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【後編】BtoBコンテンツマーケティングで成果を出す企業は、何が違うのか?判断軸と仕組みから考える、これからの運用

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BAsixs編集部

日々の業務の中で「あたりまえ」をアップデートできた取り組みを発信しています。

前編では、BtoB企業のコンテンツマーケティングが成果につながりにくい背景として、「設計」や「意思決定の軸」が曖昧なまま運用されているケースが多いことを見てきました。

では、成果を出している企業は、何が違うのでしょうか。

後編では、SEO環境の変化や集客の捉え方といった外部環境の話題から、成果が出る企業に共通する判断軸、そして運用を続けるための仕組みづくりについて、コンサルと運用、それぞれの視点から掘り下げていきます。

「何を指標に考え、何を優先し、どう回していくのか」。コンテンツマーケティングを実務として前に進めるためのヒントを探ります。

【後編】BtoBコンテンツマーケティングで成果を出す企業は、何が違うのか?判断軸と仕組みから考える、これからの運用

インタビューした人

プロフィールアイコン(イラスト):マーケター 田代
田代セールス&マーケティンググループ/マーケター(ビジネス・アーキテクツ)

広告代理店にてマンションデベロッパー、人材派遣の広告・マーケティング業務に携わった後、システム開発会社にて製薬会社や生命保険会社のマーケティング支援に従事。エンドユーザーに対してWebやメールを活用してのコミュニケーションの運用、改善、最適化などを中心に業務を担当。直近ではオウンドメディアの編集長として自社への引き合いを増やす役割を担った。

インタビューを受けた人

  • プロフィールアイコン(写真):エクスペリエンス事業部/事業部長(ビジネス・アーキテクツ) 新山 佳世子
    新山 佳世子エクスペリエンス事業部/事業部長(ビジネス・アーキテクツ)

    事業会社にてWeb部門立ち上げ、Webサイト制作会社にてインフォメーションアーキテクトを経験。国内大企業、グローバル企業の大規模プロジェクトを手がけた後、エクスペリエンスへ入社。チーフコンサルタント、プロジェクトマネージャーとして、プロジェクト全体を牽引。2020年、マネージャーを経て取締役就任。2025年ビジネス・アーキテクツへジョイン。

  • プロフィールアイコン(イラスト):ディレクター 富本
    富本セールス&マーケティンググループ/ディレクター(ビジネス・アーキテクツ)

    地元・愛知の印刷会社や広告会社にてディレクター・フロントエンドエンジニアとしてWeb制作に携わる。2014年頃、フロントエンドエンジニアとしてBAに入社。現在、自社コーポレートサイトやオウンドメディアのマーケティングに携わっている。また、長期にわたりウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)のWG4への参加も。好きなキャラクターはリラックマ。

コンサル × 運用に聞く|SEO環境の変化と、これからの集客の考え方

それでは、少し話題を変えます。最近はSEOを取り巻く環境も変わっていますが、その影響は感じますか。

新山:感じています。ただ、「SEOが効かなくなった」というよりも、これまで通用していたやり方がそのままでは通用しなくなってきた、という感覚に近いですね。検索結果の表示形式や、生成AI検索のような新しい動きも含めて、単純に記事を量産すれば評価される時代ではなくなっています。

「SEOが終わった」というより、「向き合い方が変わった」という感じでしょうか。

新山:そうですね。一方で、生成AIによるゼロクリック検索(※)が増えていることに対して、過度に悲観する必要はないのではないかとも考えています。というのも、生成AIが参照している情報源の多くは、依然として検索結果の上位に表示されている、SEOを意識して作られたコンテンツだからです。ユーザーがその場で概要を把握したあと、より詳しい情報を求めて元の記事を訪れるケースも少なくありません。2025年末時点では、少なくとも「SEOが無意味になる」という状況ではないと見ています。

重要なのは、順位や表示形式の変化に一喜一憂することではなく、自社のコンテンツが「信頼できる情報源」として選ばれる状態をつくれているかどうかです。検索も生成AIも、その評価の延長線上にあるものだと捉えています。

Before(記事数や網羅性を重視したSEO記事で情報量を評価し、検索順位上昇と流入増加を目指す構造)から、Now & Future(専門家監修や独自一次情報、独自調査データ、定期更新など信頼性を重視し、検索や生成AIに参照される情報源となり、詳細閲覧や再訪・エンゲージメントにつなげる構造)へ評価基準が「量」から「質・信頼」へ変化していることを示した図

※ゼロクリック検索
ユーザーが検索エンジンで情報を検索した際に、検索結果ページに表示される情報のみで疑問が解決し、結果に表示されたWebサイトのリンクをクリックせずに検索行動が完結してしまう現象。

なるほど。では、運用の立場から見て、SEOは今後どう位置づけていくべきだと感じていますか。

富本:SEOをどう位置づけるかについては、さまざまな考え方があると思いますが、運用している立場として感じていることの一つは、「接点を持ったユーザーとの関係性を、どれだけ深められるか」のようなことが、より重要になってくるのではないかと感じています。

他にも、

  • 接点をもったユーザーに対して、継続的に関係を築けているか
  • ユーザーの関心や状況に応じて、適材適所で情報を届けられているか
  • 記事を読んだあとに、何らかの行動につながっているか
    (問い合わせ、資料ダウンロード、関連記事の回遊、再訪など)

こうした点を意識した運用のほうが、結果として相談や次の接点につながりやすいと感じています。

BAsixsのデータを見ていても、すぐに問い合わせに至るケースばかりではなく、特定の記事やページを何度も読み返しているユーザーが一定数いることが分かります。
また、実際に仕事の相談につながるきっかけは、セミナーやイベント、パートナーからの紹介といった、検索以外の接点で生まれることも少なくありません。

検索だけで成果を判断するのは、少し視野が狭いということですね。

富本:はい。一方でオウンドメディアを継続的に運用していることで、専門性や信頼性を伝える土台ができていることも見えてきているんです。実際、問い合わせには至らなくても、特定の記事や関連ページを繰り返し読んだり、時間をおいて再訪したりするユーザーの動きから、情報収集や検討の段階で参照されていることが分かります。

SEOだけ、あるいは入口の施策だけで成果を判断するのではなく、検索・コンテンツ・イベント・紹介など、複数の接点を立体的に組み合わせて考えることが、結果的に成果につながっていくのではないでしょうか。

コンサル × 運用に聞く|判断を社内に残す。外注と内製の考え方

SEOだけでなく、考えるべきポイントはかなり広範囲だということですね。ところで、最近、外注と内製のバランスについての相談も増えている印象があります。実際の支援現場では、どのような変化を感じていますか。

新山:このテーマは、ここ数年で相談の質がかなり変わった部分だと感じています。以前は「どこまで外注できますか?」という相談が多かったのですが、コロナ以降は、前提として『内製でどう回すか』を考えている企業が明らかに増えました。

背景には、予算の問題だけでなく、継続的に外注し続けることの難しさがあるのではないでしょうか。お金があれば外注したい、というのは多くの企業に共通する本音だと思います。ただ、コンテンツマーケティングは一度きりの施策ではなく、続ける前提の取り組みなので、ずっと外に任せ続けるのは現実的ではないと感じている企業も多いのでしょう。

その一方で、「内製化=すべて自分たちでやる」と捉えてしまうと、今度は別の問題が出てきます。ノウハウはある程度分かっていても、企画・編集・判断まで含めてすべてを抱え込むと、現場が疲弊してしまう。という問題です。

つまり、全部を内製で抱え込もうとすると、どこかで無理が出てきてしまう、ということですよね。分かるなあ。

新山:そこで重要になるのが、どこを内製にし、どこを外部と分担するのかを意識的に設計することです。

私たちが支援する際も、単に「外注しましょう」「内製で頑張りましょう」という話はしません。過去の取り組みや体制、現在のリソースを丁寧にお聞きしたうえで、

  • 判断や方針は社内に残す
  • 実作業や一部の工程は外部と組む

といった形で、無理なく回る運用体制を一緒に考えることを重視しています。

富本:運用の立場から見ても、内製化が進んでいる実感はあります。ライターさんとお話しする際にそんな話を伺うこともあります。

オウンドメディアの場合、日々の更新や改善を考えると、どうしても社内で判断しなければならない場面が増えてきます。そのときに、企画や編集の考え方まで外に依存していると、「次に何をすればいいのか自分たちで決められない」状態になってしまう。

一方で、すべてを内製で回そうとすると、どうしても手が回らなくなるのも事実です。BAsixsの運営でも、制作や一部の作業は外部の力を借りながら進めていますが、何を作るか、なぜ作るかの判断は自分たちでもつようにしています。そのバランスが取れているかどうかが、継続できるかどうかの分かれ目になると感じています。

コンサル × 運用に聞く|成果が出る企業・止まる企業を分けるもの

そうした中で、成果が出ている企業と、止まってしまう企業にはどんな違いがありますか。

新山:成果が出ている企業に共通しているのは、「成果とは何か」が明確に定義されていることですね。このあたりがふんわりしたまま進んでしまうと、どうしても施策の評価ができなくなります。

たとえば、「今は何のためにコンテンツをやっているのか」「この施策で何を得たいのか」といった点が、関係者の間でちゃんと共有されているかどうかですね。

曖昧なスローガンではなく、今このタイミングでやるべきことが何かを言語化し、宣言したうえで施策を打っている企業は、ブレにくいですね。

ここで感じるのは、そうした企業ほど、クライアントさまのチームメンバーに話を聞いても、若手からマネジメント層まで、返ってくる答えが大きくズレないという点です。「成果は何か」「今、優先していることは何か」といった問いに対して、立場が違っても同じ方向の回答が返ってくる会社は、やはり強いと感じます。逆に、トップと現場で言っていることが違う場合、どれだけ良い施策を打っても途中で歪みが出てしまうケースが多いですね。

また、成果が出ている企業ほど、「今、ほしいリードは何か」にすぐ答えられる印象があります。マーケティングが育てたいリードなのか、営業がすぐにほしいリードなのか。あるいは、その中間なのか。時期やフェーズによって優先すべきリードは変わるはずですが、その違いを理解したうえで、「今、最優先すべきものは何か」を判断できている。

さらに、というか、これもかなり重要なポイントなんですが、時間軸を正しく捉えている点も特徴的です。目先のこの目的のためにこの施策を打っている。一方で、来年のこの目的に向けては別の施策を仕込んでいる。短期と中長期を混同せず、「今」と「その先」を切り分けて考えられている企業ほど、結果として成果につながりやすいと感じています。

成果が出ない企業の判断軸(経営層と現場で成果定義が揃っていない状態)と、成果を生み出す企業の判断軸(経営層と現場で同じ成果が定義されている状態)を対比した図

今のお話を聞いていると、成果が出ている企業ほど「何を成果とするか」「何を優先するか」といった判断軸が、組織の中で揃っている印象がありますね。

富本:運用の立場で見ていても、その感覚はとても近いですね。

仕組み化で一番大事なのは、方針が定まっていることを前提に、誰が作業しても記事が上がり続ける状態をつくれるかどうかだと思っています。

ベテランか若手か、経験が浅いかどうかに関係なく、企画・執筆・確認・公開までが一定の判断基準で進められる。たとえば「このテーマは今の方針にあっているか」「読後にどんな行動を期待する記事なのか」といった点ですね。そうした状態ができていれば、属人化せずに運用を続けることができます。

逆に、方針が曖昧だったり途中でブレてしまうと、「この企画でよかったんだっけ?」「この方向性で問題ない?」と、どこかで立ち止まって見直さなければならなくなる。運用の現場では、この手戻りが一番コストになります。

BAsixsでも、すべてがうまく回っていたわけではなくて、これまでに何度も方針を見直してきました。以前は「記事を出すこと」が目的化してしまっていた時期も正直ありましたし、誰に向けたメディアなのか、記事なのかについては今でも議論になることがあります。

そうした紆余曲折を経て、「今は何のために発信しているのか」「どんな行動につなげたいのか」を整理したことで、運用の判断がかなりシンプルになりました。

最後に、これからコンテンツマーケティングに取り組もうとしている企業や、すでに取り組んでいるもののうまくいっていないと感じている企業に向けて、メッセージをお願いします。

新山:まずお伝えしたいのは、コンテンツマーケティングは「特別なこと」をやらないと成果が出ないものではない、という点です。多くの場合、成果が出ない原因はノウハウ不足ではなく、何を成果とするのか、何のために取り組むのかが整理されていないことにあります。

いきなり正解を見つけようとする必要はありません。まずは「今の自社にとって、どんな成果が必要なのか」「そのために、まず何を試すのか」を明確にして、小さく施策を打ってみる。その結果をきちんと振り返って、次につなげる。このサイクルを回せる状態を作ることが、何より大切だと思っています。

また、コンテンツマーケティングは一度きりの取り組みではなく、続けていくものだからこそ、自社の体制やフェーズにあった進め方を選ぶことも重要です。自分たちだけでやり切るのが難しい部分があれば、外部の力を借りながら、一緒に回し方を作っていく、という考え方も選択肢の一つだと思います。

富本:運用の立場からお伝えすると、最初から完成形を目指さなくても大丈夫だと思っています。BAsixsもそうですが、最初から方針や仕組みがきれいに整っていたわけではなく、試行錯誤しながら少しずつ形にしてきました。

大事なのは、「今のやり方で本当に回っているか」「無理なく続けられるか」を定期的に見直すことです。誰が担当しても同じ基準で判断できるか、手戻りが多くなっていないか。そうした視点で運用を見直していくと、少しずつ改善点が見えてきます。

コンテンツマーケティングは、派手な一発で成果が出るものではありませんが、地道に積み重ねていくことで、確実に効いてくる取り組みでもあります。自社にあったやり方を見つけながら、無理のない形で続けていってほしいですね。

成果を出す企業がやっていることとして、成果の定義を言語化して明確にすること、施策投入の時間軸を切り分けること、判断軸を組織で統一することを示し、それを支える土台として運用を効率化する仕組みと無理なく回す体制があることを示した図

まとめ:成果を出す企業が共通してやっていること

ここまでの対談を通して見えてきたのは、コンテンツマーケティングの成果を分けているのは、記事の出来や個別のテクニックではなく、「どう設計し、どう回しているか」だという点です。

成果が出ている企業は、「成果とは何か」「今ほしいリードは何か」を曖昧にせず、関係者の間で共通認識を持ったうえで施策を進めています。また、短期と中長期の時間軸を切り分け、今やること・先を見据えて仕込むことを整理できている点も共通しています。

こうした判断軸が定まっているからこそ、運用の仕組み化が機能します。誰が関わっても同じ基準で判断でき、無理なく回り続ける状態をつくれるかどうかが、継続と成果の分かれ目になります。

コンテンツマーケティングは、派手な一施策で成果が出るものではありません。小さく試し、振り返り、改善する。その前提に立った設計と仕組みづくりが、結果として成果につながっていきます。

明日から見直せるコンテンツマーケ運用チェックリスト

最後に、本記事で触れたポイントを「明日から見直せるチェック項目」として整理します。すべてを一度に整えようとせず、まずは当てはまらないところから小さく手を入れていくのがおすすめです。

まずは「一つでも改善の起点ができれば十分」くらいの軽い気持ちで、できるところから小さく回し始めてみてください。

コンテンツマーケ運用を見直すためのチェックリストとして、①成果の定義が言えるか(できれば数字でも持てているか)、②今ほしいリードを決めているか(育成/営業即戦力など優先順位)、③記事ごとの読後行動が決まっているか(問い合わせ/DL/回遊/再訪など)、④公開後に改善まで回すサイクルがあるか(見て終わりになっていないか)、⑤判断は社内に残っているか(意思決定の軸を持てているか)、⑥方針が関係者間で揃っているか(立場が違っても答えがズレないか)、⑦外注と内製の役割分担が設計できているか(無理なく回る形になっているか)、⑧ゼロクリック時代の評価軸を持てているか(流入だけで判断せず信頼獲得や接点後の行動も含めて見ているか)を挙げた図

本記事の前編では、BtoB企業のコンテンツマーケティングが成果につながりにくい背景や、設計段階で起きがちなつまずきについて整理しています。あわせてご覧ください。