みなさんは、Webサイトに掲載する画像・動画・PDFなどのデジタルアセットをどのように管理していますか?
- Webサイトの規模が大きいから、アセットが多い
- 取り扱い製品が多く、カタログなどのアセットが膨大
- グローバル展開しており、各国サイトも運用・管理を担当している
などの場合は、アセット管理の面でいくつかの課題を抱えて いるのではないでしょうか。
この記事では、これらの課題を解決するために、AEM(Adobe Enterprise Management)のデジタルアセット管理(DAM)を活用する方法を紹介します。
AEMには大規模サイトや複数サイトの運営を想定した、多くの便利な機能が標準で備わっています。Webサイト運用業務を設計しAEMを効果的に利用することで、煩雑な業務や無駄なコストを減らし、リスクを回避できます。さらに、Webサイトの運用体制に合わせた業務の流れとシステムを設計することで、Webガバナンスの向上も期待できます。
BAsixs参画企業のビジネス・アーキテクツのエンジニアが、AEMの実際の画面を見せながら説明しますね。
AEMの概要
AEMはAdobe Inc.が提供するCMSプラットフォームです。Webサイトを管理するために、必要な機能を全て実現できるように設計されています。
AEMを構成する代表的な製品群は4つあります。
- AEM Sites
- AEM Assets
- AEM Forms
- AEM Screens
AEMの概要は次の記事にまとめています。ぜひ合わせてご覧ください。
AEM (Adobe Experience Manager) 導入で解決するグローバルサイトの課題 | BAsixs(ベーシックス)
本記事では、上記の記事で紹介している解決方法の中から、デジタルアセット管理(※)について詳しく説明します。
次の章から、AEM Assetsの中のAEMアセット管理機能を使って、以下の課題を解決する方法を紹介します。
- 同じアセットを複数登録しているため、差し替え時に対応漏れが発生してしまう
- 使用期限のあるアセットの期限管理が煩雑になり、管理コストが増えてしまう
- 使用期限のあるアセットの期限管理が、期限切れに気づかずに、権利元から指摘を受けてしまった
※デジタルアセット管理(DAM):
AEMには、画像・動画・PDFなどのデジタルアセットを、保存・整理・管理するための堅牢なDAMシステムが搭載されています。バージョン管理、メタデータ管理、アセットの簡単な検索と取得を提供します。
アセットの重複登録を防ぐためのスマートタグ
そもそもなぜアセットが重複して登録されてしまうかというと、複数人で運営するWebサイトでは、使いたいアセットが既に登録済みであることに気付かないことがよくあるからです。
冒頭で挙げた課題の1つ目の「同じアセットを複数登録しているため、差し替え時に対応漏れが発生してしまう」を解決する方法として、AEMには「スマートタグ」という自動タグ付け機能があります。
この機能を有効に活用し、既存のアセットを確認してから登録するという業務フローに変更することで、アセットの重複登録や差し替え時に対応漏れを防ぐことが可能です。
AEMにアセットを登録したら自動でタグが付く
AEMのスマートタグは、人工知能(AI)と自然言語処理(NLP)を活用して、デジタルアセットを自動的に分析しタグ付けする機能です。膨大なコレクションの中から、タグを元に特定のアセットをすばやく見つけ、コンテンツ作成とアセット管理の効率を高めるのに役立ちます。
例えば、パソコンから一枚の写真の画像をアップロードすると、自動的にスマートタグを付加する処理が始まります。そして、アップロードした画像のプロパティ画面で、付加されたスマートタグの内容を確認できます。
また「タグを管理」画面では、赤枠部分の付与済みのスマートタグから任意のタグを削除できます。さらに青枠部分のタグでは、手動で登録済みの任意のタグの追加・削除ができます。
タグで既存の画像を検索する
自動で付与されたスマートタグや、任意でつけたタグで検索し、見つけたら既存のアセットをそのまま利用します。もし見つからなかった場合は、新規でアセットを登録します。
このようにタグ検索を活用することで、アセットを新規で追加するべきか判断できるので、登録重複が防げます。
またアセットの重複登録を未然に防ぐことで、同じ画像が複数登録されないため、アセットの差し替え時の対応漏れを防げます。
使用期限切れのアセットの不正利用を防ぐ
AEMのアセット管理の特徴の一つに、使用期限をCMS上で一元管理するための「デジタル著作権管理」という考え方があります。別のシステムやExcelでのアセット管理をAEMに移行することで、煩雑な業務を1つのプラットフォームにまとめられます。
AEMでデジタル著作権の管理を行うと、「使用期限のあるアセットの期限管理が煩雑になり、管理コストが増えてしまう」「使用期限のあるアセットの期限管理が、期限切れに気づかずに、権利元から指摘を受けてしまった」という課題を解決できます。
今回は、次の4つの機能について紹介します。
- アセットの期限を設定する
- アセットをタグやステータスで検索する
- アセットを有効期限で検索する
- アセットを一括で非公開にする
1.アセットの期限を設定する
アセットの期限には、有効期限とアクティベーションの2つの項目があります。
有効期限は、AEM内で検索の利便性をあげたり、AEM管理者がAEM内での表示・非表示をコントロールするための設定するための項目です。アクティベーションはWebサイト上での公開・非公開を切り替えるための項目です。
1-1. 有効期限
有効期限の設定は、アセットのプロパティ画面で操作できます。「有効期限」が切れると、管理者権限以外のAEMユーザーのアセット一覧には表示されなくなります。そのため、新たに作成したページに有効期限切れアセットの挿入されることを防げます。
有効期限をもとにアセットを管理する方法には、通知と検索で対応できます。例えば「有効期限切れ」の期間を指定したレポートを作成したり、有効期限のステータスで検索できます。
設定した有効期限の通知方法は2つあります。
- 事前通知:レビュータスクを作成すると、レビュー担当者に通知が届きレビューで確認できる
- 事後通知:有効期限で設定した期限がきたら、AEM内で通知される
1-2. アクティベーション(自動的に公開・非公開になる)
アセットを公開している期間を指定する項目です。アクティベーションの期限(開始日と終了日)を設定すると、期限が来た時点でアセットを自動で非公開にできます。アセットを非公開にすると、Webサイト上から削除したり、ダウンロードを制限できます。また、ページ編集画面で追加できなくなります。
例えばタレントとの契約において、画像毎に利用許諾契約を結んだ場合、画像に「アクティベーションの解除の期限」を設定しておくと契約期間を超過した利用を防げます。
ステータスがアクティベーション解除の期間に該当する(非公開中の)アセットは、下図のように、アセット一覧画面で赤フラグがつきます。
2.アセットをタグやステータスで検索する
AEMには様々な検索方法が標準で準備されています。そのためコンテンツ作成者と管理者は、膨大なコレクションの中から特定のアセットをすばやく見つけ、コンテンツ作成や更新のためにアセットを探す時間と労力を節約できます。
検索方法の一例として、次の3つの方法を紹介します。
- アセットのタグ検索
- アセットのフォルダ名検索
- アセットの公開日や承認ステータスで絞り込むフィルター検索
2-1. アセットのタグ検索
タグは、アセットに関連付けられたキーワードやラベルとして活用し、分類や絞り込みができます。さらにAEMではテキストと同様に、タグも多言語対応ができます。
2-2.アセットのフォルダ名検索
フォルダを使ってアセットを分類することで、フォルダ名で検索ができます。
例えば下図のように、Bangladesh・Japan・German・Franceの4つの国別のアセットフォルダと、全サイト共通のアセットフォルダを作って、各国サイトのアセットを管理することもできます。
Bangladeshフォルダにあるアセットを探したい場合は、検索バーでこのフォルダ名で検索すると、このフォルダ内の画像が表示されます。
2-3.アセットの公開日や承認ステータスで絞り込むフィルター検索
アセットフォルダ内にあるサイドバーのフィルタ項目から、公開日や承認ステータスなど任意の項目を絞り込んで検索できます。
例えば、有効期限の「期限切れ」というステータスをもつ画像をフィルタリングすることも可能です。
3.アセットを有効期限で検索する
アセットを特定の期間や、有効期限切れで検索した結果をレポートとして表示できるので、適切なアセット管理を実現できます。下図の右上の「ダウンロード」ボタンから、CSV形式でレポートをダウンロードできます。
また、それぞれのアセットの詳細画面で、そのアセットがどのページに使われているのかを確認できます。
4.アセットを一括で非公開にする
アセット毎に非公開にする方法は先述した通りですが、他にもフォルダを指定して一括で非公開にすることも可能です。
アセットフォルダを非公開にした後は、AEMの管理者権限があるユーザー以外はこのフォルダのアセットを表示したり、ダウンロードしたりすることはできません。フォルダを非公開に設定すると、下図のようにフォルダアイコンに鍵マークが表示されます。
まとめ:ガバナンスを強化するためにアセット管理をしよう
今回ご紹介したようなAEMアセット管理を活用し、業務とシステム(AEM)を運用体制に合わせて設計することで、運用コストとリスクを大幅に削減できます。さらに適切にアセットを管理することで、Webガバナンスの向上も期待できます。
運用時のWebガバナンスを保ち、デジタルアセットの適正な管理を可能にするAdobeのデジタルアセット管理(DAM)機能に関するの導入事例も是非ご覧ください。
デジタルアセット管理ツール(DAM)導入事例 B社様 | BAsixs(ベーシックス)
なお、WordPressやPowerCMSとAEMを比較している比較表もあるので、ぜひご覧ください。
グローバル企業や、複数人・複数部署でサイト更新する担当者におすすめのCMS比較表2022 | BAsixs(ベーシックス)
BAsixs参画企業のビジネス・アーキテクツには、企業のグローバルサイトを構築・運営したノウハウがあります。僕たちのように日本語でコミュニケーションでき、かつ英語でも情報収集できる開発チームが国内にあります。
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