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アクセシビリティ対応の新たな選択肢「アクセシビリティユーザーテストサービス」の紹介

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プロフィールアイコン(写真):第1事業部 マネージャー/シニアディレクター/フロントエンドエンジニア 柳沢 利成
柳沢 利成第1事業部 マネージャー/シニアディレクター/フロントエンドエンジニア(ビジネス・アーキテクツ)

1996年よりWeb制作に従事。生産性と品質を両立する全体最適化を意識した「使えるウェブサイト」とすることを心がけている。2003年にBAに参加し、ディレクターやフロントエンドエンジニアとして数々のプロジェクトに参画。2005年にサイト運用や中小規模サイト構築を手がけるグループ会社を立ち上げ、現場責任者として陣頭指揮をとり、スタッフ1人あたり数百万円の営業利益を上げる。その後3年間の流浪を経て2021年にBAに復帰。主にディレクターとしてBAのサービス向上に努める。

BAsixs参加企業のビジネス・アーキテクツは、2023年10月27日にアクセシビリティユーザーテストサービス(以下、本サービス)をリリースしました。このサービスは障害を持った方(以下、チャレンジド)にウェブサイトを利用してもらい、使いづらい点を抽出し、改善方法を提案するサービスとなっております。

バリアフリーな街が障害の有無に関係なく全ての利用者にとって利用しやすいように、チャレンジドにとって使いやすいウェブサイトは全ての利用者にとっても使いやすくなることは明らかです。今回この「チャレンジドによるユーザーテストサービス」を行うことで、皆様のウェブサイトが、よりアクセシブルにとなることで、ユーザビリティの改善に繋げていただきたい、という意図があります。

一方で2024年4月1日より障害者差別解消法の改正が施行され、合理的配慮の提供が努力義務から義務へと変更になりました。これによってチャレンジドから社会の中にある障壁を取り除くために何らかの対応が求められたときに、負担が重すぎない範囲で対応することが必須となりました。また、事業者側の負担低減策として環境の整備があり、ウェブサイトのアクセシビリティ対応は有効な施策となっております。

アクセシビリティ対応を検討あるいは実施する場合において、本サービスは極めて有効に作用すると考えており、本サービスの特徴を紹介したいと思います。

アクセシビリティ対応の新たな選択肢「アクセシビリティユーザーテストサービス」の紹介

アクセシビリティユーザーテストサービスとは

サービス概要

テストシナリオを作成し、テストシナリオに沿ってチャレンジドにウェブサイトを利用してもらいます。ウェブサイトを利用するシーンは動画撮影を行います。テストによって顕在化した課題をレポートにとりまとめ、撮影した動画とセットでご報告します。

テストシナリオ作成 → テスト実施(動画撮影あり) → レポート&動画を提出 サービス説明資料からの抜粋

「アクセシビリティユーザーテストサービス」リリースのお知らせ | BAsixs(ベーシックス)

特長1. チャレンジドによるユーザーテスト

本サービス最大の特長と言えます。障害を持たない方にとっては何の支障もなく利用できても、チャレンジドにとっては障壁となっていることは少なくありません。障害を持たない方にとっては気づきにくいものでも、チャレンジドにとっては気づきやすいものは多くあり、「チャレンジドだからこその気づき」が期待できます。

例:制限時間内に操作が完了しない、キーボード操作に対応していない、ボタンの押し間違いが起こりやすい

特長2. 実際の利用シーンに即したテストを実施

テストシナリオを作成し、テストシナリオに沿ったテストを実施します。

テストシナリオの例

  • ウェブサイトのトップページからお問い合わせページに進み、お問い合わせフォームから問い合わせる。
  • サービス名Google検索してウェブサイトを訪問し、新規会員登録を行う。
  • マイページにログインしてポイント交換を行う。
  • ページAからページBへ進み、商品Cを購入する。

※テストシナリオは最大2本となっております(オプションで追加可能)。

「特に気になるところ」にフォーカスし、本物の利用者のつもりでテストを実施します。

テストシナリオイメージ

特長3. テスト対象を絞り、小規模で実施

「特に気になるところ」にフォーカスすることで、自ずとテスト対象が絞られますが、下記のようなメリットを生むと考えています。

  • テストシナリオと相まって目的が明確になり、潜在的な課題を見つけやすくなる
  • テストが小規模化され、価格を抑えられる

小規模なテストはチャレンジドの負担も軽減されるため、お客さまとチャレンジドの双方にとってWin-Winになると考えております。

特長4. 実際のテストシーンの動画と、改善案を含むレポートを納品

テストシーンの動画は、画面に表示された内容の動画キャプチャではなく、チャレンジドが実際に操作している部分も含んだ動画を想定しております。チャレンジドがどのようなデバイスを使用してどのようにインターネットを利用するのかも含めて確認することができます。なお、このテストシーンには立ち合いいただくことも可能です。

テストによって顕在化した課題は、改善案を含むレポートとしてとりまとめます。お客さまのウェブサイトにアクセシビリティの基準がある場合は(例:WCAG 2.2のレベルA)、その基準を踏まえた改善案をご提示します。

アクセシビリティユーザーテストサービスをリリースした背景

本サービスは筆者の実体験が元になっています。数年前、交流のあったチャレンジドに弊社にお越しいただき、普段どのようなデバイスでどのようにインターネットを利用しているかを弊社メンバーに対してデモンストレーションしてもらう出来事がありました。メンバーの中にはアクセシビリティ対応をするウェブサイトをいくつも経験した者も多くいましたが、実際の利用シーンは初めて見る者も多く、「百聞は一見に如かず」を強く感じたのでした。

自分たちが正しいと思って作っていたものが実は不十分だったことを実感する出来事でもありましたが、最高の学びを得た出来事でもありました。あのときに受けた衝撃あるいは感動は、お客さまも同じように感じるだろうと思い、サービス化を進めることになりました。

その後、チャレンジドの自立を支援する団体である社会福祉法人プロップ・ステーション様の協力もいただき、2023年10月にサービスをリリースすることができました。

社会福祉法人プロップ・ステーションの紹介

チャレンジドの自立や社会参画を支援する団体で、「チャレンジドを納税者にできる日本に」を掲げ、チャレンジドの就労や雇用創出を目的に活動されています。

アクセシビリティユーザーテストサービスの狙い

アクセシビリティ対応の手法として先ず挙げられるのは、WCAGやJIS X 8341-3等のガイドラインへの適合だと思いますが、本サービスはそれらとは異なる切り口とすることで、「アクセシビリティ対応における新たな選択肢」と位置付けています。

ガイドラインへの適合は訴訟回避や法規対策を目的とした場合に有効であり、本サービスは利便性の向上や機会提供の最大化を目的とした場合に有効と言えます。

どちらが正しいかを問うのではなく、目的に応じて使い分けていただくのがよいと考えております。

障害者差別解消法の改正を受けて

本記事の冒頭でも述べた通り、本サービスは障害者差別解消法の改正により義務化された合理的配慮の提供に向けたアクセシビリティ改善に貢献できると考えています。

合理的配慮の提供は、障害をもつ利用者からの申し出によって必要になる性質を持ちますが、本サービスは潜在的な申し出の種を先取りする形で顕在化するものであるため、本サービスによって課題を抽出し改善まで済ませておけば、障害を持った利用者からの申し出そのものを低減できる効果が期待できると考えています。

障害者差別解消法の改正で企業サイトがやるべきこと | BAsixs(ベーシックス)