ユーザビリティの向上を目指した数々の試行錯誤と、その過程で見えてきた意外な発見。これが今回ご紹介するプロジェクトの全貌です。当初は、UI/UX診断とワイヤーフレームでしたが、プロジェクトがスタートし、お客さまとの意見の相違や新たなチャレンジを経て、最終的にはユーザーテスト、デザイン制作の受注に至るまでのプロセスをご紹介します。
「プロジェクトの成功の鍵を握ったのは何か?」、「どういった改善がユーザー体験を飛躍的に向上させたのか?」という疑問について、結論に至るまでの詳細なプロセスをぜひご覧ください。
UI/UX改善プロジェクト提案時に何を提案したのか
お客さまからの要望
- デザイン
- サイト内で新旧デザインが混在しているので改善したい
- 訴求力の向上をしたい
- 導線・情報設計
- コンバージョンへの導線の再設計を行い、ユーザーが求める情報へスムーズにアクセスさせたい
- 無駄な機能や画面を見直したい
- UI改善
- 各ページの要素をガイドラインをベースに見直し、ブラッシュアップしたい
BAからの提案
ユーザーインターフェース(UI)や情報設計の改善をプロジェクトの目的とするのではなく、サイト利用前、利用後のユーザーエクスペリエンス(UX)を設計することを目的としたプロジェクトへの方針転換を提案しました。
具体的な提案事項
- UI/UX診断
- ワークショップ
- オンサイト定例会
- ワイヤーフレーム作成
以降のフェーズはこの段階ではスコープ外でした。
UI/UX改善プロジェクトの施策を通して見えてきたもの
提案内容で進めることをお客さまに承諾いただきました。
次の段階として、施策のアウトプットを3つのフェーズごとにご説明します。
フェーズ1:プロジェクトのスタートから最初のアウトプットまで
お客さま企業の考え方や文化、ご提供サービスなどを理解し、情報を設計するために、お客さま社内でワークショップを行いました。
お客さま社内でのワークショップの内容
- 自社サービスの理解
- 実際のお客さま企業が提供しているサービスをお客さま自身でご利用する
- 求められるUX
- なぜユーザーはサービスを利用しないのか
- 経済行動学に則った議論
- プロスペクト理論
- 損失回避性
- 感応度逓減性
- 参照点依存性
- プロスペクト理論
- 経済行動学に則った議論
- なぜユーザーはサービスを利用しないのか
- 現状の把握と診断(UI/UX診断)
- BAの「UI/UX診断サービス」の判断軸に則った診断
- 実際に触ることで使いにくいところはどこか
- わかりにくいものはないか
- BAの「UI/UX診断サービス」の判断軸に則った診断
フェーズ2:お客さまによるアウトプットレビュー
最初のアウトプットまでには、多くの試行錯誤が存在しました。お客さまの要望や見解とデザイナーの意見が一致しない場面もしばしばありました。
それでも、共通の目標として「UXの最大化」を掲げることで、プロジェクトは少しずつ進んでいきました。
当初のアウトプットであるUI/UX診断レポート、ワイヤーフレームをご納品した結果、お客さまに並走し導き出すプロジェクトマネジメント手法・プロセス・情報設計について非常に高い評価をいただきました。
その結果、ユーザーテスト、デザインフェーズを追加でご発注いただきました。
フェーズ3:改めて最初と最後のアウトプットを比較する
改めて最初のアウトプットと最後のアウトプットを比較してみると、議論を重ねブラッシュアップされたものもありますが、意外なことに当初のご提案事項になっているものも多いことがわかりました。
どちらのケースについても議論すべき点が明確となったことで、最終的には、ユーザビリティの向上と共に、お客さま企業のブランドイメージも保持した完成度の高いデザインをご提供できました。結果としてプロジェクトは大きな成果を達成しました。
この過程は、お客さまとデザイナーの協力が如何に重要かを再確認する機会となりました。
まとめ:適切なコミュニケーションとプロセスを経ることが成功の鍵
半年間かけてお客さまと向き合いながら、UI/UXの改善プロジェクトを進めてきました。当初の提案から多くの変更が生じ、お客さまとの間で埋まらない溝も少なからず存在しました。しかし、最終的にはユーザビリティの向上とブランドイメージの維持を両立するデザインを実現することができました。
これは、お客さまとデザイナーの協力、そして徹底したコミュニケーションの成果と言えます。UI/UX改善プロセスは一度の提案で完成するものではなく、継続的なフィードバックと改良が必須です。お客さまからの新しい要望にも柔軟に対応し、定期的なミーティングで意見を擦り合わせることで、プロジェクトがより良い方向へ進みました。
このように、UI/UX改善は簡単な作業ではないものの、適切なコミュニケーションとプロセスを経ることで、ユーザーとお客さま企業、双方の満足度を高めることができると実感しました。今後もこの経験を活かし、さらなるUI/UX改善に努めていきたいと思います。