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障害者差別解消法の改正で企業サイトがやるべきこと

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プロフィールアイコン(写真):第1事業部 マネージャー/シニアディレクター/フロントエンドエンジニア 柳沢 利成
柳沢 利成第1事業部 マネージャー/シニアディレクター/フロントエンドエンジニア(ビジネス・アーキテクツ)

1996年よりWeb制作に従事。生産性と品質を両立する全体最適化を意識した「使えるウェブサイト」とすることを心がけている。2003年にBAに参加し、ディレクターやフロントエンドエンジニアとして数々のプロジェクトに参画。2005年にサイト運用や中小規模サイト構築を手がけるグループ会社を立ち上げ、現場責任者として陣頭指揮をとり、スタッフ1人あたり数百万円の営業利益を上げる。その後3年間の流浪を経て2021年にBAに復帰。主にディレクターとしてBAのサービス向上に努める。

2024年4月1日より障害者差別解消法が改正され、それまで努力目標とされていた「合理的配慮の提供」が義務化されます。障害者差別解消法の対象範囲にはウェブサイト等のオンラインサービスも含むとされており、本記事ではウェブサイトを通じた合理的配慮の提供についてご案内します。

障害者差別解消法の改正で企業サイトがやるべきこと

障害者差別解消法とは

障害を持つ方と障害を持たない方が共に助け合う共生社会の実現を理念としており、障害を理由に不当に扱うことを禁じるもので、2013年6月26日に公布され、2016年4月1日に施行されています。社会の側に存在する障壁(バリア)を取り除くことで共生社会を実現するという考え方が根底にあります。

参考

2024年4月1日の改正内容について

改正内容

本記事の冒頭でも述べたように、合理的配慮の提供が努力義務から義務へと変わります。

合理的配慮とは

内閣府が提供しているリーフレット「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます!」 全体版(PDF)では下記のように書かれています。

  1. 行政機関等と事業者
  2. その事務・事業を行うに当たり、
  3. 個々の場面で、障害者から「社会的なバリアを取り除いてほしい」旨の意思の表明があった場合に
  4. その実施に伴う負担が過重でないとき
  5. 社会的なバリアを取り除くために必要かつ合理的な配慮を講ずること

出典:リーフレット「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます!」 全体版. 内閣府. (参照 2024-02-26)

障害者差別解消法の対象範囲にはウェブサイト等のオンラインサービスも含むため、「社会的なバリア」にはウェブサイトにおけるバリアも含まれます。よって、利用者からウェブサイトにおけるバリアを取り除いて欲しい旨の申し出があった場合は、そのバリアを取り除くために合理的配慮を提供する必要があります。

ウェブサイトにおけるバリアとは

バリアとは障壁を指します。ウェブサイトにおけるバリアとは、ウェブサイトそのものが利用できない場合や、情報は存在しているが相手に伝わらない場合が考えられます。

  • ウェブサイトそのものが利用できない例
    • キーボードでは開閉メニューを開くことができず、目的のページに行くことができない。
    • 入力の制限時間が短く、制限時間ないに入力を完了できない。
  • 情報は存在しているが相手に伝わらない例
    • 操作方法の説明が動画に含まれる音声のみで、聴覚障害を持つ利用者に情報が伝わらない。
    • 「赤文字は⚫︎⚫︎です」という説明のため、視覚障害を持つ利用者に意味が伝わらない。

合理的配慮の提供に向けてやるべきこと

当社では下記の2つを軸に取り組むのがよいと考えています。

  • 問い合わせ発生後の対応方針を見直す
  • ウェブサイトのブラッシュアップ

問い合わせ発生後の対応方針を見直す

合理的配慮の提供の必要性は問い合わせによって発生するため、問い合わせ発生後の対応方針をアップデートするのがよいと考えています。

  • 見直すものの例
    • 対応方針の見直し
    • 担当者を決める
    • 業務ルールの見直し
    • 業務マニュアルのアップデート

対応方針の見直し

障害を持った方を不要に扱うことを禁止する内容を盛り込みます。

担当者を決める

障害を持った方からの問い合わせ担当者のイメージです。担当者を決めることで下記の効果が期待できると思います。

  • コミュニケーションがスムーズになる。
  • 担当に情報が蓄積されるため、将来的なウェブサイト等の改善がスムーズになる。

業務ルールの見直し

方針の見直しや担当者の配置等により、業務フローや連絡先等のルールが変更になると思います。

業務マニュアルのアップデート

業務ルールの変更内容をマニュアルに反映します。合理的配慮のOK例やNG例も掲載するとよいでしょう。

ウェブサイトのブラッシュアップ

バリアが取り除かれることは利用者にとって大きいメリットですが、そうなることで問い合わせの総量も低減する効果が期待できるため、事業者側にもメリットがあります。

  • ブラッシュアップ例
    • アクセシビリティの確保
    • FAQの拡充
    • チャットボットの導入
    • UI/UXの改善

アクセシビリティの確保

「WCAG 2.1のA」等の基準を定めている場合は、適合を保てているかのチェックを行い、非適合があれば適宜修正を行います。チェック対象ページは下記の観点で選定するとよいでしょう。

  • サイトTOP等のよく見られているページ
  • お問い合わせフォーム等のユーザーとの設定になっているページ
  • 検索、シミュレーター等のユーザーによる操作を必要とするページ

「WCAG 2.1のA」等の基準がない場合は、今回を機に基準を定めるとよいでしょう。

アクセシビリティ診断事例 K社様 | BAsixs(ベーシックス)

FAQの拡充

FAQがある場合は、既存の情報の整理や項目の追加等を行います。FAQが充実していれば、問い合わせの低減効果が期待できます。

チャットボットの導入

利用者が欲する情報が存在しているにも関わらず問い合わせが多い場合は有効と言えます。サイトの規模が大きいほど庭園効果が期待できます。

UI/UXの改善

改修が多岐に及ぶ場合や、既存のウェブサイトの使い勝手等に課題を感じている場合は、今回を機にUI/UXの改善をするのもよいでしょう。

UI/UX向上を目的とした業務プロセス改善事例 H社様 | BAsixs(ベーシックス)

まとめ

今までのことを整理すると下記のようになります。

  • 障害者差別解消法にはウェブサイト等のオンラインサービスも含まれる。
  • 合理的配慮の提供は直接的には問い合わせ対応時に求められる。
    • 対応方針、業務ルール等の見直しをするとよい。
    • 担当者を決めると効果的。
    • 変更内容はマニュアルにまとめる。
  • ウェブサイト自体も改善や拡充が有効。
    • アクセシビリティを確保してバリアを取り除く。
    • FAQやチャットボット等を利用して問い合わせの低減を図るとよい。
    • 改修が多岐に及ぶ場合等はUI/UX改善も合わせて検討するとよい。

現状のウェブサイトが持つ課題の把握から行いたい場合は、下記のサービスのご利用がお勧めです。

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