2019年、ビジネス・アーキテクツでは現役ディレクター・田口真行講師を迎え、約1年かけてWebディレクター育成研修を受講しました。どんな目的で実施し、実際の様子はどうだったのか、受講者の声と共に研修レポートをお届けします。
「これがBAのディレクター」と誰もが認める人材を育てるためにWebディレクター育成研修を実施
2019年、BAsixs参画企業、株式会社ビジネス・アーキテクツ(以下、BAと称する)では、ディレクションUNITの社員全員が約1年かけてWebディレクター育成研修(https://webdirection.jp/training/)を受講しました。どんな目的で実施し、実際の様子はどうだったのか、レポートをお届けします。
※ 2019年は機能型組織だったため、本文中には当時の部署名をあえて残しています。
「BAのディレクターとは?」という問いの答えを求めて研修を実施
出典 : 田口 真行, Webディレクター育成研修【第1回】プロジェクトマネジメント1(2018.5.14), Webディレクター育成研修, 2019-05-13/2020-02-21.
現役ディレクターとして活躍している田口真行さんを講師として招き、田口さんが開催している法人向けWebディレクター育成研修(https://webdirection.jp/training/)を実施しました。
このような研修を実施したのは、初めてでした。実施の目的は3つあります。
- Webディレクターの業務を体系的に学び、Webディレクターの役割や責務について共通認識を持つこと
- それにより安定した品質のサービスを提供できるようになること
- 今後入社する人に対してBAのWebディレクターのあり方を明確に伝えられるようになること
そのため、若手だけでなくベテランも含めた全員が受講することにしたのです。
実施の背景には、「BAのWebディレクターとはこういう人」という明確な定義づけが必要だという強い思いがありました。Webディレクターは定義があいまいで、求められるスキルも幅広く、明確な基準がありません。弊社でもWebディレクターごとにやり方の指示がまちまちで制作サイドが困ることがあり、このままではいけないと感じていました。
そこで、自社のWebディレクター像を確立したいと思い、研修を実施することにしました。外部研修を採用したのは、第三者の視点を取り入れることで主観と客観のバランスが取れたと研修になると考えたからです。
スケジューリングと要件定義、ヒアリングの3本柱を1年かけて学ぶ
研修は、2週間に1回のペースで1年かけて行うロング研修プランを選択しました。時間をかけてじっくり取り組み、BAのWebディレクターに求められることをすべて身につけてほしいと思っていたからです。
そのおかげで、Webディレクションに必要なことは、ほぼすべて網羅した研修になりました。ディレクションの基礎知識から、WBS(Work Breakdown Structure)の作成、スケジュール立て、コストの算出と要件定義書の作成、ヒアリング、ユーザ導線設計など、ベースとなるカリキュラムは田口さんに組んでもらいましたが、そのなかでもスケジューリング・要件定義・ヒアリングの 3つを重視して、繰り返し勉強できるよう工夫しました。
また、「実務で使えるレベル」が最終ゴールだったので、講義のあとには必ず実習(グループワーク)を組み込みました。カリキュラムも最初のプランに固執せず、実務で活かせているかチェックしながら随時微調整したので、非常に実践的な研修になったと思います。
そのように進めた結果、「もっと実践力を身につけたい」という声が上がり、研修終了後さらに3カ月間、実践メインの研修を実施することになりました。1年間の学びを総復習して実務へつなげる橋渡し的な研修です。
具体的には、「BAの新卒採用サイトを作る」という架空のテーマで、各自が要件定義書の作成とプレゼンテーションを行いました。これにより、全員が学びを実務に応用する自信を深めたようです。
研修の様子
ベテランも若手も席を並べて同じカリキュラムを真面目に勉強
講習の雰囲気や内容はどうでしたか?
小島:みな真面目に受けていましたよね。
平中:学校のような席の配列で、みな先生の方を向いてすごく真面目に受けていました。グループワークのときも比較的静かだったように思います。
長澤:粛々と進んでいましたね。
枡田:僕は、会社の会議室ではなく社外の会議室に出かけて受けたのがよかったですね。外に出ることで、気持ちを切り替えることができました。
谷口:私は、先生が話上手で引き込まれました。教えるだけでなく、考える時間や手を動かすミニワークの時間もあったので、自然と集中できたように思います。
一人ひとりが自分の課題を解決して次のステップへ進むきっかけに
-講習内容で特に勉強になった部分はどこですか?
平中:ディレクターとして仕事をするうえで、何を目的として何をすべきなのかというプロジェクトを運営することの意義を改めて理解しました。私は10数年ディレクター経験がありますが、これまで何となく経験則だけで業務をこなしてきており、自分がやっていることが何なのか、言葉できちんと理解してはいませんでした。今回の研修で、「これまで経験則でやってきたことは、これだったのか」と納得できました。
谷口:私が一番勉強になったのはWBSです。タスクを細分化してリスクを可視化することの大切さを学びました。ディレクター歴は3年ですが、あまり自信がなかったので、とても勉強になりました。WBSがあるのとないのとでは、プロジェクトの進行がまったく違ってきます。研修では何回も出てきて、その都度実務を意識しながら勉強することができました。何度やっても難しいなと思いますが、少なくとも一通りのアウトプットまではできるようになったと実感しています。
枡田:僕は、クライアントへの提案方法や企画立案がとても勉強になりました。たとえば、同業他社のサイトを引き合いに出して提案するという方法は、これまでは市場調査やトレンド調査でしか他社サイトを意識してこなかったので、「なるほど」と。私のような若手ディレクターの提案に説得力がつきました。実業務に直結する学びが得られて、とてもよかったと思います。
業務に直結するスキルや考え方を身につけて実践を続ける毎日
Webディレクター育成研修を受けて、どんな変化がありましたか?
平中:経験則ではなく、具体的な根拠に基づくスケジューリングができるようになり、リスクヘッジしやすくなりました。これまでは、だいたい2日くらいでできるかなという感じで予測して指示を出していましたが、WBSでタスクを細分化して、1つひとつどんな作業が発生するかを洗い出し、工数を出してスケジューリングするということを学んでからは、「◯◯という作業に◯日かかる」と明確に言えるようになり、制作チームと情報共有しやすくなりました。お客様への説明も論理的になり、納得していただきやすくなったと思います。
谷口:私もWBSを学んだことが大きいです。まだディレクター歴がさほど長くないので、うまくできないことがいろいろあるのですが、スムーズに業務を行うための重要なコツを教えてもらえたと思います。もともと先のことを考えてリスクヘッジするのが苦手で、想定しなかったことが起こって慌てることが少なくありませんでした。WBSを学んだ今は、以前よりも先を読んで動くことができるようになったと思います。
枡田:僕は、クライアントに対するヒアリングの仕方を学んだことがとても役に立っています。聞きたいことの答えを相手から引き出すためには、相手の反応を予測したうえで質問を工夫することが大事だと知り、Yes/Noで終わらない質問をする、聞きにくいことはクッションを挟んでやんわり聞く、相手のレベルに合わせたわかりやすい言葉を使うといったことを意識して仕事をするようになりました。結果として、スムーズにクライアントと意思疎通できるようになったと思います。
ディレクターとしての共通認識を強みに、のびやかに成長するUNITへ
今後はどのような組織を目指していきたいですか?
長澤:1年をかけて受けた講習の内容を一人ひとりが自分のものにし、ディレクションUNITの文化として根付かせてほしいなと思います。
「BAのディレクターとして全員が共通認識を持つ」という当初の研修目的は達成できました。ベース項目を外さずに要件定義をすることや、マイルストーンとタスクを洗い出したうえでスケジュールを引くといったことは全員が実践できるようになっています。
今後は実案件のなかで実践することでスキルアップしていきつつ、新しく入社する人にも学びを共有して、BAのディレクターとして成長していってほしいと期待しています。
平中:ディレクターとして一人ひとりが伸びていけるUNITであってほしいですね。
谷口:個人としても他の部署とも連携しながら、スムーズに案件をこなせるディレクターを目指したいです。
枡田:クリエイティブUNITやエンジニアUNITと渡り合える、頼もしいUNITにしていきたいですね。
小島:ディレクションUNITとしては、「きちんと利益が出せるプロジェクトをみんなで運営できる」ということが何よりも重要だと考えています。当たり前の話ですが、事業継続のためには利益を出すことが大前提です。そのためには、案件受注のときに計画をしきちんと立てられることと、計画通りの利益率でプロジェクトが進行しているかをしっかりモニタリングしていくことが重要だと考えています。私たちが健全に事業継続ができる状態にすることは、お客様に対しても継続的に高品質なサービスを提供できる会社である条件だと思っているからです。
目の前の1つひとつのプロジェクトで着実に利益を出せるチームになることで、「デザインとエンジニアリングの力で安心・安全で豊かな社会づくりに貢献する!」という会社のミッションを実現していきたいと思います。