BAsixs(ベーシックス)

「あたりまえ」をアップデートしつづける

不二工機様のビジョンや仕事への想いを伝える採用サイト成功事例(後編)

読了目安 : 13

  • 投稿日 :
  • 最終更新日 :

この記事を書いた人

プロフィールアイコン(イラスト):BAsixs編集部
BAsixs編集部

BAsixsは、社会課題の解決と新たな価値創出をBAグループ全体で目指すためのサービスブランドです。

BAsixs参画企業のビジネス・アーキテクツは、不二工機様の採用サイトをリニューアルいたしました。2022年6月に公開し、本社の中途エントリー数が4倍になりました。さらに社内のインナーブランディングや、難易度の高い地方採用(関連会社の採用)へも波及効果があったそうです。

本記事では、株式会社不二工機 人材開発グループの草薙様、福井様に採用サイトリニューアルプロジェクトについてインタビューしました。採用サイトリニューアルの経緯や成果に加えて、人材開発グループの取り組みやプロジェクトの裏話など、興味深い話が多かったため、前編・後編に分けてインタビュー内容を紹介します。

後編では採用サイトリニューアルプロジェクトの成果の詳細と、今後取り組みたいことについて紹介します。

不二工機様のビジョンや仕事への想いを伝える採用サイト成功事例(後編)

インタビューした人

プロフィールアイコン(イラスト):マーケター 信谷
信谷マーケター(ビジネス・アーキテクツ)

前職では複数社にてコーポレートIT部門の支援サービスに従事。2018年よりBAに関わるようになり、2021年に入社。前職時代の知見を活かし、MAツール導入・運用支援サービス開発プロジェクトに参加し、ゼロからの新サービス立上げを経験。現在はBAsixsサイトのコンテンツ企画から編集業務を担当。

インタビューを受けた人

  • プロフィールアイコン(写真):株式会社不二工機 草薙 義弘様
    草薙 義弘様人事部 人材開発グループ 次長(株式会社不二工機)

    人事分野の研究員・コンサルタントを20年間経験。その後、プラントメーカーで10年間、採用・研修部長、労務部長などを経験。不二工機には2020年に入社し、人事制度企画、採用、研修分野に従事。
    採用、キャリアパス、研修制度、評価・処遇、グローバル人材育成をトータルで連動する仕組みを構築している。その一貫で、モノ作り、世界ボーダレスで活躍したい人材の採用を重点課題としている。

  • プロフィールアイコン(写真):株式会社不二工機 福井 憲二様
    福井 憲二様人事部 人材開発グループ マネージャー(株式会社不二工機)

    2021年株式会社不二工機に中途入社。キャリアとしては、IT系企業、ディスプレイデザイン企業などにて採用・育成業務を経験。現在は新卒採用・中途採用・育成業務・タレントマネジメントシステム運用等を担当している。

前編のおさらい

前編では、どのような経緯で採用サイトをリニューアルしたのか、制作会社をどのように選定したのか、プロジェクトで苦労した話をご紹介しました。

不二工機様のビジョンや仕事への想いを伝える採用サイト成功事例(前編) | BAsixs(ベーシックス)

採用サイトリニューアルの成果

まずは、採用サイトリニューアルの成果について、次の5つの視点で詳しく紹介します。

  1. 中途のエントリー数が4倍になった
  2. 難易度の高い地方採用(関連会社の採用)へも波及効果があった
  3. エントリーした応募者に現場の声が伝わった
  4. 社員が採用活動に協力するハードルが下がった
  5. インナーブランディングも効果があった

それぞれについて説明します。

成果1.中途のエントリー数が4倍になった

採用サイトのリニューアルによって、エントリー数は増えましたか?

草薙様:中途採用だけで、応募者数が2021年から4倍に増えました。採用応募のチャネルが1つ増えたと感じています。

中途採用のエントリー数が、2021年から2022年の1年間で4倍になった

新卒はエントリー数ではなく一次面接の受験者数、つまり実際に面接に来てくださった方の数を見ているんです。正直に言って、ただエントリーするだけでは意味がないですからね。一次面接の受験者数は変わらないのですが、何にも知らないけど、とりあえず応募したという人はいなくなったんです。

また、中途・新卒採用どちらからも、応募者からは「入社後の活躍イメージが掴めた」という声がありましたね。

福井様:そうですね。私はリニューアル当時(2022年6月頃)から、新卒内定者フォローに関わっています。

6月は新卒に内定が出て、不二工機に来るのか、他の企業に行くかを迷っているタイミングなんですね。内定者の方へのフォローツールとしても、採用サイトを使っています。オープンになっている情報をすぐに案内できるので、とても良かったですね。

また新卒のエントリー数は毎年数百人ですが、個別対応が必要なため、対応に時間がかかります。新卒のみなさんは、これが知りたい、あれを知りたいという具体的な要望があります。そういった知りたいことがある方は、採用サイトのインタビュー記事を事前に見てくれるのである程度は自己解決しやすくなりました。

草薙様:あと、今年は「グローバル展開している企業に入りたい」と思って応募してくれる学生がすごく増えたなと実感していますよ。

具体的には、TOEICハイスコアな学生が多く応募してくれたんです。潜在的にそういう人材が欲しいと思っていましたが、募集要項には記載していませんでした。2023年4月時点では、ある程度の点数をもった学生からの応募が多かったのですが、今の選考段階では高得点をとった優秀な学生が増えました。

福井様:本当に大きな変化ですよね。採用サイトの効果ってこんなにあるんだなと感じています。TOEICハイスコアな学生は、コツコツと努力ができる方だと感じています。

製造業全体としてみると年々縮小している中で、不二工機様のようにきちんと将来のビジョンを描き、そこに向かって成長し続けていることは、求職者にとって有用な情報です。今回の採用サイトリニューアルでは、そういうメッセージをしっかり伝えられたので、応募者の方に響いたのだろうと思っています。

福井様:そうですね、応募者には伝わっていると思います。今の採用サイトのように情報が整理されていれば、ちゃんと伝えれば応募者にも理解できます。

情報が正しく伝わり、不二工機にマッチした人を採用できれば、活躍してくださると思うんです。なので、情報を引き出してうまくまとめていただき、感謝しております。

2021年から採用応募が活発化し、新卒採用数は3倍に増えています。2022年以降の中途も同様で、採用数の規模が変わりましたね。

草薙:中途は自動車部品関係からの転職が多いのですが、自分から新しいことに挑戦してくださる方を増やそうと、総合職を採用する方針に変えてからは、応募してくる技術者のレベルが大きく変わりましたね。

具体的に、何が応募者に響いたポイントだと思いますか?

福井様:そうですね。僕はその時はプロジェクトに入る前だったのですが、100年っていう節目を意識させるコンセプトは、個人的にすごく響きました。

採用サイトトップページの画面キャプチャに、採用コンセプトが記載されている

草薙様:これは、BAさんが提案してくれたんですよね。

はい。ちょうど72周年のタイミングでご相談いただき、新卒も30代の中途も、100周年を見届けられるタイミングだったので、このコンセプトを提案しました。

草薙様:すごくいいコンセプトだと思いますよ。

ありがとうございます。不二工機様とミーティングを重ねている中でも、誠実な社員の方が多いと感じたので、「デザイン面で変におしゃれに見せるのはやめよう」とBA社内で話していました。

最先端技術に誠実に取り組んでいる会社だからこそ、「きちんとした見せ方がいいよね」と、デザインコンセプトを考えて進めていきました。結果として、流行り廃りには影響されない採用サイトになったと思います。

福井様:うまくキャッチして、表現いただいたと思います。真面目さや責任感は、顧客に対して納期通りきちんと価値提供していくという部分で、不二工機が大切にしている価値観だと思います。そのため、それがちゃんとメッセージとして伝えられるサイトを作っていただいたと思います。

ちなみに、どういう時にそういうことを感じられたのですか?

草薙様:100周年を迎える頃って、電気自動車が世界の主流になるはずなんですよ。日本のルームエアコンも世界を席巻するんです。建物全体の空調はエネルギー効率が悪いので、個別空調が今後伸びていくと思います。どこの国も少子高齢化が進むと、全体空調の必要性が無くなっていくんですね。

今、インドとか北アフリカとかでもエアコンが普及してきています。昔は必要なかったけど、今はエアコンが無いと暮らせないですもんね。

30年くらいで、ルームエアコンも電気自動車も拡大していくので、我々はその2つの領域どちらもが伸びていくんですね。

海外と国内では、商習慣の違いがあるため、そこに対応できる管理部門が必要だと感じています。だから今後のビジネス成長を見越して、管理部門の採用にも注力しています。

そういった状況の中でも、不二工機様の採用サイトは、グローバルなインパクトをきちんと伝えるという役割を果たしていると思います。

草薙様:そうそう、以前よりも事前に採用サイトをしっかり見ているため、応募者の会社理解度が高まっていると感じますね。

例えば開発部門の場合って、上流から下流まで一貫して製品担当としてやっていくんですけど、インタビュー記事があることで、面白そうと思う人だけが応募してくれるんですよ。

逆に、「開発だけやりたい」「評価だけやりたい」という人や、言われた通りのことだけをやりたい人は来ないんですね。つまり、採用サイトが一次フィルターみたいに機能しているんです。

対談風景

成果2.難易度の高い地方採用(関連会社の採用)へも波効果があった

草薙様:今話したことって、不二工機本社の話なんですよ。実は本社だけではなくて、関連会社への波及効果がありましたね。工場の技術者のエントリー数は4倍に増えたどころじゃないですから。

本社は基本的に技術職と営業職、管理部スタッフを募集していますが、製造部隊は分社化しています。地方の技術者の募集って、本当に難しいんですよね。

本社(東京)の技術者も採用は難しいものの、母集団は集まるじゃないですか。でも我々の工場は地方なんです。地方だと個別に学校を訪問して、母集団を集めるしかないからね。だから採用サイトはすごい役に立っていると肌で感じます。

現実的には工場に就職するので、工場の仕事をするんだけど、不二工機の100%子会社の工場で、各工場の取引先は100%不二工機なんです。だからグループとして打ち出さないと弱いですよね。採用サイトを通して、グループ全体の規模や実績、取り組みを応募者に知ってもらえたのは、大きな影響を与えたと思います。

成果3.エントリーした応募者に現場の声が伝わった

採用サイトのリニューアル後、採用サイトを利用した応募者からのフィードバックはありましたか?

福井様:採用サイトを見てくれてた内定者に聞いたところ、会社の全体像や事業領域、人の領域、将来性について伝わったなと思います。そしてさらに、社員インタビューを通して現場の声が伝わったことが大きかったのだと思います。

私も中途採用で2021年の9月に入社したのですが、2021年には今の採用サイトが無かったので、不二工機に関する情報を調べる手段が中々なかったんですね。エージェントを通じて得た情報と、オープンになっている情報を見ても会社の全体像が見えづらく、働く社員のことも同様でした。

その時に面接官だった草薙の話で、不二工機の事業の柱や将来性について分かったんですけど、やっぱりエントリー前に調べられるようになったことは大きな武器になっているなと思います。

今、中途で採用応募して下さる方は、基本的にみなさん採用サイトのコンテンツを見てくださっています。今は当たり前になっていますが、それ以前と比べると不二工機への理解は格段に違うと思います。

「車の領域と家電の領域、どちらも強みがあって世界シェアを持っている」という会社の実績について、文字情報だけを公開する場合と、実際に社員が「今までどうだったか」「これからどうなるのか」を話す場合では受ける印象が全く違いますよね。

対談風景

成果4.社員が採用活動に協力するハードルが下がった

草薙様:あとね、採用サイトを通して、会社の理解度が上がったという社内の声もありましたね。社内でもね、当社がグローバルで社員が5,500人もいるって初めて知ったっていう社員も結構いるんですよ、お恥ずかしながら(笑)。

福井様:よくある話だと思いますが、採用活動への協力は多くなりましたね。以前は、採用活動のために顔が出るなんて嫌だよっていう意見も少なくありませんでした。

草薙様:例えばある部署の若手3人を集めて写真を撮るよっていうと、みんな逃げるんですよ(笑)。前もって部長に撮影日を伝えて、若手社員5人を集めて欲しいとお願いしても、いざ当日になってみると、みんな用事を作っていなくなっちゃうの(笑)

だけど、採用サイトができたことで、みんなが協力してくれるようになりましたね。どういうふうに掲載されるか想像できるから。

ちなみに、インタビュー対象者の選定は人材開発グループが主導されたのですか?

草薙様:そうですね。同期の人数が多いのでインタビュー対象者を厳選したいという意図と、採用したい人物像に合わせたいという考えから、人材開発グループがインタビュー対象者を指名しました。我々は普段から色んな人と話をしていて、誰がどういう修羅場をくぐってきたのか知っているんです。

事業部からの意見を踏まえて、あとから追加したメンバーもいますけどね。

他に、社内からフィードバックはありましたか?

福井様:採用サイトのコンテンツを作るにあたって、管理職のみなさんも一度は採用サイトを見ることにもなりますし、人事がこんなに意欲的に動きだしているということも伝えられます。採用面接に同席してほしいと依頼をしたときも、快く引き受けてくださるようになりましたね。

社内が採用に対して理解が深まって、協力体制ができるって思わぬ効果ですね。多くの人は、顔出しのインタビューって抵抗感がありますよね。

福井様:そうなんです、まだ社員はインタビューに慣れていないだけだと思います。

今はプロジェクトを組んで、社内の協力体制を構築してコンセンサスを得た上で進められています。やっぱり前例が無いことは怖いですが、サイトリニューアルを経て、こういうコンテンツになるのかとイメージができるので、今後は社員自ら手をあげるなど変わっていくと思います。

たしかに、どのように掲載されるのか分からないっていう不安はありますよね。逆に、誰かがやっていると後に続きやすいですよね。

福井様:そうですよね。先にわだちを作ってくれるというか、ここを同じように歩けばいいのかとイメージできますからね。

不二工機様の素晴らしい技術に加えて、いい社員が沢山いらっしゃる会社だと対外的にアピールできました。そのため、エントリーする方の理解度や解像度も上がり、より親しみをもってエントリーされる方が増えたのではないかと思います。

福井様:はい、本当にその通りだと思います。不二工機の社員はみんな真面目で責任感があって、温和で話しやすい人が揃っていると僕は思います。リニューアル後は、それぞれのコンテンツを通して、そういった社員のいいところが、伝わっているんじゃないかなと思います。

どうしても業務というものは1人では完結できず、関係性や協力体制を築ける人でないと成果に結びつきづらいです。いいチームプレーができる人からの応募が増えることを期待しています。

成果5.インナーブランディングも効果があった

福井様:他には採用応募だけでなく、社内のインナーブランディングにも良い影響が出たなと思いますね。

中途で不二工機に入社した人にとっても、採用サイトのコンテンツを読めば、会社への理解度が高まるのではないかと思います。あの人ってこういうこともやっているんだ、こういう話を聞きにいこうかなと思うなど、社内的にも作ってよかったなと思います。

また、採用活動を通して、一歩ずつ会社の認知度も上がって行くと思いますね。

対談風景

今後は双方向のコミュニケーションに取り組みたい

今後取り組みたいことを教えてください。

福井様:今後は不二工機に興味を持ってくれた人にもっと情報を伝えたいと考えています。先ほどお話したように、今後採用募集を考えている部署の社員インタビューも追加したり、地方の工場を取材したり、取り組みたい事はたくさんあります。

草薙様:本社の人も工場に出向する可能性があるので、工場の取材はぜひやりたいですね。

あとは、自分たちの採用サイトに集客できるように情報発信して、採用応募フォームに送信してもらって、そこからOBOG訪問に繋げるという流れを作りたいです。

また、認知獲得も視野に入れたいと思います。

最近は、電気自動車普及協会の会員になったり、すこしずつ認知を高めるために動いてはいますが、具体的に不二工機に興味を持ってくれる人は、BtoB企業であることもあり、中々多くないことが課題だと思います。そういう部分でアイディアがあったら、またご提案いただけると嬉しいです。

製造業様のグローバルブランディングの実績が複数ありますので、ぜひご提案させてください。本日はありがとうございました。

不二工機様玄関の会社ロゴと、草薙様と福井様が並んでいる写真

編集後記

後編では採用サイトリニューアルプロジェクトの成果の詳細と、今後取り組みたいことについて紹介しました。採用サイトをリニューアルしたことで、エントリー数が増えただけでなく、応募者の会社理解度の向上や、社内のインナーブランディングにも効果を発揮し、人材開発グループの評価にも繋がりました。

また人材採用に大きな影響を与える、認知拡大についても、ご提案の機会が頂ければなと思います。

BAsixs参画企業のビジネス・アーキテクツは採用サイトに限らず、お客様のお悩みや目的に合わせて、Webサイトを通じたコミュニケーション方法を提案するのが得意なメンバーが揃っています。ぜひご気軽にご相談ください。