にわかりやすく証明できるので、キャリアアップにつながったり、資格手当が出たり、自分の売りができたりと多くのメリットがあります。
また、資格を取るという明確なゴール設定ができるのでモチベーション維持にもつながります。
仮に不合格になってもそのために勉強したことは必ず実務に生きるので、資格取得を目標に勉強することにデメリットはほぼありません。
BAsixsでは、テクニカルスキルに直結する資格取得を社員に奨励しております。
4.セミナーやスクールに通う
スキルアップしたいなら受け身の姿勢ではなく自分から積極的に吸収する姿勢をとることが大切です。
社外セミナーやスクールに通うと、自分を社外の環境に置くことになり、自身のスキルを客観視しながら能力開発をすることができます。
また、社外の人との交流や人脈を広げられるというメリットもあり、同じ目標を持つ者同士のつながりで次のスキルアップの展望も見えてきます。
まずはこれから!汎用性の高いテクニカルスキル3選
テクニカルスキルは専門性の高い能力のことを指しますが、専門的でありながら汎用性の高さも兼ねそろえたテクニカルスキルも存在します。
特に身に着けておいて損はないスキルを3つご紹介します。
1.文章作成能力:誰にでもわかりやすく伝える力
文章作成能力は、「要点を押さえて相手にわかりやすく伝える力」という点で汎用性の高いスキルだといえます。
単にワードやエクセルなどのツールが使えるだけでなく、誰が見ても理解できる文章や資料を作成する力を身につければ、仕事をする上で役にたちます。
昨今、リモートワークの普及により、チャットツールなどでのテキストベースのコミュニケーションが増えました。「自分の意図を誰にでもわかりやすく伝える」文章力を身につけることは重要なテクニカルスキルになってきた、といえます。
2.分析力:手元の情報をもとに理解・判断する力
分析力は、手に入れた情報をもとに現状把握やデータの信頼性を見極めるスキルです。
分析力は、マーケティングをする上でも、経営判断やマネジメントでも欠かせないスキルのため、業界を問わずさまざまな場所で必要とされる力です。
3.情報収集力:適切な情報を迅速に取得する力
情報収集力は、正確で適切な情報をすばやく集めて、ロジックを固める力です。
これは、企画提案や市場理解を行う前の段階で必要なスキルで、主に企画職や研究職、開発職などで求められるテクニカルスキルのひとつとされていました。
現代の情報過多なビジネス環境では、競合の動向の調査やツールの選択など、営業など上記の職種にかかわらず情報収集力が求められる場面が多いです。
まとめ:職種に求められるテクニカルスキルを正確に把握し、戦略的に身につけることが必要
テクニカルスキルは「業務を遂行する上で欠かせない専門性が高いスキル」のことです。
自分が属している業界や職種ごとに必要なテクニカルスキルと、自分の今のスキルを照らし合わせて、ギャップを埋めていくようにスキルを磨くことが大切です。
また、テクニカルスキルだけが重要なのではなく、ポータブルスキルなどの他のスキルもベースとして重要なので、戦略的にバランスよく育てるという意識をもってスキル向上を目指しましょう。
【ポータブルスキル】異業種転職、どんな職種でも必須の最重要スキルを1から詳しく解説 | BAsixs(ベーシックス)
BAsixsでは、社員のテクニカルスキルを身につけるための書籍購入・資格取得などの活動を積極的に支援しています。
このようなスキルに対する考え方に共感してくださり、一緒に働く仲間を募集しています。ご応募をお待ちしております。