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京セラのWebサイト品質向上施策の舞台裏【後編】社内都合の構造を見直し、「お客さまが探せる」形へ

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BAsixs編集部

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事業部門ごとに情報が整理されたWebサイトは、お客さまから見ると「どこに何があるのか」がわかりにくくなりがちです。特にBtoB企業では、事業・製品の幅が広い分、この状態が起きやすいといえます。京セラ株式会社(以下、京セラ)のサイト品質向上施策で向き合ったのも、まさにその状態でした。京セラ社内では自然な区分が、お客さまにとっては「探しにくさ」につながっていたのです。

今回の施策は、大きく2つの取り組みで進められました。
1つ目は、5つの事業部門を対象に、ヒアリングや調査を通じて課題を整理し、事業部門サイトの方針と情報設計をまとめていくこと。
2つ目は、お客さまの情報の「探し方」を手がかりに、京セラトップページの法人向けメニュー(ナビゲーション)を、全事業部門に範囲を広げて整えることです。

本記事(後編)では、事業部門ごとの深掘りから全社の入口設計へと、どのように視点を広げていったのかを追います。事業部門の事情を踏まえて方針に落とし込むプロセス、京セラグループ全体の製品カテゴリを俯瞰できる「地図(虎の巻)」を作る作業、そして整理した内容を法人向けメニュー(ナビゲーション)や導線に落とし込むまで。京セラの松田様・篠原様と、BAの新山・三木が振り返ります。

京セラのWebサイト品質向上施策の舞台裏──お客さまを主語に再構築する情報設計【後編】

インタビューした人

プロフィールアイコン(写真):Chief strategist(ビジネス・アーキテクツ) 橘 守
橘 守Chief strategist(ビジネス・アーキテクツ)

リクルート「住宅情報」「カーセンサー」、ポイントキャスト代表取締役社長、Jストリーム事業推進部部長を経て、2005年エクスペリエンス設立。 2025年ビジネス・アーキテクツにジョイン。「わかりにくい」を「わかりやすく」、「使いづらい」を「使いやすく」が仕事のテーマ。「数字で説明する」が信条。

インタビューを受けた人

  • プロフィールアイコン(写真):広報室/ブランドコミュニケーション部(京セラ株式会社) 松田 真由様
    松田 真由様広報室/ブランドコミュニケーション部(京セラ株式会社)

    2014年より京セラ広報室にてWebサイト運営業務に従事。海外サイトやブランディングサイトの構築を主導し、事業サイトのマーケティング活用を推進。現在は、Webサイトに加えSNSを含む京セラグループ全体のデジタルメディア戦略を担うチームのマネジメントを担当。

  • プロフィールアイコン(写真):広報室/ブランドコミュニケーション部(京セラ株式会社) 篠原 花音様
    篠原 花音様広報室/ブランドコミュニケーション部(京セラ株式会社)

    2021年に京セラへ入社し、広報室でWEBサイト運営業務に従事。2022年より5事業部門のWebサイト改善を関連部門とともに進め、その後、京セラサイト全体のナビゲーション改善やトップページリニューアルを担当。

  • プロフィールアイコン(写真):エクスペリエンス事業部/事業部長(ビジネス・アーキテクツ) 新山 佳世子
    新山 佳世子エクスペリエンス事業部/事業部長(ビジネス・アーキテクツ)

    事業会社にてWeb部門立ち上げ、Webサイト制作会社にてインフォメーションアーキテクトを経験。国内大企業、グローバル企業の大規模プロジェクトを手がけた後、チーフコンサルタント、プロジェクトマネージャーとして、プロジェクト全体を牽引。2025年ビジネス・アーキテクツへジョイン。

  • プロフィールアイコン(写真):デジタル戦略部/リーダー(ビジネス・アーキテクツ) 三木 美呂句
    三木 美呂句デジタル戦略部/リーダー(ビジネス・アーキテクツ)

    プログラマとしてキャリアをスタート。その後、Webプロダクションにてマークアップエンジニアとして大規模から中小規模まで多数のWeb構築を手掛ける。ディレクターへ転身後「顧客以上に顧客志向」なスタンスとIA技術を習得。2025年ビジネス・アーキテクツへジョイン。

お客さまのためのWebサイトなのに社内都合になっていた

後編では、事業部門(組織図)通りの構造となっていたWebサイトをどのように「お客さま視点」のサイトに整えていったのか伺います。

松田氏: このプロジェクトでBAさんにお願いしたのは大きく2つありました。5つの事業部門のWebサイトの見直しと、京セラサイト全体の法人向けメニュー(ナビゲーション)の整理です。

新山: 事業部門が運営する事業サイトの見直しでは、リサーチをしながら課題を抽出・整理しました。抽出された課題に対して、解決すべき方針を皆さんと協議し、情報の整理や情報の構造設計を進めました。当時、事業部門が運営するWebサイトは数ページしかなかったり、長らく更新が止まっていたりと、課題が多い状態でした。

松田氏: 加えて、京セラのサイト全体に言えるのですが、事業部門名や組織単位で情報が整理されていて、メニューにもそのまま事業部門名が並んでいました。京セラ社内の人間は理解できますが、実際のお客さまはその言葉で探していません。結果として「どこに何の情報があるのか」がわかりづらく、探せない状態になっていましたね。

新山:そうですね。「情報の並び方や情報の出し方が社内都合」になっていましたね。

Webサイトに訪れるお客さまは、特定の製品名だけで探しているわけではなく、何かしらの課題を持って解決手段を探しています。そのため、Webサイト側ではお客さまがどう辿り着き、どう選ぶか、どのような情報を渡すかを整理する必要がありました。

松田氏:事業部門の括りで作られていたこともあり、製品に辿り着くまでが長く、途中で離脱するお客さまもいたかもしれません。だからこそ、入口(トップページの導線)と、辿り着いた先(各事業部のWebサイト)の両方を見直す必要がありました。

新山: まさにそこが今回の肝で、入口の整理と並行して、出口となる事業サイト側も整えていきました。5つの事業部門では、営業・マーケティングに携わる方々の現場感も踏まえて「どんなお客さまに、どういった情報を、どう届けるか」という方針を丁寧に策定していきました。

写真:松田 真由氏 / 広報室 コミュニケーションデザイン部(京セラ株式会社)にフォーカスがあたっている。後方から話しを聞いている篠原 花音氏 / 広報室 コミュニケーションデザイン部(京セラ株式会社)。

部門の壁を越えて「探し方」を揃える。ビジネスにつながる事業サイトへ

事業部門が運営する事業サイトでは、どこから整理を始めたのでしょうか?

新山:まずは営業担当・マーケティング担当も交えたヒアリングで「今、何に困っていますか」「どういう引き合いを求めていますか」などを細かく伺っていきました。

話を聞いていくと、事業部門ごとに、Webサイトで欲しい問い合わせやお客さまに見せるべき製品や情報がわかってきました。

ヒアリングに、マーケティング担当だけでなく営業担当を入れた狙いは何でしょうか?

松田氏:私はWebサイトが営業ツールだと思っているので、課題抽出の時点でマーケティング担当者だけで方針を決めるのは難しいと思っていました。

事業部門によって運営体制が揃っていないと、どうしても、Webサイトは「カタログ置き場」のように単に情報を並べがちになってしまうんです。それではお客さまの課題解決につながらないなと。

そこで最初から、実際のお客さまとの接点を持つ営業担当にも参加してもらい、細かい部分までヒアリングしたうえで、BAさんにビジネスに貢献する、お客さま視点になっている事業サイトの方針を作成してもらいました。

新山:マーケティング担当だけだと「この情報を載せる/載せない」の話になりがちですが、営業担当がいると「どう説明すれば伝わるか」「どこで悩むのか」の話になりますよね。そこが、「お客さま視点」への切り替えに効いたと思います。

松田氏:振り返ると、営業担当にもしっかりヒアリングできたことが、「お客さま視点」のWebサイトに変えるうえで大きなポイントだったと思っています。お客様と実際に接する営業の意見が入ることで、「お客様がどう探し、どこで迷うか」がより具体的になりました。

写真:新山 佳世子 / デジタル戦略部 部長(ビジネス・アーキテクツ)

お客さま視点にするとは、具体的にどのようなことでしょうか。

松田氏:一番クリティカルだったのは、「事業部門」で情報を分ける考え方から離れたことです。社内の人は事業部門名で理解できますが、お客さまはその言葉では検索しません。だからこそ、お客さまが調べる言葉を起点に、情報のまとまりを考え再設計する必要がありました。

新山:例えば、「半導体パッケージ」を例に挙げますが、従来のWebサイトですと半導体のセラミックを扱う事業部門と有機を扱う事業部門の、2つのサイトが存在していました。ただ、お客さまが検索するのは「半導体」というカテゴリです。そこで今回、部門の区分を越えて情報を整理し、「半導体パッケージ」として一つのWebサイトを用意しました。そのうえで、「セラミック」なのか「有機」なのか、必要な製品や情報に辿り着けるようにしています。

松田氏: それぞれの事業サイトをお客さま視点で見直した結果、PVやお問い合わせ数が明らかに伸びましたね。

新山:こうした成果が出た背景には、「お客さまがどう探すか」を起点に情報を組み直したことが理由だと考えます。お客さまは製品名だけを探しているのではなく、課題を持ってその解決手段を探しています。そのため、「どんな言葉で検索するのか」を念頭に置いて、製品の用途、お客さまの課題、製品の比較といった観点で情報を整理していくことが重要になってきます。

三木:つまり、ここで整えていたのは、「探し方の骨組み」です。製品が含まれるカテゴリ設計やワイヤーフレームの考え方、必要になるコンテンツまで含めて定義していく必要がありました。

なるほど。ヒアリングは、「事業サイトの方針」を整理するところに狙いがあったのですね。

新山: はい。コンテンツを増やす、並べ替えるといった詳細の話に入る前に、「どんなお客さまに、どう売っていくか」という前提を作る部分が大切でした。この前提が揃っていないと、Webサイトは社内カタログになりやすいんです。

今回ヒアリングさせていただいた5つの事業部門に対しては、ヒアリングを通じてその前提を言語化し、「現状の事業部サイトが抱える課題」「どうあるべきか」「KPIや効果測定の方針」「コンテンツを含めたUI/UX方針」などといった観点で、事業サイトの設計方針としてまとめました。

一方で、京セラトップページの法人向けメニュー(ナビゲーション)は関連会社も含めた京セラグループ全体が対象です。そこからどう導線を整備するのか、次に必要になったのは、各事業部門で整理した方針を踏まえ、京セラグループ全体のトップページの法人向けメニューのナビゲーションをどのように構成していくかを議論することでした。

写真:テーブルを囲み、左から篠原氏、松田氏、北垣氏、橘、新山、三木が座っている。三木が話している様子を全員が聞いている様子。

京セラグループの「地図」を描く。合意形成をどう進めたのか

法人向けメニュー(ナビゲーション)の整理は、関係者も多く合意形成が難しい領域だと思います。どこが一番のハードルでしたか?

松田氏:法人向けメニューの整理は、関連会社も含めた京セラグループ全体が対象になるので規模が大きいです。すべての事業部門の意見をどうまとめるか。その大変さは最初から想像できました。

だからこそ、間に立って前に進める役割はとても重要でした。正直、篠原の存在がなければ成し遂げられなかったと思います。関わる事業部門もとても多く、打ち合わせの調整はもちろん、返ってきた内容を整理して、こちらの意図が伝わるように返す。それぞれの温度感や事情を汲みながら、笑顔でちゃんと前に進める。あれをやり切るのは簡単じゃなかったはずです。

篠原氏:ありがとうございます。大変でしたが、このプロジェクトをきっかけにさまざまな事業部門の方々と気軽にお話できるようになり、結果として、相談しやすい関係が広がっていったことは、このプロジェクトの一番の収穫かもしれません。

Webサイトキャプチャ:京セラのサイト(https://www.kyocera.co.jp/)のPC表示でグローバルナビゲーションメニューを、「法人のお客様」→「製品・サービスから探す」→「エレクトロニクス用部材」→「半導体(IC)パッケージ」を選択した状態。

参照 : 京セラ株式会社. (参照 2026-04-22)

最初の一手は、どこから着手したのでしょうか。

松田氏:京セラグループ全体の事業部門をまとめる大変さは最初から感じていました。なので、いきなり多くの関係者を集めて議論を始めるのではなく、まずはBAさんと一緒に、進め方の相談から着手しました。そのうえで、十数部門の代表者の方に集まってもらったんですよね。

新山:そうですね。まず全事業部門が扱っている製品・サービスについて、「大カテゴリ」「中カテゴリ」といった整理の軸(=メニューに載せる候補になる単位)を、皆さまからいただきました。

その情報をもとに、BA側で世間のニーズ(検索状況や競合他社の状況)も踏まえながら、製品カテゴリの『たたき台』となる資料を作成しました。このたたき台をもとに、各部から参加いただいた皆さまとディスカッションしていった形です。

松田氏:あのたたき台は本当に助かりました。広報室でも「虎の巻」のようなシートになっています。お恥ずかしい話ですが、関連会社も含めて製品群の全体像を一覧で俯瞰できるものが、それまで社内になかったんです。

これまでは会議のたびに、まず意識合わせの説明から入る必要がありました。ですが、あのシートがあることで「今どこを議論しているのか」がわかりやすくなりました。

自身の足で日本地図を測量した伊能忠敬のように、京セラグループ全体の輪郭を丁寧に地図に落とし込んで可視化していただけました。この「地図」をたよりに、議論を進めていったイメージですね。

新山:そう言っていただけると非常にうれしいです(笑)。実際、あの段階では、正解の分類を作るというより、まず議論できるベースを作ることが重要でした。

今回の「地図」のようなたたき台がないと、多くの関係者を巻き込むプロジェクトでは「うちはここに置きたい」「うちは別枠だ」で止まってしまいがちです。でも地図があることで、議論が「お客さまはこう見えるのでは?」「この分類だと迷うのでは?」という形に寄っていく。結果として、社内での主張のぶつけ合いではなく、「お客さま主語」の設計に近づくと思います。

写真:左から篠原氏、松田氏が話している様子。

この「地図(虎の巻)」は、具体的にはどのように作成していったのでしょうか?

新山:京セラグループに関わるほぼすべてのWebサイトを実際に見て、各部門や各関連会社が何を扱っていて、どの製品群がどこにあるのかを洗い出しました。その後、表として見える化して「京セラグループとして何がどこにあるか」を明らかにしました。

作るうえで、どこが一番大変でしたか?

三木:京セラさんのサービス領域がかなり広いので、世の中のニーズを把握するのに苦労しましたね。

世の中のニーズという俯瞰の視点は、ひとつの事業や担当領域に向き合っているだけだと、日常的に持ち続けるのが難しい部分もあると思います。そのため、こういった全社横断でWebサイトの品質向上を進める際は、BAのような外部のパートナーが入って視座を引き上げる作業が有効だと感じます。

この「地図(たたき台)」は、実際の画面にはどのように反映していったのでしょうか。

新山:京セラグループの法人向けメニューの整理を終えたあと、BAでワイヤーフレームに落とし込み、制作会社様へお渡ししました。その後、その製品・サービスカテゴリ一覧をもとにトップページを大きく変更されたんですよね。

松田氏:そうです。トップページを変えたことで、直帰率が格段に改善しました。

写真:左から新山、三木 美呂句/ デジタル戦略部(ビジネス・アーキテクツ)が笑顔で話している様子。

トップページを目的地の入口として見直す

その後、トップページも製品情報を中心に見直されたとのことですが、判断のポイントはどこにありましたか?

松田氏:当初、BAさんと整理した内容は、製品一覧ページとヘッダーの法人向けメニューの中で展開していて、トップページにはニュースやお知らせを並べていました。ただ、来訪者のほとんどがビジネスユーザーであることや、今回整理した法人向けメニューがとてもわかりやすかったことから、その後トップページも製品情報をメインの位置に置きなおす変更をしています。

篠原氏:結果として、当初の狙い通り直帰率も大幅に改善しましたね。事業サイトへの遷移率も上がりました。

新山:多くの企業様は、ニュースリリースや会社案内を前面に出しがちですが、京セラ様の場合はトップページを「目的地の入口」として位置づけ直したのがポイントだったと思っています。入口と、辿り着いた先の情報設計をセットで考えると、ビジネスにつながる動線になっています。

今、現場ではどのような変化が起きていますか?

松田氏:営業も「一度提案して終わり」ではなく、状況に合わせて改善し続けますよね。Webサイトも同じで、作って終わりではなく、改善を続けることが大切だと思っています。

また、法人向けメニューの改善をきっかけに、篠原と各事業部門との信頼関係ができました。今では篠原に、Webサイトの困りごとや相談ごとが集まるようになり、良いサイクルが回りはじめたと感じています。事業部門の方が、私や北垣は素通りで「篠原さんいますか?」って探しに来るんですよ(笑)

篠原氏:多くの事業部門の方が頼ってくださるのはとてもうれしいですね。「Webサイトでこういう悩みや課題があるんだけど、どうしたらいい?」という相談が多いです。私は全然ベテランじゃないのですが、できる限り寄り添って、良いものを一緒に作っていきたいと思っています。

松田氏:世の中が変われば、京セラの事業も変わっていきます。運用していく中での改善が前提になってきます。定期的に分析を行い、運用改善をしていくことで、Webサイトが企業の資産になると思います。

新山:これからも、Webサイトの改善を続けて、継続的にビジネスにつなげていってほしいです。

集合写真:京セラ様オフィスにて壁面コーポレートサインの前で。左から松田氏、篠原氏、北垣氏、橘、新山、三木が並ぶ。

部門最適から「お客さま最適」へ。止まらない意思決定のつくり方

今回の京セラ様の取り組みは、単なるナビゲーションの見直しでも、見た目の刷新でもありませんでした。事業部門へのヒアリングを通じて「お客さまがどう探すか」をつかみ、同時に、グループ会社も含めた全体像を棚卸しして「京セラグループとして何がどこにあるか」を見える化する。そのうえで、全社の入口となる法人向けメニューと、辿り着いた先(事業部サイト)の両方を、お客さま目線で整え、ビジネスに貢献させる。後編でお聞きしたのは、この一連のプロセスでした。

特に重要なのは、入口や見せ方だけを整えて終わらせないことです。トップページの導線が改善されても、見た目がきれいになっても、辿り着いた先の情報もあわせて整理されていなければ、使いやすさは続きません。全社の導線と事業サイトごとの方針(戦略)と情報設計をセットで捉え、必要に応じて見直し続けることが、BtoBサイトの品質向上には欠かせません。

組織横断プロジェクトで難しいのは、部門最適の積み上げを、そのまま全体最適にはできないことです。各部門にとって正しい情報の並びや言葉が、お客さまにとっては「探しにくさ」になる。だからこそ、判断の軸を“社内の区分”ではなく、“お客さまの探し方”に置き直す必要があります。

ただ、その軸が揃わないまま現場の声やデータだけが集まっても、「次に何を決めるべきか」が整理されず、会議や合意形成は止まりやすい。今回のプロジェクトのように、現場の声と既存サイトの実態を材料に、課題を言語化し、優先順位をつけ、意思決定できる方針を整える。その“翻訳”ができるかどうかが、推進の分かれ目になります。

本シリーズは前編中編・後編の構成です。前編では構想立案と社内合意形成の突破口を、中編では「企業目線に偏ったサイト」を脱するための診断調査や費用負担の考え方を扱っています。あわせてご覧ください。