BAsixs(ベーシックス)

「あたりまえ」をアップデートしつづける

AI活用によるデータ分析の革新

読了目安 : 12

  • 投稿日 :
  • 最終更新日 :

この記事を書いた人

プロフィールアイコン(イラスト):マーケター 飯塚
飯塚マーケター(ビジネス・アーキテクツ)

システム開発会社で金融プロジェクトに配属し、6年勤務したのち、社内システムエンジニアとしてデータ見える化、社内DX、業務効率化を担当。2024年にビジネス・アーキテクツへ入社し、セールス&マーケティンググループでマーケターとして業務稼働の見える化や、GA4のデータ分析に携わっている。

AI技術の進化により、データ分析はこれまで以上に迅速かつ高精度に行えるようになりました。その結果、業務の効率化や分析の精度向上が期待されています。しかし、実際にはAIをデータ分析に活用している企業はまだ多くなく、その可能性を十分に引き出せていないのが現状です。

本記事では、AIを活用したデータ分析のメリットを解説するとともに、導入のステップについて詳しく紹介します。さらに、データ分析が今後どのように進化していくのか考察し、AIを活用したデータ分析の未来について探ります。

AIが切り開くデータ分析

AI技術の進化により、データ分析は飛躍的に進化をとげています。従来の手法では膨大なデータを処理するのに時間がかかり、人の手による分析には限界がありました。
しかし、AIを活用することでデータのパターンや傾向を短時間で抽出し、より高度な分析結果を得ることが可能になります。

これにより、企業は迅速な意思決定を行い、業務の最適化や市場の変化に素早く対応できるようになります。

人が行うデータ分析とAIが行うデータ分析の違い

人がAIを活用してデータ分析を行う際は、まずデータを集約し、そのデータをBIツールで処理してグラフ化します。その後、可視化されたデータをもとに分析を行い、最終的な意思決定を下します。

しかし、AI技術の進化により、これらのプロセスが効率化され、より迅速かつ精度の高いデータ分析が可能になりました。そこで、人が行うデータ分析とAIが行うデータ分析の違いについて詳しく解説します。

【分析の速度と規模】

  • 人が行うデータ分析
    • 人はデータを収集し、BIツールやExcel、その他の統計ツールを用いて分析を行います。また、膨大なデータを扱う場合、処理に時間がかかり、手作業が多いためヒューマンエラーを起こすリスクや分析の規模が限られます。
  • AIが行うデータ分析
    • AIが行う場合、大量のデータを短時間で処理し、リアルタイムの分析が可能になります。また、クラウド上のデータを統合した解析ができ、さらにデータが増加しても柔軟な対応が可能です。

【パターン認識と予測能力】

  • 人が行うデータ分析
    • 事前に設定した仮説をもとに、BIツール等を利用してデータ分析を行い、過去の経験や専門知識をもとにパターンを見つける手法が用いられています。
      また、予測の面では、主観的な要素が入りやすく、確実性には欠ける一面もあります。
  • AIが行うデータ分析
    • 機械学習を活用し、データから自動的にパターンを抽出します。また、統計的手法や回帰分析など、多種にわたる分析法を駆使して高精度な分析や予想を行います。人が気づかないような複雑なパターンを発見することも可能です。

【自動化と作業負担】

  • 人が行うデータ分析
    • データの前処理や、整理、集計などが手作業として発生し、レポート作成やグラフ作成も同様に手作業で環境を整える必要があります。
      また、その環境を利用して分析を行うのにも同様の時間と労力を要します。
  • AIが行うデータ分析
    • 生成AIと外部サービスを連携することにより、データ収集から可視化、分析までを自動で行います。連携APIが存在しない場合でも、CSVとしてデータをエクスポートし、生成AIにアップロードすることにより、高精度な分析結果が得られます。

【柔軟性と適応力】

  • 人が行うデータ分析
    • 問題に応じて柔軟に分析方法を変更することができます。データの増幅やフォーマットの変更、追加データや業務の変化があった際も、分析の方向性を調整し、変化に応じた適応が可能です。
  • AIが行うデータ分析
    • 訓練されたデータの範囲内では、高精度な分析が可能です。ただし、新しいデータや業務の変化があった場合、柔軟な対応はできない場合があります。
      しかし、人間の判断と生成AIの分析結果を組み合わせることで、より高度な分析が可能です。

【コストとスキル要件】

  • 人が行うデータ分析
    • 分析を行うために専門的な知識やスキルを身につける必要があり、実現するために時間を要します。
      また、マーケターの人材確保や育成にも同様の時間とコストがかかり、かつヒューマンエラーのリスクがあります。
  • AIが行うデータ分析
    • 導入するためのコストはかかりますが、成果を上げることにより、長期的にはコスト削減につながります。
      現状、AIにリクエストを行うプロンプトの書き方を工夫すれば、知識がない人でも理解しやすい回答を得ることが可能です。また、今後高度なAIツールが普及することで、より専門知識がなくても利用しやすくなると考えられます。

【セキュリティ対策】

  • 人が行うデータ分析
    • データは担当者が手作業で処理することが多く、アクセス権の管理が適切でない場合、情報漏洩につながることが多くあります。
      また、ヒューマンエラーによる情報漏洩が発生するリスクもあります。セキュリティ管理体制の強化と個々人の情報セキュリティに対する意識の徹底を行うことで、情報漏洩のリスクを減らすことができます。
  • AIが行うデータ分析
    • AIによる異常検知システムを導入すれば、予期しないデータ流出のリスクを低減できます。
      しかし、生成AI等を利用する場合には次のことに注意が必要です。社外秘の個人情報や社内情報をプロンプトとして誤ってリクエストした場合、AIの自動学習機能が働き、その情報を学習されてしまうリスクがあります。リスク回避のセキュリティ対策を行う場合は、利用しているAIの環境が情報漏洩につながることがないか事前に確認し、利用する必要があります。

AI導入のメリット・デメリット

AIを企業に導入するうえで、データ分析に対するメリットが多くあると思われがちですが、デメリットも同様に存在します。
そこで、AIを導入する際のメリットとその効果と、AIを導入する際のデメリットと対策について解説いたします。

AIを導入したデータ分析。4つのメリットと活用事例

【分析のスピード向上】

  • メリット
    • AIは大量のデータを短時間で処理し、迅速なデータ分析を行うことが可能です。人が手作業で行う場合と比較しても、大幅な改善が見込めます。
  • 活用事例
    • MTGに必要な顧客データを要約し、発表しなければならない際に、AIが企業の大量な顧客データを分析し、最適なマーケティング施策を提案します。

【高精度な予測が可能】

  • メリット
    • 機械学習を活用し、過去のデータから未来の傾向を高精度で予測し、その結果をもとに業務改善を行い、未来に向けたマーケティング戦略を進めることができます。
  • 活用事例
    • コンテンツマーケティングの施策が、現状のままで成果が出せるかわからないため、AIのデータ分析結果から、未来の予測をした戦略を練る。

【作業の自動化と業務効率化】

  • メリット
    • データの収集・整理・分析・レポート作成をAIが自動で行い、業務の効率を向上させます。このことにより、人の作業時間を削減し、別の作業に時間を費やすことが可能になります。
  • 活用事例
    • 月末処理でデータ整理を行う重い作業があり、1日がつぶれてしまう状況。
      その作業をAIにプロンプトで指示を行うことで、より適切な回答を短時間で得られ、業務効率化にも貢献できます。

【パターンやインサイトを自動発見】

  • メリット
    • 人間が気づきにくい隠れた相関関係やトレンドをAIが自動で抽出し、別のパターンを提示してくれます。サイトの行動分析を行う際、人の分析では限界がありますが、AIの分析では、人では気づけないパターンを察知することが可能です。
  • 活用事例
    • ECサイトを運営している中で、GA4で行動分析を行う際、行動データをAIに読み込ませ、さまざまな行動パターンを把握できます。

AIを導入したデータ分析。4つのデメリットと対策

【初期導入コストが高い】

  • デメリット
    • AIを導入する場合、多額な初期導入コストが発生します。また、導入後は効果を出すために、ある程度AIの知見を持った人材を確保しなければなりません。
  • 対策
    • 小規模なプロジェクトで導入し、スモールスタートをすることで、AI導入に対する効果を検証できます。また、クラウドAIサービス等の利用も視野に入れましょう。

【データの質に依存する】

  • デメリット
    • AIの分析データは、学習したデータに大きく影響します。例えば、学習したデータにデータの不備や誤ったデータが学習されてしまうと、AIで分析した結果も整合性に欠ける結果となってしまい、信頼性が低下します。
  • 対策
    • 学習させるデータの整合性チェックを行い、AIに適切なデータを提供することにより、信頼できるデータ分析が可能です。
      また、定期的にデータの検査を行い、正確なデータの維持を心掛けるようにします。

【AIの判断がブラックボックス化しやすい】

  • デメリット
    • AIがどのように分析し、判断したのかが不透明であるため、分析結果に対して信頼を担保することができません。
  • 対策
    • AIが出力した分析結果に対し、必ず人が確認を行い、最終意思決定を行いましょう。そうすることで、さらにデータの質も向上します。また、分析のロジックや重要な要素を定期的に確認し、AIの挙動を監視・評価する仕組みを導入しましょう。

【セキュリティリスクが増大】

  • デメリット
    • AIを利用する際、環境によって自動学習をしてしまうため、機密情報が漏洩してしまうリスクがあります。
  • 対策
    • ChatGPTをはじめとした生成AIサービスでは、自動学習しない環境で利用できる料金プランもあります。利用する環境を徹底しましょう。

ChatGPTを活用したデータ分析の5つのステップ

さまざまな生成AIが普及している中、今回はChatGPTを活用してデータ分析の手順をご紹介いたします。ChatGPTを活用したデータ分析は以下の5つのステップを踏むことで、より効率的で精度の高い分析が可能になります。

データ分析の5つのステップ

ステップ1:目的の明確化

何のためにデータ分析を行うのかを明確にすることは、最も重要です。目的が曖昧なまま分析を進めると、得られた結果を適切に活用することができません。
例えば、ECサイトの売上分析で「売上が変動した要因を分析したい」と考えた場合、次のような具体的な目的を設定することができます。

  • 特定の季節に売上が伸びる要因を特定し、マーケティング戦略に活かす
  • リピーター率が低下している原因を明らかにし、改善策を提案する
  • 広告の費用対効果を分析し、最適な広告配分を決定する

このように、データ分析を行うために、具体的な目標を定めることで、収集するデータが明確になり、データの選定や分析の方向性を適切に設定することができます。

ステップ2:データ収集

前述した目的の設定を行い、その目的に沿ったデータを収集します。
ChatGPTはデータの解析・解釈が得意ですが、データの取得自体は外部ツールやデータベースに頼ることになります。

データ収集を行う場合は、外部ツールからCSVをエクスポートしたり、GoogleスプレッドシートやBigQueryとの連携やAPIの利用、データベースからSQLで取得するなど、さまざまなデータの取得方法があります。
目的に対して適切なデータを収集することで、より精度の高い分析が可能になります。

ステップ3:データ前処理

収集したデータは、そのままではノイズや欠損データが含まれているため、前処理が必要です。前処理をせずにそのまま取り込んだ場合、AIの分析精度が低下し、悪影響を与えます。
以下のような前処理を行うことで、より正確な分析が可能になります。

  • 欠損データの処理:
    • 平均値補完・削除
  • 異常値の除去:
    • 異常に高い売上データや、nullとなっているデータなど
  • データのフォーマット統一:
    • 日付形式に統一したり、カテゴリの項目の整理
  • テキストデータの整理:
    • 記号が入っている場合や、表記の統一

ステップ4:プロンプト設計および分析リクエスト

ChatGPTにデータ分析を依頼する際は、明確で具体的な指示(プロンプト)を設計することが重要です。
データ分析の結果は、プロンプトによって品質が左右されます。より詳細にプロンプトの指示文を設計すれば、質の良いデータ分析結果を得られます。逆に、設計をせずに指示文をリクエストすれば質の悪い結果が回答されます。
より質の良い結果を得るためには、プロンプトの品質が、非常に重要だといえます。

良いプロンプトの例

  • プロンプト:
    この売上データをもとに、月別の売上推移をグラフ化し、売上が増減した月の要因を説明してください
  • 結果:
    どういう結果が出ているのかを簡潔に記載してください。(図が見えない人向けの補足)

図:良いプロンプトの分析結果 図:良いプロンプトの例

悪いプロンプトの例

  • プロンプト:
    このデータを分析して
  • 結果:
    どういう結果が出ているのかを簡潔に記載してください。(図が見えない人向けの補足)

図:悪いプロンプトの分析結果 図:悪いプロンプトの例

悪いプロンプトの例では、指示文が抽象的でどのような分析結果が欲しいのかわかりません。また、その分析結果から何を読み取りたいのかが明確に記載されていないため、求める回答を得ることができません。

ChatGPTにデータ分析を依頼する場合、データの統計的な処理(平均・中央値・分散など)を明確に指定することで、より適切な結果を得られます。

ステップ5:データ分析結果評価

ChatGPTが出力した分析結果を評価し、目的に合致した内容かを確認します。AIの分析結果をそのまま鵜呑みにせず、正確性やビジネスへの応用可能性をチェックすることが重要です。

ChatGPTは、プロンプトの設計で結果が左右されると前述しました。良い結果が出力された場合でも、その結果を100%信用するのではなく、人間の目で再度確認し、さらに質の良いデータ結果になるよう手を入れることが効果的なデータ分析の手法となります。
分析結果を単なるデータとして扱うのではなく、意思決定にどう活用するかを考えることが重要です。

データ分析の進化と展望

これからのWebマーケティングのデータ分析は、AIの高精度化やリアルタイム分析の進化により、より効果的なマーケティング施策が可能になります。

今後は、AIと機械学習による高度なデータ分析が進化し、自動最適化が実現されるでしょう。AIは顧客の行動パターンを学習し、個々のユーザーに最適な広告・コンテンツ・価格設定をリアルタイムで自動調整できるようになるといわれています。
また、SNSやレビューのテキストデータを解析することで、ユーザーの感情やニーズを即座に把握し、感情分析もより容易に実施できるようになります。

顧客ごとに異なるマーケティング戦略を自動で実施できるようになることで、予測分析をそのまま戦略へと落とし込むことが可能になります。これにより、人が行うデータ分析からAI主導のデータ分析へとシフトし、AIによるマーケティングが当たり前の時代になるでしょう。

Business Architectsでは、マーケティング支援サービスを提供しており、AIを活用したデータ分析のサポートも行っています。 AIの導入から運用までをトータルで支援し、マーケティング施策の最適化をサポートいたします。AI活用やデータ分析に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。